2018/10/09(火) - 11:53
ホビーレーサーの甲子園として名高い「ツール・ド・おきなわ」。今年も開催が迫ってきた日本最高峰のホビーレースに挑む、強豪レ―サー達の意気込みとおきなわにかける思いをインタビューした。
絶対王者として6度目の市民210km制覇を目指す高岡亮寛(Roppong Express)
昨年史上初となる5度目の市民210km制覇を成し遂げた高岡亮寛(Roppong Express) photo:Makoto.AYANO
― アマチュア最強とも呼び声高い高岡選手ですが、そこまでおきなわに拘り続ける理由は?
コースが厳しく、多くの強豪選手も参加するためアマチュア大会の頂上決戦と呼ぶにふさわしいため、そこで勝つ事に一番価値があると考えています。
― 終盤まで激しい戦いが続くなど、おきなわのハイレベル化に対し、どう思いますか?
よりハイレベルになったレースで勝つ方が価値があるため、皆で切磋琢磨してレベルが上がっていくのは望ましいですね。当然こちらもそういう前提で現状維持では勝ち続けることは出来ないと考えており、毎年精進しています。
― 今シーズンも既に前半戦が終了しています。現在までの要注意の選手は?
一緒のレースを走った経験がほとんどないですが、ニセコクラシックで優勝した岡選手は要注意。あとはJPTのレースでも実績を残している紺野元汰選手や森本選手も安定して強いでしょう。ですが、今年も一番の脅威は井上亮選手だと思っています。
今年の全日本選手権でプロに混じりローテーションを回すクラブチーム勢。中でもアマチュア最高位のリザルトを残したのが井上亮(Megellan Cycling Team)だ photo:Satoru Kato
― おきなわに向けて今年から始めたことなどはありますか?また機材は何を使っていきますか?
対策はいつも通りです。フレームはコルナゴ、ホイールはマヴィックのチューブレスでいこうかなと思っていますが、基本的に未定です。
― 昨年はゴールスプリントのレース展開でしたが、今年はどのようなレースにしていきたいですか?
いつも通り、流れの中でベストな動きができるようにするだけです。最終的に勝つ事ができれば良いですし、そういうレースにしたいですね。市民レースはチーム戦にならないので、展開は読めないですが、作ることもできないです。
― 今年の大会に向けての抱負をお願いします。
頑張ります。
― 昨年大会、スプリントで負け、惜しくも2位となった松木健治(VC VELOCE)
昨年大会の最終盤、6人グループの先頭を引く松木健治(VC VELOCE) photo:Makoto.AYANO
― 松木選手にとってツール・ド・おきなわとはどのような大会ですか?
興味を持ったのは漫画シャカリキを読んでからです。あの登りの死闘を読んで熱くなり行きたいたと思いました。いまだにレース前は読み返したりします笑。初出場の2005年の市民レース80kmに出場して2位に入って以来、1年の集大成のような大会ですね。市民210キロは最強のアマチュアレーサーを決める大会であり、特別な思い入れがあります。
この大会に出るまでの仕事の調整や体調管理等からフルタイムワーカーのレースははじまっています。コースも公道完全封鎖のワンウェイでアップダウンが多く、クラシックレースのようなレイアウトです。本当の実力がないと生き残れないサバイバルレースになるのも魅力の1つです。
― 昨年は得意のスプリントに持ち込みながら、負けてしまいました。今年はどう攻めていきますか?
作戦は秘密です笑。昨年の反省は最後の足の残り方だったため、今年は最終局面で一発最大パワーを発揮する力を温存したいですね。近年レベルがどんどん上がっているため、高岡選手ひとりと戦うわけではありません。
ロードレースは体力だけで勝負するものではないので、うまく展開を作り、展開に乗り遅れないことが大事です。森本さんや清宮さん井上さんらに加え、今年VCFukuokaで一緒に走っていると佐藤さんらとお互いの力を出し合いながら面白い展開を作っていきたいと思います。
― 今シーズンも既に前半戦が終了しています。現在までの要注意の選手は?
