2016/11/12(土) - 09:59
11月3日(木・祝)、ツインリンクもてぎで行われたもてぎ7時間エンデューロ。「もてぎ7耐」として親しまれる、関東地方屈指の人気を誇る秋の定番エンデューロをレポートします。
好天に恵まれたもてぎ7時間エンデューロ
文化の日である11月3日。翌日からは日本最大の自転車展示試乗会、サイクルモードの開催を控えたこの日、栃木県のサーキット「ツインリンクもてぎ」には沢山のサイクリスト達が集まった。寒すぎず、暑すぎない、最高のシーズンを楽しめるもてぎ7時間エンデューロに参加する人々たちである。
国際的にも知名度の高い栃木県芳賀郡の「ツインリンクもてぎ」、motoGPやSUPER GTといった最高峰のモータースポーツの開催地として、三重県の鈴鹿サーキットや静岡県の富士スピードウェイなどと並ぶ格式あるサーキットである。
大会で使用するコースは、1周4.8kmの「ロードコース」。モータースポーツであれば時計回りとなるが、もてぎ7耐では逆となる反時計回りとされている。起伏に富んだ山中に設けられたツインリンクもてぎは、登坂力から下りでのコーナーリングスキル、そして7時間の長丁場を走り切るペースマネージメントといった、サイクリストとしての総合力が問われるコースである。
キッズたちの表情は真剣そのもの
みんながんばってー
大人顔負けのスタートダッシュ!
大会前日の天気予報は、午前中は雨というもの。11月の冷たい空気と相まって、かなりサバイバルなレースになることを覚悟し、サーキットへと集まった参加者たちを出迎えたのは、そんな予報を裏切る最高の天気だった。夜の間に降った雨によって路面こそウェットなものの、それもすでに乾き始めているという、絶好の自転車日和だった。
参加者数3,700名と例年に勝るとも劣らない参加者が集まったもてぎ7耐。スタート時刻が近付くにつれ、少しづつ暖かくなってきたような気がするほど、会場には多くの参加者の熱気が充ちていく。もちろん、太陽が昇るにつれて実際に気温も上がってきており、半袖ジャージに着替える方も。
廣瀬GMと清水監督が初心者向けクリニックの講師を務めてくれた
パワートレーニングクリニックでは、鈴木譲選手らが実際のレースでの目安などについて語ってくれた
表彰状を手に記念撮影
キッズの部もきちんと表彰されるんです
最初のレースプログラムとなるのは子供たちのレースだ。試走タイムが終了し、コース上がクリアになると同時に、選手である子供たちとその親御さんたちがホームストレートに詰めかける。未就学児のひよこレース、小学生低学年、高学年と年齢別に細かく区分けされたレースは、毎年メインレースの7時間エンデューロに負けず劣らずの盛り上がりを見せるメインコンテンツである。
そう、大人たちだけではなく、キッズ、そしてファミリーに優しいのもこの大会の特長の一つなのだ。小学生以上であれば、朝のキッズレースだけでなく、保護者の伴走とともにエンデューロにも参戦出来るため、家族みんなで一日中イベントを満喫できるようになっている。
さて、白熱のキッズバトルの裏側では、宇都宮ブリッツェンの選手らによる自転車クリニックも行われ、多くの人を集めていた。集団走行のいろはを教えてくれる初心者向けの講座から、パワーメーターを活用したトレーニング講座まで、非常に幅広い層を対象とした講座で、ステージ前は人だかりで一杯。このように、家族連れも本格派もエンデューロスタート前のひと時を楽しめる工夫がされているのが、この大会の美点である。
最後尾が見えないほどの長さとなる待機列
帰国した新城幸也や與那嶺恵理もゲストライダーに
9時ちょうどに、7時間エンデューロがスタート
そして、9時からメイン種目となるエンデューロがスタートしていく。まず、先陣を切ったのは最長種目となる7時間エンデューロ。9時ちょうどに7時間エンデューロがスタートし、その4分後に最も高い人気を誇る4時間エンデューロが走り出す。最後尾が見えないほどの長いスタート列がコースへと繰り出していく光景はまさに圧巻の一言。
集団の先頭には、宇都宮ブリッツェンや那須ブラーゼンらをはじめとしたサポートライダーたちがトレインを組み、ペースコントロールを実施。秋のもてぎ7耐の名物ゲストである新城幸也も、7時間エンデューロの参加者とともにスタートを切り、集団と共に走りだした。
