2015/12/12(土) - 09:16
国内シクロクロスの祭典と言っても過言ではないRapha スーパークロス野辺山。今回のバイク紹介では、ここに出展・参加していた業界人の愛車を紹介。「中の人」ってどんなバイクに乗っているんでしょう?
斎藤朋寛さん(ジャイアント・ジャパン)
ジャイアント TCX ADVANCED PRO 0
かつてジャイアントの契約MTBライダーとして国内XCOトップレースの最前線で走り、現在はジャイアント・ジャパンでプロダクトマネージャーを務める斎藤朋寛さん。3年前から趣味としてシクロクロスに復帰したものの、火がつきあっという間にC1に復帰、海外出張を多く重ねる多忙さながら、野辺山では24位と21位、先日の全日本選手権では9位に入ってしまったという業界内最速クロッサーその人である。
バイクはジャイアントが誇るTCXの2015年度最上級完成車「ADVANCED PRO 0」で、シマノのDi2油圧ディスクブレーキシステムや、ROTORのクランクセットなどを導入したピュアレースモデル。「とにかくヘッドやフォークの剛性が高く、高速、泥などでも狙ったラインからブレません。かつ15mmTAなので、ディスクブレーキの性能を十分に発揮してくれるため、他のライダーよりもコーナーでのブレーキを遅らせることができ、ここ野辺山のコースでも芝のコーナーが続くセクションで特に有利です」
「それとフレームはリアの突き上げには優しく、かつペダリング効率は良い。さらにD-Fuseピラーを使っているので、荒れた路面でもピラーが細かい振動を吸収してくれるからペダリングがしやすいんです。」とは斎藤さんのインプレ。
稀有な泥はけ性能も特徴で、「前後のクリアランスはもちろんのこと、チェーンステイが左右アシンメトリーデザインなので、泥が自然と落ちていってくれます。私の成績が良いレースはだいたい泥レースで、バイクのアドバンテージによるものなんです(笑)」とご満悦だ。
ホイールは最新版の「SLR 0 Disc Carbon TL Ready」にアップグレードされ、IRCのチューブレスタイヤ「SERAC CX」をセットしている。SERAC CXを使う理由は「ハイグリップですし、レース1時間前でもタイヤ交換が可能な点も良い。ホイールも軽量でかつ高強度、低圧で使うためリム打ちも少なくないですが、ノントラブルなんです。ホビーレーサーなら、今チューブレスを使わない理由がないのではないでしょうか?」とコメント。TCXとSERAC CXはホビーレーサー間でホットな話題を提供しているアイテムの一つなので、斎藤さんのインプレはだいぶ参考になるのでは?
佐藤修平さん(スペシャライズド・ジャパン)
スペシャライズド CRUX E5 X1
スペシャライズド・ジャパンでマーケティングを務め、ボディージオメトリーフィットのフィッター資格を取得するため2ヶ月間の本社研修から帰国したばかりという佐藤修平さん。両日ともC2に出場し、日曜日は昇格争いの最前線で走り、6位に入った。
バイクはもちろんスペシャライズドで、この日に間に合うよう準備したというアルミディスクブレーキモデル「CRUX E5 X1」。名前の通りスラムのフロントシングルコンポーネント「RIVAL 1」を導入した国内トップモデルの完成車で、油圧ディスクブレーキなど、即レース投入可能なスペックを備えたモデル(希望小売価格279,000円)だ。
佐藤さんの愛車はホイールをロヴァールのRapide CL 40 DISCに変更し、タイヤはスペシャライズドのラインナップ中で最もマッド用に適した「TERRA」を装着。チェーンリングがウルフトゥースの34Tとかなり小さめの設定となっていることが特徴だが、その理由は「トップ側のギアを使うことで、なるべくクロスレシオでレースを走りたいから」と理論派のお答え。「38Tや40Tでも問題ないのでしょうが、私は平地が得意ですので、どのスピード域でも得意なトルクで踏みたいんです」。サドルも高トルクで踏みやすいよう「S-WORKS POWER」(非売品の試乗用カラー!)を組み合わせた。
また微妙なコントロールを可能とするべくハンドル幅は44cmと広めに設定し、フィッターとしての経験を活かしたポジショニングも自慢の一つ。骨盤を寝かせるべく、サドルノーズを下げたセッティングが特徴的だ。またバーテープはハイグリップが特徴の「S-WRAP HD」。握らせてもらったところ、泥が付着しても滑りにくく、かつ洗車をしてもグリップ力が落ちないそう。隠れたオススメアイテムとのことでした。
ザック・レイノルズさん(フタバ商店)
BMC crossmachine CXA01
フタバ商店のBMCブランドマネージャーのザック・レイノルズさん。実業団レース「富士山ヒルクライム」で好成績を収めたり、シマノ鈴鹿の国際レースに出場するほどの健脚の持ち主で、野辺山初日のC2で4位に入り、みごとC1昇格を果たした。