ニセコクラシックを走った感覚ではイナーメの岡選手がかなり強いですね。2011年くらいに当時、スペースゼロポイントとシルベストで激しく優勝争いしてかなり激しくやり合いましたが、その時から強い選手でした。当時よりも更に強くなって戻ってきたという印象で、宇都宮ブリッツェンに所属する弟の岡篤志選手より走れているのでは。
長距離のフィジカル面では井上亮選手が頭二つくらい抜けていますね。たまに一緒に練習しますが、タフさが人間とは思えないレベルです。絶対に行かせてはいけない選手です。バルバの寺崎選手、ミブロの岩島選手は調子が良さそうでかつスプリント力もあるので間違いなく優勝候補でしょう。
ニセコクラシック140kmで総合優勝した岡泰誠(イナーメ信濃山形) photo:Satoru Kato
誰もが警戒リストに上げる井上亮(Megellan Cycling Team)。昨年も積極的な走りが印象的だった photo:Makoto.AYANO
― おきなわに向けて今年から始めたことなどはありますか?また機材は何を使っていきますか?
沖縄に向けての対策は距離への耐性です。5時間から6時間をハイスピードで極力止まらないトレーニングを行い、終盤にかけて出力を落とさないように意識して走っています。今年は長距離レースに慣れるためにJPTのレースにも参戦しています。プロ選手と一緒に走ることで学ぶ点も多く、沖縄にも活かせるのではないかと思います。
機材はコルナゴ V2Rを使用予定です。長いレースなので特別なものはあまり使わずに信頼性重視でデュラエースとホイールはROVALを使う予定です。メカニックは工房ハイランダーに全て任せています。
― おきなわが終わったらやりたいことはありますか?
おきなわが終わればロードレースシーズンは終わりますが、私は自転車乗ることが好きなのでオフとかは特にありません。11月からシクロクロスシーズンに突入し、また春になるとロードシーズンです。
とはいえ、沖縄が終われば一段落という感じもありこれも魅力の一つです。1年間家族には迷惑かけっぱなしで妻の理解なしではできないことなので、まずは1年間の感謝でゆっくり温泉旅行にでも行きたいですね。そして特に7歳と4歳の子供たちと遊ぶ時間は増やしたいところです。
― 今年の大会に向けての抱負をお願いします。
まずは無事に万全の体調でレース当日を迎えられるように体調管理して、仕事、家庭にも全力を尽くしたいと思います。当日は安全第一にレースを進め、残り70kmから始まる最高のメンバーによる最高のレースを楽しみ尽くしたいと思います。結果はもちろん勝ちしか狙いません。
昨年ゴールスプリントの結果3位となった佐藤信哉(VC Fukuoka)
メイン集団内で普久川ダムの登りを行く佐藤信哉(VC Fukuoka) photo:Makoto.AYANO
― JPTレースを主戦場としている佐藤選手にとってツール・ド・おきなわとはどのような大会ですか?
JPTのレースとはまた違った厳しさのある大会だと思っています。「速」より「耐」といった感じでしょうか。レースだけではなくスタートラインに立つまでの準備に至るまでも大変な苦労があります。また自分自身にとっては、自転車を始めた2009年の最初の大きな目標となったレースで思い入れがあります。その時は178位という成績でした。
― 昨年のレースを振り返りつつ、今年はどのようにレース展開していきたいですか?
有力選手少数が抜け出すような展開だと、自分としては非常に厳しいレースになりそうです。昨年のような大きな集団で終盤まで行く展開になれば、まだチャンスがあると思っています。
― 今年は昨年2位の松木選手がチームに加わりました。チームで勝利を目指すといった動きもしていきますか?
チームから優勝者が出たら嬉しいですね。昨年140㎞で6位の松田真和も今年VC FUKUOKAに加わり、著しく成長しています。最終局面まで残れる選手の一人だと思います。まだツールドおきなわのことはメンバーと話していませんが、少なくとも松木は私の助けを借りて勝とうとは思っていないでしょうね。市民210㎞は、あまりチーム戦というよりは個々の戦いが見ものだと考えています。それも踏まえてメンバーと話して考えます。
― 今シーズンも既に前半戦が終了しています。現在までの要注意選手は?
岡泰誠選手。2011年JBCFエリート総合争いをした選手ですが、登坂のあるレースでは全く歯が立ちませんでした。先日のJPT秋吉台カルストロードでも強さを見せ、調子も良さそうなのと、なによりモチベーションも高そうです。厳しい登りになりそうですね。
2011年のJエリートツアー石川大会で勝利する岡泰誠(当時spacebikes.com)。佐藤選手とJエリートツアー総合争いを繰り広げたライバルである photo:Hideaki.TAKAGI
― おきなわに向けての対策は何を行っていますか?今年から始めたものなどはありますか?また機材は何を使っていきますか?
