2018/07/25(水) - 12:18
じりじりとした空気が列島を覆い始めた、7月中旬。福島県南会津町を舞台に、今年も「走ってみっぺ南会津!」が開催された。アットホームな雰囲気で人気を博すロングライドイベントのレポートをお届けしましょう。
西日本を襲った驟雨が収まったかと思えば、出番を奪われていた太陽が一気にその存在を主張するかのような暑い日差しを降り注がせた7月の第2週。海の日の3連休の中日に、シクロワイアード編集部は一路東北道を北へと向かっていた。
目指すは西那須野塩原インターチェンジ。日本でも最も自転車に理解ある街、宇都宮のさらに先にある避暑地へ繋がる玄関口だ。高速道路を降りると、すでにそこはバカンス気分の車が沢山。牧場やチーズ工房など、避暑地らしいスポットが軒を連ねる中、私たちのハイエースは更に山奥へと進んでいく。
本当の目的地は、栃木を越えて東北の玄関である福島県南会津町。山を2つほど越えていくと、少しづつ気温も下がってくるのを感じる。暑いことには変わりないけれど、東京のコンクリートジャングルよりは断然過ごしやすくなってきた。
まだ夏至から1か月、太陽が会津の山々に隠れるにはもう少しかかりそうな頃合いに前夜祭が行われる会津高原たかつえスキー場・スペーシアへ車を滑り込ませる。夏場はMTBコースとして営業するスキー場の大食堂前には、すでに多くの人々が集まっていた。
受付開始と同時に、会場へと吸い込まれていくみなさん。各宿泊先ごとに分けられた席へと着いていく。そう、地酒をはじめとした飲み放題の前夜祭を楽しむために、それぞれの宿から送迎が出ているのだ。会場の駐車場に車が少ないのは当然でもある。そうそう、大会よりも先に定員に達するというのも、この前夜祭の特徴でも。
全面ガラス張りの食堂は、注ぎ込む太陽の光と集まった皆さんの熱気でだんだん気温も上昇。少し蒸してきたこともあり、本格的な乾杯のまえにウェルカムドリンクが配られる。そう、この地には、南会津町乾杯条例があり、乾杯は地元酒で、というルールがあるのだ。なので、とりあえずの駆けつけ一杯は、ノーカンです!とアナウンスするのは大会MCでおなじみの棚橋麻衣さん。
今年は、例年会場を盛り上げてくれる宇都宮ブリッツェンの廣瀬GMは都合がつかず、絹代さんは第2子のご出産直後(おめでとうございます!)とあって登壇せず。代わりに、元ブリッツェンフェアリーの杏寿沙さんとミホさんがゲストとして参戦。走ってみっぺ南会津の魅力を語るトークショーから前夜祭は幕を開けた。
ホストチームである那須ブラ―ゼン、そして直前に行われた石川ロードで圧倒的な試合運びを見せた宇都宮ブリッツェン、そしてライブガーデンビチステンレの皆さんが登壇。明日共に走ってくれるみなさんが挨拶してくれた。
3人によるトークで会場の雰囲気も気温を追い越すほどに温まってきたところで、恒例の鏡開きタイム!大会代表幹事の星和男氏を中心に、幻の銘酒とも言われる花泉の樽へ木槌を勢いよく振り下ろせば、澄み切った清酒が顔を覗かせる。
各テーブルに特製おちょこが配られ、一斉にカンパーイ!こうして条例にもしっかりのっとり、待ちに待った食事タイムへ。会津ラーメンや会津ソースカツなど、名物グルメに加えて、地産のきのこや岩魚などを使った料理がふんだんに供された。さらには会津のB級グルメ、カレー焼きそばなんてものも。
翌日のライドへ向けて、エネルギーをしっかり補給できるラインアップで、お腹いっぱいいただくことに。会場外の通路では、日本古来の整体方法である「腱引き」の体験会も行われ、多くの人が明日へ向けて体の調子を整える。
だいぶ満腹な雰囲気が流れ出したころに、今年も舘岩大太鼓のパフォーマンスが。毎年見ていると、年々迫力が増しているようにも。4年前には小学生くらいだった男の子の打ち手も、大きくなったなーなんて思ってみたり。圧巻のライブが終われば、〆は豪華賞品の当たる大抽選会。花泉や、会津高原アストリアホテルの宿泊券など魅力的な賞品を前に、読み上げられた番号に一喜一憂しつつ、夜は更けいくのだった。
さて、そんな大盛り上がりの前夜祭から明くる朝、会津高原アストリアロッジ前の駐車場にどんどんと参加者が集まってくる。昨年までは、前夜祭の会場であったスペーシアがスタート会場となっていたけれど、今年はより規模を拡大するために、場所を移すことに。
朝7時の時点で、気温はまだ30度に達していないのは高原ならではの涼やかさ。できればこのまま最後まで涼しくあって欲しいけれど、だんだんと会場も暑くなってくる。ちなみに、シクロワイアード編集部として取材にお邪魔するようになってから、実はこの大会一度も雨に降られたことがない、晴れの特異点のような大会でもある。今年も朝から抜けるような青い空で、文句のつけようのない快晴に。