また、今年は、企業対抗クラスが新設されたことが大きな変更点。職場の皆さんと一緒のチームで、ライバルたちと業績ではなくタイムを競い合うという、新種目。普段、机を並べて一緒に働く同僚の、また違った一面を知ることができるとあって、大盛り上がりだったようだ。
トークショーでは海外のレース事情や来季のチームについて語られた
背中にサインを書いてくれました
長蛇の列ができた新城選手のサイン会
土井選手と談笑する新城選手
4時間エンデューロが終わりに近づくころ、メインステージにはだんだんと人だかりができ始める。ランプレ・メリダで過ごす初めての年ながらもTOJ伊豆ステージでの勝利やツール・ド・フランスでの敢闘賞獲得など、確かな実績を残した新城選手によるトークショーが始まろうとしていたのだ。
序盤の大腿骨骨折に始まった激動のシーズンを振り返るトークショーののち、表彰式が始まるまではサイン会に。日本のサイクリストにとっての英雄のサインをもらおうと、ステージ横には長蛇の列が。押しかけるファンひとりひとりに笑顔を向ける新城選手のにこやかさは、レース中でも失われず。共に走る参加者の皆さんと談笑しながら走る姿が印象的だった。
下りももちろん攻めていきます
お母さんと一緒に走っていきます
難所の登りに挑んでいく
最高標高地点を過ぎて走っていく
青空の下、コーナーを攻める
コスプレ&ママチャリという猛者も
午後からは2時間エンデューロがスタート。ビギナークラスとしての性格を持つレースでもあるため、レース初心者を対象に、集団走行やレースの走り方をレクチャーしてくれる「エンデューロのいろは」クリニックも開講された。バイクチェックや集団走行時の心得、追い越し方や声かけといった基本的な作法を教えてくれるクリニックとなり、レース初参加の方の不安を取り除いてくれるような内容となっていた。
さわやかな秋晴れのおかげで朝は湿っていた路面も完全に乾ききり、最高のコンディションに変わってきた。少し肌寒かった朝から走ってきた7時間エンデューロの参加者も、疲労の色が濃いながらも表情はどこか緩んでいるよう。
7時間、お疲れ様です!エンジェルたちがチェッカーとともに迎えてくれる
入賞者には豪華賞品が
7時間エンデューロの表彰は薄暮のなか行われた
7時間総合を制した小畑郁(なるしまフレンド)
7時間ソロの表彰式 そうこうしているうちに、あっというまに7時間エンデューロも終了。なんと290km以上を走るという前代未聞の高速レースを制したのは強豪レーサーとして知られる小畑郁(なるしまフレンド)。「サポートライダーが多くいたので、ペースが下がらず速いレースでした。ツール・ド・おきなわに向けて、何とか展開に絡めるレベルにはコンディションが整ってきました。」とのことだった。
一方、「平日に挟まれた中日ということもあり、参加者の皆さんも集まりづらいかなと思っていたのですが、蓋を開けてみればほとんど変わらない規模で開催することができました。新種目の企業対抗レースもかなり盛り上がっていたようで、嬉しく思っています。ぜひ、来年も続けていきたいですね。」とは大会事務局の山本勇希さん。
雨の予報を覆し、最高のサイクリング日和となったもてぎ7耐。路面コンディションの変化も多かった一日だが、大きな事故もなく無事に大会は終了。その陰では、安全を確保するための様々な取り組みが行われている。
国際規格に準拠したツインリンクもてぎが主催となっているため、大会の開催に当たってはそれこそmotoGPレベルでの体制が築かれており、コース上の監視カメラや、マーシャルスタッフ、無線体制や緊急車両などは、自転車イベントの水準を大幅に超えている。実際、コース上を取材していても、トラブル発生と同時に連絡が行き交い、迅速な対処がされていた。
ともすれば豪華なゲスト陣やレース内容に目が行きがちではあるが、安全面を初めとした目立たない部分がしっかりとしていることが、毎年多くのサイクリストを集めることにつながっているのだろう。怪我なく、安心して楽しめるレースイベントとして、毎年リピートできる大会であり、またレースデビューにピッタリな大会として、もてぎ7耐はこれからも人気であり続けるはずだ。次回春大会は2017年5月のゴールデンウィークに開催予定となっている。仲間と一緒に参加してみては?
