2011/12/12(月) - 15:06
「サイクリストをライフスタイルの面から応援したい」というブルックス。『英国の伝統』を、今ならではの自転車文化に似合う製品として表現するブルックスの、新作を含む製品群を、ブランド・ディレクター/クリスティー・ブルディグさんに紹介してもらおう。
■ 変わらぬデザインで、修理もできる、捨てずに済む製品だけを
2012年のブルックスは、色という表現を取り入れました。伝統的な形をしているサドルにも、グリーン、ブルー、レッドといった、 ポップでモダンな色を付けたのです。ほとんどの色は植物性の染料を使って染めており、環境にも大幅に配慮しているつもりです。たとえばこのグリップも、端のパーツを外して、革のテーブを巻き直せば、また新しいものとして使えます。
環境に配慮、といえば面白い話があります。 ある日、アウトドアウェアブランド、パタゴニアのディレクターと話をしていたの。パタゴニアは環境保全に対して、前向きにいろんな試みを行っている企業でしょう。私たちブルックスも、彼らのような環境への取り組みをする必要があると思うんです、とそのディレクターに言ったら、彼はこう言うんです。
「ブルックスは、これ以上一体なにをする必要があるの?」
つまり、それこそB17サドルのように100年経っても変わらない、修理も可能で、捨てる必要のない製品を販売している企業なんだから、それだけでかまわないじゃないですか、ということなんです。
ブルックスは、毎年製品をアップデートして、それを、昨年の製品より必要な製品であるかのように販売することはありません。一つの製品を長く販売し、長く使ってもらう。そのために最初から製品としての品質を求め、そしてエレガントで時代に左右されにくいデザインを施しているのです。
■ 英国トラッドなライディング用ジャケット『クライテリオン』
この『クライテリオン』ジャケットも、そういった製品の一つです。コットン100%の「ベンタイル」の生地を使った、撥水性と通気性を兼ね備えた、自転車用のジャケットです。
このベンタイル生地というのは、軍用のジャケットにも使われるほど高機能で耐久性の高いものなので、そのために高級な生地でもあるのですが、見た目と機能のバランスを共に高いレベルで保つことができました。内側のライニングには、ツイード生地を使い、エレガントさと保温性を兼ね備えています。
細かな点で言えば、後ろには大きなポケットが付き、リフレクターも装備。袖口にはジッパーが着いており、中に自転車の鍵を付けられるキーホルダーが収納されています。また、暑くなったらジャケットを脱いで、肩に掛けてバッグのように持ち歩けるよう、肩ひもが付いています。もちろん、メイド・イン・ロンドンです。
■ 100年前のアイディアを、今使えるものとして具現化したバッグ
また、革のバッグ類は、ブルックスがこれまでも得意としてきた製品です。レザーバッグであり、リュックサックにもなる『イートン』は、実はブルックスが1910年に特許を取っていたアイディアスケッチをもとに、新たにデザインされたもの。ブリーフケースとリュックの2つに使えるというアイディアは、当時は斬新なものでした。そして今なら、ロンドンのパブリックスクールの生徒が使っているバッグと同じような形、となりますかね。
そして同じく、1900年台初頭のデザインとアイディアを作り直したサドルバッグもあります。中のケースと外側のケースとがスライドして外れるようになっており、外側のケースをサドルに付けたまま中身を取り出せる『D-シェイプ』、そして中身がばたつかないようストラップを調整できる『チャレンジ』。これらバッグ類も、ブルックスの歴史の中にあり、そして今の時代でも問題なく使えるという、ブルックスならではの製品です。
■ サドルの形をした、美しい女性用ハンドバッグ『ビクトリア』
では逆に、今ならでは生み出せた、最新形のブルックスをご紹介しましょう。それがサドル型ハンドバッグ『ビクトリア』です。このバッグは、もともと、ブルックスのデザイナーのひとことから始まりました。
「ブルックスで、サドルカバーを作ってみたらどうかなー。あの、街中に氾濫している美しくないサドルを、そのサドルカバーで全部隠してしまうの。」
という突拍子もないアイディアと共に始まったこのプロジェクトでしたが、箱を開けてみれば、結局ハンドバックにした方がいいという結果になりました。そこでできたのが、これらバッグです。自転車に乗っていない時でも、「私は自転車が好きなんです」と主張できるもの。彼女や奥様へのクリスマスプレゼントとして、最適ですよ。ホントに。
■ 機能を優先して考えたパニアバッグは、ブルックスの次なるステップ
防水素材を使った新作パニアバッグが、この『ランズ・エンド』リアパニアです。バッグ上部の開口部は、壊れにくく防水効果の高い、巻き込み式のロールトップになっており、サイドに付いたバックル留めでバックル部を留めます。容量は23リットル。
また、キャリアへの装着部は、私たちが最も使いやすいと考えているリキセンカウル社CLICK FIXのアタッチメントを使用し、どんなキャリアにもスムーズに装着しやすいようにできています。ロゴはリフレクターとなっています。とにかく軽く、スタイリッシュな防水パニアバッグを作りたいと思いました。
このパニアバッグは、ブルックス製品の中でも次のステップに進むための一歩だと思っています。伝統的な製品を再び世に送り出すだけではなく、新技術を使った、ブルックスらしさを失わっていない製品。これが新たなブルックスとしてのあり方ですし、このバッグが、ユーロバイクで高く評価されたこと自体が、私たちの大きな自信にもなっています。
このように、ブルックスは、その持ち味である『英国の伝統』を崩さず、さらに進化させるべく、さまざまな製品を造りだしています。自転車と共に過ごす生活を、楽しんでもらうために。
