2017/12/23(土) - 09:12
自転車と鉄道、二つを愛する「テツ店長」ことバイクプラス多摩センターの河井孝介さんの輪行サイクリング紀行。豪華ゲスト陣を迎えた輪行ライドは鉄道ならではの行動範囲を活かし、軽井沢から千葉県へ。前編レポートはこちらからどうぞ
みなさんこんにちは!テツ店長の輪行紀行は、鉄道好きサイクリストによる鉄分豊富な輪行サイクリングの二日目をお届けします。今回は千葉のディープな鉄道スポット巡りの旅となります。
前日の夜はトレインホステル北斗星で寝台列車の旅を楽しみ(気分だけですが……)、さっぱりと目覚めたあとは、再び自転車を担ぎ総武線経由で千葉方面に向かいました。ちなみにこちらのホステル、出るとすぐ隣がJR総武線の錦糸町駅入口という非常に便利な立地で、自転車を担いで移動する身には非常に助かります。
千葉方面はもちろんですが、東京駅までも1駅8分というアクセスの良さもあるので、早朝東京駅を出発したい方にも利用価値は高い宿泊施設かと思いますよ!
そして、ボックスシート付きの快速エアポート成田に揺られること約80分、やってきたのはJR成田線の空港第二ビル駅。一見サイクリングとは全く縁の無さそうな駅ですが、まずはここにあるテツスポットを巡りがてらサイクリングをスタートしようというのが本日の予定なのです。
まず改札を出ると、ここから先は空港に向かう人達と別れて、いかつい警察官が見張っている横にある、人の気配が全くない閑散とした通路に入っていきます。そのまま奥へ進んで行くのですが、この通路がけっこう長い!誰もいないにもか関わらず照明で明るく照らされた殺風景な通路を進んでいくのは、秘密基地に向かって行くようでちょっとドキドキします♪
何やら監視カメラだらけの通路を500m歩いた先に現れたのは、何とも活気の無い寂れた駅でした。今でこそ"東成田駅"と呼ばれていますが、何を隠そうここがかつての"成田空港駅"だったと言うのです。にわかには信じられない話なのですが……。
よくよく周囲を観察すると、広いコンコースの大部分は塀で目隠しされており、塀のすき間から奥を覗いて見ると、何やら時間の止まった空間がそこにはありました。
案内板やコーヒーショップといった遺構もそのままの状態で残されており、当時は多くの人が行き交って賑わっていたことが偲ばれます。それにしても、良くこれだけ思い切り良く放置してきたものだと、古いモノには目がないテツ店長にとっては、まるで昭和のテーマパークに来たようで失礼ながらワクワクしてしまいます!
更に改札を通ってホームまで下りてみると、これまたどうでしょう!そのまま昭和の成田空港駅が残っているではありませんか!!かつては2面4線あったホームのうち現在は1面2線だけが東成田駅として使用されており、お隣のホームは当時のまま放置、もとい保存されていたのでした(笑)
1991年の現成田空港駅開業で主役の座を譲って以来、これだけ大っぴらに遺構を残してくれた京成電鉄さんには感謝の言葉もありませんが、それにしてもなかなかシュールな光景が広がっていました。
ここで思い思いに鉄道遺構を楽しんだ一同ですが、お次は日本一短い鉄道会社に乗車することにします。ここ京成電鉄の終点、東成田駅からさらに先に延びるのが、日本一短い路線の鉄道会社"芝山鉄道"です。
この芝山鉄道、空港建設によって交通が寸断される地域住民の補償のために2002年に開通した路線で、終点の芝山千代田駅までわずか2.2kmという距離のため、乗って走り出すとあっと言う間に終点に到着して全線完乗が終了。
初っ端からの鉄道スポット巡りでテンションを上げたところで、ここからいよいよサイクリング開始です!ということで小雨のパラつく中、駅の軒先を借りて自転車を組み立て準備をしていたところ、改札口からやってきた職員の方に声を掛けられました。
しばらくお話していると、ここ芝山千代田駅の駅長さんとのことで、こちらも鉄道好きのサイクリストである旨自己紹介。するといったん事務室に引き返して駅長さん、戻ってきたその手には何やらいろいろ詰まった紙袋が。