写真のアルミ製ディスクブレーキ対応モデル「crossmachine CXA01」は、BMCブランドの試乗車兼ザックさんのスペアバイクとしてレースを走ったモデル。多目的・エンデュランスモデル「GF02 Disc」のフレームセットをベースに、シクロクロス向けのパーツアッセンブルを施した完成車(価格は330,000円)だ。
「アルミフレームにカーボンフォークという組み合わせですが、想像以上に重量も軽くポテンシャルは高いですね。極薄のシートステーがよく働いて振動吸収性も高く、シクロクロスレースはもちろん、長距離の林道ツーリングなどにも適していると思います。」とはザックさんのインプレッション。
「BB剛性が高いため踏み心地はアルミらしいのですが、乗り心地は優しく身体には硬さが響きません。パーツも全てシマノ製品ですし、GF02 Discと比較してカーボンシートポストや油圧ディスクブレーキが備えられているため、レースバイクとしてもスペックで見劣りしませんね。アルミバイクで33万円と少し高価なイメージですが、それに見合うだけの中身があると思いますよ。一台でレースもツーリングもこなしたい方にオススメです」。
棈木亮二さん(チャンピオンシステム・ジャパン)
REVEN CROWBAR
オーダーウェアでおなじみの「チャンピオンシステム・ジャパン」代表であり、シクロクロス東京やスターライト幕張という大人気シクロクロスイベントを運営する棈木亮二さん。野辺山シクロクロスにはブースを出展する傍ら、自身も楽しみながら2日間ともレースに参加するほどのホビーシクロクロッサーだ。(ちなみに同所属で、スターライト幕張オーガナイザーの根本了慈さんはC1に両日出場したエリート選手)
棈木さんをはじめ、チャンピオンシステムの社員メンバーが乗るのは、見慣れない「REVEN」というブランドのバイク。それもそのはず、まだ立ち上がったばかりのベルギーブランドで、日本・ベルギー混成のコンチネンタルチームである「CCT p/b Champion System」が2015年シーズンに使った関係で、今後チャンピオンシステム・ジャパンが輸入代理店として発売をスタートさせるというモノだ。
豊富なラインナップがある中で、シクロクロスモデルはCROWBARというディスクブレーキ対応のフルカーボンバイク。トレンドをそつなく抑えた、こなれた印象の造りが目にとまる。「野辺山にギリギリ間に合いました!」と言う棈木さんのバイクだが、その印象は「ガチッとした乗り味で、取り回しがすごくコンパクトですね。フォークやヘッド周辺の剛性が高いのでハードブレーキでも全く不安がありません」と一言。まだデリバリーは始まっていないものの、発売価格はフレームセット+オリジナルシートポストで189,000円と買い求めやすいプライスを予定しているそう。続報に期待したい。
また、この日棈木さんが着ていたのは、チャンピオンシステムの姉妹ブランドであり、先日ローンチしたばかりのカジュアルウェアブランド「LIGNE8」の製品たち。かなり良い雰囲気の仕上がりながら、自転車での使用にも配慮されたもの。「実際使ってみて、ひいき目無しに完成度が高いことに驚きました。決してリーズナブルではありませんが、一級ブランドと並べても全く劣らない製品だと思いますね。」とのインプレッションを頂きました。
佐々木正さん(ミズタニ自転車)
niner BSB 9 RDO
ブランドネームの通り、29インチホイール専門のMTBブランド、niner(ナイナー)。ミズタニ自転車営業部の佐々木正さんの愛車は、ハイエンドレーシングモデル「BSB 9 RDO」のファーストモデルだ。リア135mmエンドのクイックレリーズ式だが、現行モデルは142mmエンドの12mmスルーアクスルへとアップグレードされている。
「シクロクロスバイクながら、本業であるMTBとほぼ変わらないガッチリとした乗り味が特徴ですね。ですからどんな場面でも安定感がありますし、カーボンながら不安は一切感じません」と言う佐々木さん。
パーツ構成は「どんな状況でも確実に変速・減速して欲しいので」とシマノのDi2+油圧ディスクブレーキシステムを投入。ホイールもNOTUBESのZTR GRAILリムにクリスキングのハブをセットした手組み品と、かなりエクスクルーシブなアッセンブル。サドルはあまりシクロクロスのイメージが無いSMPだが、「乗り降りの際にも引っかかることはありませんし、もとより高出力で踏み込む走り方に適しているため、非常にマッチするんです。ぜひ試して頂きたいですね」と太鼓判。
レース前の取材時に「できたらマスターズクラスでシングルリザルトに入りたいですね」と語っていた佐々木さんだが、蓋を開けてみれば3位表彰台獲得という好成績!きっとバイクの活躍があってこその結果だったのでしょう!
