2018/10/23(火) - 12:10
自転車と鉄道、二つを愛する「テツ店長」ことバイクプラス多摩センターの河井孝介さんの輪行サイクリング紀行。北近畿の鉄道遺構を巡るライドの後編をお届けします。(前編はこちらから)
みなさんこんにちは!早いもので、2018年もはや半分が過ぎ去りましたが、夏も18きっぷ片手に忙しく動いていたテツ店長です(笑)ということで、今回は北近畿廃線サイクリングの後編です!
初日は天候に恵まれず、サイクリングの予定は午前中のみで打ち切りとなってしまいましたが、おかげでゆっくりと休養して翌日に備えることができました。そして2日目の朝、睡眠十分で起床すると、すっかり天気は回復しているではないですか!雨の去った後に爽やかなな日光が射しこむ晴天で、これで今日は素晴らしい一日になることが約束されたも同然です(笑)
張り切って準備を済ませ外に出てみると、風もなく澄み切ったキリリとした空気で一気に目が覚めます。まずは朝食を摂りにひとっ走りということで、まずは目の前にある"天橋立"に向けてペダリングを始めましたが……。
走り出すとすぐに"天橋立"が視界に入って来ました!穏やかな水面に映し出される荘厳な風景を目の当たりにして、「これはムリしてでも遠征してきた甲斐があったわい」などと、すでに目的を達したような気分に浸ってしまいそうでしたが、まだサイクリングは始まったばかりなので、ここは気を引き締めて先に進んでゆくことにしましょう。
その天橋立ですが、内部?は遊歩道になっていて、砂利道ではありますが自転車で通り抜けることも出来ます。まあ走ってみると両側の松並木で景色が楽しめないのは悪しからずですが、それでも日本三景ですから一度は走っておきたいですよね(笑)
天橋立を渡り終えたら、そろそろ朝食にしたいところなので、ここは事前に調べておいた朝から開いている"つるや食堂"さんにお邪魔しました。
春休み時期とはいえ、平日の朝なので他にお客さんはおらず、暖房の効いた店内でひとりノビノビとしていると、まもなく注文した料理が出てきました!地場産のアオリイカ、アカモク、バイ貝が乗った"丹後お宝丼"は期間限定メニューということで、朝からちょっと贅沢させていただきました(笑)
アカモクに卵黄を混ぜ込んで、醤油を回しかけたらごはんと具材を一緒くたにしたら、あとは頬張るのみ!夢中になってあっと言う間に平らげてしまいましたが、朝から美味しいご当地メニューにめぐり合えて大満足なのでした。
心も体も燃料補給も終わったら、晴天の下ここからが本日のサイクリング本番となります。今度は陸地側から天橋立を臨みながら海辺の道をのんびりと走りはじめました。青い空と白い雲の下、おだやかな海面の上に延びる天橋立は、やはり日本三景と呼ばれるだけの風格を感じられますね。
さて、ここから先が今回のミッションである廃線サイクリングの始まりです!今回訪れるのは、1985年に廃線となった地方私鉄"加悦鉄道"を巡る旅。
その歴史を辿ると、まずは1926年にこの地域の特産品で"丹後ちりめん"を輸送するために加悦駅~丹後山田駅(現・京都丹後鉄道与謝野駅)間が開業、その後は内陸部の大江山で採掘されたニッケル鉱石の輸送、戦後大江山鉱山が閉鎖されたあとは、国鉄宮津線(現・京都丹後鉄道宮豊線)経由で運ばれてきた輸入ニッケル鉱石を精錬所まで運ぶ貨物輸送で何とか持ちこたえていましたが、1985年に国鉄が宮津線での貨物輸送をやめるということで、ついに命脈尽きて廃線となってしまったのだそうです。