本番に備えメイタンのサイクルチャージ、電解質パウダーを日々の練習でも摂るようにしています。栄養補給は最も大切な対策の一つです。機材面では、バイクがコルナゴ V2-rとなり、リフレッシュしました。また暑さ対策でウェアはチャンピオンシステムのサマーレーススーツを導入しました。涼しく、なにより軽い!快適性は圧倒的で、昨年以上の体制でレースに臨めそうです。
― 今年の大会に向けての抱負をお願いします。
今年は春先の故障や夏場あまりトレーニングを積めていないことにより、昨年ほどのフィジカルレベルに至っていない状況で、少し不安があります。ただ、まだあと1ヶ月ちょっとあります。健康にトレーニングが積める体と環境に感謝し、あとは努力あるのみです。レースではどんな位置にいても、周りの選手達とレースを楽しみ、最後まで出し切りたいと思います。
昨年4位に入った山の神、森本誠(GOKISO)
6人の逃げグループが羽地ダム頂上に差し掛かると森本誠(GOKISO)が最後のチャンスにアタックした photo:Makoto.AYANO
― 森本選手にとってツール・ド・おきなわとはどのような大会ですか?
1度は優勝してみたいと本気で思える数少ないアマチュアロードレースです。
― 山の神森本選手にとって、ヒルクライムレースとツール・ド・おきなわの違いはなんでしょうか?
ヒルクライムレース、特に「乗鞍」についてはこれまでチャンピオンとして臨むことが多かったので、負けられない戦いということで、プレッシャーも感じつつ1年の中でも最も集中してトレーニング、準備をして臨んでいます。
それに比べると、ツールドおきなわは、挑戦者のうちの一人として参加しますので、気持ちは楽に、純粋にワクワクして参加しています。レースに向けた対策としては、やはりレース距離・時間がヒルクライムとは全く違うので、そこは意識して長い距離のトレーニングを行うようにしています。
― ピュアクライマーとして今年はどのようなレースに持っていきたいですか?
沖縄の山岳はロードレースとしてはキツイ方ですが、僕が全開で上ったとしても優勝候補筆頭の数名の選手は千切れることなく、逆に、彼らにとって望ましい展開になってしまいがちです。僕としては、昨年同様に、2回目のフンガワダム以降でのアタックの打ち合いの中で、有力選手の動きに合わせて行き、最終盤をスプリント力が同等の少数の選手と迎えるというのがよさそうです。
― 今シーズンも既に前半戦が終了しています。現在までの要注意の選手は?
全日本選手権では、井上君と高岡さんは頭が2つほど抜けていたと思いますが、まぁ、彼らは沖縄においては別次元の存在なので。そこに挑んで行く選手としては、同じく全日本で強かった元ブリジストンアンカーの寺崎選手、ニセコクラシックで強かった岡選手、紺野元汰選手、昨年のスプリントで高岡さんを追い詰めた松木さん、あたりでしょうか。
今年のニセコクラシックでは岡泰誠(イナーメ信濃山形)と共に登りのペースメイクをした森本誠(GOKISO)と photo:Satoru Kato
JBCF修善寺2日目、E1クラスタで勝利する寺崎武郎(バルバレーシングクラブ)。元ブリヂストンアンカー所属だ photo:Satoru Kato
JBCF那須ロードレースE1で勝利する紺野元汰(SBC Vertex Racing Team)。今年のJBCFスプリント勝利数は随一 photo:Satoru Kato
― おきなわに向けて今年から始めた対策などはありますか?また機材は何を使っていきますか?
おきなわに向けて、これからロング(150km以上)のトレーニングを積み重ねて行く予定です。ただ、もう乗鞍も終わり、純粋にトレーニングを積むというよりも、練習仲間らとロングを楽しみつつ、長距離に耐える力をつけられたらと思っています。機材は昨年同様、フレームはYONEX CARBONEX、ホイールはGOKISO(38mmクリンチャー)を使用予定です。
― 今年の大会に向けての抱負をお願いします。
狙うは優勝!と宣言したいところですが。怪我・トラブルなく、終盤のアタック戦を楽しめたらと思います。
昨年女子国際100kmで7位という成績を残した大堀博美(YOKOSUKA UNO RACING)
昨年のジャパンカップオープン女子で金子広美(イナーメ信濃山形)マッチスプリントを繰り広げ、2位に終わった大堀博美(YOKOSUKA UNO RACING) photo:Satoru.Kato
― 昨年は国際レースで7位という成績を残しました。どのようなレースでしたか?
