2021/11/11(木) - 15:09
日本有数のハッカ生産地である北見を巡る「ミントライド」。ハッカの栽培からハッカ油の生産現場、そしてハッカを活用した様々なグルメやアイテムを発見できる、大人の課外学習のような1日のレポートがサイクルライフナビゲーターの絹代さんから届きました。
かつて日本はミントの一大産地であり、北海道北見地方が、世界の70%ものミントを生産し、輸出していたことをご存知だろうか。近年、特に「チョコミント」として、スイーツやアイスに、さらには入浴剤やコスメ、アロマスプレーにと、ミントの人気が高まっている。さらにコロナ禍でマスクを着けることが必須となって以来、清涼感のあるミントが注目されるようになった。そこで、この北見市で「ミント」をテーマとし、グルメやスポットをめぐるサイクリングをしてみようと思い立った。
ミントは日本語でハッカ(薄荷)と呼ばれる。ミントとハッカは実は同じものなのだが、ペパーミント、スペアミントなどが代表する洋ハッカに加え、日本で栽培されてきた和ハッカと、さまざまな種類のミントが存在している。同時にミントは東洋医学でも西洋のアロマテラピーでも、効果が認められており、炎症を抑えたり消化を促進したりするとともに、イライラを収め、集中力を高めるなど、メンタルへの効果があると言われている。ストレスが高まった現在の環境には、救世主ともなりうる存在。マスクスプレーをはじめ、全国いたるところでミント(ハッカ)製品が販売されるまでになっている。
今回のサイクリングには、ハッカ(この記事内では、あえて「ハッカ」と呼ぶことにする)の魅力を満喫し、おいしく味わい、北見ならではの環境で走行の爽快感を味わえる行程を盛り込んだ。
今年、ピーチアビエーションの女満別―関西線が就航し、関西エリアからのアクセスとコストが劇的に改善された。そこで、管理栄養士の河南こころさんと、大規模な自転車イベントの事務局を担当していた福田里美さんのおふたりを大阪から招き、一緒に走ってみてもらうことになった。
女満別空港から直通バスの出ている、「北見バスターミナル」に9月に完成したサイクルステーションでレンタサイクルを借り、いざ、スタート!まず目指すのは、「ハッカ蒸留館」だ。ミニ蒸留器の実演もあり、ハッカの蒸留の仕組みを知り、ハッカ製品のショッピングも楽しめる人気の施設。館内は、いつも清涼なハッカの香りでいっぱいだ。
ここでは、コスメの製作などが体験できる。この日は、2人がアロマスプレー作りに挑戦した。スタッフの女性が工程を丁寧に教えてくれる。注意深く材料を混ぜていく2人。ほどなく、オリジナルアロマスプレーが完成した。
「このスプレーをベースに、好きなエッセンシャルオイルを加えていただいても楽しめますよ」と講師の女性。「小分けにして、ラベンダーやシトラスを入れてみようかな」「マスクスプレーにも使いたい!」と、2人は目を輝かせていた。
続いては、朝のおやつタイムだ。平昌五輪でカーリングチーム「ロコ・ソラーレ」が、もぐもぐタイムで「赤いサイロ」を食べ、一躍有名になった「清月」に向かう。だが、今回目指すのは別のお菓子。ハッカが効いた「薄荷葡萄サンド」だ。
涼しげな色味のパッケージを開け、ぱくりと口にした2人は、いっせいに「おいしい!!」と思わず声を上げた。一見普通のレーズンバターサンドなのだが、ここにハッカやホワイトチョコレートが加わることで、清涼感が加わり、レーズンの旨味が引き出され、味わい深い絶品スイーツになっているのだ。「なんやこれ、止められない!」ペロリと一瞬で完食。北見にしかない味に満足したようだ。一行は他にも気になるお菓子を数点お買い上げ。
ここからは地中化したJR石北線の上に作られた緑地スペースを抜けていく。今年は紅葉が早く、まだ10月に入ったばかりだというのに、葉がかなり色づいていた。落ち葉を踏みしめ進む。想像していなかった秋の風景をも楽しめ、得をした気分だ。
<10_DSC_0503 株式会社北見ハッカ通商本社に到着!白く気高く、まるで宮殿のよう>
次に訪問するのは、「北見ハッカ通商株式会社」の本社だ。ペパーミントグリーンを基調とし、赤く「ハッカ油」と描かれたパッケージを見たことのない人は、今や稀だろう。百貨店などで扱われる日本で最も有名なハッカ製品を扱う会社なのだが、意外や意外、長い歴史を持つ会社ではないのだ。合成ハッカが台頭し、輸入自由化が導入され、北見のハッカ生産が衰退し、ハッカ工場が閉鎖された後に「ハッカの灯を消してはいけない」と設立された会社なのだという。だからこそ、いろいろな試みに挑戦ができるのだと合点がいった。
