いよいよ、大会当日がやってきた。まだ薄暗い中、5時半頃にスタート地点のカピオラニ公園に着くと、毎年おなじみの熱気がムンムン漂っていた。さあ、これからいよいよ160kmの旅のスタートだ。

スタート順は自己申告の速度別にグループ分けされ、整列するのだか、今年はAグループが少ない。どうやらビギナーの方の割合が高いようだ。日本人の割合が高いイベントなので、ホノルルだということをうっかり忘れてしまうくらい、周囲には日本人ばかりで、歩けば知り合いに当たる(笑)。

今年は、実はホノルルで初めてスカートを履いた。風に涼しげにそよいでくれるよう、白いスカートを選んだ。小さいことだけど、そんなことがとってもうれしい。

参加者の皆さんと記念写真を撮りながら進みます参加者の皆さんと記念写真を撮りながら進みます

 スタートし、まずは朝焼けのダイアモンドヘッドを眺められるポイントまで上がる。予定よりスタートが遅れたため、もう太陽がかなり上がり、海からも空からも、赤みが消えていた。朝は数分の違いで、刻々と海の表情が変わってくのだ。

まもなく、皆さんのスタートを見送っていた今中さんが追いついてきた。どうやら私もスタート地点で一緒に待機する段取りだったらしい(今中さんを放置して先に行ってしまった・汗)。笑顔でごまかし、一緒に撮影。さぁ、先を急ごう。

 ここからは今中さんとカメラマンの綾野さんと3人旅。トップツアーの参加者の方を見つけては、足を緩めて一緒に記念撮影しながら前に進む。この日も、かなり強い向かい風が吹きつけていた。

講習会でも「風はないですよ」って言ってしまったのに。風があると、同じコースでも、こうもキツいのか…。踏んでも、一向にスピードが上がらない。今中さんたちはゆっくり走ってくれているのに、ついて行くのがやっと。軽々と走って行く人たちをみて、脚力の違いをひしひし感じる。

皆が足を止める絶景ポイントではいったん止まり、出会った人たちと記念撮影。せっかくのホノルルだもの、景色を楽しまなくちゃ。海のある景色って、やっぱりステキ。

山本雅道選手、益子直美さん夫妻に遭遇山本雅道選手、益子直美さん夫妻に遭遇

山本雅道選手、益子直美さん夫妻にも遭遇。傷めた腰をなんとか治して来たそうだ。ペースを乱さず、淡々と笑顔で走る益子さんから、お買い物情報をゲット(笑)。ホノルルはうまく回ればかなり安いらしい。ショッピングもいいね。

それにしても、立ち並ぶ家々が豪邸すぎる…。クルーザーが停めてある家まである! 
こんなところに暮らせるなんて、いいなぁ。

先を急ぐためにも今中さんたちが私を後ろにつけてくれているのだけれど、コーナーや、人を避けるとき、再発進するとき、すぐに遅れてしまうので、間隔が空いてしまう。下りで遅れ、上りでも遅れ、さらに撮影した後の再スタートでは、クリートをはめるのに手間取っている間に二人が見えなくなってしまう。これはマズい。

同じツアーの参加者を見つけては、今中さんと一緒に記念写真を撮る。同じツアーの参加者を見つけては、今中さんと一緒に記念写真を撮る。 コーナーを曲がると、どかーんと現れるハートブレイクヒル。脚の温存のためにもインナーローに落としてくるくる回しながら、てれてれ上る。センチュリーライドの「関門」の代名詞的上り坂だけれど、斜度は9%。初心者でもがんばれば上れるハードルだ。

「絹代〜、イマナカを追え〜」とか、外野から声が飛んできたけれど(笑)、そんな力があるわけもなく、ゆっくりクリア。でも、再スタート時に発ちゴケしかけて、ブリヂストン・アンカーの藤野監督の大爆笑を買った。

立ちゴケの遅れから、完全に二人を見失い、全力で前へ。ああ、風がなかったら! 海岸線が見えたところで、撮影をしている二人と出会った。25マイルエイドステーションはパスするというので、現地で買った濃縮グルコースを焦って飲んだ。絶句…。どのあたりが「トロピカル」味だったんだろう。ところでトロピカルってなんだ?

