2017/10/25(水) - 09:13
今年で9年目を迎えたグランフォンド八ヶ岳。秋の気配いっぱいの八ヶ岳・白州エリアの山岳を満喫できる、獲得標高2,000m以上におよぶ人気の本格山岳ロングライドイベントだ。エイドを味わいながら走った実走レポートでお届けします。
八ヶ岳南麓、山梨県北杜市を舞台に行われるグランフォンド八ヶ岳。もっとも長い「ロングコース」は距離125km、獲得標高2,000m以上、 標高差約1,000mを誇る日本国内でも屈指の本格山岳グランフォンドだ。
走りながら楽しめる八ヶ岳高原の絶景、地元の方々がボランティアとして参加してくれるあたたかいおもてなし、充実したエイドでのグルメな補給食などで大人気のロングライドイベントだ。
関東ならまだTシャツでも暑いぐらいの気候だが、標高1000mを越えるスタート地点の清里の森、八ヶ岳山麓エリアはすでに色づいた紅葉と、秋をめいっぱい感じる気候だ。この爽やかな気候と一足早い秋を味わうだけでもこのイベントに参加する価値がある。
今年、ロングコースは大きなリニューアルを果たして生まれ変わった。白州・武川エリアが追加・拡大され、従来の距離約108kmが125kmに延長されたのだ。
今回から白州・武川エリアが追加されたことにより、北杜市のほぼ全域を堪能できることに。いままでのコースは山岳部を抜けるイメージだったが、白州と武川が加わったことで田園や河川越しに雄大な八ヶ岳の山脈風景を楽しむことができるように。
獲得標高は約2,400m強になり、さらに走りごたえのある山岳グランフォンドへと生まれ変わった。しかし厳しくなったと同時に、途中に短縮ルートを2箇所用意することで、当日のコンディションによって4通りのなかから自由にコースを選択できる工夫も。例えば走ってみて厳しくなったり、体調不良を感じたらショートカットにより短いコースへと変更できることになったのは安心だ。
ロングコースの「グランフォンド八ヶ岳」のエイドステーションは、とうもろこし、金時パイ、りんご、そば、キャベツなど、地元の秋の味覚を楽しむ8箇所が用意され、制限時間は10時間。また、約74kmの「メディオフォンド八ヶ岳」(制限時間8時間)、グルメを満喫できるエリア周遊の「グルメフォンド八ヶ岳」(制限時間7時間)も用意される。それぞれの完走ルートごとに、異なる完走記念品が贈呈されるという。
また、前日の土曜はウェルカムパーティとして様々なプレイベントも開催される。オフィシャルスポンサーの「ピナレロ・ジャパン」による試乗会や、2018モデルのピナレロ新モデルのいち早い展示も楽しめる。
この週末は両日とも降水確率ほぼ0%の快晴予報。日曜のスタート時間は朝7:00。気温約8℃のなか走り出すことに。コースアドバイザー&ゲストライダーの今中大介さん、三船雅彦さん、デュアスロン日本チャンプのエース栗原さん、そして台湾からのグループ、ピナレロ本社よりルチアーノ・フサポーリさんを迎えて長い長いスタートウェーブが出来た。
走り出せば気温が徐々に上がることは約束済みだが、走り始めの少しの登りを経て長い長い下りになるため、長袖&レッグウォーマーなどの装備は必須だ。
スタートから1kmほど登れば、赤い東沢大橋から八ヶ岳へ向けて視界が開ける。空は紺碧といっていいほどの透き通ったブルー。色づき始めた紅葉とのコントラストが素晴らしい。
しばらくは下り基調で進む。とにかくグングン下る。道端に広がる田んぼはすっかり黄金色。朝の斜めの光に輝く色彩がとてもきれいだ。ところどころに秋の花コスモスが咲き乱れる。
朝9時をすぎると徐々に気温は上がり、半袖でも走れる陽気に。その頃、ちょうどタイミング良く現れるAS2ではアイスクリームが振る舞われた。おにぎりと一緒にアイスは変な感じだけど、炭水化物補給と冷たいアイス補給は、きっと理にかなっている(笑)。このアイスは、すぐ近くのシャトレーゼ白州工場からの提供品だとか。
