2018/09/21(金) - 12:01
群馬県嬬恋村にて開催された嬬恋キャベツヒルクライム2018。有料道路である万座ハイウェーが、年に一度この日だけ自転車のために開放される貴重なチャンスに、多くのサイクリストが集まった。
関東の避暑地といえば、の軽井沢からさらに山を一つ超えた先。まさに奥座敷と呼ぶにふさわしい立地の嬬恋村。年間を通して冷涼な気候を生かし、キャベツをはじめとした高原野菜の抑制栽培で全国的にも名を知られるエリアである。そんなロケーションを舞台に、嬬恋キャベツヒルクライムが今年も開催された。
間もなく完成が見えてきた八ッ場ダムから吾妻川を遡った谷間にある嬬恋高等学校が大会のメイン会場となる。駐車場に指定されたグラウンドには、続々とサイクリストが集まってくる。JR吾妻線の万座鹿沢口からもほど近く、輪行解除する方もちらほら。
猛暑に襲われた今夏が嘘のように冷涼な気温で、ここが高原地帯なのだと実感する。週半ばの天気予報では雨だったのだが、当日は雲こそかかっているものの、なんとかギリギリ持ちそうな空模様まで持ち直した。
とはいえ、下山時には寒くなることを予想し、レインウェア一式とタオルなどを取材用バッグへ放り込む。もちろん一般参加の皆さんは下山用荷物預かりのトラックへ渡せば頂上まで運んでくれるのでご安心を。
スタート会場には物販やマッサージブースなどが立ち並び、賑わいを見せているが、中でも目立つのがオレンジのNIPPOのチームカー。そう、このイベントはプロコンチネンタルチームのNIPPOヴィーニファンティーニの選手らがゲストとして参加しているのだ。
さて、スタート前にはステージ前に集合し、準備体操兼ストレッチタイム。本格的なヒルクライムの前に、しっかり体をほぐしてケガの無いようにコンディションを整える。来賓の方々からの激励を賜ったのち、スタート地点へと移動だ。
ずらりと交通規制された公道に参加者たちが並び、各クラスごとに一斉にスタートしていく。普段は自転車で乗り入れることすらかなわない万座ハイウェーへ向かう集団を、嬬恋村の方々が力強く応援してくれる。
コースとしては全体的に勾配の変化は少な目の万座ハイウェー。一つの目安となるのが嬬恋プリンスホテルだろう。万座ハイウェーの有料道路区間が始まるゲートの手前まで、比較的勾配が厳しい印象だ。
7%を越えるような登りがコンスタントに続き、時たまに10%を越えるような区間も現れるので、最初から全開で踏んでいくのは厳禁。ゲートまでは出しすぎないように、心持抑えめで登っていく方が良いだろう。
ゲートの手前には第1給水所が。ここは平坦な区間なので、辛い方は少し落ち着いて水を受け取りペースを整えるが吉。タイムを狙う方はここぞとばかりに踏んでください。
束の間の平坦区間を過ぎると有料道路へと突入。料金所を自転車で通り抜けると、何とも言えない高揚感を覚える。だんだんと標高が上がるにつれて、ところどころ雨が降っているところも。とはいえ、パラリと降られるくらいで、体が濡れるほどではない。
ところどころ傾斜が緩くなるシーンを挟みつつ、順調に高度を上げていく。ところどころで木々の切れ目から雄大な景色が見えるタイミングも。ペースを守って登っていくと、第2給水所が見えてくる。
日本愛妻家協会の聖地である「嬬恋」に設置された「愛妻の鐘」が設置された嬬恋牧場に設置された第2給水所では地元の高校生たちが応援しつつドリンクを渡してくれる。ここまでくればもう少し、声援に力を得て踏み込んでいく。
道の左側には残りの距離を記したカラーコーンが設置されているので、サイクルコンピューターをつけていなくてもペース配分しやすいのは嬉しいポイント。貼られた距離表示が減っていくにつれて、気温が下がっていくのが実感できる。ヒルクライムで上がった体温を冷ますにはちょうどいい。
そしてラスト、左側に大きく曲がっていった先に目指したフィニッシュラインが見えてくる。ラストスパートをかけた後は、そのままいったん万座温泉街方面へ下り、下山用荷物を受け取り、フィニッシュエイドへ。
こちらでは笹まんじゅうとあったかーいコーンポタージュがふるまわれ、少し冷え初めてきた身体を温めることができる。そのまま下山待機列へと並び、いくつかのグループに分かれつつ下山していく。
