2010/02/22(月) - 15:46
通商産業省グッドデザイン賞の2009年度中小企業庁長官賞を受賞したシングルスピードバイク、"VIGORE UTB-0”。街乗り自転車のあり方について、ビルダーの片岡聖登氏の考えるプロダクツデザインを紹介しよう。
ビゴーレ・カタオカとは
片岡聖登氏は、京都の宝ケ池にあるサイクルショップ”ビゴーレ・カタオカ”の代表でありフレームビルダーである。過去に国内初のダウンヒルバイクを製作・発売するなど時代の流行に敏感である。近年はフレーム・ビルディングからバイク・デザイニングへ、個人に合うオーダーバイク製作に力を入れている。
今回受賞したUTB-0(ユーティービー・ゼロ)は、街乗りバイクのコンセプトでかつシングルギアであることを見ると、流行のピストバイクに見える。しかし、UTB-0は全く違う発想で生まれているという。その意味を問うために、京都にビゴーレ・カタオカを訪ねた。
UTB-0の始まり
UTB-0は元々「芸者」というトリックバイクをプロトタイプに持っている。アメリカでの新潮流であった、街を縦横無尽に飛び回るトリックバイクをビゴーレ流に解釈したのが「芸者-GEISHA-」だった。「トリックバイクの機動特性を街乗りバイクに活かすことができないか?」。そこからUTB-0はスタートしている。
街乗りバイクで重要なのは、段差に負けない強度と、走行していて不安にならない強靭な足回り。その為にクロモリ製の極太ストレートフォークとアルミ製のフレームが組み合わされている。コンフォートバイクに有りがちな「衝撃を緩和するためのサスペンションやフレームの変形」は無い。
しかし、不意な段差によるダメージへの強さ、コーナーを正確に曲がる操縦性を重視した。そしてピストバイクの前傾姿勢ではない、上体を起こした乗りやすいポジションに設定している。
UTB-0の姿
ビゴーレはMTBも製作しているので、丈夫なフレームを製作することはもともと得意である。過去のレース機材の経験も生かされている。
フレームパイプをアルミにしているのは、軽量化と剛性を得るため。アルミは径を太くしたメガチューブにしなければ剛性は得られない。ただ太いのではなく、繊細さを追求して、パイプ径は吟味を重ねてMTBやロードとも違う姿を持つ事ができた。
目につきやすい溶接箇所を全てフィレット加工する事によって醸し出される美しさは、所有欲を満足させるだけでなく、過酷な街乗りという使用での耐久性向上の要素としても十分考慮されている。個性的なオリジナルフォークも合わさって、UTB-0は独自の存在感を創り出している。
UTB-0の感触
シングルスピードであることは、ただピストバイクの形態を模しているわけではなく、自転車のダイレクトな駆動力を感じて欲しいという目的がある。多段ギアではチェーンやギヤを薄く作らなくてはならないため、実は剛性という観点から見ると決して良くは無いのだ。
ピストバイクの「厚歯」と言われるスプロケットとチェーンは、噛み合わせが深い事もあって多段ギアでは味わえない剛性感を感じるはずだ。街のちょっとした坂でも、ペダルを踏む事によって、自分の力が自転車の駆動力によって前へ進む事が実感できるだろう。
UTB-0への思い
こうした要素は、「街を楽に走る」のではなく「街を感じて走る」事を目的にしている。自分の家から街へ、その間にあるコーナーや坂を、自分の力で感じ取り走り抜ける。自転車に乗る事によって得られる五感を鍛えて欲しい。UTB-0には、片岡氏のそんなメッセージが込められいてるのだ。
VIGORE UTB-0
フレーム+フォーク 128,000円
サイズ M/480 L/510
カラー MUSTARD, BLACK GINGER,
(※来店購入のみオーダーカラー(無償)が選択可能)
photo&text: Akihiro.NAKAO
ビゴーレ・カタオカとは
片岡聖登氏は、京都の宝ケ池にあるサイクルショップ”ビゴーレ・カタオカ”の代表でありフレームビルダーである。過去に国内初のダウンヒルバイクを製作・発売するなど時代の流行に敏感である。近年はフレーム・ビルディングからバイク・デザイニングへ、個人に合うオーダーバイク製作に力を入れている。
今回受賞したUTB-0(ユーティービー・ゼロ)は、街乗りバイクのコンセプトでかつシングルギアであることを見ると、流行のピストバイクに見える。しかし、UTB-0は全く違う発想で生まれているという。その意味を問うために、京都にビゴーレ・カタオカを訪ねた。
UTB-0の始まり
UTB-0は元々「芸者」というトリックバイクをプロトタイプに持っている。アメリカでの新潮流であった、街を縦横無尽に飛び回るトリックバイクをビゴーレ流に解釈したのが「芸者-GEISHA-」だった。「トリックバイクの機動特性を街乗りバイクに活かすことができないか?」。そこからUTB-0はスタートしている。
街乗りバイクで重要なのは、段差に負けない強度と、走行していて不安にならない強靭な足回り。その為にクロモリ製の極太ストレートフォークとアルミ製のフレームが組み合わされている。コンフォートバイクに有りがちな「衝撃を緩和するためのサスペンションやフレームの変形」は無い。
しかし、不意な段差によるダメージへの強さ、コーナーを正確に曲がる操縦性を重視した。そしてピストバイクの前傾姿勢ではない、上体を起こした乗りやすいポジションに設定している。
UTB-0の姿
ビゴーレはMTBも製作しているので、丈夫なフレームを製作することはもともと得意である。過去のレース機材の経験も生かされている。
フレームパイプをアルミにしているのは、軽量化と剛性を得るため。アルミは径を太くしたメガチューブにしなければ剛性は得られない。ただ太いのではなく、繊細さを追求して、パイプ径は吟味を重ねてMTBやロードとも違う姿を持つ事ができた。
目につきやすい溶接箇所を全てフィレット加工する事によって醸し出される美しさは、所有欲を満足させるだけでなく、過酷な街乗りという使用での耐久性向上の要素としても十分考慮されている。個性的なオリジナルフォークも合わさって、UTB-0は独自の存在感を創り出している。
UTB-0の感触
シングルスピードであることは、ただピストバイクの形態を模しているわけではなく、自転車のダイレクトな駆動力を感じて欲しいという目的がある。多段ギアではチェーンやギヤを薄く作らなくてはならないため、実は剛性という観点から見ると決して良くは無いのだ。
ピストバイクの「厚歯」と言われるスプロケットとチェーンは、噛み合わせが深い事もあって多段ギアでは味わえない剛性感を感じるはずだ。街のちょっとした坂でも、ペダルを踏む事によって、自分の力が自転車の駆動力によって前へ進む事が実感できるだろう。
UTB-0への思い
こうした要素は、「街を楽に走る」のではなく「街を感じて走る」事を目的にしている。自分の家から街へ、その間にあるコーナーや坂を、自分の力で感じ取り走り抜ける。自転車に乗る事によって得られる五感を鍛えて欲しい。UTB-0には、片岡氏のそんなメッセージが込められいてるのだ。
VIGORE UTB-0
フレーム+フォーク 128,000円
サイズ M/480 L/510
カラー MUSTARD, BLACK GINGER,
(※来店購入のみオーダーカラー(無償)が選択可能)
photo&text: Akihiro.NAKAO