2016/12/29(木) - 08:55
「最近SLATEって良く聞くけれど、どんなバイクなんだろう?乗ってみたいんだけどなぁ。」そんな全国1億2千万人に蔓延してやまないモヤっと感を、すっきり解決、いや、それ以上に満足させてくれるイベントが12月中旬、ひっそりと足柄の山中で開催されていた。そんなある日のレポート。
SLATEは、楽しい。それも、すごく楽しい。でも、SLATEに乗っていろんな場所を走ってきた私個人の経験から言えば、SLATEの楽しさは「しっかり乗らないと分からん」となる。それはやっぱりキャノンデール・ジャパンの”SLATEマスター”、あるいは”SLATEクレイジー”こと山本和弘さん(以下カズさん)も同じだったようで、それなら1日を通して体験できるイベントを開催しようじゃないか、ということになった。
果たして当日、スタート/ゴール地点である足柄森林公園には17名が集まった。オフロードでは脚力とスキル差が出やすいので、ケアしてもらえることを考えれば、最初から少人数制になっているのもユーザーフレンドリーでありがたい。マイSLATEを持ち込んだ人もいるが、大半が試乗車のレンタルで、わずか1日半で定員が埋まってしまったとのことで、”SLATE乗ってみたい欲”がやはり高いことを再確認できた。
今回イベントのソフト部分をプロデュースしたのが、コンセプトストアを軸に、大磯クリテリウムやヒルトン小田原スプリントヒルといったホビーレースを主催しているウォークライド。この地域に根ざした活動を行っているだけあって、そのバックアップはこの上ないほど心強い。
ツアーはウォークライドの山根理史さんと須田晋太郎さん、そしてもちろんカズさんが同行。そして、さっきまで近くで行われていた湘南シクロクロスでレースしてきた!と、ギリギリのドロドロで間に合ったキャノンデール・ジャパンの池田新代表もジョイン。ちなみに前代表であるマリオ・スタイン氏も相当に走る人だったので、つまりキャノンデール・ジャパンとはそういう会社である。いいね!
さてツアーはというと、まず全員の自己紹介に始まり、ライドでの諸注意事項の確認、そしてSLATEならではの乗り方講習会へと移っていく。ちなみにSLATEならではの乗り方とは、
1.油圧ブレーキなのでよく止まる。がっつんブレーキにならないように注意。
2.キャノンデールのアイコンでもあるLeftyサスのロックアウト機能を使いこなす
3.スリックタイヤなので滑るときはけっこう滑る。なので自転車をバンクさせすぎないように
おおざっぱに言うとこの3点。それもMTB、シクロクロス、ロードレースで12年間の競技人生をキャノンデールと共に過ごしたカズさんと、分かりやすい須田コーチの説明なのですぐ頭に入ってくる。ちなみに自己紹介をしたところで社長が池田さん、ぐらいしか覚えられないのだが、まぁいい。天気が良いその瞬間から、最高のイベントになるのは約束されたようなものだ。そうしてブリーフィングを終え、僕らはいそいそと走り出した。
木漏れ日が気持ち良い林道を、ゆっくり談笑しながら登っていく。と、それもつかの間、5kmも走らないうちに、この後の絶景ポイントでコーヒーを沸かすために湧き水ストップ。お神酒が備えられているその水は、とてもまろやかで飲みやすかった。
舗装路の登りでは、「こんなに登りが軽いなんて思わなかった!」という会話が聞こえて、別にキャノンデールの回し者ではないけれど、SLATE乗りとして「そうだろうそうだろう?」となんだか誇らしい気分になる(笑)。そして数kmの舗装ヒルクライムを終えれば、いよいよここからが未舗装区間。ロックアウトを解除して、一段と元気が増した感のあるカズさんを先頭に”お楽しみタイム”の幕開けだ。
じゃりじゃりじゃり…と、42mm幅スリックタイヤ独特の砂利道サウンドを重奏で轟かせて進むSLATEトレイン。スリックだけにルーズな路面は苦手だが、良く踏みしめられたダート、そしてサスとエアボリュームが活きる荒れた舗装林道こそ得意分野だ。今回のライドは終始、SLATEにベストな道が選ばれていたこともライドの楽しさをアップしてくれた。しかも、グレーゾーンになりがちな林道ライドだが、今回に関しては全て関係役場の許可済みだったことも付け加えておきたい。