ユーロバイクでの、ブルックスのブースの模様。2分前後に、パニアバッグのユーロバイクでの受賞模様が。
interview:中村パンダソニック Pandasonic Nakamura
■ 変わらぬデザインで、修理もできる、捨てずに済む製品だけを
2012年のブルックスは、色という表現を取り入れました。伝統的な形をしているサドルにも、グリーン、ブルー、レッドといった、 ポップでモダンな色を付けたのです。ほとんどの色は植物性の染料を使って染めており、環境にも大幅に配慮しているつもりです。たとえばこのグリップも、端のパーツを外して、革のテーブを巻き直せば、また新しいものとして使えます。
環境に配慮、といえば面白い話があります。 ある日、アウトドアウェアブランド、パタゴニアのディレクターと話をしていたの。パタゴニアは環境保全に対して、前向きにいろんな試みを行っている企業でしょう。私たちブルックスも、彼らのような環境への取り組みをする必要があると思うんです、とそのディレクターに言ったら、彼はこう言うんです。
「ブルックスは、これ以上一体なにをする必要があるの?」
つまり、それこそB17サドルのように100年経っても変わらない、修理も可能で、捨てる必要のない製品を販売している企業なんだから、それだけでかまわないじゃないですか、ということなんです。
ブルックスは、毎年製品をアップデートして、それを、昨年の製品より必要な製品であるかのように販売することはありません。一つの製品を長く販売し、長く使ってもらう。そのために最初から製品としての品質を求め、そしてエレガントで時代に左右されにくいデザインを施しているのです。
■ 英国トラッドなライディング用ジャケット『クライテリオン』
この『クライテリオン』ジャケットも、そういった製品の一つです。コットン100%の「ベンタイル」の生地を使った、撥水性と通気性を兼ね備えた、自転車用のジャケットです。
このベンタイル生地というのは、軍用のジャケットにも使われるほど高機能で耐久性の高いものなので、そのために高級な生地でもあるのですが、見た目と機能のバランスを共に高いレベルで保つことができました。内側のライニングには、ツイード生地を使い、エレガントさと保温性を兼ね備えています。
細かな点で言えば、後ろには大きなポケットが付き、リフレクターも装備。袖口にはジッパーが着いており、中に自転車の鍵を付けられるキーホルダーが収納されています。また、暑くなったらジャケットを脱いで、肩に掛けてバッグのように持ち歩けるよう、肩ひもが付いています。もちろん、メイド・イン・ロンドンです。
■ 100年前のアイディアを、今使えるものとして具現化したバッグ
また、革のバッグ類は、ブルックスがこれまでも得意としてきた製品です。レザーバッグであり、リュックサックにもなる『イートン』は、実はブルックスが1910年に特許を取っていたアイディアスケッチをもとに、新たにデザインされたもの。ブリーフケースとリュックの2つに使えるというアイディアは、当時は斬新なものでした。そして今なら、ロンドンのパブリックスクールの生徒が使っているバッグと同じような形、となりますかね。
そして同じく、1900年台初頭のデザインとアイディアを作り直したサドルバッグもあります。中のケースと外側のケースとがスライドして外れるようになっており、外側のケースをサドルに付けたまま中身を取り出せる『D-シェイプ』、そして中身がばたつかないようストラップを調整できる『チャレンジ』。これらバッグ類も、ブルックスの歴史の中にあり、そして今の時代でも問題なく使えるという、ブルックスならではの製品です。
■ サドルの形をした、美しい女性用ハンドバッグ『ビクトリア』
では逆に、今ならでは生み出せた、最新形のブルックスをご紹介しましょう。それがサドル型ハンドバッグ『ビクトリア』です。このバッグは、もともと、ブルックスのデザイナーのひとことから始まりました。
「ブルックスで、サドルカバーを作ってみたらどうかなー。あの、街中に氾濫している美しくないサドルを、そのサドルカバーで全部隠してしまうの。」
という突拍子もないアイディアと共に始まったこのプロジェクトでしたが、箱を開けてみれば、結局ハンドバックにした方がいいという結果になりました。そこでできたのが、これらバッグです。自転車に乗っていない時でも、「私は自転車が好きなんです」と主張できるもの。彼女や奥様へのクリスマスプレゼントとして、最適ですよ。ホントに。
■ 機能を優先して考えたパニアバッグは、ブルックスの次なるステップ
防水素材を使った新作パニアバッグが、この『ランズ・エンド』リアパニアです。バッグ上部の開口部は、壊れにくく防水効果の高い、巻き込み式のロールトップになっており、サイドに付いたバックル留めでバックル部を留めます。容量は23リットル。
また、キャリアへの装着部は、私たちが最も使いやすいと考えているリキセンカウル社CLICK FIXのアタッチメントを使用し、どんなキャリアにもスムーズに装着しやすいようにできています。ロゴはリフレクターとなっています。とにかく軽く、スタイリッシュな防水パニアバッグを作りたいと思いました。
このパニアバッグは、ブルックス製品の中でも次のステップに進むための一歩だと思っています。伝統的な製品を再び世に送り出すだけではなく、新技術を使った、ブルックスらしさを失わっていない製品。これが新たなブルックスとしてのあり方ですし、このバッグが、ユーロバイクで高く評価されたこと自体が、私たちの大きな自信にもなっています。
このように、ブルックスは、その持ち味である『英国の伝統』を崩さず、さらに進化させるべく、さまざまな製品を造りだしています。自転車と共に過ごす生活を、楽しんでもらうために。
ユーロバイクでの、ブルックスのブースの模様。2分前後に、パニアバッグのユーロバイクでの受賞模様が。
interview:中村パンダソニック Pandasonic Nakamura