昨年はレース中に脱水状態となってしまい、頭も体も思うように動いてくれず、ひたすら耐え続ける苦しいレースでした。レース前はそのような事は予期もせず、良い走りで気持ちよくシーズンを締めようと意気込んでいました。
― 大堀選手にとってツール・ド・おきなわとはどのようなレースですか?
自転車を始めて半年後の初めて出場した100㎞超えの長距離レースであり、自転車レースで初めてメダルを獲得したレースです。ロードレースの楽しさと達成感を体感し、選手として活動する事を決めるきっかけとなったレースです。ボトルを受け取る練習をしておらず、補給所で転んでしまった思い出もあります。
― 今シーズンも既に前半戦が終了しています。ここまでの戦績やコンディションはどうですか?また、今シーズン注意すべき選手はいますか?
今シーズンはシーズンイン直前に怪我をしてしまい、練習やレースへの参戦に遅れをとってしまいました。後半戦は追い上げて行こうと思います!海外で活躍されている選手が注意すべき選手だと思っています。
― おきなわに向けての対策は何を行っていますか?また機材は何を使っていきますか?
おきなわに向けて、長距離を走る練習をしています。昨年の教訓から、水分とエネルギー補給を意識して走ります。有り難くサポート頂いているLOOKの機材とオージーケーカブトの製品を使用し挑みます。
― 今年の大会に向けての抱負をお願いします。
まずは無事に走りきること。そして昨年の自分よりも強い走りが出来ることです。結果として目指すは優勝です!
女子国際100kmに初めてエントリーするジュニア選手、渡部春雅(駒沢大学高校)
今年の全日本選手権。牧場の登りでアタックする渡部春雅(駒沢大学高校) photo:Kei Tsuji
― ジュニア選手としてインターハイや全日本で活躍している渡部選手ですが、今回国際レースにエントリーする経緯はどういったものだったのでしょうか?
国内外で活躍する選手が沢山集まるレースで、同じスタートラインに立てることを楽しみにたくさんのことを学びたくエントリーしました。
― 昨年は市民レディース9位という成績を残しました。どのような気持ちで挑んだレースでしたか?
私は攻める試合をするのが今の目標なので、ガンガン積極的にレースをしました。途中何度かアタックをかけたのですが力が足りず、逃げることができませんでした。9人のスプリントでビリでしたが、気持ちや走りは悪くなかったと思います。もっと強くなりたい!と思ったレースでした。
― おきなわに向けての対策は何を行っていますか?
インターハイが終わり、今は駅伝に向けてRUNをメインに練習しているので特別な練習はしていません。対策などは何もなく、今日やりたいことを自分で考え毎日練習しています。
インターハイで独走勝利を決める渡部春雅(駒澤大学高校)。攻撃的な走りが持ち味だ photo:Satoru Kato
― 将来はどんな選手になっていきたいですか?
将来の夢はまだ決めていません。自転車もやりたいしRUNもしたいです。海外のレースも走ってみたいです。
― おきなわが終わったらなにかやりたいことはありますか?
ガンガンたくさんスキーに行きたいです。
― 今年の大会に向けての抱負をお願いします。
強い選手の走りをたくさん学びたいです。そして一つでも上の順位を目指します!
昨年市民50kmフィフティーで3位入賞した地元選手、島袋直樹(男塾/チームSTEP)
ホビーレースで集団内を走る島袋直樹(男塾/チームSTEP、写真中央)
― 昨年は市民50kmフィフティーで3位という成績を収めました。どのようなレースでしたか?
これまでは毎年、100kmの部に出場していて、去年初めて50kmの部に挑戦したのでレース展開やマークする選手などが分からず出たとこ勝負でした。ただゴール前の集団落車は避けたかったので前半からペースあげて人数を絞り、海洋博後に4人で逃げになったまではうまくいきました。
しかし中盤で優勝した方のアタックに反応できず、2人先に行かれ4位の方と協力して追いましたが届きませんでた。ですが、目標としていた表彰台には乗れたので良かったです。
― 地元おきなわの選手にとって、ツール・ド・おきなわとはどのような大会ですか?
