建設中の新東名高速道路を走る「ふじのくにサイクルフェス in 新東名」が開催された。開通前の高速道路を駆け抜けるという一生に一度しか味わえない貴重な体験を求めて、8,000人のサイクリストが開通前の高速道路に集結した。

富士山をバックに開通前の新東名を走るサイクリストたち富士山をバックに開通前の新東名を走るサイクリストたち
新東名高速道路は来年初夏に、静岡県内の御殿場JCTから三ヶ日JCTまでの162kmでの開通が予定されている。この大会は11月26日、27日の2日間にわたって、静岡県沼津市の駿河湾沼津サービスエリアをメイン会場に、新静岡ICまでの区間にて41kmと95kmの個人ロードレース、周回路を使ったエンデューロ、そして最長109kmのサイクリングが行われた。

ロードレース男子エリートは、沼津出身の平塚吉光が優勝!

ロードレースの最上級カテゴリーとなる男子エリートクラスには、宇都宮ブリッツェン、湘南ベルマーレ、愛三工業、ブリヂストンアンカー、マトリックス・パワータグといった国内の有力チームも参戦。そんなハイレベルの戦いを制したのは、シマノレーシングの平塚吉光選手。

平塚選手は沼津市出身、地元での貴重な一勝となった。「スタート直後はみんなリラックスムードで、今日は遊びなのかな?という雰囲気でしたが、脚も温まってくればやはりみんなレーサーですね、ガチ勝負になりました。私にとっては地元開催で、しかも一度しかないレース。地元出身の選手が活躍は、大会を盛り上げる上で大切なこと。シーズンオフになっても集中力を維持してきました。とにかくうれしいです」と喜びを語ってくれた。

平塚選手にとっては地元での貴重な一勝となった平塚選手にとっては地元での貴重な一勝となった 残り5kmとなったメイン会場前。富士市出身の愛三工業 鈴木謙一選手のトップ通過に会場が盛り上がる残り5kmとなったメイン会場前。富士市出身の愛三工業 鈴木謙一選手のトップ通過に会場が盛り上がる


今シーズンはオランダを中心に活動し、日本では得られない貴重な経験を積んだという。来シーズンのさらなる活躍が期待できそうだ。また同じく地元出身の愛三工業 鈴木謙一選手(静岡県富士市)も、先頭グループで積極的は走りを見せて8位、さらに伊豆市出身のシマノレーシング野寺監督も、この日は選手として出走、見事に平塚選手のアタックをアシストして、自身も33位でゴールした。


女子は競輪学校 中村、三宅の1-2フィニッシュ。高校生は石井祥平選手が逃げ切り

女子95kmには来年復活する女子競輪を目指して日々訓練中の、日本競輪学校の生徒たち13名も参加し、中村由香里選手と三宅悠里選手が1-2フィニッシュを決めた。中村選手は競輪学校入学前には小学校の教員として働いていたが、小さいころから憧れていたプロスポーツ選手になる夢をかなえるべく、競輪学校に入学したという。
レース後には生徒全員がステージに上がり、一人ひとりが女子競輪への熱い想いを語ってくれた。彼女たちのプロ選手デビューは来年7月。是非とも近くの競輪場に出かけて、彼女たちのレースを応援しよう。

日本競輪学校の女子選手たち。“ぜひ競輪場に足を運んでください”と女子競輪をPR日本競輪学校の女子選手たち。“ぜひ競輪場に足を運んでください”と女子競輪をPR 高校生の優勝は石井祥平選手(後列中央)高校生の優勝は石井祥平選手(後列中央)

新東名を走る選手たち新東名を走る選手たち メイン会場前を通過する選手たちメイン会場前を通過する選手たち


男子高校生のレースでは、石井祥平選手が逃げ切りで優勝。2位は坂本悟史選手。二人とも神奈川県の高校2年生。40kmから二人で集団を抜け出し、残り7kmで石井選手がアタックを決めた。2人は普段から競い合うライバル、彼らの戦いは来年も続きそうだ。


ママチャリも走ったエンデューロ

エンデューロはメイン会場付近に設定された5.8kmの周回路にて、3時間と5時間のレースが行われた。大会初日に行われたママチャリ3時間のレースにはパフォーマンス賞が設けられており、さまざまな工夫を凝らした仮装ライダーが力走した。

