2017/09/06(水) - 09:03
今年のエディ・メルクスはカラー変更とともに、既存モデルの軽量仕様やレースジオメトリー仕様などが登場。7月上旬にベルギー王国大使館にて行われた、エディ・メルクス2018モデル展示会の模様をお届け。
2018モデルが一堂に会したエディ・メルクス展示会
生涯通算525勝という偉大な記録を持つロードレース界のレジェンド、エディ・メルクス氏が興した同ブランド。レース機材に強いこだわりをもっていたメルクス氏だけに、ラインアップには高い走行性能を追求したレーシングマシンが数多く揃うのは同社の特徴だろう。ワールドツアークラスへのサポートは行っていないものの、現在もプロコンチネンタルチームを始めとする10チーム弱へ機材供給を行い、世界中のレースで同社のバイクが使用されている。
国内では深谷産業が輸入代理店を務めるエディ・メルクス。そんな同ブランドの展示会が7月に東名阪の3箇所で開催された。昨年に引き続き、東京の開催場所となったのは麹町にあるベルギー王国大使館だ。同国を代表するブランドだけに毎回特別に使用許可が下りて開催されているという。場所が場所だけに、関係者にとっても毎年このイベントくらいでしか立ち入ることのできないレアな機会でもある。
会場となったベルギー王国大使館
入ってすぐにはメルクス氏の肖像画がお出迎え
入ってすぐにはトレードマークでもあるモルテニのウールジャージを着た渋いメルクス氏の肖像画がお出迎え。その先の広いフロアに、壁に沿って18年モデルのバイクがずらりと並んだ。真っ先に置かれたのが昨年刷新されたハイエンドモデルEM-525、その次にはセカンドグレードのサンレモ76と、反時計回りに見ていけば上位グレードから順に各モデルをぐるりと見ることができた。
ベルギー本社からはR&Dの責任者であるロルフ・シンゲンベルガー氏も来日。特に売れ筋だという3モデルをプレゼンにて紹介してくれた。1つ目はセカンドグレードのレーシングバイク「サンレモ76」。ハンドルを低く遠くというエアロなポジションを可能とすることで、ライダーが受ける風の抵抗を減らし、より空力を高める設計が盛り込まれている。また、ダウンチューブからBB、チェーンステーにかけて剛性を高めパワー伝達を向上させるボリュームあるチューブ断面が採用されているのもこのバイクの特徴である。
ベルギー本社からはR&Dの責任者ロルフ・シンゲンベルガー氏が来日
壁際に沿って各モデルがずらりと並べられた
メルクス氏の525勝を称えるフラッグシップ、EM-525
2つ目はカーボンフレームのエントリーモデルに当たる「サランシュ64」。ヘッド長やスタック、リーチを従来モデルに比べよりアグレッシブなものへ変更した、レースジオメトリーとなるパフォーマンスモデルが追加されたのが18年モデルのポイントだ。トレンドに合わせ28cタイヤが装着可能なクリアランスへアップデートされているほか、フロントフォークもトラクション性能と振動吸収性を高めるべくブレードの厚み等が再調整されている。
3つ目はアルミモデルの「ブロックハウス67」。6069アルミ合金を使用し、トリプルバテッドチューブとすることでアルミながら軽いフレームに仕上がっているのが特徴で、カーボンフレームと同じように左右非対称形状や扁平形状のチュービングを行うことで高い走行性能も獲得している。18年モデルではフレームを塗装せずアノダイズド加工を施したモデルが追加となる。ロゴもレーザー処理で入れられ軽量化を図ったこのモデルは、アルミ素材ながらフレーム重量1040gという軽さを実現している。
カーボンのセカンドグレード、サンレモ76には全身をブルーでペイントした新カラーが登場
ヘッドに向かって断面が大きくなるトップチューブは同社のバイクに特徴的な形状
エディ・メルクスの18年モデルにはトップチューブにLEAVE THE PACK BEHIND(集団を置き去りにしろ)のスローガンが入る
その他エディ・メルクスの各モデルは、サイズごとにヘッドアングルやシートアングル、BBドロップを変更しておりサイズごとの乗り味も調整している。また、出荷されるフレームは全てCTスキャンに通すことで高い品質を維持しているのだという。18年モデルは新たにトップチューブに「LEAVE THE PACK BEHIND(集団を置き去りにしろ)」という心憎い文言が入るペイントが施されている。
ロルフ氏は「エディ・メルクスを含め業界全体の開発パフォーマンスは既に高いレベルに達している。そういった中で、我々はより安定した品質の提供を追求していきたいと考えている。後は他のブランドとは違った製品を開発していきたいんだ。創業時からフレームの製作に携わってくれている、職人のヨハンとコラボしてメイドインベルギーのスペシャルなバイクを作りたいとも考えている。
また、近年注目を集めているEバイクのカテゴリーにも注力していきたい。我々は昨年のユーロバイクにてダウンチューブにユニットを搭載できるプロトタイプフレームも発表している。20kg以上にもなるEバイクを10kg台中盤ほどまで軽くし、かつバッテリーも長持ちするよう設計したいね。エディ自身もパワーアシストが効くEバイクであれば、みんなと一緒に走れると気に入っているんだよ」とコメントしてくれた。
アノダイズド加工を施したマットな質感、ロゴはレーザー処理にて入れられる
フルカーボンのフォークはフレームと反対にグロス仕上げ
「より軽くなったブロックハウス67はアルミフレームながらレース用途にも十分対応する」と太鼓判を押す
「サランシュ64のレーシングジオメトリーは昨今の市場の動向を参考にして生まれた」とロルフ氏
よりアグレッシブなジオメトリーとカラーリングが採用されたサランシュ64
国内からのゲストとしては、MTBクロスカントリーにて活躍を見せる「drawer THE RACING」より佐藤寿美選手も来場し、ショップ関係者と交流を図った。同チームは今年よりロードバイク、シクロクロスバイクにおいて深谷産業のサポートを受けエディ・メルクスのバイクが供給されている。