本社には白を基調とした美しいショールームが設営されている。扉を開けると、ハッカのすっきりとした香りに出迎えられる。胸の奥まで空気を吸い込みたくなる!宮殿のような天井の高い真っ白なホールに足を踏み入れ、一同、ワクワクが止まらない。
中にはハッカの歴史や、薄荷工場のミニチュアなどが展示され、ガラス越しに製品の瓶詰めなどの工程も見学することができる(ライン稼働は平日のみ)。
ガラスケースに入った白い氷柱のような物体が気になって眺めていると、業務推進室長の井家さんが来て「ハッカの結晶です」と教えてくれた。和ハッカやペパーミントからは、ハッカオイルの他、ℓ-メントールという清涼感の元になる物質が精製できるそうだ。「結晶缶」で油を抜き、このℓ-メントールを結晶化するらしい。メントール、確かにさまざまな製品の成分で見たことのある物質だ。
「2年前の缶ですが、まだ香りがするんですよ」と言われ、鼻を近づけ、くんくんと嗅いでみる。マスクの上からでもしっかりとわかる強いハッカの香りが漂っていた。
井家さんは、さらにいくつかの小瓶を持ってきてくれた。「これ、『どこかなつかしい香り』って皆さんがおっしゃるんです。」さっそく香りを確認してみる。どこかマイルドで、甘みを連想させる、なじみ深いハッカの香りがする。「昔からある板ガム?」「歯磨き粉?」口々に意見を語る。これはお菓子や歯磨き粉にもよく使われている「スペアミント」とのこと。
井家さんがさらに2つの小瓶を持ってきてくれた。皆、専門家みたいに神妙な顔で香りを嗅いでみる。どちらも間違いなく「ハッカ」の清涼感があるのだが、穏やかで、心和むような、やさしい種類の香り。
この2つは和ハッカだった。一つ目は「JM」という種類。メントール成分は多いけれど、鋭くスッとするような風味はないのだとか。
もう一つは、「ほくと」。北見で作られた品種で、清涼な香りが特徴なのだそうだ。ハッカと聞いて連想する香り(合成ハッカなのかもしれない)よりは、マイルドであるように思う。
これまで和ハッカなるものの存在も考えたこともなかったし、香りがこれほどまでに異なるとは驚きだった。がぜん「ハッカ」に興味が湧いてきた一同。
売店エリアには、ミントタブレット、キャンディーなどなど、魅力的な商品が多々並んでいる。カーリングチーム「ロコ・ステラ」の松澤弥子選手も在籍するなど、北見ハッカ通商はカーリングをバックアップしており、カーリングのストーンをかたどった商品も人気。
ここのハッカ油はアロマや虫除けなどの他、食用にも使えるので、私はホットココアに入れるのが好きなのだが、このブランドにはチョコミントキャンディーなど、「やみつき」になる商品が多い。一同好きなものを買い、満足感に包まれながら、この清涼なスペースを後にしたのだった。
ここからは国道39号に出て、ランチの店舗を目指す。国道とはいえ、クルマが自転車との間隔をしっかり保ってくれるため、走行に不安はない。
ほどなく、カフェレストラン「花薄荷」に到着した。時間短縮のため、テイクアウトのランチボックスをすでに注文済み。
テラスに陣取り、ランチボックスを受け取った。今回は、サポートメンバーを含め、パスタ、ハーブパンのホットドッグ、ハーブパンのホットサンドをセレクト。皆、空腹だったこともあり、いっせいに箱を開けてランチにありついた。「おいしい!」「いい香り!」声が上がる。ここはハーブを使ったメニューを提供する人気店で、パスタにもしっかりとハーブが効いていたそうだ。
私がオーダーしたホットドッグは、パンに練りこまれたハーブが、ジューシーなソーセージをさっぱりとさせてくれ、絶妙なマッチングだった。みんな一気に食べ終え、ホッと一息。自然の景観が楽しめるテラスで、満足できるランチだった。
デザートまで楽しみたいところだが、本日の食後のお茶は、とっておきの場所で楽しむ予定。遅れ気味な進行を取り戻すべく、お礼を言って、早々に店を後にした。
国道から田園風景を貫く道へと入り、青々とした畑と、葉の色を変えつつある木々とが織りなす美しい景観の間を抜けていく。ほんのりと汗ばむ、ゆるやかな上り坂だ。
最後は砂利道区間。丘の上を目指すこともあり、自転車に乗る気力はなく、自転車を押して上がる。見晴らしの利くエリアに差し掛かり、細い林道を抜けると、木々の間に立つ品の良いログハウスが見えてきた。
この建物が「香遊生活」だ。北海道で、80種類ものハーブを無農薬で自社栽培し、手摘みを行い、こだわりの製品を作っている。