さらに、今年から会場に設けられたステージトラックでは、スタート前にゲストライダーたちが登壇し、さらに熱い挨拶をくれた。最長コースとなる100km、伊南川の上流部を行く60km、もっとも短い30kmコース、それぞれにサポートライダーとして那須ブラ―ゼンや宇都宮ブリッツェン、ライブガーデンビチステンレの選手ら、そして地元出身の渡邉歩(GSCブラニャック)がともに走ってくれるというのだ。人数に対するプロライダーの比率でいえば、日本で最も密度の高いロングライドイベントかも。
そして、毎年恒例の集合写真を皆で撮影。後ろへとながーく伸びた行列から例年以上の賑わいが伝わってくる。そして定刻となる8時には、MCの棚橋さんと杏寿沙さんによる見送りコールを受けながら、100kmコースの参加者たちから順に15人程度の小グループでスタートだ。
昨年までのスタート地点と異なるのは、実は安全面でも大きな意味がある。走ってみっぺ南会津は、最初に3kmほどのダウンヒルをこなすことになるのだが、昨年のスタート地点からではダウンヒル途中でどうしても交差点を曲がる必要があった。しかし、今回のスタート地点からは、ダウンヒルが終わるまで一本道となっているため、落車のリスクが大幅に減っているのだ。
なるほどこれは快適だ、と思いつつ爽快なダウンヒルを楽しみ、コースの大部分を占める国道352号線へ。美しい流れの舘岩川と絡み合うようにして造られた下り基調の道を爽快に駆け抜けていくと、すぐに第1エイドの舘岩物産館が姿を現した。
朝早めのロングライドイベントだと、第1エイドは朝食エイドのような扱いでそれなりにしっかりとした食べ物が用意されていることも多いけれど、走ってみっぺは軽いおやつが中心のラインアップ。というのも、割とスタートが遅めなのでしっかり宿で朝ごはんを食べてくることが出来るから。
私たちも、6時ごろにホテルの朝食を戴いてから会場へと向かっても余裕があった。実際、この方がしっかりとエネルギーを補給できるし、消化の時間なども考えればなおさら良いはずだし、なによりせっかく遠方に来ているのにコンビニおにぎりの朝ごはんは味気ない。
軽く糖分と水分を補給して、先へと進むことに。屏風岩やマトン丼など、みどころたべどころが沢山の後編へと続きます。
text&photo:Naoki.Yasuoka
西日本を襲った驟雨が収まったかと思えば、出番を奪われていた太陽が一気にその存在を主張するかのような暑い日差しを降り注がせた7月の第2週。海の日の3連休の中日に、シクロワイアード編集部は一路東北道を北へと向かっていた。
目指すは西那須野塩原インターチェンジ。日本でも最も自転車に理解ある街、宇都宮のさらに先にある避暑地へ繋がる玄関口だ。高速道路を降りると、すでにそこはバカンス気分の車が沢山。牧場やチーズ工房など、避暑地らしいスポットが軒を連ねる中、私たちのハイエースは更に山奥へと進んでいく。
本当の目的地は、栃木を越えて東北の玄関である福島県南会津町。山を2つほど越えていくと、少しづつ気温も下がってくるのを感じる。暑いことには変わりないけれど、東京のコンクリートジャングルよりは断然過ごしやすくなってきた。
まだ夏至から1か月、太陽が会津の山々に隠れるにはもう少しかかりそうな頃合いに前夜祭が行われる会津高原たかつえスキー場・スペーシアへ車を滑り込ませる。夏場はMTBコースとして営業するスキー場の大食堂前には、すでに多くの人々が集まっていた。
受付開始と同時に、会場へと吸い込まれていくみなさん。各宿泊先ごとに分けられた席へと着いていく。そう、地酒をはじめとした飲み放題の前夜祭を楽しむために、それぞれの宿から送迎が出ているのだ。会場の駐車場に車が少ないのは当然でもある。そうそう、大会よりも先に定員に達するというのも、この前夜祭の特徴でも。
全面ガラス張りの食堂は、注ぎ込む太陽の光と集まった皆さんの熱気でだんだん気温も上昇。少し蒸してきたこともあり、本格的な乾杯のまえにウェルカムドリンクが配られる。そう、この地には、南会津町乾杯条例があり、乾杯は地元酒で、というルールがあるのだ。なので、とりあえずの駆けつけ一杯は、ノーカンです!とアナウンスするのは大会MCでおなじみの棚橋麻衣さん。
今年は、例年会場を盛り上げてくれる宇都宮ブリッツェンの廣瀬GMは都合がつかず、絹代さんは第2子のご出産直後(おめでとうございます!)とあって登壇せず。代わりに、元ブリッツェンフェアリーの杏寿沙さんとミホさんがゲストとして参戦。走ってみっぺ南会津の魅力を語るトークショーから前夜祭は幕を開けた。