このグランフォンド八ヶ岳のエイドでは食券制が導入されている。これはお代りする人がいると、エイドに遅く着いた人が補給食を食べれなかったりすることを防ぐ処置だとか。おかげで焦らず走れるのは、撮影で立ち止まることが多い我々取材チームにとってもありがたい。
このあたりからコースに新しく加わった、広々とした白州エリアを感じながら走る。コースの一部は、11月の「南アルプスロングライド」の1日目「白州・韮崎ステージ」でも通るルートであるため、私たちには見覚えがあった。そちらも素晴らしい大会なので楽しみ。
AS3は名物のそばと高原レタスが振る舞われるエイドだ。たっぷり大量に用意されたシャキシャキのみずみずしいレタスを、地元の女子高生たちが取り分けてくれるが、これにドレッシングをかけてそのままムシャムシャ食べるも良し、そばに入れて具材として「レタスそば」として食べるも良し。暑さを感じる時間帯にちょうど良い食感だった。ただしカロリー的に低いのはご愛嬌(笑)。
このあたりから後半の登りが手強く感じられる。見渡す先が遠く感じられるほどの坂を登り詰めると、待っていたのはエース栗原さんの応援。知らない人はまだ多いかもしれないけど、エース栗原さんの大声で励ましてくれる応援(と実際のプッシュ)はこちらが元気を出さざるをえないほどの強力なもの。すごいパワーもらいました!
リンゴ畑とりんご売店でちょっと立ち寄ってのりんごの買い食いを楽しむ人はGF八ヶ岳上級者だ。ちなみに今中大介さんも毎年ここでりんごを買ってガブリとやっている。
山麓線に出てのAS5では、名物の金時芋パイが待っている。ホックホクのおさつの甘みはまさに秋の味。ここからしばらくは標高差も少なく、かつ展望も開けたパノラマルートが楽しめる。「このへんは住んでいる甲府から近いので普段からときどき走るんです。山並みを眺めながら、冬もずっと陽を浴びながら走れて気持ちいいんですよ」と今中さん。
AS6の三代校舎ふれあいの里“おいしい学校”は、なんとも懐かしい風情がある廃校と校庭がいい感じだ。ここでは菓子パンとりんごをいただく。りんごは大量に用意してくれていて、ボランティアのおばちゃんたちに勧められるままにパクパク。「いくつでも食べてっていいのよ〜」との大盤振る舞いが嬉しい。そのお言葉のまま、何個いただいたことやら...。
さぁ、後半の山場、GF八ヶ岳随一の難所の呼び声が高い「海岸寺の坂」だ。つづら折れでじわじわと高度を上げていくこの激坂。蛇行しながら登る人続出。コースも後半になってからのこの急勾配は本当に辛い。
そしてラスト20kmはほとんど登りだ。まぁ、ここまで良く下ったので、スタート/ゴール地点に戻るには登らなければいけないのは当然の摂理(笑)。
後半、エイドごとの距離が短くなり、数キロごとに頻繁に登場することになる。最初は「そんなにたくさんエイドがある必要はないのでは?」と思っていたが、キツくなる後半を実際に走ってみると納得、とにかくお腹が減るのである。この日、終盤は空もぐずりだして気温も冷え、カロリー消費に拍車がかかった。
最後のエイドのAS8では冷たいソフトクリームと味噌付けきゅうりがいただけた。ソフトは有名な清泉寮のソフトそのままの濃厚なミルク味で美味しかったが、ちょっぴりお腹が冷えた。そこでエイド脇の自販機で暖かいコーヒーを飲んでティータイムとした。
AS8からフィニッシュへはそれほど長くない登り。MCさんがフィニッシュする人を一人ひとりコールして迎えてくれるのが嬉しい。フィニッシュのエイドでは豚汁とおにぎりがいただける。走り終えた身体には暖かくて塩っぱいものが本当に嬉しい。これにてロングコースを無事完走。走りごたえはたっぷり。お疲れ様でした!