カフェスペースは、現時点ではフード提供は休止中で、ドリンクに限定した予約対応という形で営業をしているそうだ。カフェスペースは木で組まれ、温かみのある居心地のよい空間になっている。これまでの疲れもあり、テーブルにゆったりと座り、ハーブティーを注文した。
ふたりはそれぞれ、ペパーミントやローズマリー、フェンネルを配合した「香貴」と、オホーツク カモミールにレモンバームやレモングラスを配合した「RESET」をオーダー。
私はペパーミントとクマザサの「蝦夷季語の花<秋>」を選んだ。ほどなく運ばれてきたガラスのポットからは、ここまでの緊張をときほぐしてくれるような、やさしいハーブの香りが立ち上っていた。
汗をかきながらたどり着いたはずなのに、温かいハーブティーが心地よく、じんわりと身体にしみていく。「あれ、実は冷えてたんかな。からだがふわっと温められるみたい。」里美さんが声を上げた。
「とてもパワーのあるハーブなので、お湯をつぎ足しても1リットルくらいは飲めるんですよ」と香遊生活代表の舟山さんが教えてくれた。
300mlあまりのポットだけで立ち去るのが惜しい。時間の経過とともに、ポットの中のハーブティーが濃くなっていく。そんな変化も魅力的で、いつまでもこの心地よい場所に留まり、ティータイムを楽しんでいたいという思いに駆られた一同だった。
名残惜しく屋外に出ると、紅葉した木々や、かなたに広がる景観と相まって、最高の空間が広がっているではないか。「1時間くらいはいないと、もったいないな」誰かがポツリと語った。雪に覆われた冬の景色も美しいだろうな。
サイクリングに復帰。ここからは本日のメインイベント、「仁頃ハッカ公園」でのハッカ蒸留の見学に向かう。道の左右には広大な田園風景が広がっている。開放感満点で、最高に爽快!交通量も少なく、スポーツバイクに慣れていないビギナーでも、安心して走ることができる。
さわやかな汗をかいて「仁頃ハッカ公園」に到着。この南端の「北見田園空間情報センター」奥に、ハッカ蒸留小屋があるそうだ。自転車を置いて、施設裏に回ると、インパクトの強い、不思議な香りに包まれた。パンチのあるハッカの香りに加え、香ばしいような、なんともいえない心ひかれる香りが漂っている。小屋に近づくにつれ、香りはどんどん強くなる。
小屋の中には、木製の樽のような装置が蒸気を上げて稼働していた。少々ラピュタ感が漂う光景に、一同は吸い込まれるように向かっていった。興味のカタマリみたいになっていると、ここにも井家さんが来てくれていて、裏手から手招きしてくれた。「ここでハッカの蒸留をやっているんです。」この樽が本物の蒸留釜なのだ!
9月にお向かいの畑で収穫したハッカを天日で乾かし、それを釜の中に入れ、蒸留するそうだ。我々の到着が遅れ、見られなかったのだが、コンテナ数個分のハッカを三人がかりで踏んで入れ、蒸留を行うのだとか(写真参照)。
私たちがたどり着いた時点では、釜からハッカ油を含んだ水分を排出しているところだった。この液体を放置すると、比重の軽いオイルが上に溜まる。この上の部分を抽出するのだ。
この独特の香りは、熱を帯びた蒸留機全体が放つもので、熱された釜の木製の枠などの香りも含まれるのかもしれない。ダイレクトに五感に訴えてくるハッカ蒸留の光景に、皆、心をわしづかみされてしまった。
「蒸留したあとのハッカの葉や茎も栄養価が高く、飼料に人気があるんですよ」と井家さん。ハッカを食べて育った牛のミルクはどんな味になるのだろうか。想像を膨らませる。
ずっと見ていたくなる未知の世界だったが、まだまだ先の行程が待っている。お礼を言ってハッカ蒸留小屋を後にした。
ここからはわずかに上り、そのあとは気持ちの良い下りが待っている。美しい景観を抜け、おやつを目指そう。目指すは、地元の人気店「菓子工房Shiga」だ。イートイン可能なカフェスペースがあり、サイクリストにはおなじみの立ち寄りどころだ。
ショーケースに並ぶ美しいスイーツを眺める。王道のケーキか?いや、クリームをその場で入れてくれるシュークリームか?いや、季節限定のソフトクリームか?悩む一同。なにもかもが魅力的すぎる。
悶絶の末、季節のフルーツがあしらわれたタルトやティラミス、プリンをセレクト。コーヒーや北海道のミルクとともに味わったのだった。果実は驚くほどフレッシュで、だが、クリームとよく合い、サクサクのタルトやプリンとも絶妙のコンビネーションを果たしている。しっかりと味わう至福の時間。美しいスイーツを眺め「もっと胃と時間に余裕があれば..」と女子たちは嘆くのだった。いや、そんなにたくさん食べている時間もない。
ワッフルなど、お土産も買い込み、店を後にする。続いて目指すのは、バス停だ!