text&photo:Naoki.YASUOKA
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国際的にも知名度の高い栃木県芳賀郡の「ツインリンクもてぎ」、motoGPやSUPER GTといった最高峰のモータースポーツの開催地として、三重県の鈴鹿サーキットや静岡県の富士スピードウェイなどと並ぶ格式あるサーキットである。
大会で使用するコースは、1周4.8kmの「ロードコース」。モータースポーツであれば時計回りとなるが、もてぎ7耐では逆となる反時計回りとされている。起伏に富んだ山中に設けられたツインリンクもてぎは、登坂力から下りでのコーナーリングスキル、そして7時間の長丁場を走り切るペースマネージメントといった、サイクリストとしての総合力が問われるコースである。
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大会前日の天気予報は、午前中は雨というもの。11月の冷たい空気と相まって、かなりサバイバルなレースになることを覚悟し、サーキットへと集まった参加者たちを出迎えたのは、そんな予報を裏切る最高の天気だった。夜の間に降った雨によって路面こそウェットなものの、それもすでに乾き始めているという、絶好の自転車日和だった。
参加者数3,700名と例年に勝るとも劣らない参加者が集まったもてぎ7耐。スタート時刻が近付くにつれ、少しづつ暖かくなってきたような気がするほど、会場には多くの参加者の熱気が充ちていく。もちろん、太陽が昇るにつれて実際に気温も上がってきており、半袖ジャージに着替える方も。
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最初のレースプログラムとなるのは子供たちのレースだ。試走タイムが終了し、コース上がクリアになると同時に、選手である子供たちとその親御さんたちがホームストレートに詰めかける。未就学児のひよこレース、小学生低学年、高学年と年齢別に細かく区分けされたレースは、毎年メインレースの7時間エンデューロに負けず劣らずの盛り上がりを見せるメインコンテンツである。
そう、大人たちだけではなく、キッズ、そしてファミリーに優しいのもこの大会の特長の一つなのだ。小学生以上であれば、朝のキッズレースだけでなく、保護者の伴走とともにエンデューロにも参戦出来るため、家族みんなで一日中イベントを満喫できるようになっている。
さて、白熱のキッズバトルの裏側では、宇都宮ブリッツェンの選手らによる自転車クリニックも行われ、多くの人を集めていた。集団走行のいろはを教えてくれる初心者向けの講座から、パワーメーターを活用したトレーニング講座まで、非常に幅広い層を対象とした講座で、ステージ前は人だかりで一杯。このように、家族連れも本格派もエンデューロスタート前のひと時を楽しめる工夫がされているのが、この大会の美点である。
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集団の先頭には、宇都宮ブリッツェンや那須ブラーゼンらをはじめとしたサポートライダーたちがトレインを組み、ペースコントロールを実施。秋のもてぎ7耐の名物ゲストである新城幸也も、7時間エンデューロの参加者とともにスタートを切り、集団と共に走りだした。
また、今年は、企業対抗クラスが新設されたことが大きな変更点。職場の皆さんと一緒のチームで、ライバルたちと業績ではなくタイムを競い合うという、新種目。普段、机を並べて一緒に働く同僚の、また違った一面を知ることができるとあって、大盛り上がりだったようだ。
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さわやかな秋晴れのおかげで朝は湿っていた路面も完全に乾ききり、最高のコンディションに変わってきた。少し肌寒かった朝から走ってきた7時間エンデューロの参加者も、疲労の色が濃いながらも表情はどこか緩んでいるよう。
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雨の予報を覆し、最高のサイクリング日和となったもてぎ7耐。路面コンディションの変化も多かった一日だが、大きな事故もなく無事に大会は終了。その陰では、安全を確保するための様々な取り組みが行われている。
国際規格に準拠したツインリンクもてぎが主催となっているため、大会の開催に当たってはそれこそmotoGPレベルでの体制が築かれており、コース上の監視カメラや、マーシャルスタッフ、無線体制や緊急車両などは、自転車イベントの水準を大幅に超えている。実際、コース上を取材していても、トラブル発生と同時に連絡が行き交い、迅速な対処がされていた。
ともすれば豪華なゲスト陣やレース内容に目が行きがちではあるが、安全面を初めとした目立たない部分がしっかりとしていることが、毎年多くのサイクリストを集めることにつながっているのだろう。怪我なく、安心して楽しめるレースイベントとして、毎年リピートできる大会であり、またレースデビューにピッタリな大会として、もてぎ7耐はこれからも人気であり続けるはずだ。次回春大会は2017年5月のゴールデンウィークに開催予定となっている。仲間と一緒に参加してみては?
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