2011/03/20(日) - 22:11
3月19日と20日、東北関東大震災の被災者へのチャリティーを目的としたRAPHA RIDES for TOHOKUが、荒川・飯能・宝塚・名古屋の国内4箇所で開催された。ここで紹介する荒川では約300人のサイクリストが集まった。
の荒川、秋ヶ瀬運動公園の羽倉橋駐車場には300人のサイクリストが集まった
「RAPHA RIDES for TOHOKU」は、東北地方を中心に甚大な被害をもたらした東北関東大震災(東北地方太平洋沖地震)の発生を受け、イギリス・ロンドン発のバイシクルウェアブランドRapha(ラファ)が後援するかたちで開催されたチャリティーライドだ。
3月16日にネット上で呼びかけが始まり、震災から8日目の19日・土曜日には荒川サイクリングロードと名古屋、そしてポートランド(カナダ)、ニューヨーク、オースティン、ロサンゼルス(アメリカ合衆国)と、世界各国で開催された。ここでは19日の荒川の様子をお伝えしよう。
挨拶する矢野大介さん(ラファ・ジャパン)
募金する参加者たち
19日の荒川、秋ヶ瀬運動公園の羽倉橋駐車場には300人のサイクリストが集まった。ここには最初の発起人であるラファ・ジャパンの矢野大介さんも駆けつけた。
ラファが用意するのは黒地にラファのイメージカラーであるピンクがあしらわれた喪章。「RAPHA RIDES for TOHOKU」のデザインのこの喪章は、スタッフたちが短い時間で急遽作成して間に合わせた。参加者たちは一口1000円以上の参加費を募金としてスタッフに渡し、この喪章を受け取ってジャージの胸や腕につけて走る。集められた金額と同額がラファから拠出され、併せて日本赤十字社に募金される。つまり、参加者の募金額の倍額がチャリティに回されるということ。海外のようにキーになる賛同サイクルショップなどが主催する場合、そのショップからも同額が拠出される場合があるため、参加者の募金額の最大3倍の金額がチャリティーされることになるという。
参加者が身につけたラファオリジナルの喪章
黙祷を行う参加者たち
ラファジャパンの代表矢野大介さんは震災のあとすぐにアイデアをイギリスの本社に伝え、それがすぐに各国に回され、各国での開催に発展したという。その動きの素早さは驚きだ。また、シクロワイアードでもお伝えしたが、ネット上での告知はすぐさまtwitterなどで伝播し、わずか数日で荒川ライドに300人という人数が駆けつけた。ラファのブランド力の大きさもあったと言えるだろう。
矢野さんは言う「たくさんの方が亡くなられて、今も苦しんでいます。僕らが今できることということで、今日ここに集まってもらいました。(被災地に)遠ければ遠いほどつらいこともあります。その状況で僕らができることは、自転車に乗って、人が集まって、話しあって、スピリットを上げるということがすごく大切だと思います。自転車というのはすごく強力なソーシャルだと思っています。話し合いながら、語り合いながら乗ったりできます。今日はリラックスして、マインドをオープンにして走ってほしい。いずれ震災の報道は少なくなっていきます。長く被災者と被災地のことを思う想像力を保つこと、支援の心を忘れないことが大切だと思います」。
1分間の黙祷を捧げ、走りだす。数人づつのグループに任意で分かれて、20kmほど先の折り返し点のホンダエアポートを目指して走りだす。基本的には走り出したその時点で解散扱いだ。
菜の花咲くサイクリングロードを行く
参加者たちは決して暗い面持ちでなく、楽しげに走った。もちろん震災は話題の中心だが、なによりここに集まれたこと、仲間と一緒に自転車で走れる喜びを噛み締めながら、走った。4月中旬なみの好天のもと、精神を解放させた。
ここからは自分のこととして書くと、震災以来、テレビの報道に釘付けで、外に出ることもできなかった。自転車に乗ることも、それ自体が後ろめたいことに感じて、そんな気にさえならなかったからだ。「サイクリングなんてもってのほか」という気分。そんな自分と同じように、楽しむことを自粛する空気と、震災の重苦しいテレビ報道に、多くの人が気を病んでいる状態だったことはおそらく確かなことだ。ここに来た人は被災こそしてはいないが、心は決して無傷ではいられなかった。
荒川サイクリングロードはいい天気!