北見バスの取り組みで、土日祝日に限り、郊外線の路線バスに自転車をそのまま積み込むことができるようになった(2台まで。3台目からは輪行袋が必要)。今回は7kmほどのショートカットではあるが、自転車を乗せてみようということになったのだ。
バスが着き、自転車とともに乗り込む。固定用のバンドを運転手さんから受け取り、自転車を車椅子スペースに固定する。この日はバスが混み合っており、様子を見に来てくれた北見バスのスタッフの方が手際良く固定してくれた。
バスがそのまま乗せられている車内はとても不思議な感じ。今回は短いショートカットだが、脚力のない方は、このコースなら中間地点に当たる仁頃からバスを使っても良いし、走り方の選択肢も増えるだろう。
ほどなく北見バスターミナルに到着し、自転車をおろして、再スタート。まだまだ食べる、いや、走るのだ!
ここからライドは南部に向かう。川を渡り、若松エリアへ。紅葉がすでにかなり進んでおり、秋の美しい景観を楽しみながら走ることができた。
到着したのは「北見市自然休養村センター」。冬はスキーロッジとして活用されるが、夏は、スポーツの合宿やファミリーなどに宿泊利用されている。レストランはランチ営業しており、しっかり煮込んだカレーなどが人気。だが今日は、イモを使わず、玉ねぎで作られたコロッケ 「たまコロ」を揚げてもらう約束なのだ(通常要事前予約)。
ほどなく、揚げたての小ぶりのコロッケが入ったカップが出てきた。皆でひとつずつ頬張る。サクサクの衣に、中は甘みいっぱいのフィリングが詰まっている。「おいしい」「甘い!」「これ、玉ねぎなの?」産地でしか作れないメニューに感動する一同。このために、どれだけの量の玉ねぎを刻んで、どれだけの時間炒めるのだろう?想像しただけでクラクラする。北見に来たら、食べる価値のある一品だ。
美しい自然の中に立つ休養村を出る。目の前には「きたみファミリーランド」という遊園地があり、遊具に乗るつもりだったのだが、夏時間が終わっていて、閉園時間に間に合わなかった。残念すぎる。入園料無料で、乗り物1つから楽しめる。自然景観も豊かで、園内を散策するだけでも、おとなも童心に帰って楽しめる価値ある場所だ。
こころさんはここでライドをフィニッシュ。サポートカーに乗り、ここからは里美さんと来た道を戻ることになった。復路は下り基調。スイスイと気持ちよく進み、美しい景観の中、あっという間に北見の街に戻ってきた。
最後の立ち寄りポイントは「オホーツクビアファクトリー」。もちろん、ビールで乾杯するためではない。ここには、北見だからこそ作れる貴重なデザートが食べられるのだ。
ここでしか飲めない「エールろ過前」などのビールもあり、ビール好きにはたまらない場所だが、本日の目的は、あくまでもデザートだ。
ここでは、北見産和種ハッカを使った「ダブルチョコミントアイスパフェ」が提供されている。天然ハッカ、しかも和ハッカを使って作った、いわば「ホンモノ」のチョコミントアイスとは、どんなものなのだろう?
クラシカルな器に入ったパフェが運ばれてきた。これが和ハッカアイスか!思わず、見入る。強い香りではないが、甘くも清涼な、気持ちのよい香りが漂っている。まずはほんのりとミントグリーンに色付けられたアイスにスプーンを入れる。なんと味わい深い!
アイス自体が上質なのだが、そこに上品でしっとりとしたハッカの風味が加わっており、飲み込むのが惜しくなるほど、うまい。これまで自分が食べてきたチョコミントアイスは「スーッとするアイス」として納得していて、味の質は求めていなかったことに初めて気がついた。通常のミントアイスは、合成ハッカで風味づけられているはず。ミントアイスをこんなに美味なるデザートに昇華することができるなんて。
驚くべきことに、チョコアイスだと思い込んでいたブラウン色のアイスにも、ハッカが入っていた。このハッカが効いたチョコアイスも、負けず劣らず、うまい。「だからダブルチョコミントやったんや!」里美さんが声をあげた。さらに「このクリームが、もちもちなんです。なんやろ?」アイスに添えられた生クリームも食感と味が異なるというのだ。
確かに、一般的なパフェとは、一線を画する食感と味わい。ウェイターさんに質問すると、シェフに確認を取ってくれた。待つことしばし。戻ってきたウェイターさんは、申し訳なさそうに「ごく普通の生クリームだそうです。」このクオリティーでごく普通と言ってのけるなんて。北見、恐るべし。
ほどよい疲労と、満足感に包まれながら、ゴールを目指す。サイクルステーションまでは900m程度。あっという間にたどりついた。10月上旬の日没は17時。ぎりぎりセーフというところか。
最後に、北見サイクルステーションで北見ハッカの苗が贈られ、この日のライドは終了。朝から慌ただしく、いろいろな場所をめぐり、発見も多い濃厚な時間だった。「楽しかった!」「たくさん食べた!」「疲れたー!」と笑顔のお二人。達成感のある疲労とともに、笑顔で1日を振り返っていた。
