2017/06/10(土) - 10:10
イタリアはベルガモを拠点に開催された「グランフォンド・フェリーチェジモンディ・ビアンキ」に、日本からの10人の参加ツアーで走ったレポートをお届け。本場イタリアのグランフォンドは走りごたえもバッチリだ。(前日までの様子はこちら)
「Granfondo Felice Gimondi Bianchi(グランフォンド・フェリーチェジモンディ・ビアンキ)」は、今年で開催21回目の伝統ある大会。ビアンキの日本総代理店サイクルヨーロッパジャパンが率いたツアーの日本人10人の参加者たちの挑戦の模様をお届けしよう。
5月7日、当日はあいにくの曇り空。天気予報も50%の降水確率で、しかもこの一帯は山がちな地方とあって油断がならない。
朝7時のスタートに、5時からホテルで朝食を摂り、準備を進める。心配だったのはワイズロード名古屋店・店長の梅林さんの容体。どこで風邪をもらったのか、イタリア到着後すぐに発熱した梅林さんはそれからの2日間、ホテルの部屋にこもりっきりで寝込んでいたのだ。まさか出走は無理だろうと思いきや、朝食会場に現れた。ジャージも着込んで、どうやら走るつもりのよう。まぁ、梅林さんは日本ではJBCFのレースも走る本格派なので、自己判断におまかせすることに。
このグランフォンドには参加クラスはショート、ミドル、ロング(89km、128km、162km)の3部門が用意される。今回はミドルとショートクラスに分かれて走る予定だ。(天気予報がすぐれないため途中でコース変更しようと考える人も)
ちなみに筆者・CW編集部 綾野が今回乗るのは、ビアンキ・スペシャリッシマにフルクラムRACING ZEROホイール。アップダウンのあるグランフォンドには軽量でベストな組み合わせだと思う。
朝7時前、スタートラインにはじつに4100人もの参加者が並び、圧巻の眺めだ。これがイタリアのグランフォンドか!。しかもスタートエリアのブースなどのしつらえはツールやジロのプロレースにも似て、本格的そのもの。
その最前列に、チームBianchiのメンバーは並ぶことができるのだ。前回のレポートでも書いたが、ビアンキの公式ツアーで各国から参加した人はVIPよろしくおそろいのウェアを着て、ここに並ぶ特権をいただける(ただしゼッケン登録の関係で第2ウェーブ先頭になった人も)。
セレモニーではレースの名前にもなっているフェリーチェ・ジモンディさんが登場。ご存知の人も多いだろうが、ジロ・デ・イタリアを14回完走、3度の総合優勝、9回の表彰台を経験したレジェンドだ。思わずジモンディさんと記念撮影をパチリ。最前列にはチームBianchiのメンバーが並ぶが、その中にはビアンキイタリア本社・社長のボブ・イッポリトさんの姿も。
イタリア国家斉唱のセレモニーを済ませ、秒読みでスタートが切られると、一斉にコースに飛び出していく参加者たち。そのスピードはレースそのものでさっそく驚いた。しかもポジション争いがかなり激しい(はっきりいって危険なぐらい)。マイペース走に切り替えたくても、後ろから選手が絶え間なく押し寄せてくるように迫ってくるので、同じペースで流れに乗って走り続けるしか無い。そのスピードは50km/hは越えている。(日本人ならグランフォンドにオンボードカメラやライト、バッグ類などをたくさん取り付けている人がいるものだが、前で走るつもりなら危険だからやめたほうがいい)
今回走るミドル128.8kmのコース概要は、登りがColle di Pasta峠(413m)、Colle del Gallo峠(763km)、Selvino峠(946m)、Costa D'olda峠(806m)、Forcella di Bura峠(884m)の5つ。獲得標高差は2100m、登攀区間の総距離は33.4km。エイドは3箇所に用意される。難コースではあるが、イタリアに数あるグランフォンドの中では特別に難しいというものではないようだ。すべての参加者でもミドルを選ぶ人が43%と、もっとも多い。
スタートからの集団の流れに乗って、どんどんと距離を稼ぐ。「グランフォンドはレースなんだ」とつぶやきながら、落車しないように神経を研ぎすませて走る。まさにロードレースの走り方そのものだ。
ベルガモの郊外に出て、上り坂をいくつかこなすうちに集団の密集度も低くなって少し余裕ができてきた。少しずつポジションを下げ、走りやすいスピード域のグループで走ることに。ようやく一息つける感じだ。後ろからはビアンキカフェ&サイクルズ自由が丘の店長である松原さんが上がってきて合流、一緒に走ることにする。
昨夜のパスタパーティで会った人などが声をかけて通り過ぎていく。最初の峠はColle di Pasta峠(413m)、つまり「パスタの丘」の名前に、昨夜食べたパスタの味を思い出しながら難なくクリア(笑)。