地元の自転車愛好者にとっても最高の大会ではありますが、県外の方の方がより関心が高い気がします。多分これはテニスのウィンブルドン現象と同じように地元の選手の優勝が少ないのと、地元の選手の活躍があまり報道されてないことが要因かもしれまん。去年の大会も一般の部で表彰台に乗ったのは私1人だった気がします。しかし今年は30回記念大会ということもあり、地元勢も気合が入ってますよ。
沖縄県内で精力的にホビーレースに出場している島袋直樹(男塾/チームSTEP) ― おきなわに向けて今年から始めたことなどはありますか?また機材は何を使っていきますか?
今までの100kmレースに向けた山中心の練習から平地のスピード練習増やし、マックスパワーを上げてスプリント力も磨きたいです。後は今年、フィジカルチャージという血流を良くする機械でケアしてます。
機材は本職のテニスコーチで契約してもらっているヨネックスさんの関係でヨネックスのHRです。コンポはアルテグラのDi2。ホイールはカンパのボーラワンのチューブラーですが、先日試乗したゴキソのホイールがすごく脚にあったので使ってみたくなりました。
― 沖縄おすすめのグルメや観光スポット、ロードバイクで走ると気持ちのいいところなど、教えてください。
沖縄は都市部は自動車が多いので自転車でまわるなら南部の糸満、知念辺りの海岸線、中部ならうるま市の海中道路と先の離島、北部なら名護以北の海岸線。特に屋我地周辺がお勧めサイクリングスポットです。観光地やグルメスポットはたくさんありますが夜のコザの街や公設市場などは割とディープな感じですね。
― 今年の大会に向けての抱負をお願いします。
今年は100km出るか50km出るか最後まで悩みましたが去年の悔いを取り戻すために50kmに再度挑戦します。悔いの無いレースが出来れば結果は受け入れます。
絶対王者として6度目の市民210km制覇を目指す高岡亮寛(Roppong Express)
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― アマチュア最強とも呼び声高い高岡選手ですが、そこまでおきなわに拘り続ける理由は?
コースが厳しく、多くの強豪選手も参加するためアマチュア大会の頂上決戦と呼ぶにふさわしいため、そこで勝つ事に一番価値があると考えています。
― 終盤まで激しい戦いが続くなど、おきなわのハイレベル化に対し、どう思いますか?
よりハイレベルになったレースで勝つ方が価値があるため、皆で切磋琢磨してレベルが上がっていくのは望ましいですね。当然こちらもそういう前提で現状維持では勝ち続けることは出来ないと考えており、毎年精進しています。
― 今シーズンも既に前半戦が終了しています。現在までの要注意の選手は?
一緒のレースを走った経験がほとんどないですが、ニセコクラシックで優勝した岡選手は要注意。あとはJPTのレースでも実績を残している紺野元汰選手や森本選手も安定して強いでしょう。ですが、今年も一番の脅威は井上亮選手だと思っています。
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対策はいつも通りです。フレームはコルナゴ、ホイールはマヴィックのチューブレスでいこうかなと思っていますが、基本的に未定です。
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いつも通り、流れの中でベストな動きができるようにするだけです。最終的に勝つ事ができれば良いですし、そういうレースにしたいですね。市民レースはチーム戦にならないので、展開は読めないですが、作ることもできないです。
― 今年の大会に向けての抱負をお願いします。
頑張ります。
― 昨年大会、スプリントで負け、惜しくも2位となった松木健治(VC VELOCE)
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興味を持ったのは漫画シャカリキを読んでからです。あの登りの死闘を読んで熱くなり行きたいたと思いました。いまだにレース前は読み返したりします笑。初出場の2005年の市民レース80kmに出場して2位に入って以来、1年の集大成のような大会ですね。市民210キロは最強のアマチュアレーサーを決める大会であり、特別な思い入れがあります。
この大会に出るまでの仕事の調整や体調管理等からフルタイムワーカーのレースははじまっています。コースも公道完全封鎖のワンウェイでアップダウンが多く、クラシックレースのようなレイアウトです。本当の実力がないと生き残れないサバイバルレースになるのも魅力の1つです。
― 昨年は得意のスプリントに持ち込みながら、負けてしまいました。今年はどう攻めていきますか?