その加悦鉄道線の跡がサイクリングロードとなって、今では"加悦岩滝自転車道"としてサイクリストに利用されているのですから、鉄道マニア兼サイクリストであるテツ店長にとってはこれほど美味しいコンテンツはありません(笑)
サイクリングロードの入口を見つけると、いざ廃線巡りサイクリングスタート!ここからは周囲の遺構に目を凝らしながら進んでゆきます。するとやはりと言うべきか次々と出てきてしまうので、なかなか前に進めない展開に……。
精錬工場への専用線跡の橋台からはじまり、国鉄宮津線との接続駅だった丹後山田駅(現・京都丹後鉄道与謝野駅)の広い駅構内を見て、かつては貨車の入れ替えでにぎわっていた姿が目に浮かびます。この先もかつて駅があった場所には"加悦鉄道廃線跡を訪ねて"という、当時の写真入り解説板があって、いちいち食い入るように読んでしまいます(汗)
それにしても良く整備された廃線跡のサイクリングロードです。比較的大きかったであろう駅跡にはトイレや休憩設備もあり、快適に楽しく走りながら地域の歴史も学べてしまう、数ある廃線跡サイクリングロードの中でも屈指のコンテンツではないかと思います。
そんな廃線跡サイクリングの終着駅におありまするのが、"加悦SL広場"なる鉄道保存展示施設なのでございます(笑)もと"大江山鉱山駅"の跡に造られたこちらの施設では、元加悦鉄道所属の車両を中心に27両の車両が展示保存されています。
移築された元"加悦駅"の立派な木造駅舎の改札をくぐると、広い敷地内に明治から昭和にかけての名車や珍車がいっぱい!廃線前から希少車・珍車の宝庫として知られ、鉄道ファンには人気のあった鉄道らしく、鉄道博物館としてはかなりディープな展示内容に心が踊ってしまうのでした…
こちらの施設では、"NPO法人・加悦鐵道保存会"の手により、保存されている車両のうち何両かは、実際に線路上を走ることのできる"動態保存"されていて、年に何回かのイベント時には乗客を乗せて施設内を走ることもあるというのですから、機会があればぜひ見て(乗って)みたいものです。
時間を忘れてじっくり観察しそうになりますが、今日中には帰路につかないといけないので、後ろ髪を引かれつつも先に進むことにします。
名残り惜しいですが"加悦SL広場"に別れを告げて、ここからは国道176号線で山を越えて、昨日雨でやられた福知山の街をめざします!愛車のトレック520はクロモリフレームで決して軽くはありませんが、今回は峠越えのために後ろのギアを32Tの乙女ギアに変えてきたおかげもあって、何とか上りを克服することができたのでした(笑)
峠を越えた先の山中で、何故か阪急の電車に出会ったり、なかなか飽きさせない丹後サイクリングでしたが、何とかお昼過ぎには福知山市街に入れました。すっかりお腹も空いてしまっていたので、お昼もまたちょっと贅沢をしてみようかと思い、勇気を出してちょっと格式の高そうなかき料理専門店ののれんをくぐったのですが…
なんと!基本おひとり様はダメだとのこと(涙)まあここでゴネても仕方ないので、あきらめて引き上げようとすると、ふと厨房から大将が現れて「今日は空いてるし一人でもいいよ」とのうれしいお言葉が!
そんなこんなで中に通されて、仲居さんに案内されたのは静かな和室だったのでした。恥ずかしながら、こういった高級なお店には不慣れなワタシ、ちょっと落ち着かない気分でしたが、ここまで来たからにはかき料理を頂かなければと思い、牡蠣飯と牡蠣フライのセットを注文して、「今日はツイているなぁ」などと、ひとりほくそ笑んでいると、仲居さんが料理を運んできてくれました。その場で茶碗に牡蠣飯を盛ってくれると、美味そうな香りが漂ってきてもうたません!