次に向かうのはColle del Gallo峠(763km)。山の斜面にいい雰囲気の集落が続く山道のつづら折れを、ペースを淡々と保ちつつクリア。雨は降りださず、肌寒いながらも濡れること無く走れているのは幸いだ。
ダウンヒルは皆が速い。イタリアでは女性や高齢サイクリストも、誰もがコーナーの最短距離をつなぐ最速ラインをとるので、むしろ信頼して同じラインをトレースしたほうが良いだろうと感じた。路面はひび割れている箇所もあるので集中力を切らさないように下る。
次なる峠はSelvino(セルヴィーノ)峠(946m)だ。かの今中大介さんが欧州プロとして走った選手時代にベルガモに住み、このセルビーノ峠によく上りにきていたという話を聞いていた。勾配が一定で、比較的緩やかで一定ペースで登りやすい峠だ。つづら折れを繰り返しながら高度を上げていく。それにしても途切れること無く続くサイクリストたち。
沿道には「Qui Passa IL GIRO(ジロがここを通る)」という横断幕があちこちに。つまりここはジロの第15ステージのレースコースになっているのだ。(ちなみに優勝者はクイックステップのボブ・ユンゲルスだった)。
セルヴィーノ峠はちょうどお昼頃の到着で、ここがメインのエイドになるようだ。日本のグランフォンドのようなご当地グルメが振る舞われるわけではなく、用意されるのはバナナ、オレンジ、スポーツドリンク、ビスケットなど、補給食然としたもの。
ちょうど仲間との再集合場所に良いようで、多くの参加者がセルヴィーノ峠に集って休憩していた。レトロなスタイルのサイクリスト、最新のディスクブレーキロードに乗った人など様々。イタリア人参加者のバイクの高級度は日本人よりずっと高い。コースが厳しいのでレベルの高いバイクが必要になるのは当然だと思う。
ここでビアンキのボブ社長に遭遇。社長も今日はいちサイクリストとしてチャレンジしているのだ。「かなり疲れているから今日はショートにするつもり」とボブさん。
ここでしばらく待つことにはなったが、せっかくなので仲間を待つことに。ワイズロード横浜店の水野さん、ワイズロード大阪の奥村さんと合流。一緒に走ることにした。奥村さんもセルヴィーノを下った後の分岐でショートコースに変更するかを迷っていた。雨も降り出すなか、仲間がいれば心強い。
セルヴィーノの下りでボブ社長を抜き、険しい渓谷の道を進み、分岐へと出る。ここでミドルコースへ。セルビーノ峠で長く待ったので、ミドルにチャレンジする人の中では最後尾に近いところまで下がってしまったようだ。
下りきったら温泉保養地として有名なサンペレグリーノ・テルメを通過。ここから最後の難所Costa D'olda峠(806m)、Forcella di Bura峠(884m)へと向かう。ふたつの峠は標高差が少なく連なっているので、ほぼひとつの峠と見ていい。
淡々とペースを保ち登る。BURA峠のエイドでは参加者はまばらで、なんと休憩をとっているうちにエイドの撤収が始まった。少し遅れている奥村さんと水野さんの2人は、たぶん補給食にありつけないだろう(苦笑)。待つこともできないので、2人の無事を祈りつつ松原さんと二人で先に峠を下ることにする。
峠からベルガモまでは下りと平坦区間12kmを残すのみ。ワインディングロードを下りきったところでロングコース(162km)との分岐点があるが、ここでは立哨員に旗を振られて「ミドルコースへ行け」との指示。グランフォンドは区間ごとの時間制限も厳し目で、速い人(余裕がある人)のみがロングを走れるのだ。
雨の気配はずっとあったが、大きくは降られずにベルガモまでたどり着いた。平坦路を流して、ゴール地点のスタジアムにフィニッシュ! コースごとに分けられたゲートをくぐればお姉さんたちが完走メダルを首からかけてくれた。シンプルな演出がとても嬉しい。
ビアンキブースに帰ればすでにほとんどの日本人グループがフィニッシュしていた。BURA峠で遅れたことを気にした二人もほどなくしてゴール。前夜も食べたパスタを、これまた同じ「マンマ」にサーブしてもらって頂く。暖かいパスタとビールがたまらなく美味しい。
走っているうちにすれ違ったようで気づかなかったが、風邪を引いていた梅林さんもショートコースながら約1,000人中187位でゴールし、年代別で26位という好成績だったそうだ。
ホテルに帰り、シャワーを浴びてひと寝入りしてからディナーはベルガモ中心部の有名なピッツェリアへ。世界各国からやってきたチームBianchiの皆さんと一緒のピッツァパーティだ。その数100人近く! 皆で完走を讃えあう楽しい時間はあっという間に過ぎていった。
