8月27・28日に開催された日本最大、いや世界最大規模のロードレースイベント「シマノ鈴鹿ロード」。28年目を迎える夏の祭典は、全国から1万人を越えるサイクリストが集結する夏のビッグイベントだ。2日間の模様を写真たっぷりでお伝えする。

広々としたスズカF1サーキットを走るのがシマノスズカの醍醐味広々としたスズカF1サーキットを走るのがシマノスズカの醍醐味 (c)Makoto.AYANO

日本一のチームTT大会と、1600人が走った2時間エンデューロ 

初日は少し薄曇り。夏日の厳しい過酷なコンディションが続いた例年よりも、ずっと過ごしやすいなかで2日間の祭典はスタートした。
シマノ鈴鹿のチームタイムトライアルは、間違いなく日本最大、いや世界最大のチームTTイベントだ。合計410チームという参加チーム数! こんなイベントはおそらく世界にも類を見ないだろう。
スズカのチームTTは、3~4名でチームを編成し、3番目の選手がゴールした時間を競う。メンバーの走力、体力が均一であることが重要。本格的な機材のチームもあれば、ユニークなコスチュームのチームもあり、「魅せる競技」としても人気が高い。

ウェアやバイクを仲間で揃えて、力を合わせて走るこの種目。本来非常に苦しい競技だが、ホビーレーサーにとっては仲間と走る機会はめったにあるものではない。走りきれば仲間の絆はいっそう強くなることだろう!

今年のトピックは、女性チームのための「レディースクラス」が登場したこと。女性サイクリストの増加を受けてのことだという。

ジェレミー・ロワとFDJチームは3人で走ったジェレミー・ロワとFDJチームは3人で走った (c)Makoto.AYANOホストチームの意地を見せたシマノレーシングがトップタイムホストチームの意地を見せたシマノレーシングがトップタイム (c)Makoto.AYANO

また、チームTT・Bには国内招待チームのシマノレーシング、ブリヂストンアンカー、宇都宮ブリッツェンなどが走るが、なんとツール・ド・フランスに出場したジェレミー・ロワを擁するFDJなどの海外招待チームも出場。本場の走りを披露した。幸運にもコース上で一緒に走ったホビーレーサーによれば「抜かれたけど、信じられないぐらいキレイな走りだった!」と言う。

チームTT1位のチームブリヂストン・アンカーチームTT1位のチームブリヂストン・アンカー (c)Makoto.AYANOチームTT・Aは チームセカンドウインド鹿児島が優勝チームTT・Aは チームセカンドウインド鹿児島が優勝 (c)Makoto.AYANO

未登録者によるチームTT・Aはチームセカンドウインド鹿児島(一丸 忠生 フリーマントル 松永 慎太郎 笹木 哲雄)が優勝。
チームTT・Bのトップタイムはホストチームの意地を見せたシマノレーシング(青柳 憲輝 畑中 勇介 村上 純平 西薗 良太)だが、オープン扱いのため着外。1位はチームブリヂストンアンカー(狩野 智也 普久原 奨 井上 和郎 清水 良行)が獲得。ジェレミー・ロワのFDJは3人でノーマルバイクで走り、3位だった。
レディースTTはバルバクラブ(田中 千晴 二口 早紀 長屋 桃子 堀内 美八子)が優勝した。

昨年密着レポートした鶴見 辰吾さん率いるLEGONはチームTT・Aに出場。意気込んで走ったが、走行中にメンバーのうちのひとりのタイヤが外れるトラブルで落車し、リタイアとなってしまった。このために関東から鈴鹿に来て、傷心のうちに即帰ることになったとのこと。お大事に!

1600人が出場の2時間エンデューロ

1600人が参加した2時間エンデューロ1600人が参加した2時間エンデューロ (c)Makoto.AYANO

初日の最終プログラムとして登場する、およそ1600チームが出場するという2時間エンデューロもマンモスイベントに違いない。先頭がスタートしてから最後尾の選手がスタートラインを切るまで10分ほどかかると言われ、時間が経つとコース上は走る人がまったく途切れない状態となる。

エンデューロの隊列はいつまでたっても途切れないエンデューロの隊列はいつまでたっても途切れない (c)Makoto.AYANO先頭集団はロードレースのような激しい戦い先頭集団はロードレースのような激しい戦い (c)Makoto.AYANO

ソロで出場の選手、人数別クラスやフラットバークラス、レディースクラスで楽しむチームなど、様々。
夕方になるに連れ、天候が回復したこの日。じょじょに真夏日の日差しが強く、厳しいコンディションに。しかし仲間を応援しながら走るチームの元気な声がスズカサーキットにこだました。

選手交代ピットの人の波選手交代ピットの人の波 (c)Makoto.AYANOチームメイトの姿を探すチームメイトの姿を探す (c)Makoto.AYANO

チップ受け渡しで選手交代。がんばれ~チップ受け渡しで選手交代。がんばれ~ (c)Makoto.AYANOフラットバーに乗る女性でも気軽に走れますフラットバーに乗る女性でも気軽に走れます (c)Makoto.AYANO

好天、スズカらしい夏日になった2日目

2日目は朝から日差しが照りつけ、夏日になった。早朝から年齢別クラスのマスターズ40+、50+、60+と順にスタート。続いてビギナー、ユース、インターミディエイト、オープン、そしてフラットバーなど、年齢と脚力に応じた独自のクラス分けでレースが進行していく。レースとレースの感覚は分刻み。一人が複数種目にエントリーしながら楽しむスタイルで、多くの種目が次々にこなされていく。そして、勢いのあるゴールスプリント勝負が続く。

ガッツポーズが決まった!ガッツポーズが決まった! (c)Makoto.AYANO堂々としたガッツポーズ しかし後方では落車が...堂々としたガッツポーズ しかし後方では落車が... (c)Makoto.AYANO