一人個室で頂く食事というのも良いもので、人目を気にせずゆったりとした気分で料理を堪能することができました(笑)
すっかり満たされた後は、大将にお礼を言いつつお暇して、昨日涙を呑んだ"福知山鉄道館ポッポランド"の再訪です。前日は自転車を担いでの苦行でしたが、自走して行けばものの数分で到着してしまい、やっぱり自転車は担ぐより乗った方が良いと再認識した次第…
さっそく館内に入ってみると、設備も展示物も昭和な感じで何かホッとします(笑)。この施設はかつて福知山から由良川に沿って北上していた"北丹鉄道"の資料を展示するために、地元の有志によって1998年に設立されたのだそう。
そんな鉄道会社があったことはこれまで知る由もありませんでしたが、どうやら1926年に開業したものの、こちらも鉱山閉鎖の影響を受けて経営が立ち行かなくなって、1971年に運行休止、1974年に正式に廃止となったようです。
しかしここの展示内容は"北丹鉄道"だけではなく、今もここ福知山を通る"山陰本線"や"福知山線"の国鉄時代からの貴重な写真や資料が数多く展示され、かつてあった鉄道黄金時代を今に伝えていました(涙)
残念ながらこちらの施設、建物の老朽化で2018年3月末をもって閉館されるとのことで、このレトロな鉄道博物館も今回で見納めです。移転先が見つかれば、また再開の可能性もあるようなので、今後に期待したいと思います。
じつはここ"福知山鉄道館ポッポランド"には、ちょっと離れた場所に2号館もあって、帰りの電車にはまだ少々時間に余裕もあったので、もうひとっ走りして見学に向かうことにしました。
こちらの施設には、かつて福知山地区で活躍していたC58形蒸気機関車が保存展示されていました。その昔ここには"福知山機関区"があって、鉄道の街として栄えていたことが伺えます。そんな経緯もあって地元の方の鉄道への思い入れもきっと強いのでしょうね……。
キャブ(運転台)も解放されていて、誰でも中に入ることが出来たので、他に人のいないのを良いことに、ひとしきり運転士気分を楽しませてもらっちゃいました(笑)。こうして遊んでいるとキリが無いのですが、そろそろ帰りの電車の時間も気になってきたので、駅に向かうことにしましょう。
そして今回のサイクリングの終点"福知山駅"へ戻ってきました。じつは昨日も同じ場所には来ましたが、天気が良いとまったく別の場所に見えるくらい、素晴らしく天気に恵まれた二日目だったのでした。
その福知山駅前の広場には、かつて"福知山機関区"で使用されていた転車台と、そこで活躍していたC11形蒸気機関車が保存されていて、鉄道の街としての矜持を今に伝えているようです。気持ち良く駅前SLの前で自転車をたたんで、今回のサイクリングも無事終わりましたが、ここから先の鉄道の旅がまだまだ長いのですが。
ここからは再び"青春18きっぷ"で普通列車を乗り継いでの帰路となりますが、電車移動の感覚がマヒしているテツ店長にとっては、これはこれで楽しい時間だったりするのです(笑)
帰りも行きと同じルートで戻るはちょっと退屈だったりするので、途中でまだ乗ったことの無かった"加古川線"に乗り換えたりしながら東に向かい、最後は今回もお約束の"ムーンライトながら"泊で一夜を過ごして帰京したのでした。
まあ今回も安定の鉄分濃度で西日本を満喫してきましたが、やっぱり輪行の機動力は侮りがたいものがありますね!二日間の弾丸ツアーでもけっこうな遠征が可能ですが、贅沢言えばもう少しゆとりをもって行動したいと思う今日この頃……。
皆さんも地図と時刻表を駆使して、自分オリジナルのサイクリングプランを立ててみてはいかがですか?きっと素晴らしい経験になると思いますよ!それでは今回はこのへんで……。全国に点在する鉄スポットを巡るテツ店長の旅、次回もお楽しみに!!
旅する人 河井孝介プロフィール
バイクプラス多摩センターの店長を務める50歳。前職で足かけ10年にわたる勤務を鉄道の無い(モノレール除く)沖縄県で過ごした反動からか、帰京後は輪行サイクリングの虜となり、現在は鉄道と自転車を組み合わせ、鉄道廃線跡や未成線など鉄道の歴史を辿るサイクリングをライフワークとする。鉄道趣味のジャンルは「乗り鉄」。旧国鉄型車両を心から愛し、ひそかにJR全線乗車にチャレンジ中。非常勤の防衛省職員である予備三等陸曹の身分も合わせ持っている。
みなさんこんにちは!早いもので、2018年もはや半分が過ぎ去りましたが、夏も18きっぷ片手に忙しく動いていたテツ店長です(笑)ということで、今回は北近畿廃線サイクリングの後編です!