続く
photo&text:Makoto.AYANO
「Granfondo Felice Gimondi Bianchi(グランフォンド・フェリーチェジモンディ・ビアンキ)」は、今年で開催21回目の伝統ある大会。ビアンキの日本総代理店サイクルヨーロッパジャパンが率いたツアーの日本人10人の参加者たちの挑戦の模様をお届けしよう。
5月7日、当日はあいにくの曇り空。天気予報も50%の降水確率で、しかもこの一帯は山がちな地方とあって油断がならない。
朝7時のスタートに、5時からホテルで朝食を摂り、準備を進める。心配だったのはワイズロード名古屋店・店長の梅林さんの容体。どこで風邪をもらったのか、イタリア到着後すぐに発熱した梅林さんはそれからの2日間、ホテルの部屋にこもりっきりで寝込んでいたのだ。まさか出走は無理だろうと思いきや、朝食会場に現れた。ジャージも着込んで、どうやら走るつもりのよう。まぁ、梅林さんは日本ではJBCFのレースも走る本格派なので、自己判断におまかせすることに。
このグランフォンドには参加クラスはショート、ミドル、ロング(89km、128km、162km)の3部門が用意される。今回はミドルとショートクラスに分かれて走る予定だ。(天気予報がすぐれないため途中でコース変更しようと考える人も)
ちなみに筆者・CW編集部 綾野が今回乗るのは、ビアンキ・スペシャリッシマにフルクラムRACING ZEROホイール。アップダウンのあるグランフォンドには軽量でベストな組み合わせだと思う。
朝7時前、スタートラインにはじつに4100人もの参加者が並び、圧巻の眺めだ。これがイタリアのグランフォンドか!。しかもスタートエリアのブースなどのしつらえはツールやジロのプロレースにも似て、本格的そのもの。
その最前列に、チームBianchiのメンバーは並ぶことができるのだ。前回のレポートでも書いたが、ビアンキの公式ツアーで各国から参加した人はVIPよろしくおそろいのウェアを着て、ここに並ぶ特権をいただける(ただしゼッケン登録の関係で第2ウェーブ先頭になった人も)。
セレモニーではレースの名前にもなっているフェリーチェ・ジモンディさんが登場。ご存知の人も多いだろうが、ジロ・デ・イタリアを14回完走、3度の総合優勝、9回の表彰台を経験したレジェンドだ。思わずジモンディさんと記念撮影をパチリ。最前列にはチームBianchiのメンバーが並ぶが、その中にはビアンキイタリア本社・社長のボブ・イッポリトさんの姿も。
イタリア国家斉唱のセレモニーを済ませ、秒読みでスタートが切られると、一斉にコースに飛び出していく参加者たち。そのスピードはレースそのものでさっそく驚いた。しかもポジション争いがかなり激しい(はっきりいって危険なぐらい)。マイペース走に切り替えたくても、後ろから選手が絶え間なく押し寄せてくるように迫ってくるので、同じペースで流れに乗って走り続けるしか無い。そのスピードは50km/hは越えている。(日本人ならグランフォンドにオンボードカメラやライト、バッグ類などをたくさん取り付けている人がいるものだが、前で走るつもりなら危険だからやめたほうがいい)
今回走るミドル128.8kmのコース概要は、登りがColle di Pasta峠(413m)、Colle del Gallo峠(763km)、Selvino峠(946m)、Costa D'olda峠(806m)、Forcella di Bura峠(884m)の5つ。獲得標高差は2100m、登攀区間の総距離は33.4km。エイドは3箇所に用意される。難コースではあるが、イタリアに数あるグランフォンドの中では特別に難しいというものではないようだ。すべての参加者でもミドルを選ぶ人が43%と、もっとも多い。
スタートからの集団の流れに乗って、どんどんと距離を稼ぐ。「グランフォンドはレースなんだ」とつぶやきながら、落車しないように神経を研ぎすませて走る。まさにロードレースの走り方そのものだ。
ベルガモの郊外に出て、上り坂をいくつかこなすうちに集団の密集度も低くなって少し余裕ができてきた。少しずつポジションを下げ、走りやすいスピード域のグループで走ることに。ようやく一息つける感じだ。後ろからはビアンキカフェ&サイクルズ自由が丘の店長である松原さんが上がってきて合流、一緒に走ることにする。
昨夜のパスタパーティで会った人などが声をかけて通り過ぎていく。最初の峠はColle di Pasta峠(413m)、つまり「パスタの丘」の名前に、昨夜食べたパスタの味を思い出しながら難なくクリア(笑)。