今年は10月になったのだが、例年北見でハッカの収穫や蒸留が行われるのは9月下旬だという。興味のある方は、ぜひ来年9月に足を運んでいただけたらと思う。
北見のハッカをめぐる旅は、ここでしか食べられないグルメあり、体験あり、と、濃厚だった。季節を問わず、今後の定番になりそうだ。
text&photo:Kinuyo
photo:北見市 株式会社北見ハッカ通商
かつて日本はミントの一大産地であり、北海道北見地方が、世界の70%ものミントを生産し、輸出していたことをご存知だろうか。近年、特に「チョコミント」として、スイーツやアイスに、さらには入浴剤やコスメ、アロマスプレーにと、ミントの人気が高まっている。さらにコロナ禍でマスクを着けることが必須となって以来、清涼感のあるミントが注目されるようになった。そこで、この北見市で「ミント」をテーマとし、グルメやスポットをめぐるサイクリングをしてみようと思い立った。
ミントは日本語でハッカ(薄荷)と呼ばれる。ミントとハッカは実は同じものなのだが、ペパーミント、スペアミントなどが代表する洋ハッカに加え、日本で栽培されてきた和ハッカと、さまざまな種類のミントが存在している。同時にミントは東洋医学でも西洋のアロマテラピーでも、効果が認められており、炎症を抑えたり消化を促進したりするとともに、イライラを収め、集中力を高めるなど、メンタルへの効果があると言われている。ストレスが高まった現在の環境には、救世主ともなりうる存在。マスクスプレーをはじめ、全国いたるところでミント(ハッカ)製品が販売されるまでになっている。
今回のサイクリングには、ハッカ(この記事内では、あえて「ハッカ」と呼ぶことにする)の魅力を満喫し、おいしく味わい、北見ならではの環境で走行の爽快感を味わえる行程を盛り込んだ。
今年、ピーチアビエーションの女満別―関西線が就航し、関西エリアからのアクセスとコストが劇的に改善された。そこで、管理栄養士の河南こころさんと、大規模な自転車イベントの事務局を担当していた福田里美さんのおふたりを大阪から招き、一緒に走ってみてもらうことになった。
女満別空港から直通バスの出ている、「北見バスターミナル」に9月に完成したサイクルステーションでレンタサイクルを借り、いざ、スタート!まず目指すのは、「ハッカ蒸留館」だ。ミニ蒸留器の実演もあり、ハッカの蒸留の仕組みを知り、ハッカ製品のショッピングも楽しめる人気の施設。館内は、いつも清涼なハッカの香りでいっぱいだ。
ここでは、コスメの製作などが体験できる。この日は、2人がアロマスプレー作りに挑戦した。スタッフの女性が工程を丁寧に教えてくれる。注意深く材料を混ぜていく2人。ほどなく、オリジナルアロマスプレーが完成した。
「このスプレーをベースに、好きなエッセンシャルオイルを加えていただいても楽しめますよ」と講師の女性。「小分けにして、ラベンダーやシトラスを入れてみようかな」「マスクスプレーにも使いたい!」と、2人は目を輝かせていた。
続いては、朝のおやつタイムだ。平昌五輪でカーリングチーム「ロコ・ソラーレ」が、もぐもぐタイムで「赤いサイロ」を食べ、一躍有名になった「清月」に向かう。だが、今回目指すのは別のお菓子。ハッカが効いた「薄荷葡萄サンド」だ。
涼しげな色味のパッケージを開け、ぱくりと口にした2人は、いっせいに「おいしい!!」と思わず声を上げた。一見普通のレーズンバターサンドなのだが、ここにハッカやホワイトチョコレートが加わることで、清涼感が加わり、レーズンの旨味が引き出され、味わい深い絶品スイーツになっているのだ。「なんやこれ、止められない!」ペロリと一瞬で完食。北見にしかない味に満足したようだ。一行は他にも気になるお菓子を数点お買い上げ。
ここからは地中化したJR石北線の上に作られた緑地スペースを抜けていく。今年は紅葉が早く、まだ10月に入ったばかりだというのに、葉がかなり色づいていた。落ち葉を踏みしめ進む。想像していなかった秋の風景をも楽しめ、得をした気分だ。
<10_DSC_0503 株式会社北見ハッカ通商本社に到着!白く気高く、まるで宮殿のよう>
次に訪問するのは、「北見ハッカ通商株式会社」の本社だ。ペパーミントグリーンを基調とし、赤く「ハッカ油」と描かれたパッケージを見たことのない人は、今や稀だろう。百貨店などで扱われる日本で最も有名なハッカ製品を扱う会社なのだが、意外や意外、長い歴史を持つ会社ではないのだ。合成ハッカが台頭し、輸入自由化が導入され、北見のハッカ生産が衰退し、ハッカ工場が閉鎖された後に「ハッカの灯を消してはいけない」と設立された会社なのだという。だからこそ、いろいろな試みに挑戦ができるのだと合点がいった。
本社には白を基調とした美しいショールームが設営されている。扉を開けると、ハッカのすっきりとした香りに出迎えられる。胸の奥まで空気を吸い込みたくなる!宮殿のような天井の高い真っ白なホールに足を踏み入れ、一同、ワクワクが止まらない。