女性モデルのミラノ72を使用しているという佐藤選手は「XXSサイズの展開もあり、男女問わず小柄な人でも乗りやすいバイクですね。小さいサイズですが走りの安定感は抜群です。身長が小さめで合うバイクがないなあと感じている人にはぜひチェックしてほしいですね」と、その性能には満足な様子。シクロクロスにおいては同社のエークロ70を使用するという。
「小柄な私でも乗りやすく、小さいサイズながら安定感は高いですね」と佐藤選手からも好評なミラノ72
シクロクロスにおいても同社のエークロ70を使用するという
エークロ70はディスクブレーキモデルとともにカンチブレーキモデルもラインアップ
メルクス氏の魂が現代に受け継がれるレーシングブランド、エディ・メルクス。18年モデルも魅力的なラインアップが数多く揃い、レース思考のシリアスライダーからロングライド派のサイクリストまで幅広くカバーしてくれることだろう。新たにシクロクロスを始めたい、トライアスロンのためにTTバイクを検討しているといった初めてのバイクにもオススメだ。
text:Yuto.Murata
photo:Yuto.Murata,Gakuto.Fujiwara
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生涯通算525勝という偉大な記録を持つロードレース界のレジェンド、エディ・メルクス氏が興した同ブランド。レース機材に強いこだわりをもっていたメルクス氏だけに、ラインアップには高い走行性能を追求したレーシングマシンが数多く揃うのは同社の特徴だろう。ワールドツアークラスへのサポートは行っていないものの、現在もプロコンチネンタルチームを始めとする10チーム弱へ機材供給を行い、世界中のレースで同社のバイクが使用されている。
国内では深谷産業が輸入代理店を務めるエディ・メルクス。そんな同ブランドの展示会が7月に東名阪の3箇所で開催された。昨年に引き続き、東京の開催場所となったのは麹町にあるベルギー王国大使館だ。同国を代表するブランドだけに毎回特別に使用許可が下りて開催されているという。場所が場所だけに、関係者にとっても毎年このイベントくらいでしか立ち入ることのできないレアな機会でもある。
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入ってすぐにはトレードマークでもあるモルテニのウールジャージを着た渋いメルクス氏の肖像画がお出迎え。その先の広いフロアに、壁に沿って18年モデルのバイクがずらりと並んだ。真っ先に置かれたのが昨年刷新されたハイエンドモデルEM-525、その次にはセカンドグレードのサンレモ76と、反時計回りに見ていけば上位グレードから順に各モデルをぐるりと見ることができた。
ベルギー本社からはR&Dの責任者であるロルフ・シンゲンベルガー氏も来日。特に売れ筋だという3モデルをプレゼンにて紹介してくれた。1つ目はセカンドグレードのレーシングバイク「サンレモ76」。ハンドルを低く遠くというエアロなポジションを可能とすることで、ライダーが受ける風の抵抗を減らし、より空力を高める設計が盛り込まれている。また、ダウンチューブからBB、チェーンステーにかけて剛性を高めパワー伝達を向上させるボリュームあるチューブ断面が採用されているのもこのバイクの特徴である。
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3つ目はアルミモデルの「ブロックハウス67」。6069アルミ合金を使用し、トリプルバテッドチューブとすることでアルミながら軽いフレームに仕上がっているのが特徴で、カーボンフレームと同じように左右非対称形状や扁平形状のチュービングを行うことで高い走行性能も獲得している。18年モデルではフレームを塗装せずアノダイズド加工を施したモデルが追加となる。ロゴもレーザー処理で入れられ軽量化を図ったこのモデルは、アルミ素材ながらフレーム重量1040gという軽さを実現している。
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ロルフ氏は「エディ・メルクスを含め業界全体の開発パフォーマンスは既に高いレベルに達している。そういった中で、我々はより安定した品質の提供を追求していきたいと考えている。後は他のブランドとは違った製品を開発していきたいんだ。創業時からフレームの製作に携わってくれている、職人のヨハンとコラボしてメイドインベルギーのスペシャルなバイクを作りたいとも考えている。
また、近年注目を集めているEバイクのカテゴリーにも注力していきたい。我々は昨年のユーロバイクにてダウンチューブにユニットを搭載できるプロトタイプフレームも発表している。20kg以上にもなるEバイクを10kg台中盤ほどまで軽くし、かつバッテリーも長持ちするよう設計したいね。エディ自身もパワーアシストが効くEバイクであれば、みんなと一緒に走れると気に入っているんだよ」とコメントしてくれた。
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女性モデルのミラノ72を使用しているという佐藤選手は「XXSサイズの展開もあり、男女問わず小柄な人でも乗りやすいバイクですね。小さいサイズですが走りの安定感は抜群です。身長が小さめで合うバイクがないなあと感じている人にはぜひチェックしてほしいですね」と、その性能には満足な様子。シクロクロスにおいては同社のエークロ70を使用するという。
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メルクス氏の魂が現代に受け継がれるレーシングブランド、エディ・メルクス。18年モデルも魅力的なラインアップが数多く揃い、レース思考のシリアスライダーからロングライド派のサイクリストまで幅広くカバーしてくれることだろう。新たにシクロクロスを始めたい、トライアスロンのためにTTバイクを検討しているといった初めてのバイクにもオススメだ。
text:Yuto.Murata
photo:Yuto.Murata,Gakuto.Fujiwara
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