作戦は秘密です笑。昨年の反省は最後の足の残り方だったため、今年は最終局面で一発最大パワーを発揮する力を温存したいですね。近年レベルがどんどん上がっているため、高岡選手ひとりと戦うわけではありません。
ロードレースは体力だけで勝負するものではないので、うまく展開を作り、展開に乗り遅れないことが大事です。森本さんや清宮さん井上さんらに加え、今年VCFukuokaで一緒に走っていると佐藤さんらとお互いの力を出し合いながら面白い展開を作っていきたいと思います。
― 今シーズンも既に前半戦が終了しています。現在までの要注意の選手は?
ニセコクラシックを走った感覚ではイナーメの岡選手がかなり強いですね。2011年くらいに当時、スペースゼロポイントとシルベストで激しく優勝争いしてかなり激しくやり合いましたが、その時から強い選手でした。当時よりも更に強くなって戻ってきたという印象で、宇都宮ブリッツェンに所属する弟の岡篤志選手より走れているのでは。
長距離のフィジカル面では井上亮選手が頭二つくらい抜けていますね。たまに一緒に練習しますが、タフさが人間とは思えないレベルです。絶対に行かせてはいけない選手です。バルバの寺崎選手、ミブロの岩島選手は調子が良さそうでかつスプリント力もあるので間違いなく優勝候補でしょう。
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沖縄に向けての対策は距離への耐性です。5時間から6時間をハイスピードで極力止まらないトレーニングを行い、終盤にかけて出力を落とさないように意識して走っています。今年は長距離レースに慣れるためにJPTのレースにも参戦しています。プロ選手と一緒に走ることで学ぶ点も多く、沖縄にも活かせるのではないかと思います。
機材はコルナゴ V2Rを使用予定です。長いレースなので特別なものはあまり使わずに信頼性重視でデュラエースとホイールはROVALを使う予定です。メカニックは工房ハイランダーに全て任せています。
― おきなわが終わったらやりたいことはありますか?
おきなわが終わればロードレースシーズンは終わりますが、私は自転車乗ることが好きなのでオフとかは特にありません。11月からシクロクロスシーズンに突入し、また春になるとロードシーズンです。
とはいえ、沖縄が終われば一段落という感じもありこれも魅力の一つです。1年間家族には迷惑かけっぱなしで妻の理解なしではできないことなので、まずは1年間の感謝でゆっくり温泉旅行にでも行きたいですね。そして特に7歳と4歳の子供たちと遊ぶ時間は増やしたいところです。
― 今年の大会に向けての抱負をお願いします。
まずは無事に万全の体調でレース当日を迎えられるように体調管理して、仕事、家庭にも全力を尽くしたいと思います。当日は安全第一にレースを進め、残り70kmから始まる最高のメンバーによる最高のレースを楽しみ尽くしたいと思います。結果はもちろん勝ちしか狙いません。
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― JPTレースを主戦場としている佐藤選手にとってツール・ド・おきなわとはどのような大会ですか?
JPTのレースとはまた違った厳しさのある大会だと思っています。「速」より「耐」といった感じでしょうか。レースだけではなくスタートラインに立つまでの準備に至るまでも大変な苦労があります。また自分自身にとっては、自転車を始めた2009年の最初の大きな目標となったレースで思い入れがあります。その時は178位という成績でした。
― 昨年のレースを振り返りつつ、今年はどのようにレース展開していきたいですか?
有力選手少数が抜け出すような展開だと、自分としては非常に厳しいレースになりそうです。昨年のような大きな集団で終盤まで行く展開になれば、まだチャンスがあると思っています。
― 今年は昨年2位の松木選手がチームに加わりました。チームで勝利を目指すといった動きもしていきますか?
チームから優勝者が出たら嬉しいですね。昨年140㎞で6位の松田真和も今年VC FUKUOKAに加わり、著しく成長しています。最終局面まで残れる選手の一人だと思います。まだツールドおきなわのことはメンバーと話していませんが、少なくとも松木は私の助けを借りて勝とうとは思っていないでしょうね。市民210㎞は、あまりチーム戦というよりは個々の戦いが見ものだと考えています。それも踏まえてメンバーと話して考えます。
― 今シーズンも既に前半戦が終了しています。現在までの要注意選手は?