自問自答しながらペダルを回す。ちょっと内陸に入るけれど、やはり向かい風が強い。再び海岸線へ出て、しばらく行くと、ジャングルのような熱帯雨林エリアに突入。例年、ここに入ると一気に湿度があがり、ムワっとして、ユデダコのようになるのだけれど、今年は風の影響もあり、涼しくて、スッキリしていた。ここも微妙な上り坂だが、それに気付くということは、脚が疲れているということか…。

やっと50マイルのエイドステーションに到着。嬉しくてエイドまで走って行くと、大好きな塩味のプレッツェルが! 日本で買うと高いの! 他にはオレンジと、バナナ。ここで食べておかなくちゃ! 

今中さんが鶴見さんを押し、鶴見さんが奥さんを押す!今中さんが鶴見さんを押し、鶴見さんが奥さんを押す!

ここでかなり長い時間を過ごしていると、鶴見辰吾夫妻率いるLEGONチームが現れた。「もう大変よ~」と言いながら、変わらぬ笑顔の一美(ひとみ)さん。みんなでペースを守りながら、ここまで来たらしい。富永美樹さん、まことさん夫妻にも遭遇。こちらもまことさんデザインのおそろいのジャージ。まことさんの後ろに付いていらしたそうで、まったく普段通りにキレイ。夫婦ってステキね(笑)。

 しあわせ夫婦オーラにくらくらしながら、再スタート。ここからは一気に100マイル折り返しを目指すようだ。折り返しまで、がんばろう。カネオヘ湾をぐるっとまわり、カメハメハ・ハイウェイへ。ここからのビーチの眺めは、まさに絶景。白砂の、少し色の薄いビーチが広がっている。道路からすぐ近くまで波が打ち寄せていたりで、まさに「通のみぞ知る」くつろぎのビーチ。

青い海が綺麗です青い海が綺麗です

あまりに海面が近く、手を伸ばして触れてみたい衝動に駆られる。風は正直辛いけれど、ともかく折り返しを目指さなくては。ここで綾野さんにパンクが発生し、私は、ゆっくり先行し、ビーチの絶景ポイントで二人を待つことになった。海から吹き付ける風が気持ちいい。ふうっと疲れが飛んで行くようだ。風って、しんどいけど、いいね。


100マイル折り返しまで到着!

 最後の細かいアップダウンを越え、折り返し地点へ。ここでも、山本雅道夫妻に遭遇し、さらに一美さんがやってきた。鶴見さんが、ずっと一美さんの背中を押してサポートしているそうで、
「私には電動が付いてるの」と笑う一美さん。パンク修理で遅れたという鶴見さんも合流し、笑いの絶えないLEGONの皆さん。私まで巻き寿司をごちそうになってしまった。カラダにしみるくらいおいしくて…「ワタシって日本人なんだなぁ」と、自分再発見(笑)。

チャリフィスの皆さんと記念撮影チャリフィスの皆さんと記念撮影

 おそろいのウェアーに身を包んだ女性4人組「チャリフィス」の皆さんとガールズ記念撮影。市販のポロシャツにアップリケでアレンジしたオリジナルウェアーがかわいい!カラフルなタイツやシューズの女性もいて、個性のアピールもバッチリ。年々、女性サイクリストが自由に、元気になってきているのが嬉しいね。

 復路は、今中さん、綾野さんと別れてゆっくりペースで、ピンクタイヤのSさんたちの後について、先にスタート。復路は追い風のはずが、なぜか向かい風(涙)。どうしてこうなるの? 