紙袋の中身を覗いてみると、いろんな鉄道会社の非売品グッズがいっぱい!うれしい差し入れに一同感動しながら、お礼ののちに出発したのでした(笑)ここから目指す銚子までは約50km、内陸から海沿いに出て千葉らしい丘陵地帯のゆるいアップダウンを進んでいきます。
ここはやはり本職のナカジを機関車にして牽いてもらうことにして、編集部イソベとテツ店長は客車としてナカジにぶら下がりでラクさせてもらいましたが、その走りはさすがプロサイクリスト!周囲のクルマや仲間への目配り、気配りが行き届いた絶妙な走りに、後ろにくっついて走りながら終始感心することばかりでした。
そんなナカジの献身的な牽きのおかげで、ちょうどお昼の時間に合わせるように、目的地の外川漁港にある食堂に到着することができました!漁港の外れにポツンと立つ、掘っ立て小屋(失礼!)風情のこちらの食堂、長年風雨にさらされて見た目にいい味を出していましたが、出てきた料理もこれまたいい味なのでありました(笑)
入口の扉も開け放たれたオープンエアーな店内で、潮風を感じながら頂くマグロ丼に名物"サルエビの天ぷら"、どれも美味しゅうございました。
海の幸を楽しんだら、後半は再び鉄道スポット巡りを再開しましょう♪♪ということで、ここ銚子まで来たらやっぱり"銚子電鉄"に乗らないわけにはいきません!一時期倒産しかけたものの、苦肉の策で売り出した"ぬれせんべい"がネットで拡散して大当たり!そんなこんなで逆境を乗り越えてきた奇跡の鉄道……。
全長6.4kmのミニ鉄道会社ながら、今ではすっかり有名になって観光路線として人気を呼び、色々なイベントも行って活気がありますが、それでも車両や駅舎などは変わらず古いモノが多くて、テツにとってはオイシイ路線であることに変わりはありません。
まず一同は終着駅の雰囲気満点の"外川駅"へ行って存分に見学、それから一駅移動した"犬吠駅"でこの日のサイクリングを切り上げることにしました。犬吠埼灯台にほど近い、ここ"犬吠駅"は銚子電鉄の観光拠点にもなっており、有名な"ぬれせんべい"の手焼きバージョンもこの駅限定で販売していたりします。
それともう一つ、銚子電鉄の名物だった"観音駅"のたい焼き売店が、今年の3月末で閉店となり残念に思っていたのですが、これが6月に犬吠駅でリバイバルしたとのことで、是非とも立ち寄ってみたいと思っていたのでした。
かく言うテツ店長、閉店直前の3月に一度訪問したのですが、残念ながらその日はすでに売り切れで、泣く泣くあきらめて帰ったという心残りな体験をしており、その無念を晴らすためにも今回ここだけは外せないとの思いでやって来たという、いわくつきのたい焼きなのでした(涙)
念願かなって銚電名物のたい焼きをほおばり、気さくな売店のお母さん達としばし雑談を楽しんでいると、お迎えの電車がガタゴトとやってきました!
もと京王電鉄の古い車両は、テツ店長が小学生の頃お世話になったこともある懐かしい車両で、今ではほとんど見ることの無くなった、"スタフ"と言われる通行手形を運転士さんと駅員さんが受け渡しする光景やオモシロ駅名などなど、わずか16分という短い乗車時間ながら、一同存分に乗り鉄を楽しませて頂きました(笑)
今回は青春18きっぷの旅なので、終点の銚子駅からはJRの普通列車に乗り換えます。東京までは普通列車に揺られて約2時間半、旅情を誘うボックスシートに座って、犬吠駅売店のお母さんに頂いた手焼きのぬれせんべいをかじりながら鉄道談議に花を咲かせていると、今回の輪行ライドの終点"東京駅"まで戻ってきてしまいました……。
ここからナカジは新幹線に乗り換えて、地元の福井まで戻らなければならないのです。最後はやはりテツらしく、復活なった東京駅丸の内口の赤レンガ駅舎でお別れしましょう!ということになり、荘厳なレンガ造りのドーム下までやってきて、またの再会を約束して解散となりました。
2日間フル稼働で遊んだ心地良い疲労感を感じつつ、帰りの電車の中では来年はどこに行こうか?などと、早くも次の計画を立て始めているテツ店長なのでした。
キナンサイクリングチーム・中島康晴様、シクロワイアード編集部・磯部聡様
2017年夏、忘れられない思い出をどうもありがとうございました!
