世界王者ペーター・サガンの勝利で幕を閉じた今年のツール・ド・フランスさいたまクリテリウム。実は盛り上がっていたのはレースだけではない。さいたま新都心駅周辺ではサイクルフェスタやさいたまるしぇも同時開催、まるでフランスの祝祭のような賑わいを見せていたのだ。その雰囲気をここでたっぷりとお伝えしよう。



フランスや世界各国のグルメが楽しめた “さいたまるしぇ”

さいたま新都心駅の改札を抜けると真っ先に見えるのはTDFさいたまクリテリウムのバナー。その下では、大会開催に伴って発行された埼玉新聞の号外が配布されていた。メイン会場であるさいたまアリーナの方へ足を伸ばすと、食欲を誘ういい匂いが漂ってくる。そこに広がっていたのは『さいたまるしぇ』。中庭を中心に出店された数々のグルメブースに多くの人達が列を作り、テーブルに座ると仲間とともにその味と会話を楽しんでいた。

改札を出ると、さいたまクリテリウムのタペストリーがお出迎え改札を出ると、さいたまクリテリウムのタペストリーがお出迎え photo:Yuichiro Hosodaさいたま新都心駅前など各所で配布されていたさいたまクリテリウムの号外さいたま新都心駅前など各所で配布されていたさいたまクリテリウムの号外 photo:Yuichiro Hosoda

多くの人で賑わったさいたまるしぇ多くの人で賑わったさいたまるしぇ photo:Yuichiro Hosoda郵便局ブースでは、さいたまクリテリウムのオリジナルフレーム切手が販売されていた郵便局ブースでは、さいたまクリテリウムのオリジナルフレーム切手が販売されていた photo:Yuichiro Hosoda

爽やかな秋の日差しに恵まれたさいたまるしぇ爽やかな秋の日差しに恵まれたさいたまるしぇ photo:Yuichiro Hosoda
日本バーテンダー協会では、ツール・ド・フランスの4賞にちなんだオリジナルカクテルを、バーテンダーが颯爽とシェーカを振り、作り上げる。別のブースでは何種類ものワインが用意され、チョイスに迷うお客さんも。

耳をすませば陽気な音楽が流れていることに気づく。吹き抜けを除くと、眼下の地上に用意されたステージでは、時に楽器、時に歌、プロのミュージシャンによるコンサートが行われていた。

食事もワインやカクテルに合わせたかのように西欧料理の店舗が多数出店。有名ホテルのオードブル、フレンチレストランやカフェのビーフストロガノフやブイヤベース、ボリューム満点のソーセージなどなど、これまたどれにしようか迷うほど。皆、思い思いの場所で料理とお酒に舌鼓を打っていた。

食欲をそそるお肉食欲をそそるお肉 photo:Yuichiro Hosoda
ボリューム満点のスペアリブ!ボリューム満点のスペアリブ! photo:Yuichiro Hosodaアンバサダーホテル熊谷のオードブル。これだけで満足出来そうな盛り合わせアンバサダーホテル熊谷のオードブル。これだけで満足出来そうな盛り合わせ photo:Yuichiro Hosoda

Wine Saitamaでは、多種のワインを提供。いざ選ぶとなると、どれにしようか迷う人の姿もチラホラWine Saitamaでは、多種のワインを提供。いざ選ぶとなると、どれにしようか迷う人の姿もチラホラ photo:Yuichiro Hosodaオリジナルカクテル『マイヨジョーヌ』を手にニッコリ。美味しそう…オリジナルカクテル『マイヨジョーヌ』を手にニッコリ。美味しそう… photo:Yuichiro Hosoda

ステージでは歌や楽器の演奏などが行われ、穏やかな時間が流れていたステージでは歌や楽器の演奏などが行われ、穏やかな時間が流れていた photo:Yuichiro Hosoda


スポーツバイク試乗やグッズ即売が楽しめた “サイクルフェスタ”

さいたまアリーナ周辺から離れ、駅の南北を繋ぐトンネルをくぐってコースの向こう側へ歩を進め、ちょっと道の脇に入ると、サイクルフェスタのゲートが見えてくる。各メーカーのブースや埼玉県内の企業ブースなどが集結したその一角は、それだけで一つのイベントとして成立してしまうほどの規模だ。

入ってすぐ横に設置された日本競輪選手会埼玉支部のブースでは、3本ローラーを利用したサイクルタイムトライアルを開催。ちょっと何かのアニメを思わせるようなグラフィックのモニターにタイムが表示され、チャレンジした人はとても楽しそうに苦しんでいた。その隣にはツアー・オブ・ジャパンのブース。パンフレット配布やレースの紹介が行われていた。宇都宮ブリッツェンのブースではチームグッズなどを販売。身の回りのものがとにかく赤い、弱虫ペダル・鳴子章吉とコラボしたTシャツは立ち寄る人の注目を浴びていた。