初日は天候に恵まれず、サイクリングの予定は午前中のみで打ち切りとなってしまいましたが、おかげでゆっくりと休養して翌日に備えることができました。そして2日目の朝、睡眠十分で起床すると、すっかり天気は回復しているではないですか!雨の去った後に爽やかなな日光が射しこむ晴天で、これで今日は素晴らしい一日になることが約束されたも同然です(笑)
張り切って準備を済ませ外に出てみると、風もなく澄み切ったキリリとした空気で一気に目が覚めます。まずは朝食を摂りにひとっ走りということで、まずは目の前にある"天橋立"に向けてペダリングを始めましたが……。
走り出すとすぐに"天橋立"が視界に入って来ました!穏やかな水面に映し出される荘厳な風景を目の当たりにして、「これはムリしてでも遠征してきた甲斐があったわい」などと、すでに目的を達したような気分に浸ってしまいそうでしたが、まだサイクリングは始まったばかりなので、ここは気を引き締めて先に進んでゆくことにしましょう。
その天橋立ですが、内部?は遊歩道になっていて、砂利道ではありますが自転車で通り抜けることも出来ます。まあ走ってみると両側の松並木で景色が楽しめないのは悪しからずですが、それでも日本三景ですから一度は走っておきたいですよね(笑)
天橋立を渡り終えたら、そろそろ朝食にしたいところなので、ここは事前に調べておいた朝から開いている"つるや食堂"さんにお邪魔しました。
春休み時期とはいえ、平日の朝なので他にお客さんはおらず、暖房の効いた店内でひとりノビノビとしていると、まもなく注文した料理が出てきました!地場産のアオリイカ、アカモク、バイ貝が乗った"丹後お宝丼"は期間限定メニューということで、朝からちょっと贅沢させていただきました(笑)
アカモクに卵黄を混ぜ込んで、醤油を回しかけたらごはんと具材を一緒くたにしたら、あとは頬張るのみ!夢中になってあっと言う間に平らげてしまいましたが、朝から美味しいご当地メニューにめぐり合えて大満足なのでした。
心も体も燃料補給も終わったら、晴天の下ここからが本日のサイクリング本番となります。今度は陸地側から天橋立を臨みながら海辺の道をのんびりと走りはじめました。青い空と白い雲の下、おだやかな海面の上に延びる天橋立は、やはり日本三景と呼ばれるだけの風格を感じられますね。
さて、ここから先が今回のミッションである廃線サイクリングの始まりです!今回訪れるのは、1985年に廃線となった地方私鉄"加悦鉄道"を巡る旅。
その歴史を辿ると、まずは1926年にこの地域の特産品で"丹後ちりめん"を輸送するために加悦駅~丹後山田駅(現・京都丹後鉄道与謝野駅)間が開業、その後は内陸部の大江山で採掘されたニッケル鉱石の輸送、戦後大江山鉱山が閉鎖されたあとは、国鉄宮津線(現・京都丹後鉄道宮豊線)経由で運ばれてきた輸入ニッケル鉱石を精錬所まで運ぶ貨物輸送で何とか持ちこたえていましたが、1985年に国鉄が宮津線での貨物輸送をやめるということで、ついに命脈尽きて廃線となってしまったのだそうです。
その加悦鉄道線の跡がサイクリングロードとなって、今では"加悦岩滝自転車道"としてサイクリストに利用されているのですから、鉄道マニア兼サイクリストであるテツ店長にとってはこれほど美味しいコンテンツはありません(笑)