ピナレロ・ドグマF10とGANの性能を味わいながら走ったGF八ヶ岳
今回、編集部の綾野と細田のふたりは大会スポンサーのピナレロ・ジャパンからドグマF10とGAN RS試乗車をお借りして乗らせていただいた。偶然2人は同じ46.5サイズだったため、2台を途中で乗り換えたりもした。一日をぞんぶんに走ったミニインプレも記そう。
ピナレロのロードバイクは、下って、登ってを繰り返すグランフォンドのようなコースでその実力がしっかりと分かる。ドグマF10はエアロダイナミクスを兼ね備えたオールラウンドバイクで、クライミング性能についてはクリス・フルームのツール・ド・フランス優勝(と今年はブエルタまでも制覇!)で実証済み。軽くて、登れて、エアロ性能にも秀でていることが、走ればすぐに分かる。
ピナレロは他のトップブランドと違い、エアロ系バイクやヒルクライム系バイクなどとモデルごとに分けて開発していない。F10には東レのT1100Gナノアロイというウルトラハイモジュラスカーボンが素材に用いられているが、走りは軽くとも剛性が高すぎるということもなく、快適とさえ感じる乗り心地の良さもある。そして、ダウンヒルのハンドリングの素晴らしさは「気持ちいい」の一言だった。素晴らしいバイクで素晴らしいグランフォンドを走るのは幸せな時間だった。
一日を走り終えてみると、エアロロードは上りで弱点になることがあるし、クライミングバイクもその逆で然り。結局は一台で色々な状況・地形に対応できたほうがロードバイクとしてはメリットがある。そんな結論が見えてきた。
F10はまさに夢の乗り心地で、とにかく素晴らしいの一言に尽きるが、GANも同様に素晴らしくて、「GANは他社ならハイエンドバイク」という同社の位置づけがよく分かる。F10とかなり似たプロフィールなのだ。そう考えるとGANの完成車のプライスはとても魅力的だ。
感心したのは適正フレームサイズ選びの際に、それが細かく用意されていること。F10のじつに13サイズは他ブランドの倍以上のきめ細かさだろう。訊けば、「かつてはジオメトリーオーダーが当たり前だった競技用ロードバイクで、カーボンフレームになったからと言ってサイズやジオメトリーで妥協することがあってはならない」という考えらしい。サイズの選択肢を減らせばコストは下げられるが、それはすべきでないとの考えなのだろう。ロードレーサーとしての基本姿勢を譲らないという思想が貫かれているんだな、と感じた。(綾野 真)
text:Makoto.AYANO
photo:Yuichiro.Hosoda,Makoto.AYANO
八ヶ岳南麓、山梨県北杜市を舞台に行われるグランフォンド八ヶ岳。もっとも長い「ロングコース」は距離125km、獲得標高2,000m以上、 標高差約1,000mを誇る日本国内でも屈指の本格山岳グランフォンドだ。
走りながら楽しめる八ヶ岳高原の絶景、地元の方々がボランティアとして参加してくれるあたたかいおもてなし、充実したエイドでのグルメな補給食などで大人気のロングライドイベントだ。
関東ならまだTシャツでも暑いぐらいの気候だが、標高1000mを越えるスタート地点の清里の森、八ヶ岳山麓エリアはすでに色づいた紅葉と、秋をめいっぱい感じる気候だ。この爽やかな気候と一足早い秋を味わうだけでもこのイベントに参加する価値がある。
今年、ロングコースは大きなリニューアルを果たして生まれ変わった。白州・武川エリアが追加・拡大され、従来の距離約108kmが125kmに延長されたのだ。
今回から白州・武川エリアが追加されたことにより、北杜市のほぼ全域を堪能できることに。いままでのコースは山岳部を抜けるイメージだったが、白州と武川が加わったことで田園や河川越しに雄大な八ヶ岳の山脈風景を楽しむことができるように。