下山した会場では、改めていくつものグルメが振る舞われることに。名産のキャベツもろきゅうや肉みそでいただけたり、ゆでとうきびや温まる豚汁など数々の地産品を活かしたおもてなしにあずかる。
完走者には、キャベツがマルっと一玉プレゼントされるのも、お土産にぴったり。ちなみに参加賞もキャベツがリアルにプリントされたサコッシュだったりと、キャベヒルの愛称に違わぬ企画に。
ステージで各カテゴリーの表彰が行われた後は、ゲストとして一緒に走ってくれたNIPPOヴィーニファンティーニの選手らのトークショーに。グランツールにも出場する強豪チームの生の声を聴けるとあって、ステージの前には多くの人が詰めかけた。
日本の印象や今回の大会、(残念ながら中止となってしまったが)ツール・ド・北海道に向けての意気込みなど、今年で現役を引退するクネゴを筆頭にチームの面々が語った。
最後は、ファンの皆さんと記念撮影タイムが設けられ、今年の嬬恋キャベツヒルクライムも大団円で終幕。日本屈指の避暑地が至近のロケーション、キツ過ぎず楽過ぎないコース、そしてヒルクライムレースと思えない充実したグルメエイドなど、着々と人気を増していく理由が窺える、笑顔がいっぱいの一日だった。
そうそう。今回の取材にあたってはE-BIKEを投入することになったのだが、本格的なヒルクライムコースを越えてなお電池残量は60%以上。同じくらいの峠をもう1本越えてなお余裕がある航続距離だ。
そして、アシストがあるとはいえ、ある程度速く走ろうとすると、しっかり踏み込む必要もあり、決して安楽な乗り物ではないことも実感した。途中、平坦な区間で追い越されたNIPPOのマルコ選手に追いつこうと急勾配区間で踏み込んだ時は、普段のヒルクライムレースでもがくのと同じくらいの負荷がかかる瞬間も。とはいえアシストがなければ、決して追いつくことができるはずもない脚力の差があることを考えれば、E-BIKEの有用性は極めて大きい。
普通のスポーツバイクが負荷を調整する能力をギア比の変化でしか対応できないのに対して、パワーモードやアシスト量など、複数の要素によって調整することができるE-BIKEは、速度の差こそあれ、脚力のない人もある人も体感の強度を自動的に調整してくれるような機能を持っていると感じる。
text&photo:Naoki.Yasuoka
関東の避暑地といえば、の軽井沢からさらに山を一つ超えた先。まさに奥座敷と呼ぶにふさわしい立地の嬬恋村。年間を通して冷涼な気候を生かし、キャベツをはじめとした高原野菜の抑制栽培で全国的にも名を知られるエリアである。そんなロケーションを舞台に、嬬恋キャベツヒルクライムが今年も開催された。
間もなく完成が見えてきた八ッ場ダムから吾妻川を遡った谷間にある嬬恋高等学校が大会のメイン会場となる。駐車場に指定されたグラウンドには、続々とサイクリストが集まってくる。JR吾妻線の万座鹿沢口からもほど近く、輪行解除する方もちらほら。
猛暑に襲われた今夏が嘘のように冷涼な気温で、ここが高原地帯なのだと実感する。週半ばの天気予報では雨だったのだが、当日は雲こそかかっているものの、なんとかギリギリ持ちそうな空模様まで持ち直した。
とはいえ、下山時には寒くなることを予想し、レインウェア一式とタオルなどを取材用バッグへ放り込む。もちろん一般参加の皆さんは下山用荷物預かりのトラックへ渡せば頂上まで運んでくれるのでご安心を。
スタート会場には物販やマッサージブースなどが立ち並び、賑わいを見せているが、中でも目立つのがオレンジのNIPPOのチームカー。そう、このイベントはプロコンチネンタルチームのNIPPOヴィーニファンティーニの選手らがゲストとして参加しているのだ。
さて、スタート前にはステージ前に集合し、準備体操兼ストレッチタイム。本格的なヒルクライムの前に、しっかり体をほぐしてケガの無いようにコンディションを整える。来賓の方々からの激励を賜ったのち、スタート地点へと移動だ。
ずらりと交通規制された公道に参加者たちが並び、各クラスごとに一斉にスタートしていく。普段は自転車で乗り入れることすらかなわない万座ハイウェーへ向かう集団を、嬬恋村の方々が力強く応援してくれる。
コースとしては全体的に勾配の変化は少な目の万座ハイウェー。一つの目安となるのが嬬恋プリンスホテルだろう。万座ハイウェーの有料道路区間が始まるゲートの手前まで、比較的勾配が厳しい印象だ。