その向かいのテントのチーム右京では、チーム監督の元F1ドライバー・片山右京さんがサイン会。グッズにサインをするだけではなく、握手やツーショット撮影にも気さくに応じていた。

青空の下、多くの人が訪れたサイクルフェスタ青空の下、多くの人が訪れたサイクルフェスタ photo:Yuichiro Hosoda3本ローラーによるサイクルタイムトライアルを行っていた日本競輪選手会埼玉支部のブース3本ローラーによるサイクルタイムトライアルを行っていた日本競輪選手会埼玉支部のブース photo:Yuichiro Hosoda

赤と言えば!の弱ペダ鳴子章吉×宇都宮ブリッツェンコラボT赤と言えば!の弱ペダ鳴子章吉×宇都宮ブリッツェンコラボT photo:Yuichiro Hosoda謎の黄色いギザギザ卵キャラ・テレ玉くんグッズを販売する、地元TV局のテレ玉ブースも意外に人気謎の黄色いギザギザ卵キャラ・テレ玉くんグッズを販売する、地元TV局のテレ玉ブースも意外に人気 photo:Yuichiro Hosoda

チーム右京ブースでは、片山右京監督のサイン会を実施チーム右京ブースでは、片山右京監督のサイン会を実施 photo:Yuichiro Hosoda盛況のさいたまクリテオフィシャルグッズ販売コーナー盛況のさいたまクリテオフィシャルグッズ販売コーナー photo:Yuichiro Hosoda

スコットのブースではジャパンカップで来日した選手達のサインが入ったタペストリーとともに最新モデルが展示。その前のテーブルにはスコットのエイプリルフールネタとして作られたグッズがしれっと置かれており、気づいた人は「何これ?」とそちらに目を奪われていた様子。隣のソニーブースでは、このスコットのロードバイクにアクションカムを組み付けて展示、大型モニターでジャパンカップクリテリウムのオンボード映像が流され、人々が見入っていた。

コルナゴのブースでひときわ人気を集めていたのは新型エアロロードのConcept(コンセプト)だ。アラベスク(唐草模様)のスペシャルペイントが美しくカッコいいと大評判だった。大きな行列が出来たブース前では元プロロードレーサーの岡崎和也さんも試乗の受け付けに大忙し。インターマックスブースではアルゴン18のフラッグシップロード、NITROGEN PROが訪問者を出迎えた。

ジャパンカップ出場選手がサインを施したマシュー・ヘイマンのSCOTTタペストリーに人目が集まるジャパンカップ出場選手がサインを施したマシュー・ヘイマンのSCOTTタペストリーに人目が集まる photo:Yuichiro Hosodaスコット・フォイルのDNAを受け継ぐ「SCOTT BOIL CURRY」(エイプリルフールネタです)スコット・フォイルのDNAを受け継ぐ「SCOTT BOIL CURRY」(エイプリルフールネタです) photo:Yuichiro Hosoda

スコットのバイクに組み付けられたソニーアクションカムスコットのバイクに組み付けられたソニーアクションカム photo:Yuichiro Hosodaアルゴン18のフラッグシップ『NITROGEN PRO』が出迎えたインターマックスブースアルゴン18のフラッグシップ『NITROGEN PRO』が出迎えたインターマックスブース photo:Yuichiro Hosoda

コルナゴConceptを紹介してくれた、元プロロードレーサーの岡崎和也さんコルナゴConceptを紹介してくれた、元プロロードレーサーの岡崎和也さん photo:Makoto.AYANO
他に試乗車を提供していたのは、フォーカス、コーダーブルーム、ジャイアントなど。トレックは試乗車以外に先日ジャパンカップクリテリウムで引退したファビアン・カンチェラーラ用のオリジナルペイントが施されたマドンを展示。通りかかった人が思わず足を止め、そのディティールを撮ろうとスマホのカメラを向けていた。このバイク、トレックのオリジナルペイント発注システム『プロジェクトワン』で注文が可能だ。

ブリヂストンブースでは、子供を載せて走る軽快車の試乗車も用意。小さなお子さんを連れた家族の皆さんは、やはり気になっていた様子。隣では子供達への自転車の乗り方講座を交えた体験コーナーが設けられ、そこでは…むしろお父さんお母さんが楽しそうにしていたような?