旅する人 河井孝介プロフィール
バイクプラス多摩センターの店長を務める49歳。前職で足かけ10年にわたる勤務を鉄道の無い(モノレール除く)沖縄県で過ごした反動からか、帰京後は輪行サイクリングの虜となり、現在は鉄道と自転車を組み合わせ、鉄道廃線跡や未成線など鉄道の歴史を辿るサイクリングをライフワークとする。鉄道趣味のジャンルは「乗り鉄」。旧国鉄型車両を心から愛し、ひそかにJR全線乗車にチャレンジ中。非常勤の防衛省職員である予備三等陸曹の身分も合わせ持っている。
みなさんこんにちは!テツ店長の輪行紀行は、鉄道好きサイクリストによる鉄分豊富な輪行サイクリングの二日目をお届けします。今回は千葉のディープな鉄道スポット巡りの旅となります。
前日の夜はトレインホステル北斗星で寝台列車の旅を楽しみ(気分だけですが……)、さっぱりと目覚めたあとは、再び自転車を担ぎ総武線経由で千葉方面に向かいました。ちなみにこちらのホステル、出るとすぐ隣がJR総武線の錦糸町駅入口という非常に便利な立地で、自転車を担いで移動する身には非常に助かります。
千葉方面はもちろんですが、東京駅までも1駅8分というアクセスの良さもあるので、早朝東京駅を出発したい方にも利用価値は高い宿泊施設かと思いますよ!
そして、ボックスシート付きの快速エアポート成田に揺られること約80分、やってきたのはJR成田線の空港第二ビル駅。一見サイクリングとは全く縁の無さそうな駅ですが、まずはここにあるテツスポットを巡りがてらサイクリングをスタートしようというのが本日の予定なのです。
まず改札を出ると、ここから先は空港に向かう人達と別れて、いかつい警察官が見張っている横にある、人の気配が全くない閑散とした通路に入っていきます。そのまま奥へ進んで行くのですが、この通路がけっこう長い!誰もいないにもか関わらず照明で明るく照らされた殺風景な通路を進んでいくのは、秘密基地に向かって行くようでちょっとドキドキします♪
何やら監視カメラだらけの通路を500m歩いた先に現れたのは、何とも活気の無い寂れた駅でした。今でこそ"東成田駅"と呼ばれていますが、何を隠そうここがかつての"成田空港駅"だったと言うのです。にわかには信じられない話なのですが……。
よくよく周囲を観察すると、広いコンコースの大部分は塀で目隠しされており、塀のすき間から奥を覗いて見ると、何やら時間の止まった空間がそこにはありました。
案内板やコーヒーショップといった遺構もそのままの状態で残されており、当時は多くの人が行き交って賑わっていたことが偲ばれます。それにしても、良くこれだけ思い切り良く放置してきたものだと、古いモノには目がないテツ店長にとっては、まるで昭和のテーマパークに来たようで失礼ながらワクワクしてしまいます!
更に改札を通ってホームまで下りてみると、これまたどうでしょう!そのまま昭和の成田空港駅が残っているではありませんか!!かつては2面4線あったホームのうち現在は1面2線だけが東成田駅として使用されており、お隣のホームは当時のまま放置、もとい保存されていたのでした(笑)
1991年の現成田空港駅開業で主役の座を譲って以来、これだけ大っぴらに遺構を残してくれた京成電鉄さんには感謝の言葉もありませんが、それにしてもなかなかシュールな光景が広がっていました。
ここで思い思いに鉄道遺構を楽しんだ一同ですが、お次は日本一短い鉄道会社に乗車することにします。ここ京成電鉄の終点、東成田駅からさらに先に延びるのが、日本一短い路線の鉄道会社"芝山鉄道"です。
この芝山鉄道、空港建設によって交通が寸断される地域住民の補償のために2002年に開通した路線で、終点の芝山千代田駅までわずか2.2kmという距離のため、乗って走り出すとあっと言う間に終点に到着して全線完乗が終了。
初っ端からの鉄道スポット巡りでテンションを上げたところで、ここからいよいよサイクリング開始です!ということで小雨のパラつく中、駅の軒先を借りて自転車を組み立て準備をしていたところ、改札口からやってきた職員の方に声を掛けられました。
しばらくお話していると、ここ芝山千代田駅の駅長さんとのことで、こちらも鉄道好きのサイクリストである旨自己紹介。するといったん事務室に引き返して駅長さん、戻ってきたその手には何やらいろいろ詰まった紙袋が。
紙袋の中身を覗いてみると、いろんな鉄道会社の非売品グッズがいっぱい!うれしい差し入れに一同感動しながら、お礼ののちに出発したのでした(笑)ここから目指す銚子までは約50km、内陸から海沿いに出て千葉らしい丘陵地帯のゆるいアップダウンを進んでいきます。