そしてたっぷりと休憩を挟みながら登ることしばし、(よく考えたらスタートから10km登りっぱなしだった)ふっと視界が開けたそこに、ドーン!と富士山が登場。ここでカズさん、バイクを傍に置き、バイクパックからコーヒーセットを取り出した。
そしてウォークライドオフィスの隣にあって、コーヒー代がかさんで仕方ないけれど美味いんだから仕方ないという、須田コーチオススメのコーヒー豆をわざわざミル挽きして、わざわざ汲んだ湧き水で淹れ、全員がわざわざ持参してきたマグカップで乾杯し、ゴクリとやった。そう、僕らは最高の一杯を飲むために、わざわざ10km登ってきたのだ。
仲間(スタート時点では仲間ではなかったかもしれないが、もうれっきとしたライド仲間だ)と絶景を横目にコーヒーを飲みながら笑いあうだなんて、最高の一言に尽きる。以前落車して痛かっただの、大阪の居酒屋のレベルは高いだの、おおよそひどい話題しか出てこないが、こういう時の相場はだいたいそうと決まってる(笑)。
のんびりコーヒー休憩を終えれば、今まで登ってきた道を各々のペースでダウンヒル。私はというと、アドレナリン全開でぶっとばすカズさんと、油圧Di2+ENVEホイールというヤバカッコいいカスタムSLATEを持ち込んだTJさんにくっついて、3人の先頭パックで下山した。
そこからまたグループを築いて下り基調の舗装林道を走り、「なんで最後こんなに登らせるんだチキショウめ!」という心の叫びが聞こえてきそうな急勾配をヒィコラ登ると、この日のゴール地点が見えてきた。わずか30kmを5時間以上かけて走ったライドを、そんなことしなくて良いのに坂もがきで先着していた参加者さんとのハイタッチで締めくくった。
「僕らはね、モノじゃなくてコト(体験)を売りたいんです」と、池田代表は言う。「それはだって純粋に楽しいですからね」。なるほどなるほど。それで、今回のイベント名の「NLS EXPERIENCE」ってどんな意味なんですか?「それはね、NLSってSLATEの開発コードネームの略語で、Nは…」
おっと、そろそろタイムアップなので、NLSの意味は次回のイベント内で教えてもらうことにしましょうか。まだ詳細未定ながら、年明けに開催が計画されているようなので、気になる全国1億2千万人の方々はキャノンデールのSNSチェックをお忘れなく。
text:So.Isobe
SLATEは、楽しい。それも、すごく楽しい。でも、SLATEに乗っていろんな場所を走ってきた私個人の経験から言えば、SLATEの楽しさは「しっかり乗らないと分からん」となる。それはやっぱりキャノンデール・ジャパンの”SLATEマスター”、あるいは”SLATEクレイジー”こと山本和弘さん(以下カズさん)も同じだったようで、それなら1日を通して体験できるイベントを開催しようじゃないか、ということになった。
果たして当日、スタート/ゴール地点である足柄森林公園には17名が集まった。オフロードでは脚力とスキル差が出やすいので、ケアしてもらえることを考えれば、最初から少人数制になっているのもユーザーフレンドリーでありがたい。マイSLATEを持ち込んだ人もいるが、大半が試乗車のレンタルで、わずか1日半で定員が埋まってしまったとのことで、”SLATE乗ってみたい欲”がやはり高いことを再確認できた。
今回イベントのソフト部分をプロデュースしたのが、コンセプトストアを軸に、大磯クリテリウムやヒルトン小田原スプリントヒルといったホビーレースを主催しているウォークライド。この地域に根ざした活動を行っているだけあって、そのバックアップはこの上ないほど心強い。
ツアーはウォークライドの山根理史さんと須田晋太郎さん、そしてもちろんカズさんが同行。そして、さっきまで近くで行われていた湘南シクロクロスでレースしてきた!と、ギリギリのドロドロで間に合ったキャノンデール・ジャパンの池田新代表もジョイン。ちなみに前代表であるマリオ・スタイン氏も相当に走る人だったので、つまりキャノンデール・ジャパンとはそういう会社である。いいね!