獲得標高は約2,400m強になり、さらに走りごたえのある山岳グランフォンドへと生まれ変わった。しかし厳しくなったと同時に、途中に短縮ルートを2箇所用意することで、当日のコンディションによって4通りのなかから自由にコースを選択できる工夫も。例えば走ってみて厳しくなったり、体調不良を感じたらショートカットにより短いコースへと変更できることになったのは安心だ。
ロングコースの「グランフォンド八ヶ岳」のエイドステーションは、とうもろこし、金時パイ、りんご、そば、キャベツなど、地元の秋の味覚を楽しむ8箇所が用意され、制限時間は10時間。また、約74kmの「メディオフォンド八ヶ岳」(制限時間8時間)、グルメを満喫できるエリア周遊の「グルメフォンド八ヶ岳」(制限時間7時間)も用意される。それぞれの完走ルートごとに、異なる完走記念品が贈呈されるという。
また、前日の土曜はウェルカムパーティとして様々なプレイベントも開催される。オフィシャルスポンサーの「ピナレロ・ジャパン」による試乗会や、2018モデルのピナレロ新モデルのいち早い展示も楽しめる。
この週末は両日とも降水確率ほぼ0%の快晴予報。日曜のスタート時間は朝7:00。気温約8℃のなか走り出すことに。コースアドバイザー&ゲストライダーの今中大介さん、三船雅彦さん、デュアスロン日本チャンプのエース栗原さん、そして台湾からのグループ、ピナレロ本社よりルチアーノ・フサポーリさんを迎えて長い長いスタートウェーブが出来た。
走り出せば気温が徐々に上がることは約束済みだが、走り始めの少しの登りを経て長い長い下りになるため、長袖&レッグウォーマーなどの装備は必須だ。
スタートから1kmほど登れば、赤い東沢大橋から八ヶ岳へ向けて視界が開ける。空は紺碧といっていいほどの透き通ったブルー。色づき始めた紅葉とのコントラストが素晴らしい。
しばらくは下り基調で進む。とにかくグングン下る。道端に広がる田んぼはすっかり黄金色。朝の斜めの光に輝く色彩がとてもきれいだ。ところどころに秋の花コスモスが咲き乱れる。
朝9時をすぎると徐々に気温は上がり、半袖でも走れる陽気に。その頃、ちょうどタイミング良く現れるAS2ではアイスクリームが振る舞われた。おにぎりと一緒にアイスは変な感じだけど、炭水化物補給と冷たいアイス補給は、きっと理にかなっている(笑)。このアイスは、すぐ近くのシャトレーゼ白州工場からの提供品だとか。
このグランフォンド八ヶ岳のエイドでは食券制が導入されている。これはお代りする人がいると、エイドに遅く着いた人が補給食を食べれなかったりすることを防ぐ処置だとか。おかげで焦らず走れるのは、撮影で立ち止まることが多い我々取材チームにとってもありがたい。
このあたりからコースに新しく加わった、広々とした白州エリアを感じながら走る。コースの一部は、11月の「南アルプスロングライド」の1日目「白州・韮崎ステージ」でも通るルートであるため、私たちには見覚えがあった。そちらも素晴らしい大会なので楽しみ。
AS3は名物のそばと高原レタスが振る舞われるエイドだ。たっぷり大量に用意されたシャキシャキのみずみずしいレタスを、地元の女子高生たちが取り分けてくれるが、これにドレッシングをかけてそのままムシャムシャ食べるも良し、そばに入れて具材として「レタスそば」として食べるも良し。暑さを感じる時間帯にちょうど良い食感だった。ただしカロリー的に低いのはご愛嬌(笑)。
このあたりから後半の登りが手強く感じられる。見渡す先が遠く感じられるほどの坂を登り詰めると、待っていたのはエース栗原さんの応援。知らない人はまだ多いかもしれないけど、エース栗原さんの大声で励ましてくれる応援(と実際のプッシュ)はこちらが元気を出さざるをえないほどの強力なもの。すごいパワーもらいました!