シマノスズカはスプリンターの晴れ舞台

スズカロードの勝負どころはなんといっても緩い登り坂になっているホームストレートのゴーススプリントだ。勇敢な選手による逃げもときどき決まりもするが、キツイ登りがないため、たいていの勝負はゴールスプリントで決まる。ギャラリーの多いスズカは、スプリンターにとって華のあるレースだ。勝利のシーンはクラスの数だけあるが、いくつかを写真でご紹介。

この天を仰ぐ勝利のポーズが意味するものは?この天を仰ぐ勝利のポーズが意味するものは? (c)Makoto.AYANO子供のゴールシーンも本格的だ子供のゴールシーンも本格的だ (c)Makoto.AYANO


「最速のパティシエ」が復活

かつてスズカロードで数々のスプリント勝利を収めた巴健至(ともえ・たけよし)さん(ロゼコローレ)が2004年以来7年ぶりにスズカに帰ってきた。陸前高田で2009年よりフランス菓子の店「ロゼコローレ」を開店。閉店後再渡仏してパリのレストランで活躍。年間最優秀パティスリー獲得、バゲットやクロワッサンのコンクール優勝などを受賞し、2009年から東京・Boulangerie パリの空の下でシェフをつとめる巴さん。昨年骨折して以来の復帰中とあり勝利は難しかったが、マスターズ5位。スズカ最速のスプリンターが再び帰ってきた。そして、巴さんがコーチをつとめるチーム員の金井由美さんがビギナーWBで優勝。

スズカに帰ってきた巴健至さん(ロゼコローレ)スズカに帰ってきた巴健至さん(ロゼコローレ) (c)Makoto.AYANOビギナーWBで優勝した金井由美さん(ロゼコローレ)ビギナーWBで優勝した金井由美さん(ロゼコローレ) (c)Makoto.AYANO

バルバ旋風吹き荒れる

当時巴さんと争った福井のチッポッリーニこと寺崎嘉彦さんは、今年もバルバワークスのメンバーを大挙引き連れて参戦。
息子さんの寺崎浩平さんがオープンIIA2組で優勝したのに加え、バルバは優勝のオンパレード。オープンI・A 2組で山下 裕さんが、 オープンW・AとBの連覇の田中 千晴さん、チームTTレディース、2時間エンデューロ・オープンで寺崎嘉彦・浩親子が、マスターズ30+ 1組で馬場 智さんが、マスターズ30+ 2組で黒田 篤さんが優勝など、おそらくチームの勝利数はナンバーワン。バルバ旋風が吹き荒れた。

優勝に次ぐ優勝。まさにバルバ旋風が吹き荒れた優勝に次ぐ優勝。まさにバルバ旋風が吹き荒れた (c)Makoto.AYANOオープンIIA2組で優勝した寺崎浩平さん(バルバワークス)オープンIIA2組で優勝した寺崎浩平さん(バルバワークス) (c)Makoto.AYANO

本格的なステージレース気分が味わえる「5ステージ・スズカ」

ロードレースの醍醐味であるチーム戦による競技が5ステージ・スズカだ。2日間で個人タイムトライアルとロードレースの5ステージを行い、ステージ優勝と共に総合成績を争う。総合トップは青いリーダージャージを着用し、それを巡る熾烈な争いが繰り広げられる。5ステージの合計距離は106.6kmに及ぶ。
年々レースのレベルが上がり、今年はイナーメアイランド信濃山形とCSヤマダ、シルベスト、 竹芝-KIDS-Cなどが激戦を繰り広げた。
チーム総合では イナーメアイランド信濃山形が優勝。個人総合ではポール・ソールズベリー、橋本 健、増田 輝之、高橋 誠選手ら、イナーメアイランド信濃山形勢が上位を占める結果になった。

素晴らしいチームワークを見せたイナーメアイランド信濃山形素晴らしいチームワークを見せたイナーメアイランド信濃山形 (c)Makoto.AYANOファイブステージスズカでひときわ目立つ青いリーダージャージファイブステージスズカでひときわ目立つ青いリーダージャージ (c)Makoto.AYANO

もうひとつのメインイベント ユース、バンビーノ、ミルキー

子供たち向けのレースが充実しているのもシマノスズカならではだ。ユース、バンビーノに加え、メインイベントの国際ロードの後に行われる未就学幼児によるミルキーは、小学校入学前の子供たちによるレース。ホームストレート上の平坦なコースを使って行われる「自転車版のかけっこ」は、お母さんが押す乳母車に乗った赤ちゃんや三輪車の子供まで、愛くるしい姿がサーキットをヨチヨチ走る!ゴールしたら、全員に参加賞のお菓子の詰め合わせがプレゼントされる。

子供たちが本格的なのもシマノスズカの特徴だ子供たちが本格的なのもシマノスズカの特徴だ (c)Makoto.AYANO力いっぱい走る!力いっぱい走る! (c)Makoto.AYANO

スーパーマリオが走る!?スーパーマリオが走る!? (c)Makoto.AYANO三輪車や足蹴り自転車で走る三輪車や足蹴り自転車で走る (c)Makoto.AYANO


シマノイベントホームページ、フォトギャラリーも御覧ください!

シマノ鈴鹿ロードの2日間の様子をここだけでお伝えし切るのはとてもじゃないが無理。しかしシマノ側でもシマノ鈴鹿ロードレースレポートサイト(シマノイベントホームページ)で2日間の様子をあらゆる角度からみっちりレポートしている。
シクロワイアード取材班が撮影したほとんどすべての写真はフォトギャラリー(picasa)で御覧ください。

引き続きサブイベントとブース巡りでみつけたトピックをお届けします。お楽しみに。

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