ホストチームである那須ブラ―ゼン、そして直前に行われた石川ロードで圧倒的な試合運びを見せた宇都宮ブリッツェン、そしてライブガーデンビチステンレの皆さんが登壇。明日共に走ってくれるみなさんが挨拶してくれた。
3人によるトークで会場の雰囲気も気温を追い越すほどに温まってきたところで、恒例の鏡開きタイム!大会代表幹事の星和男氏を中心に、幻の銘酒とも言われる花泉の樽へ木槌を勢いよく振り下ろせば、澄み切った清酒が顔を覗かせる。
各テーブルに特製おちょこが配られ、一斉にカンパーイ!こうして条例にもしっかりのっとり、待ちに待った食事タイムへ。会津ラーメンや会津ソースカツなど、名物グルメに加えて、地産のきのこや岩魚などを使った料理がふんだんに供された。さらには会津のB級グルメ、カレー焼きそばなんてものも。
翌日のライドへ向けて、エネルギーをしっかり補給できるラインアップで、お腹いっぱいいただくことに。会場外の通路では、日本古来の整体方法である「腱引き」の体験会も行われ、多くの人が明日へ向けて体の調子を整える。
だいぶ満腹な雰囲気が流れ出したころに、今年も舘岩大太鼓のパフォーマンスが。毎年見ていると、年々迫力が増しているようにも。4年前には小学生くらいだった男の子の打ち手も、大きくなったなーなんて思ってみたり。圧巻のライブが終われば、〆は豪華賞品の当たる大抽選会。花泉や、会津高原アストリアホテルの宿泊券など魅力的な賞品を前に、読み上げられた番号に一喜一憂しつつ、夜は更けいくのだった。
さて、そんな大盛り上がりの前夜祭から明くる朝、会津高原アストリアロッジ前の駐車場にどんどんと参加者が集まってくる。昨年までは、前夜祭の会場であったスペーシアがスタート会場となっていたけれど、今年はより規模を拡大するために、場所を移すことに。
朝7時の時点で、気温はまだ30度に達していないのは高原ならではの涼やかさ。できればこのまま最後まで涼しくあって欲しいけれど、だんだんと会場も暑くなってくる。ちなみに、シクロワイアード編集部として取材にお邪魔するようになってから、実はこの大会一度も雨に降られたことがない、晴れの特異点のような大会でもある。今年も朝から抜けるような青い空で、文句のつけようのない快晴に。
さらに、今年から会場に設けられたステージトラックでは、スタート前にゲストライダーたちが登壇し、さらに熱い挨拶をくれた。最長コースとなる100km、伊南川の上流部を行く60km、もっとも短い30kmコース、それぞれにサポートライダーとして那須ブラ―ゼンや宇都宮ブリッツェン、ライブガーデンビチステンレの選手ら、そして地元出身の渡邉歩(GSCブラニャック)がともに走ってくれるというのだ。人数に対するプロライダーの比率でいえば、日本で最も密度の高いロングライドイベントかも。
そして、毎年恒例の集合写真を皆で撮影。後ろへとながーく伸びた行列から例年以上の賑わいが伝わってくる。そして定刻となる8時には、MCの棚橋さんと杏寿沙さんによる見送りコールを受けながら、100kmコースの参加者たちから順に15人程度の小グループでスタートだ。
昨年までのスタート地点と異なるのは、実は安全面でも大きな意味がある。走ってみっぺ南会津は、最初に3kmほどのダウンヒルをこなすことになるのだが、昨年のスタート地点からではダウンヒル途中でどうしても交差点を曲がる必要があった。しかし、今回のスタート地点からは、ダウンヒルが終わるまで一本道となっているため、落車のリスクが大幅に減っているのだ。
なるほどこれは快適だ、と思いつつ爽快なダウンヒルを楽しみ、コースの大部分を占める国道352号線へ。美しい流れの舘岩川と絡み合うようにして造られた下り基調の道を爽快に駆け抜けていくと、すぐに第1エイドの舘岩物産館が姿を現した。
朝早めのロングライドイベントだと、第1エイドは朝食エイドのような扱いでそれなりにしっかりとした食べ物が用意されていることも多いけれど、走ってみっぺは軽いおやつが中心のラインアップ。というのも、割とスタートが遅めなのでしっかり宿で朝ごはんを食べてくることが出来るから。
私たちも、6時ごろにホテルの朝食を戴いてから会場へと向かっても余裕があった。実際、この方がしっかりとエネルギーを補給できるし、消化の時間なども考えればなおさら良いはずだし、なによりせっかく遠方に来ているのにコンビニおにぎりの朝ごはんは味気ない。
軽く糖分と水分を補給して、先へと進むことに。屏風岩やマトン丼など、みどころたべどころが沢山の後編へと続きます。
text&photo:Naoki.Yasuoka
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