7%を越えるような登りがコンスタントに続き、時たまに10%を越えるような区間も現れるので、最初から全開で踏んでいくのは厳禁。ゲートまでは出しすぎないように、心持抑えめで登っていく方が良いだろう。
ゲートの手前には第1給水所が。ここは平坦な区間なので、辛い方は少し落ち着いて水を受け取りペースを整えるが吉。タイムを狙う方はここぞとばかりに踏んでください。
束の間の平坦区間を過ぎると有料道路へと突入。料金所を自転車で通り抜けると、何とも言えない高揚感を覚える。だんだんと標高が上がるにつれて、ところどころ雨が降っているところも。とはいえ、パラリと降られるくらいで、体が濡れるほどではない。
ところどころ傾斜が緩くなるシーンを挟みつつ、順調に高度を上げていく。ところどころで木々の切れ目から雄大な景色が見えるタイミングも。ペースを守って登っていくと、第2給水所が見えてくる。
日本愛妻家協会の聖地である「嬬恋」に設置された「愛妻の鐘」が設置された嬬恋牧場に設置された第2給水所では地元の高校生たちが応援しつつドリンクを渡してくれる。ここまでくればもう少し、声援に力を得て踏み込んでいく。
道の左側には残りの距離を記したカラーコーンが設置されているので、サイクルコンピューターをつけていなくてもペース配分しやすいのは嬉しいポイント。貼られた距離表示が減っていくにつれて、気温が下がっていくのが実感できる。ヒルクライムで上がった体温を冷ますにはちょうどいい。
そしてラスト、左側に大きく曲がっていった先に目指したフィニッシュラインが見えてくる。ラストスパートをかけた後は、そのままいったん万座温泉街方面へ下り、下山用荷物を受け取り、フィニッシュエイドへ。
こちらでは笹まんじゅうとあったかーいコーンポタージュがふるまわれ、少し冷え初めてきた身体を温めることができる。そのまま下山待機列へと並び、いくつかのグループに分かれつつ下山していく。
下山した会場では、改めていくつものグルメが振る舞われることに。名産のキャベツもろきゅうや肉みそでいただけたり、ゆでとうきびや温まる豚汁など数々の地産品を活かしたおもてなしにあずかる。
完走者には、キャベツがマルっと一玉プレゼントされるのも、お土産にぴったり。ちなみに参加賞もキャベツがリアルにプリントされたサコッシュだったりと、キャベヒルの愛称に違わぬ企画に。
ステージで各カテゴリーの表彰が行われた後は、ゲストとして一緒に走ってくれたNIPPOヴィーニファンティーニの選手らのトークショーに。グランツールにも出場する強豪チームの生の声を聴けるとあって、ステージの前には多くの人が詰めかけた。
日本の印象や今回の大会、(残念ながら中止となってしまったが)ツール・ド・北海道に向けての意気込みなど、今年で現役を引退するクネゴを筆頭にチームの面々が語った。
最後は、ファンの皆さんと記念撮影タイムが設けられ、今年の嬬恋キャベツヒルクライムも大団円で終幕。日本屈指の避暑地が至近のロケーション、キツ過ぎず楽過ぎないコース、そしてヒルクライムレースと思えない充実したグルメエイドなど、着々と人気を増していく理由が窺える、笑顔がいっぱいの一日だった。
そうそう。今回の取材にあたってはE-BIKEを投入することになったのだが、本格的なヒルクライムコースを越えてなお電池残量は60%以上。同じくらいの峠をもう1本越えてなお余裕がある航続距離だ。
そして、アシストがあるとはいえ、ある程度速く走ろうとすると、しっかり踏み込む必要もあり、決して安楽な乗り物ではないことも実感した。途中、平坦な区間で追い越されたNIPPOのマルコ選手に追いつこうと急勾配区間で踏み込んだ時は、普段のヒルクライムレースでもがくのと同じくらいの負荷がかかる瞬間も。とはいえアシストがなければ、決して追いつくことができるはずもない脚力の差があることを考えれば、E-BIKEの有用性は極めて大きい。
普通のスポーツバイクが負荷を調整する能力をギア比の変化でしか対応できないのに対して、パワーモードやアシスト量など、複数の要素によって調整することができるE-BIKEは、速度の差こそあれ、脚力のない人もある人も体感の強度を自動的に調整してくれるような機能を持っていると感じる。
text&photo:Naoki.Yasuoka
Amazon.co.jp