岡泰誠選手。2011年JBCFエリート総合争いをした選手ですが、登坂のあるレースでは全く歯が立ちませんでした。先日のJPT秋吉台カルストロードでも強さを見せ、調子も良さそうなのと、なによりモチベーションも高そうです。厳しい登りになりそうですね。
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― 今年の大会に向けての抱負をお願いします。
今年は春先の故障や夏場あまりトレーニングを積めていないことにより、昨年ほどのフィジカルレベルに至っていない状況で、少し不安があります。ただ、まだあと1ヶ月ちょっとあります。健康にトレーニングが積める体と環境に感謝し、あとは努力あるのみです。レースではどんな位置にいても、周りの選手達とレースを楽しみ、最後まで出し切りたいと思います。
昨年4位に入った山の神、森本誠(GOKISO)
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ヒルクライムレース、特に「乗鞍」についてはこれまでチャンピオンとして臨むことが多かったので、負けられない戦いということで、プレッシャーも感じつつ1年の中でも最も集中してトレーニング、準備をして臨んでいます。
それに比べると、ツールドおきなわは、挑戦者のうちの一人として参加しますので、気持ちは楽に、純粋にワクワクして参加しています。レースに向けた対策としては、やはりレース距離・時間がヒルクライムとは全く違うので、そこは意識して長い距離のトレーニングを行うようにしています。
― ピュアクライマーとして今年はどのようなレースに持っていきたいですか?
沖縄の山岳はロードレースとしてはキツイ方ですが、僕が全開で上ったとしても優勝候補筆頭の数名の選手は千切れることなく、逆に、彼らにとって望ましい展開になってしまいがちです。僕としては、昨年同様に、2回目のフンガワダム以降でのアタックの打ち合いの中で、有力選手の動きに合わせて行き、最終盤をスプリント力が同等の少数の選手と迎えるというのがよさそうです。
― 今シーズンも既に前半戦が終了しています。現在までの要注意の選手は?
全日本選手権では、井上君と高岡さんは頭が2つほど抜けていたと思いますが、まぁ、彼らは沖縄においては別次元の存在なので。そこに挑んで行く選手としては、同じく全日本で強かった元ブリジストンアンカーの寺崎選手、ニセコクラシックで強かった岡選手、紺野元汰選手、昨年のスプリントで高岡さんを追い詰めた松木さん、あたりでしょうか。
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おきなわに向けて、これからロング(150km以上)のトレーニングを積み重ねて行く予定です。ただ、もう乗鞍も終わり、純粋にトレーニングを積むというよりも、練習仲間らとロングを楽しみつつ、長距離に耐える力をつけられたらと思っています。機材は昨年同様、フレームはYONEX CARBONEX、ホイールはGOKISO(38mmクリンチャー)を使用予定です。
― 今年の大会に向けての抱負をお願いします。
狙うは優勝!と宣言したいところですが。怪我・トラブルなく、終盤のアタック戦を楽しめたらと思います。
昨年女子国際100kmで7位という成績を残した大堀博美(YOKOSUKA UNO RACING)

― 昨年は国際レースで7位という成績を残しました。どのようなレースでしたか?
昨年はレース中に脱水状態となってしまい、頭も体も思うように動いてくれず、ひたすら耐え続ける苦しいレースでした。レース前はそのような事は予期もせず、良い走りで気持ちよくシーズンを締めようと意気込んでいました。
― 大堀選手にとってツール・ド・おきなわとはどのようなレースですか?
自転車を始めて半年後の初めて出場した100㎞超えの長距離レースであり、自転車レースで初めてメダルを獲得したレースです。ロードレースの楽しさと達成感を体感し、選手として活動する事を決めるきっかけとなったレースです。ボトルを受け取る練習をしておらず、補給所で転んでしまった思い出もあります。
― 今シーズンも既に前半戦が終了しています。ここまでの戦績やコンディションはどうですか?また、今シーズン注意すべき選手はいますか?
今シーズンはシーズンイン直前に怪我をしてしまい、練習やレースへの参戦に遅れをとってしまいました。後半戦は追い上げて行こうと思います!海外で活躍されている選手が注意すべき選手だと思っています。
― おきなわに向けての対策は何を行っていますか?また機材は何を使っていきますか?