順調に走り、エイドステーションに到着。靴を脱いで、足を投げ出して休んでいると、あっさり今中さん、綾野さんがやって来た。身が軽い…。なんとなくみんな同じタイミングで再スタートし、LEGONトレインへの無賃乗車を試みる(笑)。

ピンクのジャージのトレインの前方で並んで走る鶴見さん。サドルの上でふわっと広がる一美さんの白いフレアースカートがかわいらしくって、辰吾さんと一美さんがまるで王さまと王妃さまみたい。

だんだん足が戻って来て、小さなアップダウンは普通に走れるようになってきた。

塩味が嬉しいプレッツェルがエイドステーションにありました塩味が嬉しいプレッツェルがエイドステーションにありました  でも人に付いて走っていたら、一人旅になってしまった。ラスト25マイルのエイドステーションを発ち、自分のペースで前を行く。ジャングルに差しかかるが、帰りも微妙に緩やかな上り坂が待っていて、あまりスピードが出ない。
「ふがいない・・・」。

ヨレヨレ走っていたら、後ろから声をかけられた。振り返ると、一美さんとLEGONトレイン! 一緒に行ってくれるみたい。

ちょっと気持ちに張りが出て、ペダルが軽くなった。やっぱ、集団って強いね。鶴見さんが前に出てくれて、しばらく引いてくれるという。ありがたい…。

私の後ろの一美さんが切れないように、目で確認しながらスピードを調整しながらペダルを踏み込んでいく。なんだか申し訳なくて、一美さんが心配で、おろおろしながら、ついていく。

上り坂に差し掛かったところで、鶴見さんは後ろに下がって、一美さんのサポートに戻った。ここまで来れば、大丈夫。

 レゴンの皆さんが、前を引いてくれたり、道を渡りやすいようにいろいろと気を遣ってくれる。慣れない右側通行で、左折には少々勇気が要るので、本当に助かる。さすが「紳士」なのね。丁寧に気を遣われることに不慣れなので、ちょっとぎこちなくなるワタシ。

 最後のエイドステーションを見つけて、思わず歓声を上げた。ここを抜ければ、後は10km程度だ。一人私のサポートについてくださり、少し先行出発したが、すぐにレゴンの皆さんと合流した。


感動のゴール!考案したネタは空振り??

ゴールが近くなり、皆テンションが上がって来たのか「一美さんに押されながらゴールする辰吾さん」「集団先頭を引く絹代」という鶴見さん指示の演出が施されることになり、皆で笑いをこらえながらゴールゲートへ向かう。

奥さんに押されてゴールにやってきた鶴見辰吾さん。実はヤラセ(笑)奥さんに押されてゴールにやってきた鶴見辰吾さん。実はヤラセ(笑)

「ここまでしても、ダレも気付いてくれなかったりして」爆笑。(*注:たぶんダレにも、このネタは理解されませんでした)

 大笑いしながら、ゴール!。

「だいじょうぶだった?」待っていてくれた今中さんが声をかけてくれる。不甲斐なくて、申し訳ないです..。傾きかけた夕陽の中、みんなでいろんなパターンで記念撮影。100マイル走り終えた経験を共有するみんなとのこの時間が、とてもいい。一緒に走ってくださったみなさんへの、深い感謝の気持ちを噛みしめながら、今年のセンチュリーライドも終了だ。


後夜祭で楽園の夜はふけて

夜は後夜祭、アフターディナーパーティで今中さん、鶴見辰吾さん夫妻、そして100人以上の参加者の皆さんと一緒に豪華ディナーを共にする。スライドショーをみながらお酒を楽しみつつ、今日一日のそれぞれのエピソードを疲労しあい、楽しく過ごす宴だ。

後夜祭。参加者の皆さんと完走を讃えあう後夜祭。参加者の皆さんと完走を讃えあう 幸せそうな表情があふれています幸せそうな表情があふれています


皆さんとっても充実した笑顔です皆さんとっても充実した笑顔です

来年こそ、もっと軽く走れるようにならなくっちゃな~。まだチャレンジしたことがない皆さん、来年はぜひ一緒に走りましょうよ!


text:Kinuyo
photo:cyclowired.jp

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