中にはハッカの歴史や、薄荷工場のミニチュアなどが展示され、ガラス越しに製品の瓶詰めなどの工程も見学することができる(ライン稼働は平日のみ)。
ガラスケースに入った白い氷柱のような物体が気になって眺めていると、業務推進室長の井家さんが来て「ハッカの結晶です」と教えてくれた。和ハッカやペパーミントからは、ハッカオイルの他、ℓ-メントールという清涼感の元になる物質が精製できるそうだ。「結晶缶」で油を抜き、このℓ-メントールを結晶化するらしい。メントール、確かにさまざまな製品の成分で見たことのある物質だ。
「2年前の缶ですが、まだ香りがするんですよ」と言われ、鼻を近づけ、くんくんと嗅いでみる。マスクの上からでもしっかりとわかる強いハッカの香りが漂っていた。
井家さんは、さらにいくつかの小瓶を持ってきてくれた。「これ、『どこかなつかしい香り』って皆さんがおっしゃるんです。」さっそく香りを確認してみる。どこかマイルドで、甘みを連想させる、なじみ深いハッカの香りがする。「昔からある板ガム?」「歯磨き粉?」口々に意見を語る。これはお菓子や歯磨き粉にもよく使われている「スペアミント」とのこと。
井家さんがさらに2つの小瓶を持ってきてくれた。皆、専門家みたいに神妙な顔で香りを嗅いでみる。どちらも間違いなく「ハッカ」の清涼感があるのだが、穏やかで、心和むような、やさしい種類の香り。
この2つは和ハッカだった。一つ目は「JM」という種類。メントール成分は多いけれど、鋭くスッとするような風味はないのだとか。
もう一つは、「ほくと」。北見で作られた品種で、清涼な香りが特徴なのだそうだ。ハッカと聞いて連想する香り(合成ハッカなのかもしれない)よりは、マイルドであるように思う。
これまで和ハッカなるものの存在も考えたこともなかったし、香りがこれほどまでに異なるとは驚きだった。がぜん「ハッカ」に興味が湧いてきた一同。
売店エリアには、ミントタブレット、キャンディーなどなど、魅力的な商品が多々並んでいる。カーリングチーム「ロコ・ステラ」の松澤弥子選手も在籍するなど、北見ハッカ通商はカーリングをバックアップしており、カーリングのストーンをかたどった商品も人気。
ここのハッカ油はアロマや虫除けなどの他、食用にも使えるので、私はホットココアに入れるのが好きなのだが、このブランドにはチョコミントキャンディーなど、「やみつき」になる商品が多い。一同好きなものを買い、満足感に包まれながら、この清涼なスペースを後にしたのだった。
ここからは国道39号に出て、ランチの店舗を目指す。国道とはいえ、クルマが自転車との間隔をしっかり保ってくれるため、走行に不安はない。
ほどなく、カフェレストラン「花薄荷」に到着した。時間短縮のため、テイクアウトのランチボックスをすでに注文済み。
テラスに陣取り、ランチボックスを受け取った。今回は、サポートメンバーを含め、パスタ、ハーブパンのホットドッグ、ハーブパンのホットサンドをセレクト。皆、空腹だったこともあり、いっせいに箱を開けてランチにありついた。「おいしい!」「いい香り!」声が上がる。ここはハーブを使ったメニューを提供する人気店で、パスタにもしっかりとハーブが効いていたそうだ。
私がオーダーしたホットドッグは、パンに練りこまれたハーブが、ジューシーなソーセージをさっぱりとさせてくれ、絶妙なマッチングだった。みんな一気に食べ終え、ホッと一息。自然の景観が楽しめるテラスで、満足できるランチだった。
デザートまで楽しみたいところだが、本日の食後のお茶は、とっておきの場所で楽しむ予定。遅れ気味な進行を取り戻すべく、お礼を言って、早々に店を後にした。
国道から田園風景を貫く道へと入り、青々とした畑と、葉の色を変えつつある木々とが織りなす美しい景観の間を抜けていく。ほんのりと汗ばむ、ゆるやかな上り坂だ。
最後は砂利道区間。丘の上を目指すこともあり、自転車に乗る気力はなく、自転車を押して上がる。見晴らしの利くエリアに差し掛かり、細い林道を抜けると、木々の間に立つ品の良いログハウスが見えてきた。
この建物が「香遊生活」だ。北海道で、80種類ものハーブを無農薬で自社栽培し、手摘みを行い、こだわりの製品を作っている。
カフェスペースは、現時点ではフード提供は休止中で、ドリンクに限定した予約対応という形で営業をしているそうだ。カフェスペースは木で組まれ、温かみのある居心地のよい空間になっている。これまでの疲れもあり、テーブルにゆったりと座り、ハーブティーを注文した。
ふたりはそれぞれ、ペパーミントやローズマリー、フェンネルを配合した「香貴」と、オホーツク カモミールにレモンバームやレモングラスを配合した「RESET」をオーダー。
私はペパーミントとクマザサの「蝦夷季語の花<秋>」を選んだ。ほどなく運ばれてきたガラスのポットからは、ここまでの緊張をときほぐしてくれるような、やさしいハーブの香りが立ち上っていた。