ここはやはり本職のナカジを機関車にして牽いてもらうことにして、編集部イソベとテツ店長は客車としてナカジにぶら下がりでラクさせてもらいましたが、その走りはさすがプロサイクリスト!周囲のクルマや仲間への目配り、気配りが行き届いた絶妙な走りに、後ろにくっついて走りながら終始感心することばかりでした。
そんなナカジの献身的な牽きのおかげで、ちょうどお昼の時間に合わせるように、目的地の外川漁港にある食堂に到着することができました!漁港の外れにポツンと立つ、掘っ立て小屋(失礼!)風情のこちらの食堂、長年風雨にさらされて見た目にいい味を出していましたが、出てきた料理もこれまたいい味なのでありました(笑)
入口の扉も開け放たれたオープンエアーな店内で、潮風を感じながら頂くマグロ丼に名物"サルエビの天ぷら"、どれも美味しゅうございました。
海の幸を楽しんだら、後半は再び鉄道スポット巡りを再開しましょう♪♪ということで、ここ銚子まで来たらやっぱり"銚子電鉄"に乗らないわけにはいきません!一時期倒産しかけたものの、苦肉の策で売り出した"ぬれせんべい"がネットで拡散して大当たり!そんなこんなで逆境を乗り越えてきた奇跡の鉄道……。
全長6.4kmのミニ鉄道会社ながら、今ではすっかり有名になって観光路線として人気を呼び、色々なイベントも行って活気がありますが、それでも車両や駅舎などは変わらず古いモノが多くて、テツにとってはオイシイ路線であることに変わりはありません。
まず一同は終着駅の雰囲気満点の"外川駅"へ行って存分に見学、それから一駅移動した"犬吠駅"でこの日のサイクリングを切り上げることにしました。犬吠埼灯台にほど近い、ここ"犬吠駅"は銚子電鉄の観光拠点にもなっており、有名な"ぬれせんべい"の手焼きバージョンもこの駅限定で販売していたりします。
それともう一つ、銚子電鉄の名物だった"観音駅"のたい焼き売店が、今年の3月末で閉店となり残念に思っていたのですが、これが6月に犬吠駅でリバイバルしたとのことで、是非とも立ち寄ってみたいと思っていたのでした。
かく言うテツ店長、閉店直前の3月に一度訪問したのですが、残念ながらその日はすでに売り切れで、泣く泣くあきらめて帰ったという心残りな体験をしており、その無念を晴らすためにも今回ここだけは外せないとの思いでやって来たという、いわくつきのたい焼きなのでした(涙)
念願かなって銚電名物のたい焼きをほおばり、気さくな売店のお母さん達としばし雑談を楽しんでいると、お迎えの電車がガタゴトとやってきました!
もと京王電鉄の古い車両は、テツ店長が小学生の頃お世話になったこともある懐かしい車両で、今ではほとんど見ることの無くなった、"スタフ"と言われる通行手形を運転士さんと駅員さんが受け渡しする光景やオモシロ駅名などなど、わずか16分という短い乗車時間ながら、一同存分に乗り鉄を楽しませて頂きました(笑)
今回は青春18きっぷの旅なので、終点の銚子駅からはJRの普通列車に乗り換えます。東京までは普通列車に揺られて約2時間半、旅情を誘うボックスシートに座って、犬吠駅売店のお母さんに頂いた手焼きのぬれせんべいをかじりながら鉄道談議に花を咲かせていると、今回の輪行ライドの終点"東京駅"まで戻ってきてしまいました……。
ここからナカジは新幹線に乗り換えて、地元の福井まで戻らなければならないのです。最後はやはりテツらしく、復活なった東京駅丸の内口の赤レンガ駅舎でお別れしましょう!ということになり、荘厳なレンガ造りのドーム下までやってきて、またの再会を約束して解散となりました。
2日間フル稼働で遊んだ心地良い疲労感を感じつつ、帰りの電車の中では来年はどこに行こうか?などと、早くも次の計画を立て始めているテツ店長なのでした。
キナンサイクリングチーム・中島康晴様、シクロワイアード編集部・磯部聡様
2017年夏、忘れられない思い出をどうもありがとうございました!
旅する人 河井孝介プロフィール
バイクプラス多摩センターの店長を務める49歳。前職で足かけ10年にわたる勤務を鉄道の無い(モノレール除く)沖縄県で過ごした反動からか、帰京後は輪行サイクリングの虜となり、現在は鉄道と自転車を組み合わせ、鉄道廃線跡や未成線など鉄道の歴史を辿るサイクリングをライフワークとする。鉄道趣味のジャンルは「乗り鉄」。旧国鉄型車両を心から愛し、ひそかにJR全線乗車にチャレンジ中。非常勤の防衛省職員である予備三等陸曹の身分も合わせ持っている。
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