さてツアーはというと、まず全員の自己紹介に始まり、ライドでの諸注意事項の確認、そしてSLATEならではの乗り方講習会へと移っていく。ちなみにSLATEならではの乗り方とは、
1.油圧ブレーキなのでよく止まる。がっつんブレーキにならないように注意。
2.キャノンデールのアイコンでもあるLeftyサスのロックアウト機能を使いこなす
3.スリックタイヤなので滑るときはけっこう滑る。なので自転車をバンクさせすぎないように
おおざっぱに言うとこの3点。それもMTB、シクロクロス、ロードレースで12年間の競技人生をキャノンデールと共に過ごしたカズさんと、分かりやすい須田コーチの説明なのですぐ頭に入ってくる。ちなみに自己紹介をしたところで社長が池田さん、ぐらいしか覚えられないのだが、まぁいい。天気が良いその瞬間から、最高のイベントになるのは約束されたようなものだ。そうしてブリーフィングを終え、僕らはいそいそと走り出した。
木漏れ日が気持ち良い林道を、ゆっくり談笑しながら登っていく。と、それもつかの間、5kmも走らないうちに、この後の絶景ポイントでコーヒーを沸かすために湧き水ストップ。お神酒が備えられているその水は、とてもまろやかで飲みやすかった。
舗装路の登りでは、「こんなに登りが軽いなんて思わなかった!」という会話が聞こえて、別にキャノンデールの回し者ではないけれど、SLATE乗りとして「そうだろうそうだろう?」となんだか誇らしい気分になる(笑)。そして数kmの舗装ヒルクライムを終えれば、いよいよここからが未舗装区間。ロックアウトを解除して、一段と元気が増した感のあるカズさんを先頭に”お楽しみタイム”の幕開けだ。
じゃりじゃりじゃり…と、42mm幅スリックタイヤ独特の砂利道サウンドを重奏で轟かせて進むSLATEトレイン。スリックだけにルーズな路面は苦手だが、良く踏みしめられたダート、そしてサスとエアボリュームが活きる荒れた舗装林道こそ得意分野だ。今回のライドは終始、SLATEにベストな道が選ばれていたこともライドの楽しさをアップしてくれた。しかも、グレーゾーンになりがちな林道ライドだが、今回に関しては全て関係役場の許可済みだったことも付け加えておきたい。
そしてたっぷりと休憩を挟みながら登ることしばし、(よく考えたらスタートから10km登りっぱなしだった)ふっと視界が開けたそこに、ドーン!と富士山が登場。ここでカズさん、バイクを傍に置き、バイクパックからコーヒーセットを取り出した。
そしてウォークライドオフィスの隣にあって、コーヒー代がかさんで仕方ないけれど美味いんだから仕方ないという、須田コーチオススメのコーヒー豆をわざわざミル挽きして、わざわざ汲んだ湧き水で淹れ、全員がわざわざ持参してきたマグカップで乾杯し、ゴクリとやった。そう、僕らは最高の一杯を飲むために、わざわざ10km登ってきたのだ。
仲間(スタート時点では仲間ではなかったかもしれないが、もうれっきとしたライド仲間だ)と絶景を横目にコーヒーを飲みながら笑いあうだなんて、最高の一言に尽きる。以前落車して痛かっただの、大阪の居酒屋のレベルは高いだの、おおよそひどい話題しか出てこないが、こういう時の相場はだいたいそうと決まってる(笑)。
のんびりコーヒー休憩を終えれば、今まで登ってきた道を各々のペースでダウンヒル。私はというと、アドレナリン全開でぶっとばすカズさんと、油圧Di2+ENVEホイールというヤバカッコいいカスタムSLATEを持ち込んだTJさんにくっついて、3人の先頭パックで下山した。
そこからまたグループを築いて下り基調の舗装林道を走り、「なんで最後こんなに登らせるんだチキショウめ!」という心の叫びが聞こえてきそうな急勾配をヒィコラ登ると、この日のゴール地点が見えてきた。わずか30kmを5時間以上かけて走ったライドを、そんなことしなくて良いのに坂もがきで先着していた参加者さんとのハイタッチで締めくくった。
「僕らはね、モノじゃなくてコト(体験)を売りたいんです」と、池田代表は言う。「それはだって純粋に楽しいですからね」。なるほどなるほど。それで、今回のイベント名の「NLS EXPERIENCE」ってどんな意味なんですか?「それはね、NLSってSLATEの開発コードネームの略語で、Nは…」
おっと、そろそろタイムアップなので、NLSの意味は次回のイベント内で教えてもらうことにしましょうか。まだ詳細未定ながら、年明けに開催が計画されているようなので、気になる全国1億2千万人の方々はキャノンデールのSNSチェックをお忘れなく。
text:So.Isobe