仲間と走れば気持ちも晴れていく
走りだしてすぐ気がついた。「ああ、自転車に乗ることってこんなに気持ちがいいことだったんだ」。そして、仲間がいることの安堵感。それらを裏返せば、今それがままならない被災者たちのことが、少し理解できるような気がする。
「皆がこうして集まれる機会を待っていたんだと思う」ある参加者が言った言葉だ。その通りだと思う。チャリティーも、すでにネットや街頭募金で済ませている人も多かったが、こうして自転車の集まりで募金できることは嬉しい気がするのだ。
時を同じくして走ったサイクリングコミュニケーションの皆さんとも出会った。皆、サイクリストとして何かしたいと思っている。思いは同じだ。
笑顔で休憩中の参加者たち
時を同じくして走ったサイクリングコミュニケーションの皆さん
未曽有の震災を前に、善意のチャリティーも気休めでしかないかもしれない。しかし、大好きな自転車のつながりを活かして、自分たちができることをしていこうという皆の思いを再確認できた一日だった。おかげでずいぶんと気分が軽くなり、元気が出てきたのは私だけじゃないはずだ。
参加者のTim Smithさんが撮影・編集したビデオを紹介したい。
Rapha Ride for Tohoku - March 19, 2011 Tokyo ムービー
movie by Tim Smith
フォトギャラリー2(Google Picasaウェブアルバム)
https://picasaweb.google.com/cyclowired/RaphaRideForTOHOKU#
フォトギャラリー3 飯能(flicker ウェブアルバム)
http://www.flickr.com/photos/yufta0210/sets/72157626306649672/
フォトギャラリー4 関西(flicker ウェブアルバム)
http://www.flickr.com/photos/57156509@N03/sets/72157626179581551/
photo&text Makoto.AYANO
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「RAPHA RIDES for TOHOKU」は、東北地方を中心に甚大な被害をもたらした東北関東大震災(東北地方太平洋沖地震)の発生を受け、イギリス・ロンドン発のバイシクルウェアブランドRapha(ラファ)が後援するかたちで開催されたチャリティーライドだ。
3月16日にネット上で呼びかけが始まり、震災から8日目の19日・土曜日には荒川サイクリングロードと名古屋、そしてポートランド(カナダ)、ニューヨーク、オースティン、ロサンゼルス(アメリカ合衆国)と、世界各国で開催された。ここでは19日の荒川の様子をお伝えしよう。
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19日の荒川、秋ヶ瀬運動公園の羽倉橋駐車場には300人のサイクリストが集まった。ここには最初の発起人であるラファ・ジャパンの矢野大介さんも駆けつけた。
ラファが用意するのは黒地にラファのイメージカラーであるピンクがあしらわれた喪章。「RAPHA RIDES for TOHOKU」のデザインのこの喪章は、スタッフたちが短い時間で急遽作成して間に合わせた。参加者たちは一口1000円以上の参加費を募金としてスタッフに渡し、この喪章を受け取ってジャージの胸や腕につけて走る。集められた金額と同額がラファから拠出され、併せて日本赤十字社に募金される。つまり、参加者の募金額の倍額がチャリティに回されるということ。海外のようにキーになる賛同サイクルショップなどが主催する場合、そのショップからも同額が拠出される場合があるため、参加者の募金額の最大3倍の金額がチャリティーされることになるという。
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ラファジャパンの代表矢野大介さんは震災のあとすぐにアイデアをイギリスの本社に伝え、それがすぐに各国に回され、各国での開催に発展したという。その動きの素早さは驚きだ。また、シクロワイアードでもお伝えしたが、ネット上での告知はすぐさまtwitterなどで伝播し、わずか数日で荒川ライドに300人という人数が駆けつけた。ラファのブランド力の大きさもあったと言えるだろう。
矢野さんは言う「たくさんの方が亡くなられて、今も苦しんでいます。僕らが今できることということで、今日ここに集まってもらいました。(被災地に)遠ければ遠いほどつらいこともあります。その状況で僕らができることは、自転車に乗って、人が集まって、話しあって、スピリットを上げるということがすごく大切だと思います。自転車というのはすごく強力なソーシャルだと思っています。話し合いながら、語り合いながら乗ったりできます。今日はリラックスして、マインドをオープンにして走ってほしい。いずれ震災の報道は少なくなっていきます。長く被災者と被災地のことを思う想像力を保つこと、支援の心を忘れないことが大切だと思います」。
1分間の黙祷を捧げ、走りだす。数人づつのグループに任意で分かれて、20kmほど先の折り返し点のホンダエアポートを目指して走りだす。基本的には走り出したその時点で解散扱いだ。
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参加者たちは決して暗い面持ちでなく、楽しげに走った。もちろん震災は話題の中心だが、なによりここに集まれたこと、仲間と一緒に自転車で走れる喜びを噛み締めながら、走った。4月中旬なみの好天のもと、精神を解放させた。
ここからは自分のこととして書くと、震災以来、テレビの報道に釘付けで、外に出ることもできなかった。自転車に乗ることも、それ自体が後ろめたいことに感じて、そんな気にさえならなかったからだ。「サイクリングなんてもってのほか」という気分。そんな自分と同じように、楽しむことを自粛する空気と、震災の重苦しいテレビ報道に、多くの人が気を病んでいる状態だったことはおそらく確かなことだ。ここに来た人は被災こそしてはいないが、心は決して無傷ではいられなかった。
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走りだしてすぐ気がついた。「ああ、自転車に乗ることってこんなに気持ちがいいことだったんだ」。そして、仲間がいることの安堵感。それらを裏返せば、今それがままならない被災者たちのことが、少し理解できるような気がする。
「皆がこうして集まれる機会を待っていたんだと思う」ある参加者が言った言葉だ。その通りだと思う。チャリティーも、すでにネットや街頭募金で済ませている人も多かったが、こうして自転車の集まりで募金できることは嬉しい気がするのだ。
時を同じくして走ったサイクリングコミュニケーションの皆さんとも出会った。皆、サイクリストとして何かしたいと思っている。思いは同じだ。
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未曽有の震災を前に、善意のチャリティーも気休めでしかないかもしれない。しかし、大好きな自転車のつながりを活かして、自分たちができることをしていこうという皆の思いを再確認できた一日だった。おかげでずいぶんと気分が軽くなり、元気が出てきたのは私だけじゃないはずだ。
参加者のTim Smithさんが撮影・編集したビデオを紹介したい。
Rapha Ride for Tohoku - March 19, 2011 Tokyo ムービー
movie by Tim Smith
フォトギャラリー2(Google Picasaウェブアルバム)
https://picasaweb.google.com/cyclowired/RaphaRideForTOHOKU#
フォトギャラリー3 飯能(flicker ウェブアルバム)
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フォトギャラリー4 関西(flicker ウェブアルバム)
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photo&text Makoto.AYANO
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