ファビアン・カンチェラーラのオリジナルペイントが施されたトレック・マドンファビアン・カンチェラーラのオリジナルペイントが施されたトレック・マドン photo:Yuichiro Hosoda
コーダーブルームの最上級モデルFARNA ULTIMATEも。完成車重量、なんと6.4kgコーダーブルームの最上級モデルFARNA ULTIMATEも。完成車重量、なんと6.4kg photo:Makoto.AYANO実用こそ自転車の本領、と言わんばかりに堂々試乗を行っていたブリヂストンサイクルの軽快車たち実用こそ自転車の本領、と言わんばかりに堂々試乗を行っていたブリヂストンサイクルの軽快車たち photo:Yuichiro Hosoda

短いコースながらも皆さん試乗を楽しんでいた様子短いコースながらも皆さん試乗を楽しんでいた様子 photo:Yuichiro Hosoda子供の自転車体験コーナー。お母さんがとっても楽しそうです子供の自転車体験コーナー。お母さんがとっても楽しそうです photo:Makoto.AYANO



大人気だった悪魔おじさん

悪魔おじさん(本物)も来日して盛り上がったさいたまクリテ。サイクルフェスタでも悪魔おじさんのフォトコーナーがあったり、彼のコスプレをしたファンの人達が歩いており、ツール・ド・フランスらしい雰囲気の演出に一役買っていた。時期的に外へ一歩出るとハロウィーンのコスプレと間違われそうだが、ここならそう思う人はそんなにいなかったはず。

サイタマサイクルプロジェクトのブースでは、ツール・ド・フランスにまつわる展示を実施サイタマサイクルプロジェクトのブースでは、ツール・ド・フランスにまつわる展示を実施 photo:Yuichiro Hosodaそこには悪魔おじさんのフォトコーナーも。あれ?この写真の撮影者は確か…そこには悪魔おじさんのフォトコーナーも。あれ?この写真の撮影者は確か… photo:Yuichiro Hosoda

日本の悪魔おじさんと言えばこの方。多くのライドイベントを真紅のママチャリで走破する健脚の持ち主日本の悪魔おじさんと言えばこの方。多くのライドイベントを真紅のママチャリで走破する健脚の持ち主 photo:Yuichiro Hosoda「RUN! FROOMY!!」のカードを手に観戦へやってきた悪魔おじさんコスプレのファン「RUN! FROOMY!!」のカードを手に観戦へやってきた悪魔おじさんコスプレのファン photo:Makoto.AYANO




さいたまクリテを盛り上げた「トリ」について

サイクルフェスタでは、トリのキャラクターが4羽ほどあちこちを闊歩していた。もちろん最初に紹介するのは埼玉県のマスコットであるコバトンとその弟分であるさいたまっち。さいたまっちが登場した時にコバトンファンは「えっコバトンはどうなるの!?」とちょっと不安になったそうだが、今でも仲良くイベントに出ており、ふたり(2羽)揃って人気者に。この日は頭にちょこんと載せたヘルメットがご愛嬌。

一方、白い鶏のキャラクターはJ SPORTSのマスコットのビクトリ(大きいほう)とピクトリ(小さいほう)。ふたり(2羽)は先輩・後輩だそう。一緒に写真を撮ってハッシュタグ#TDFsaitama #jspocycleをつけてSNSに投稿するといいことがあったかも!?どちらのトリたちも、道行く人達にひっきりなしに撮影をせがまれるほどの人気だった。

そしてトリ、ツール・ド・フランスと来ればルコックスポルティフ。こちらは凱旋門にフィニッシュする4賞ジャージの選手の顔出しパネルを用意。写真を撮ってハッシュタグ #LCS #ツールドフランス をつけてSNSに写真をアップすると、その場でノベルティグッズがもらえるキャンペーンを展開していた。

埼玉県のトリ、さいたまっちとコバトン。ちゃんとヘルメット被ってます埼玉県のトリ、さいたまっちとコバトン。ちゃんとヘルメット被ってます photo:Yuichiro HosodaJ SPORTSのトリ、ビクトリ(大きいほう)とピクトリ(小さいほう)J SPORTSのトリ、ビクトリ(大きいほう)とピクトリ(小さいほう) photo:Makoto.AYANO

ルコックスポルティフブースに設置されていた4賞ジャージの選手の顔出しパネルルコックスポルティフブースに設置されていた4賞ジャージの選手の顔出しパネル photo:Makoto.AYANOルコックスポルティフは、ツール・ド・フランスへ公式に提供している4賞ジャージも展示ルコックスポルティフは、ツール・ド・フランスへ公式に提供している4賞ジャージも展示 photo:Yuichiro Hosoda



他にもパリのヴェリブを思わせるようなサイクルシェアリングシステムを電動自転車で実現した企業や、さいたまトリエンナーレのブースなどなど、ここには書ききれないほどのブースが出展。サイクルフェスタにもグルメコーナーやステージが用意され、うっかりレース観戦を忘れてここに入り浸ってしまった人もいるのではないかと思うほどの充実ぶりだった。

こうして同日内に多くのイベントが催され、年々規模を拡大しているツール・ド・フランスさいたまクリテリウム。せっかく来たらレース観戦だけではもったいない。次の開催時にはぜひこれらのイベントにも足を伸ばしてみては?

Text:Yuichiro Hosoda
Photo:Yuichiro Hosoda, Makoto.Ayano