おきなわに向けて、長距離を走る練習をしています。昨年の教訓から、水分とエネルギー補給を意識して走ります。有り難くサポート頂いているLOOKの機材とオージーケーカブトの製品を使用し挑みます。
― 今年の大会に向けての抱負をお願いします。
まずは無事に走りきること。そして昨年の自分よりも強い走りが出来ることです。結果として目指すは優勝です!
女子国際100kmに初めてエントリーするジュニア選手、渡部春雅(駒沢大学高校)

― ジュニア選手としてインターハイや全日本で活躍している渡部選手ですが、今回国際レースにエントリーする経緯はどういったものだったのでしょうか?
国内外で活躍する選手が沢山集まるレースで、同じスタートラインに立てることを楽しみにたくさんのことを学びたくエントリーしました。
― 昨年は市民レディース9位という成績を残しました。どのような気持ちで挑んだレースでしたか?
私は攻める試合をするのが今の目標なので、ガンガン積極的にレースをしました。途中何度かアタックをかけたのですが力が足りず、逃げることができませんでした。9人のスプリントでビリでしたが、気持ちや走りは悪くなかったと思います。もっと強くなりたい!と思ったレースでした。
― おきなわに向けての対策は何を行っていますか?
インターハイが終わり、今は駅伝に向けてRUNをメインに練習しているので特別な練習はしていません。対策などは何もなく、今日やりたいことを自分で考え毎日練習しています。
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― 将来はどんな選手になっていきたいですか?
将来の夢はまだ決めていません。自転車もやりたいしRUNもしたいです。海外のレースも走ってみたいです。
― おきなわが終わったらなにかやりたいことはありますか?
ガンガンたくさんスキーに行きたいです。
― 今年の大会に向けての抱負をお願いします。
強い選手の走りをたくさん学びたいです。そして一つでも上の順位を目指します!
昨年市民50kmフィフティーで3位入賞した地元選手、島袋直樹(男塾/チームSTEP)
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― 昨年は市民50kmフィフティーで3位という成績を収めました。どのようなレースでしたか?
これまでは毎年、100kmの部に出場していて、去年初めて50kmの部に挑戦したのでレース展開やマークする選手などが分からず出たとこ勝負でした。ただゴール前の集団落車は避けたかったので前半からペースあげて人数を絞り、海洋博後に4人で逃げになったまではうまくいきました。
しかし中盤で優勝した方のアタックに反応できず、2人先に行かれ4位の方と協力して追いましたが届きませんでた。ですが、目標としていた表彰台には乗れたので良かったです。
― 地元おきなわの選手にとって、ツール・ド・おきなわとはどのような大会ですか?
地元の自転車愛好者にとっても最高の大会ではありますが、県外の方の方がより関心が高い気がします。多分これはテニスのウィンブルドン現象と同じように地元の選手の優勝が少ないのと、地元の選手の活躍があまり報道されてないことが要因かもしれまん。去年の大会も一般の部で表彰台に乗ったのは私1人だった気がします。しかし今年は30回記念大会ということもあり、地元勢も気合が入ってますよ。

今までの100kmレースに向けた山中心の練習から平地のスピード練習増やし、マックスパワーを上げてスプリント力も磨きたいです。後は今年、フィジカルチャージという血流を良くする機械でケアしてます。
機材は本職のテニスコーチで契約してもらっているヨネックスさんの関係でヨネックスのHRです。コンポはアルテグラのDi2。ホイールはカンパのボーラワンのチューブラーですが、先日試乗したゴキソのホイールがすごく脚にあったので使ってみたくなりました。
― 沖縄おすすめのグルメや観光スポット、ロードバイクで走ると気持ちのいいところなど、教えてください。
沖縄は都市部は自動車が多いので自転車でまわるなら南部の糸満、知念辺りの海岸線、中部ならうるま市の海中道路と先の離島、北部なら名護以北の海岸線。特に屋我地周辺がお勧めサイクリングスポットです。観光地やグルメスポットはたくさんありますが夜のコザの街や公設市場などは割とディープな感じですね。
― 今年の大会に向けての抱負をお願いします。
今年は100km出るか50km出るか最後まで悩みましたが去年の悔いを取り戻すために50kmに再度挑戦します。悔いの無いレースが出来れば結果は受け入れます。
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