二日目に行われた5時間のレースには、女性だけの自転車軍団 チームエレファントが参戦。レース初参加のメンバーもおり、「今回は安全に楽しく走りたい」と語っていた彼女たちだったが、見事に女子チームの部で1位を獲得した。

マトリックスの選手たちの先導でママチャリ耐久レースがスタートマトリックスの選手たちの先導でママチャリ耐久レースがスタート 折り返しを通過するママチャリ軍団折り返しを通過するママチャリ軍団


ステージで大会を盛り上げたチームエレファント。自転車ツーキニスト疋田智さんと対談ステージで大会を盛り上げたチームエレファント。自転車ツーキニスト疋田智さんと対談 チーム初の優勝を飾ったチームエレファント。2位のteam makimaruと一緒に記念撮影チーム初の優勝を飾ったチームエレファント。2位のteam makimaruと一緒に記念撮影


レースだけでなく、ステージイベントや表彰式のプレゼンターも務めてくれたチームエレファント、今後も様々なイベントに積極的に活動していく予定のとのこと。みんなで応援しよう。


富士山を見ながらの大サイクリング大会。フーターズガールも初挑戦

大会2日目には35kmから109kmまでのサイクリングが行われ、6,000人ものサイクリストが、真新しい高速道路と、富士山や駿河湾の景色を楽しんだ。富士山には雲がかかることなく、まるでその美しい姿でサイクリストたちを応援してくれているかのよう。

サイクリングを楽しむ参加者たちサイクリングを楽しむ参加者たち 女性サイクリストも多数参加した女性サイクリストも多数参加した


いざ出発。奥には東名高速、沼津市街地、そして駿河湾が広がるいざ出発。奥には東名高速、沼津市街地、そして駿河湾が広がる 続々とゴールするサイクリストたち続々とゴールするサイクリストたち


このサイクリングには“フーターズガール”が、ロードレーサー初体験で参加した。フーターズガールとは、アメリカの人気チェーンレストラン「HOOTERS」で働くウェイトレスのこと。日本では赤坂見附に店舗を構える。今回は4名のフーターズガールが89kmのサイクリングを走った。ロードレーサーは初体験の彼女たちだが、前日にインターマックス代表の今中大介さんの指導を受け、全員が無事に完走。「下りが気持ちよかった、もっともっとスピード出してみたい」、「景色もきれいで写真もいっぱい撮れた」と、ロードレーサーの魅力を十分に堪能したようだ。

今中氏がフーターズガールのライディングフォームをチェック今中氏がフーターズガールのライディングフォームをチェック 会場を盛り上げたフーターズのチアチーム会場を盛り上げたフーターズのチアチーム


ステージではチアチームのパフォーマンスも行われ、大会を盛り上げてくれた。フーターズガールに会いたくなった方は、ぜひ赤坂見附のお店へ足をお運びください。


復興支援 福島県泉崎村の小中学生も招待参加

この大会では東日本大震災復興支援活動も行われ、会場内には被災地の写真パネル展示や募金活動が行われた。また、さまざまなサイクルイベントに取り組む「サイクルメッカ伊豆推進協議会」が、福島県泉崎村の小中学生33名を招待。伊豆市の子供たちとシマノレーシング野寺監督、平塚選手とともに、35kmのサイクリングを楽しんだ。

サイクリングを終えた参加者の皆さんからは、「競技用の自転車は初めてでちょっと怖かったけれど、慣れたら楽しく走れた」、「全員で無事にゴールできて良かった」、さらには「福島は地震、津波、放射能、風評被害に苦しんでいるけれど、私たちは困難に立ち向かう心を持っています。復興への道のりを歩んでいきます」との力強い言葉に、会場からは大きな拍手が寄せられた。

ロードレーサー初体験でやや緊張気味の泉崎村からの参加者の皆さん。平塚選手がサポートロードレーサー初体験でやや緊張気味の泉崎村からの参加者の皆さん。平塚選手がサポート 泉崎村からの参加者に応援メッセージを送るシマノレーシング野寺監督泉崎村からの参加者に応援メッセージを送るシマノレーシング野寺監督


開通前の高速道路で開催されたこの大会は、一生に一度しか味わえない貴重な体験として、参加者全員にとって一生の思い出となりそうだ。今後も同様のイベントが開催されることを期待したい。


text&photo:Haruo.FUKUSHIMA

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