汗をかきながらたどり着いたはずなのに、温かいハーブティーが心地よく、じんわりと身体にしみていく。「あれ、実は冷えてたんかな。からだがふわっと温められるみたい。」里美さんが声を上げた。
「とてもパワーのあるハーブなので、お湯をつぎ足しても1リットルくらいは飲めるんですよ」と香遊生活代表の舟山さんが教えてくれた。
300mlあまりのポットだけで立ち去るのが惜しい。時間の経過とともに、ポットの中のハーブティーが濃くなっていく。そんな変化も魅力的で、いつまでもこの心地よい場所に留まり、ティータイムを楽しんでいたいという思いに駆られた一同だった。
名残惜しく屋外に出ると、紅葉した木々や、かなたに広がる景観と相まって、最高の空間が広がっているではないか。「1時間くらいはいないと、もったいないな」誰かがポツリと語った。雪に覆われた冬の景色も美しいだろうな。
サイクリングに復帰。ここからは本日のメインイベント、「仁頃ハッカ公園」でのハッカ蒸留の見学に向かう。道の左右には広大な田園風景が広がっている。開放感満点で、最高に爽快!交通量も少なく、スポーツバイクに慣れていないビギナーでも、安心して走ることができる。
さわやかな汗をかいて「仁頃ハッカ公園」に到着。この南端の「北見田園空間情報センター」奥に、ハッカ蒸留小屋があるそうだ。自転車を置いて、施設裏に回ると、インパクトの強い、不思議な香りに包まれた。パンチのあるハッカの香りに加え、香ばしいような、なんともいえない心ひかれる香りが漂っている。小屋に近づくにつれ、香りはどんどん強くなる。
小屋の中には、木製の樽のような装置が蒸気を上げて稼働していた。少々ラピュタ感が漂う光景に、一同は吸い込まれるように向かっていった。興味のカタマリみたいになっていると、ここにも井家さんが来てくれていて、裏手から手招きしてくれた。「ここでハッカの蒸留をやっているんです。」この樽が本物の蒸留釜なのだ!
9月にお向かいの畑で収穫したハッカを天日で乾かし、それを釜の中に入れ、蒸留するそうだ。我々の到着が遅れ、見られなかったのだが、コンテナ数個分のハッカを三人がかりで踏んで入れ、蒸留を行うのだとか(写真参照)。
私たちがたどり着いた時点では、釜からハッカ油を含んだ水分を排出しているところだった。この液体を放置すると、比重の軽いオイルが上に溜まる。この上の部分を抽出するのだ。
この独特の香りは、熱を帯びた蒸留機全体が放つもので、熱された釜の木製の枠などの香りも含まれるのかもしれない。ダイレクトに五感に訴えてくるハッカ蒸留の光景に、皆、心をわしづかみされてしまった。
「蒸留したあとのハッカの葉や茎も栄養価が高く、飼料に人気があるんですよ」と井家さん。ハッカを食べて育った牛のミルクはどんな味になるのだろうか。想像を膨らませる。
ずっと見ていたくなる未知の世界だったが、まだまだ先の行程が待っている。お礼を言ってハッカ蒸留小屋を後にした。
ここからはわずかに上り、そのあとは気持ちの良い下りが待っている。美しい景観を抜け、おやつを目指そう。目指すは、地元の人気店「菓子工房Shiga」だ。イートイン可能なカフェスペースがあり、サイクリストにはおなじみの立ち寄りどころだ。
ショーケースに並ぶ美しいスイーツを眺める。王道のケーキか?いや、クリームをその場で入れてくれるシュークリームか?いや、季節限定のソフトクリームか?悩む一同。なにもかもが魅力的すぎる。
悶絶の末、季節のフルーツがあしらわれたタルトやティラミス、プリンをセレクト。コーヒーや北海道のミルクとともに味わったのだった。果実は驚くほどフレッシュで、だが、クリームとよく合い、サクサクのタルトやプリンとも絶妙のコンビネーションを果たしている。しっかりと味わう至福の時間。美しいスイーツを眺め「もっと胃と時間に余裕があれば..」と女子たちは嘆くのだった。いや、そんなにたくさん食べている時間もない。
ワッフルなど、お土産も買い込み、店を後にする。続いて目指すのは、バス停だ!
北見バスの取り組みで、土日祝日に限り、郊外線の路線バスに自転車をそのまま積み込むことができるようになった(2台まで。3台目からは輪行袋が必要)。今回は7kmほどのショートカットではあるが、自転車を乗せてみようということになったのだ。
バスが着き、自転車とともに乗り込む。固定用のバンドを運転手さんから受け取り、自転車を車椅子スペースに固定する。この日はバスが混み合っており、様子を見に来てくれた北見バスのスタッフの方が手際良く固定してくれた。
バスがそのまま乗せられている車内はとても不思議な感じ。今回は短いショートカットだが、脚力のない方は、このコースなら中間地点に当たる仁頃からバスを使っても良いし、走り方の選択肢も増えるだろう。
ほどなく北見バスターミナルに到着し、自転車をおろして、再スタート。まだまだ食べる、いや、走るのだ!