サイクリングロードの入口を見つけると、いざ廃線巡りサイクリングスタート!ここからは周囲の遺構に目を凝らしながら進んでゆきます。するとやはりと言うべきか次々と出てきてしまうので、なかなか前に進めない展開に……。
精錬工場への専用線跡の橋台からはじまり、国鉄宮津線との接続駅だった丹後山田駅(現・京都丹後鉄道与謝野駅)の広い駅構内を見て、かつては貨車の入れ替えでにぎわっていた姿が目に浮かびます。この先もかつて駅があった場所には"加悦鉄道廃線跡を訪ねて"という、当時の写真入り解説板があって、いちいち食い入るように読んでしまいます(汗)
それにしても良く整備された廃線跡のサイクリングロードです。比較的大きかったであろう駅跡にはトイレや休憩設備もあり、快適に楽しく走りながら地域の歴史も学べてしまう、数ある廃線跡サイクリングロードの中でも屈指のコンテンツではないかと思います。
そんな廃線跡サイクリングの終着駅におありまするのが、"加悦SL広場"なる鉄道保存展示施設なのでございます(笑)もと"大江山鉱山駅"の跡に造られたこちらの施設では、元加悦鉄道所属の車両を中心に27両の車両が展示保存されています。
移築された元"加悦駅"の立派な木造駅舎の改札をくぐると、広い敷地内に明治から昭和にかけての名車や珍車がいっぱい!廃線前から希少車・珍車の宝庫として知られ、鉄道ファンには人気のあった鉄道らしく、鉄道博物館としてはかなりディープな展示内容に心が踊ってしまうのでした…
こちらの施設では、"NPO法人・加悦鐵道保存会"の手により、保存されている車両のうち何両かは、実際に線路上を走ることのできる"動態保存"されていて、年に何回かのイベント時には乗客を乗せて施設内を走ることもあるというのですから、機会があればぜひ見て(乗って)みたいものです。
時間を忘れてじっくり観察しそうになりますが、今日中には帰路につかないといけないので、後ろ髪を引かれつつも先に進むことにします。
名残り惜しいですが"加悦SL広場"に別れを告げて、ここからは国道176号線で山を越えて、昨日雨でやられた福知山の街をめざします!愛車のトレック520はクロモリフレームで決して軽くはありませんが、今回は峠越えのために後ろのギアを32Tの乙女ギアに変えてきたおかげもあって、何とか上りを克服することができたのでした(笑)
峠を越えた先の山中で、何故か阪急の電車に出会ったり、なかなか飽きさせない丹後サイクリングでしたが、何とかお昼過ぎには福知山市街に入れました。すっかりお腹も空いてしまっていたので、お昼もまたちょっと贅沢をしてみようかと思い、勇気を出してちょっと格式の高そうなかき料理専門店ののれんをくぐったのですが…
なんと!基本おひとり様はダメだとのこと(涙)まあここでゴネても仕方ないので、あきらめて引き上げようとすると、ふと厨房から大将が現れて「今日は空いてるし一人でもいいよ」とのうれしいお言葉が!
そんなこんなで中に通されて、仲居さんに案内されたのは静かな和室だったのでした。恥ずかしながら、こういった高級なお店には不慣れなワタシ、ちょっと落ち着かない気分でしたが、ここまで来たからにはかき料理を頂かなければと思い、牡蠣飯と牡蠣フライのセットを注文して、「今日はツイているなぁ」などと、ひとりほくそ笑んでいると、仲居さんが料理を運んできてくれました。その場で茶碗に牡蠣飯を盛ってくれると、美味そうな香りが漂ってきてもうたません!
