12月23日(土)、東京都調布市の味の素スタジアムにて開催された東京ワンダーレース・味の素スタジアムクリテリウム。首都圏サイクリストにとっては年末の恒例イベントとなったレースの様子をレポートします。



今年も開催された東京ワンダーレース・味の素スタジアムクリテリウム今年も開催された東京ワンダーレース・味の素スタジアムクリテリウム
年の瀬も迫る12月23日、東京都調布市の味の素スタジアムに朝からレーシングウエアに身を包んだカラフルなサイクリストたちがぽつぽつと集まりだす。FC東京のホームスタジアムでもあり、試合のある日にはユニフォームを着たサポーターたちが列を成す姿はよく見るが、この日ばかりは様子が違う。

今年で4年目を迎える東京ワンダーレース・味の素スタジアムクリテリウム(味スタクリテ)に参加するべく集まってきたサイクリストたちで、駐車場は一杯に。車から愛車を下ろし整備に余念のない方もいれば、近隣から自走で来られた方もかなり多かったよう。

冬らしい澄み切った空気の中レースが行われた冬らしい澄み切った空気の中レースが行われた
スタートを待つ選手たちスタートを待つ選手たち 大勢の観客が詰めかけた大勢の観客が詰めかけた


都内から抜群のアクセスを誇ることもあり、自走参加の割合はかなりのもの。多摩地区のサイクリストにとっては、最も気軽に参加できるロードレースイベントでもあるだろう。また、長いようで短い2017シーズンを締めくくる、納会的な位置づけでもある。

ライドイベントの朝はたいがい早いものだけれど、冬場ということもありこの大会はそこまで早いわけではない。最初のカテゴリーとなるビギナークラスの出走が8時15分と、無理のない時間設定となっており、週末のツーリングに出かけるために早起きすることを考えれば余裕をもって惰眠を貪れる、かもしれない。

積極的に逃げを狙う選手も多かった積極的に逃げを狙う選手も多かった 味の素スタジアムをバックに走っていく味の素スタジアムをバックに走っていく

クランクの出口も人気の応援スポットだクランクの出口も人気の応援スポットだ スプリントに向けてもがき始めるスプリントに向けてもがき始める


味の素スタジアムの外周をぐるりと周る特設コースにアップダウンはなく、完全な平坦レース。ヘアピンと90度コーナーが1か所ずつとクランクが1か所あり、それらの処理が大きく勝敗に影響する、ちょっぴりテクニカルな側面もありつつも、基本的には走りやすく初心者でも安心できるコースレイアウトだ。

レースを多少なりとも経験したことがある人向けのクラスとなるビギナーから始まったレースは、レース初心者向けのエントリークラス、50歳以上のマスター、女性向けのレディースという順序で進行していく。逃げ切りを成功させるクラスもあれば、集団スプリントに持ち込まれるクラスもあり、白熱したレースが繰り広げられていく。

女性向けのクラスも用意された女性向けのクラスも用意された スムーズかつ迫力のあるエキスパートカテゴリースムーズかつ迫力のあるエキスパートカテゴリー


最終周にはジャンが鳴りひびく最終周にはジャンが鳴りひびく 優勝者にはインタビューの機会も優勝者にはインタビューの機会も


エキスパートの部はマッチスプリントに持ち込まれたエキスパートの部はマッチスプリントに持ち込まれた 優勝者にはチャンピオンジャージが贈られる優勝者にはチャンピオンジャージが贈られる


一旦試走時間を挟み、実業団E2,E3レベルのミドル、トップレベルのエキスパートクラスが行われる。これまでのクラスとは異次元のスピードやスムーズなコーナーワークやぺダリングを披露するこれらの中上級クラスは、観戦する側も熱が入ろうというもの。エキスパートクラスには、ツール・ド・おきなわを連覇中の高岡選手も参加し、注目を集めていた。その後は中高生のジュニアクラスや小学校高学年のキッズクラスが行われ、メインコースで行われるクリテリウムレースは終了。

しかし、会場の人数は全く減っている気配はない。なぜなら「イヤーエンドエンデューロ」と銘打った2時間の耐久レースがこの後にまっているから。ソロでもチームでも参加できるこの年越しエンデューロレースは今年で3回目を迎えるが、初回からたくさんの人気が集まった種目である。

ずらり並んだイヤーエンドエンデューロの参加者たちずらり並んだイヤーエンドエンデューロの参加者たち
パラサイクリングのロードタイムトライアル世界チャンピオンである野口佳子さんも登場パラサイクリングのロードタイムトライアル世界チャンピオンである野口佳子さんも登場 仲間の待つピットへと入っていく仲間の待つピットへと入っていく


イヤーエンドエンデューロは自転車の列が途切れないイヤーエンドエンデューロは自転車の列が途切れない
1周1.2kmほどなので、あっという間に仲間が帰ってくるので応援できる回数も増えるし、ピットインのチャンスも多いので、エンデューロレースの楽しみがギュギュっと濃縮されている。そんな濃密な2時間を過ごしている横では、ショートコースで子供たちのレースが繰り広げられた。

午前中に、東京ヴェントスの選手たちをコーチとして行われたレーシングスクールの成果を試すようなキッズレースは、小さいながらも白熱の展開。もちろん応援する親御さんたちもヒートアップし、冬の寒さはどこへやら。メインコースもショートコースも大盛り上がりである。

一本橋に挑戦する子どもたち一本橋に挑戦する子どもたち 高木三千成先生とかわいらしい生徒のみなさん高木三千成先生とかわいらしい生徒のみなさん


ヴェントスの選手が講師となるキッズスクールヴェントスの選手が講師となるキッズスクール キッズスクールに集まった皆さんキッズスクールに集まった皆さん


作家の高千穂遙先生によるサイン会も作家の高千穂遙先生によるサイン会も 荷物預かりもあるので、自走ソロ参加でも安心荷物預かりもあるので、自走ソロ参加でも安心


会場には多くのケータリングサービスも用意され、会場から離れることなく昼食をいただくことができるのも、うれしいポイント。会場から至近にレストランやコンビニもあるので、自分の出走時間などと相談して、マイペースで過ごすことができる。

また、会場内にはなぜかドーンとバスが鎮座している。こちらは地元の京王バスさんの協力で、バスの死角を体験できる展示となっていた。実際にバスの運転席に座って、運転手さんの視界を確認できるということで、路線バスが多く行きかう都内在住のサイクリストにとっては非常に勉強になる。少し本来の意図とは違うけれど、家族連れのお子さんが運転手気分を味わえるアトラクションとしても人気だったよう。

京王バスの協力で、バスの死角を体験できる展示が京王バスの協力で、バスの死角を体験できる展示が
運転席からの視界を体験できる運転席からの視界を体験できる 外壁には実際にバス対自転車の事故事例が張り出された外壁には実際にバス対自転車の事故事例が張り出された


そんなこんなで、すべてのプログラムを終えた後は、お楽しみの抽選会へ。今年も協賛のグロータックから高級ローラー台の「GT-Roller Flex3」が用意され、抽選会は大盛り上がり。ちなみにイヤーエンドエンデューロの優勝チームにもローラー台が贈られるので、脚に自信のある方はぜひ狙ってみては?

都心にほど近いスポットで、初心者から上級者までレースを手軽に楽しむことができる味スタクリテ。こういった気軽なイベントが増えていけば、もっとロードレースも身近なスポーツになりそうだという希望を感じさせてくれる素敵なレースだ。

text&photo:Naoki.Yasuoka

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