ここからライドは南部に向かう。川を渡り、若松エリアへ。紅葉がすでにかなり進んでおり、秋の美しい景観を楽しみながら走ることができた。
到着したのは「北見市自然休養村センター」。冬はスキーロッジとして活用されるが、夏は、スポーツの合宿やファミリーなどに宿泊利用されている。レストランはランチ営業しており、しっかり煮込んだカレーなどが人気。だが今日は、イモを使わず、玉ねぎで作られたコロッケ 「たまコロ」を揚げてもらう約束なのだ(通常要事前予約)。
ほどなく、揚げたての小ぶりのコロッケが入ったカップが出てきた。皆でひとつずつ頬張る。サクサクの衣に、中は甘みいっぱいのフィリングが詰まっている。「おいしい」「甘い!」「これ、玉ねぎなの?」産地でしか作れないメニューに感動する一同。このために、どれだけの量の玉ねぎを刻んで、どれだけの時間炒めるのだろう?想像しただけでクラクラする。北見に来たら、食べる価値のある一品だ。
美しい自然の中に立つ休養村を出る。目の前には「きたみファミリーランド」という遊園地があり、遊具に乗るつもりだったのだが、夏時間が終わっていて、閉園時間に間に合わなかった。残念すぎる。入園料無料で、乗り物1つから楽しめる。自然景観も豊かで、園内を散策するだけでも、おとなも童心に帰って楽しめる価値ある場所だ。
こころさんはここでライドをフィニッシュ。サポートカーに乗り、ここからは里美さんと来た道を戻ることになった。復路は下り基調。スイスイと気持ちよく進み、美しい景観の中、あっという間に北見の街に戻ってきた。
最後の立ち寄りポイントは「オホーツクビアファクトリー」。もちろん、ビールで乾杯するためではない。ここには、北見だからこそ作れる貴重なデザートが食べられるのだ。
ここでしか飲めない「エールろ過前」などのビールもあり、ビール好きにはたまらない場所だが、本日の目的は、あくまでもデザートだ。
ここでは、北見産和種ハッカを使った「ダブルチョコミントアイスパフェ」が提供されている。天然ハッカ、しかも和ハッカを使って作った、いわば「ホンモノ」のチョコミントアイスとは、どんなものなのだろう?
クラシカルな器に入ったパフェが運ばれてきた。これが和ハッカアイスか!思わず、見入る。強い香りではないが、甘くも清涼な、気持ちのよい香りが漂っている。まずはほんのりとミントグリーンに色付けられたアイスにスプーンを入れる。なんと味わい深い!
アイス自体が上質なのだが、そこに上品でしっとりとしたハッカの風味が加わっており、飲み込むのが惜しくなるほど、うまい。これまで自分が食べてきたチョコミントアイスは「スーッとするアイス」として納得していて、味の質は求めていなかったことに初めて気がついた。通常のミントアイスは、合成ハッカで風味づけられているはず。ミントアイスをこんなに美味なるデザートに昇華することができるなんて。
驚くべきことに、チョコアイスだと思い込んでいたブラウン色のアイスにも、ハッカが入っていた。このハッカが効いたチョコアイスも、負けず劣らず、うまい。「だからダブルチョコミントやったんや!」里美さんが声をあげた。さらに「このクリームが、もちもちなんです。なんやろ?」アイスに添えられた生クリームも食感と味が異なるというのだ。
確かに、一般的なパフェとは、一線を画する食感と味わい。ウェイターさんに質問すると、シェフに確認を取ってくれた。待つことしばし。戻ってきたウェイターさんは、申し訳なさそうに「ごく普通の生クリームだそうです。」このクオリティーでごく普通と言ってのけるなんて。北見、恐るべし。
ほどよい疲労と、満足感に包まれながら、ゴールを目指す。サイクルステーションまでは900m程度。あっという間にたどりついた。10月上旬の日没は17時。ぎりぎりセーフというところか。
最後に、北見サイクルステーションで北見ハッカの苗が贈られ、この日のライドは終了。朝から慌ただしく、いろいろな場所をめぐり、発見も多い濃厚な時間だった。「楽しかった!」「たくさん食べた!」「疲れたー!」と笑顔のお二人。達成感のある疲労とともに、笑顔で1日を振り返っていた。
今年は10月になったのだが、例年北見でハッカの収穫や蒸留が行われるのは9月下旬だという。興味のある方は、ぜひ来年9月に足を運んでいただけたらと思う。
北見のハッカをめぐる旅は、ここでしか食べられないグルメあり、体験あり、と、濃厚だった。季節を問わず、今後の定番になりそうだ。
text&photo:Kinuyo
photo:北見市 株式会社北見ハッカ通商
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