一人個室で頂く食事というのも良いもので、人目を気にせずゆったりとした気分で料理を堪能することができました(笑)
すっかり満たされた後は、大将にお礼を言いつつお暇して、昨日涙を呑んだ"福知山鉄道館ポッポランド"の再訪です。前日は自転車を担いでの苦行でしたが、自走して行けばものの数分で到着してしまい、やっぱり自転車は担ぐより乗った方が良いと再認識した次第…
さっそく館内に入ってみると、設備も展示物も昭和な感じで何かホッとします(笑)。この施設はかつて福知山から由良川に沿って北上していた"北丹鉄道"の資料を展示するために、地元の有志によって1998年に設立されたのだそう。
そんな鉄道会社があったことはこれまで知る由もありませんでしたが、どうやら1926年に開業したものの、こちらも鉱山閉鎖の影響を受けて経営が立ち行かなくなって、1971年に運行休止、1974年に正式に廃止となったようです。
しかしここの展示内容は"北丹鉄道"だけではなく、今もここ福知山を通る"山陰本線"や"福知山線"の国鉄時代からの貴重な写真や資料が数多く展示され、かつてあった鉄道黄金時代を今に伝えていました(涙)
残念ながらこちらの施設、建物の老朽化で2018年3月末をもって閉館されるとのことで、このレトロな鉄道博物館も今回で見納めです。移転先が見つかれば、また再開の可能性もあるようなので、今後に期待したいと思います。
じつはここ"福知山鉄道館ポッポランド"には、ちょっと離れた場所に2号館もあって、帰りの電車にはまだ少々時間に余裕もあったので、もうひとっ走りして見学に向かうことにしました。
こちらの施設には、かつて福知山地区で活躍していたC58形蒸気機関車が保存展示されていました。その昔ここには"福知山機関区"があって、鉄道の街として栄えていたことが伺えます。そんな経緯もあって地元の方の鉄道への思い入れもきっと強いのでしょうね……。
キャブ(運転台)も解放されていて、誰でも中に入ることが出来たので、他に人のいないのを良いことに、ひとしきり運転士気分を楽しませてもらっちゃいました(笑)。こうして遊んでいるとキリが無いのですが、そろそろ帰りの電車の時間も気になってきたので、駅に向かうことにしましょう。
そして今回のサイクリングの終点"福知山駅"へ戻ってきました。じつは昨日も同じ場所には来ましたが、天気が良いとまったく別の場所に見えるくらい、素晴らしく天気に恵まれた二日目だったのでした。
その福知山駅前の広場には、かつて"福知山機関区"で使用されていた転車台と、そこで活躍していたC11形蒸気機関車が保存されていて、鉄道の街としての矜持を今に伝えているようです。気持ち良く駅前SLの前で自転車をたたんで、今回のサイクリングも無事終わりましたが、ここから先の鉄道の旅がまだまだ長いのですが。
ここからは再び"青春18きっぷ"で普通列車を乗り継いでの帰路となりますが、電車移動の感覚がマヒしているテツ店長にとっては、これはこれで楽しい時間だったりするのです(笑)
帰りも行きと同じルートで戻るはちょっと退屈だったりするので、途中でまだ乗ったことの無かった"加古川線"に乗り換えたりしながら東に向かい、最後は今回もお約束の"ムーンライトながら"泊で一夜を過ごして帰京したのでした。
まあ今回も安定の鉄分濃度で西日本を満喫してきましたが、やっぱり輪行の機動力は侮りがたいものがありますね!二日間の弾丸ツアーでもけっこうな遠征が可能ですが、贅沢言えばもう少しゆとりをもって行動したいと思う今日この頃……。
皆さんも地図と時刻表を駆使して、自分オリジナルのサイクリングプランを立ててみてはいかがですか?きっと素晴らしい経験になると思いますよ!それでは今回はこのへんで……。全国に点在する鉄スポットを巡るテツ店長の旅、次回もお楽しみに!!
旅する人 河井孝介プロフィール
バイクプラス多摩センターの店長を務める50歳。前職で足かけ10年にわたる勤務を鉄道の無い(モノレール除く)沖縄県で過ごした反動からか、帰京後は輪行サイクリングの虜となり、現在は鉄道と自転車を組み合わせ、鉄道廃線跡や未成線など鉄道の歴史を辿るサイクリングをライフワークとする。鉄道趣味のジャンルは「乗り鉄」。旧国鉄型車両を心から愛し、ひそかにJR全線乗車にチャレンジ中。非常勤の防衛省職員である予備三等陸曹の身分も合わせ持っている。
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