次に向かうのはColle del Gallo峠(763km)。山の斜面にいい雰囲気の集落が続く山道のつづら折れを、ペースを淡々と保ちつつクリア。雨は降りださず、肌寒いながらも濡れること無く走れているのは幸いだ。
ダウンヒルは皆が速い。イタリアでは女性や高齢サイクリストも、誰もがコーナーの最短距離をつなぐ最速ラインをとるので、むしろ信頼して同じラインをトレースしたほうが良いだろうと感じた。路面はひび割れている箇所もあるので集中力を切らさないように下る。
次なる峠はSelvino(セルヴィーノ)峠(946m)だ。かの今中大介さんが欧州プロとして走った選手時代にベルガモに住み、このセルビーノ峠によく上りにきていたという話を聞いていた。勾配が一定で、比較的緩やかで一定ペースで登りやすい峠だ。つづら折れを繰り返しながら高度を上げていく。それにしても途切れること無く続くサイクリストたち。
沿道には「Qui Passa IL GIRO(ジロがここを通る)」という横断幕があちこちに。つまりここはジロの第15ステージのレースコースになっているのだ。(ちなみに優勝者はクイックステップのボブ・ユンゲルスだった)。
セルヴィーノ峠はちょうどお昼頃の到着で、ここがメインのエイドになるようだ。日本のグランフォンドのようなご当地グルメが振る舞われるわけではなく、用意されるのはバナナ、オレンジ、スポーツドリンク、ビスケットなど、補給食然としたもの。
ちょうど仲間との再集合場所に良いようで、多くの参加者がセルヴィーノ峠に集って休憩していた。レトロなスタイルのサイクリスト、最新のディスクブレーキロードに乗った人など様々。イタリア人参加者のバイクの高級度は日本人よりずっと高い。コースが厳しいのでレベルの高いバイクが必要になるのは当然だと思う。
ここでビアンキのボブ社長に遭遇。社長も今日はいちサイクリストとしてチャレンジしているのだ。「かなり疲れているから今日はショートにするつもり」とボブさん。
ここでしばらく待つことにはなったが、せっかくなので仲間を待つことに。ワイズロード横浜店の水野さん、ワイズロード大阪の奥村さんと合流。一緒に走ることにした。奥村さんもセルヴィーノを下った後の分岐でショートコースに変更するかを迷っていた。雨も降り出すなか、仲間がいれば心強い。
セルヴィーノの下りでボブ社長を抜き、険しい渓谷の道を進み、分岐へと出る。ここでミドルコースへ。セルビーノ峠で長く待ったので、ミドルにチャレンジする人の中では最後尾に近いところまで下がってしまったようだ。
下りきったら温泉保養地として有名なサンペレグリーノ・テルメを通過。ここから最後の難所Costa D'olda峠(806m)、Forcella di Bura峠(884m)へと向かう。ふたつの峠は標高差が少なく連なっているので、ほぼひとつの峠と見ていい。
淡々とペースを保ち登る。BURA峠のエイドでは参加者はまばらで、なんと休憩をとっているうちにエイドの撤収が始まった。少し遅れている奥村さんと水野さんの2人は、たぶん補給食にありつけないだろう(苦笑)。待つこともできないので、2人の無事を祈りつつ松原さんと二人で先に峠を下ることにする。
峠からベルガモまでは下りと平坦区間12kmを残すのみ。ワインディングロードを下りきったところでロングコース(162km)との分岐点があるが、ここでは立哨員に旗を振られて「ミドルコースへ行け」との指示。グランフォンドは区間ごとの時間制限も厳し目で、速い人(余裕がある人)のみがロングを走れるのだ。
雨の気配はずっとあったが、大きくは降られずにベルガモまでたどり着いた。平坦路を流して、ゴール地点のスタジアムにフィニッシュ! コースごとに分けられたゲートをくぐればお姉さんたちが完走メダルを首からかけてくれた。シンプルな演出がとても嬉しい。
ビアンキブースに帰ればすでにほとんどの日本人グループがフィニッシュしていた。BURA峠で遅れたことを気にした二人もほどなくしてゴール。前夜も食べたパスタを、これまた同じ「マンマ」にサーブしてもらって頂く。暖かいパスタとビールがたまらなく美味しい。
走っているうちにすれ違ったようで気づかなかったが、風邪を引いていた梅林さんもショートコースながら約1,000人中187位でゴールし、年代別で26位という好成績だったそうだ。
ホテルに帰り、シャワーを浴びてひと寝入りしてからディナーはベルガモ中心部の有名なピッツェリアへ。世界各国からやってきたチームBianchiの皆さんと一緒のピッツァパーティだ。その数100人近く! 皆で完走を讃えあう楽しい時間はあっという間に過ぎていった。
続く
photo&text:Makoto.AYANO
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