今年から京都府・滋賀県自転車競技連盟共催によりスタートした関西トラックフェスタ。京都と滋賀の競輪場で全7戦が予定されているトラック競技のシリーズ戦だ。大会の概要と第1戦の様子をお伝えしよう。

向日町競輪場で第1回大会を開催した関西トラックフェスタ向日町競輪場で第1回大会を開催した関西トラックフェスタ

自転車競技の中で「基本」と言われるのがバンクを使ったトラック競技。ピストと呼ばれるフリーなしの固定ギアを装備したシンプルなバイクを駆り、カント(角度)のついたトラックコースを全速力で駆け抜ける。しかしトラックに訪れて観戦をしたり、バンク走行の経験を持つ方は多くないのが事実。

関西トラックフェスタは、トラック経験の無いサイクリストにピストバイクに乗ってもらい、親しみを持ってもらうことで競技者人口の増加と競技力向上を図ることを目的として、今年からスタートしたシリーズ戦だ。会場となるのは走りやすい400mバンクを持つ京都の向日町競輪場と、スピードの出やすい500mバンクを持つ滋賀の旧大津びわこ競輪場の2会場となる。

緊張の一瞬 ケイリンのスタート緊張の一瞬 ケイリンのスタート 切磋琢磨し合いながら技術を高めることができる切磋琢磨し合いながら技術を高めることができる


200m個人TT、1kmTT、スクラッチ、ポイントレース、ケイリン、速度競争、スプリント、チームスプリント、4km個人追い抜き、タンデム車でのスプリントの計10種目。様々な種目があるトラック競技だが、トラックフェスタでは、短~長距離の基本的なレースをメインとしている。

日頃の練習の成果を出しやすいのが200mFTT、1kmTT、4km個人追い抜きといった個人種目のタイムトライアル。スクラッチとポイントレースは、距離の短いロードレースのようなもので展開を読む力が要求される。ケイリンと速度競争はトラック競技特有の戦略を養う必要がある。

支えてもらってスタートを切るのもバンクらしい支えてもらってスタートを切るのもバンクらしい 上級者の走りを見るのも参考になるもの上級者の走りを見るのも参考になるもの


エントリーはタイム別になっているため、同じレベルの参加者たちと競って技術を向上させる楽しみがある。ロードでも出場可能なので、トラックビギナーでもエントリーしやすい。各カテゴリーはシリーズを通してのポイントが付けられ、最終的にシリーズチャンピオンが決定される。エントリーフィーも一般2,000円とリーズナブルで、共通種目2種目、任意種目1種目の最大計3種目までエントリーできる。大会ごとに各種目の1~3位までは賞金も渡される。

第1戦となった京都では、晴天のもと熱心なトラック競技愛好家が向日町競輪場に集まり、各々タイムを比べあったりと真剣ながらに和やかな雰囲気が流れていた。


ピストバイクのセッティング
ロードと同じくフレーム素材はスチール・アルミ・カーボンと様々。エントリーレベルのアルミモデルには比較的安価に購入できるモデルもあるので、ロードバイクよりか値段的な敷居は低いと言えるかもしれない。ブレーキを取り付け可能なモデルもあるので、フリー付きホイールと組み合わせれば公道でも走ることが可能だ。

先導車に牽かれてスタートを切るケイリン先導車に牽かれてスタートを切るケイリン ロードバイクでも気軽に参加できるロードバイクでも気軽に参加できる


固定ギアはロードよりも重いギア比を使う。あくまで目安だが、エントリーで46×15(ギア比3.06)、スポーツバイク経験者は48×15(3.2)、ロードレースをガンガン走る競技者は50×15(3.33)、ピスト競技者なら49×14(3.5)。上級者は4倍のギア比を使用する。

慣れたら前輪にディープリムかバトンホイールを、後輪はディスクホイールがオススメ。ハンドルやグリップを競輪用のものにすれば、独特の走り心地を楽しむことができる。ペダルはクリップ式のものを使用するが、ビンディングでもOKだ。


会場で見かけたピストバイク
シンプルな故に各選手に合わせた実戦的なアレンジが求められるピストバイク。会場でも多数の個性的なピストが見られた。

鮮やかなオレンジが映える深谷さんのMASI COLTELLO鮮やかなオレンジが映える深谷さんのMASI COLTELLO 沼田さんのCANYON V-DROME沼田さんのCANYON V-DROME


深谷愛子さん愛車は、オレンジが鮮やかな「MASI COLTELLO」。フレーム単体で販売されているので、自分の好みや予算で組むことが可能だ。ロードに乗り馴れてからピストにもハマったそう。深谷さんの自転車仲間の沼田昭彦さんは国内では珍しい「CANYON V-DROME」が愛車。エアロ形状のアルミフレームにMICHEのパーツを使い、統一感のあるピストに仕上げられて好印象だ。

数々の勝利を生み出したMBKのカーボンピスト数々の勝利を生み出したMBKのカーボンピスト

チェーンの張りを調整する独特のトラックエンドチェーンの張りを調整する独特のトラックエンド 大きなボリュームを持つBB周りの造作大きなボリュームを持つBB周りの造作


MBKブースにて展示されていたカーボンピストは、2008年からドイツ・女子ナショナルチームが使用し、また2010~アジア女子チャンピオン(Xian Meiyu選手)も使用する。UCIトラック、ワールドカップにて参戦歴多数のUCI認定フレームだ。

関西トラックフェスタは、「関西シクロクロス」のように発展をさせることを目標としているそう。競技人口の少ないピストだが、このシリーズの登場によって門戸が広がったと言えるだろう。是非、ピストでバンクを走り、そのおもしろさ、競技の深さを体験してみてはいかがだろうか?


関西トラックフェスタ開催スケジュール
5月3日(祝)京都:向日町競輪場
6月24日(日)滋賀:旧大津びわこ競輪場(前日に滋賀県選手権)
7月29日(日)京都:向日町競輪場
8月19日(日)滋賀:旧大津びわこ競輪場(前日に滋賀記録会)
9月23日(日)京都:向日町競輪場(GW京都府選手権と同時開催)
10月27日(土)滋賀:旧大津びわこ競輪場(翌日に近畿ピスト)


text&photo:Akihiro.NAKAO、京都府自転車競技連盟

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