リンゴ畑とりんご売店でちょっと立ち寄ってのりんごの買い食いを楽しむ人はGF八ヶ岳上級者だ。ちなみに今中大介さんも毎年ここでりんごを買ってガブリとやっている。
山麓線に出てのAS5では、名物の金時芋パイが待っている。ホックホクのおさつの甘みはまさに秋の味。ここからしばらくは標高差も少なく、かつ展望も開けたパノラマルートが楽しめる。「このへんは住んでいる甲府から近いので普段からときどき走るんです。山並みを眺めながら、冬もずっと陽を浴びながら走れて気持ちいいんですよ」と今中さん。
AS6の三代校舎ふれあいの里“おいしい学校”は、なんとも懐かしい風情がある廃校と校庭がいい感じだ。ここでは菓子パンとりんごをいただく。りんごは大量に用意してくれていて、ボランティアのおばちゃんたちに勧められるままにパクパク。「いくつでも食べてっていいのよ〜」との大盤振る舞いが嬉しい。そのお言葉のまま、何個いただいたことやら...。
さぁ、後半の山場、GF八ヶ岳随一の難所の呼び声が高い「海岸寺の坂」だ。つづら折れでじわじわと高度を上げていくこの激坂。蛇行しながら登る人続出。コースも後半になってからのこの急勾配は本当に辛い。
そしてラスト20kmはほとんど登りだ。まぁ、ここまで良く下ったので、スタート/ゴール地点に戻るには登らなければいけないのは当然の摂理(笑)。
後半、エイドごとの距離が短くなり、数キロごとに頻繁に登場することになる。最初は「そんなにたくさんエイドがある必要はないのでは?」と思っていたが、キツくなる後半を実際に走ってみると納得、とにかくお腹が減るのである。この日、終盤は空もぐずりだして気温も冷え、カロリー消費に拍車がかかった。
最後のエイドのAS8では冷たいソフトクリームと味噌付けきゅうりがいただけた。ソフトは有名な清泉寮のソフトそのままの濃厚なミルク味で美味しかったが、ちょっぴりお腹が冷えた。そこでエイド脇の自販機で暖かいコーヒーを飲んでティータイムとした。
AS8からフィニッシュへはそれほど長くない登り。MCさんがフィニッシュする人を一人ひとりコールして迎えてくれるのが嬉しい。フィニッシュのエイドでは豚汁とおにぎりがいただける。走り終えた身体には暖かくて塩っぱいものが本当に嬉しい。これにてロングコースを無事完走。走りごたえはたっぷり。お疲れ様でした!
ピナレロ・ドグマF10とGANの性能を味わいながら走ったGF八ヶ岳
今回、編集部の綾野と細田のふたりは大会スポンサーのピナレロ・ジャパンからドグマF10とGAN RS試乗車をお借りして乗らせていただいた。偶然2人は同じ46.5サイズだったため、2台を途中で乗り換えたりもした。一日をぞんぶんに走ったミニインプレも記そう。
ピナレロのロードバイクは、下って、登ってを繰り返すグランフォンドのようなコースでその実力がしっかりと分かる。ドグマF10はエアロダイナミクスを兼ね備えたオールラウンドバイクで、クライミング性能についてはクリス・フルームのツール・ド・フランス優勝(と今年はブエルタまでも制覇!)で実証済み。軽くて、登れて、エアロ性能にも秀でていることが、走ればすぐに分かる。
ピナレロは他のトップブランドと違い、エアロ系バイクやヒルクライム系バイクなどとモデルごとに分けて開発していない。F10には東レのT1100Gナノアロイというウルトラハイモジュラスカーボンが素材に用いられているが、走りは軽くとも剛性が高すぎるということもなく、快適とさえ感じる乗り心地の良さもある。そして、ダウンヒルのハンドリングの素晴らしさは「気持ちいい」の一言だった。素晴らしいバイクで素晴らしいグランフォンドを走るのは幸せな時間だった。
一日を走り終えてみると、エアロロードは上りで弱点になることがあるし、クライミングバイクもその逆で然り。結局は一台で色々な状況・地形に対応できたほうがロードバイクとしてはメリットがある。そんな結論が見えてきた。
F10はまさに夢の乗り心地で、とにかく素晴らしいの一言に尽きるが、GANも同様に素晴らしくて、「GANは他社ならハイエンドバイク」という同社の位置づけがよく分かる。F10とかなり似たプロフィールなのだ。そう考えるとGANの完成車のプライスはとても魅力的だ。
感心したのは適正フレームサイズ選びの際に、それが細かく用意されていること。F10のじつに13サイズは他ブランドの倍以上のきめ細かさだろう。訊けば、「かつてはジオメトリーオーダーが当たり前だった競技用ロードバイクで、カーボンフレームになったからと言ってサイズやジオメトリーで妥協することがあってはならない」という考えらしい。サイズの選択肢を減らせばコストは下げられるが、それはすべきでないとの考えなのだろう。ロードレーサーとしての基本姿勢を譲らないという思想が貫かれているんだな、と感じた。(綾野 真)
text:Makoto.AYANO
photo:Yuichiro.Hosoda,Makoto.AYANO
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