text&photo:So.Isobe
斎藤朋寛さん(ジャイアント・ジャパン)
ジャイアント TCX ADVANCED PRO 0
かつてジャイアントの契約MTBライダーとして国内XCOトップレースの最前線で走り、現在はジャイアント・ジャパンでプロダクトマネージャーを務める斎藤朋寛さん。3年前から趣味としてシクロクロスに復帰したものの、火がつきあっという間にC1に復帰、海外出張を多く重ねる多忙さながら、野辺山では24位と21位、先日の全日本選手権では9位に入ってしまったという業界内最速クロッサーその人である。
バイクはジャイアントが誇るTCXの2015年度最上級完成車「ADVANCED PRO 0」で、シマノのDi2油圧ディスクブレーキシステムや、ROTORのクランクセットなどを導入したピュアレースモデル。「とにかくヘッドやフォークの剛性が高く、高速、泥などでも狙ったラインからブレません。かつ15mmTAなので、ディスクブレーキの性能を十分に発揮してくれるため、他のライダーよりもコーナーでのブレーキを遅らせることができ、ここ野辺山のコースでも芝のコーナーが続くセクションで特に有利です」
「それとフレームはリアの突き上げには優しく、かつペダリング効率は良い。さらにD-Fuseピラーを使っているので、荒れた路面でもピラーが細かい振動を吸収してくれるからペダリングがしやすいんです。」とは斎藤さんのインプレ。
稀有な泥はけ性能も特徴で、「前後のクリアランスはもちろんのこと、チェーンステイが左右アシンメトリーデザインなので、泥が自然と落ちていってくれます。私の成績が良いレースはだいたい泥レースで、バイクのアドバンテージによるものなんです(笑)」とご満悦だ。
ホイールは最新版の「SLR 0 Disc Carbon TL Ready」にアップグレードされ、IRCのチューブレスタイヤ「SERAC CX」をセットしている。SERAC CXを使う理由は「ハイグリップですし、レース1時間前でもタイヤ交換が可能な点も良い。ホイールも軽量でかつ高強度、低圧で使うためリム打ちも少なくないですが、ノントラブルなんです。ホビーレーサーなら、今チューブレスを使わない理由がないのではないでしょうか?」とコメント。TCXとSERAC CXはホビーレーサー間でホットな話題を提供しているアイテムの一つなので、斎藤さんのインプレはだいぶ参考になるのでは?
佐藤修平さん(スペシャライズド・ジャパン)
スペシャライズド CRUX E5 X1
スペシャライズド・ジャパンでマーケティングを務め、ボディージオメトリーフィットのフィッター資格を取得するため2ヶ月間の本社研修から帰国したばかりという佐藤修平さん。両日ともC2に出場し、日曜日は昇格争いの最前線で走り、6位に入った。
バイクはもちろんスペシャライズドで、この日に間に合うよう準備したというアルミディスクブレーキモデル「CRUX E5 X1」。名前の通りスラムのフロントシングルコンポーネント「RIVAL 1」を導入した国内トップモデルの完成車で、油圧ディスクブレーキなど、即レース投入可能なスペックを備えたモデル(希望小売価格279,000円)だ。
佐藤さんの愛車はホイールをロヴァールのRapide CL 40 DISCに変更し、タイヤはスペシャライズドのラインナップ中で最もマッド用に適した「TERRA」を装着。チェーンリングがウルフトゥースの34Tとかなり小さめの設定となっていることが特徴だが、その理由は「トップ側のギアを使うことで、なるべくクロスレシオでレースを走りたいから」と理論派のお答え。「38Tや40Tでも問題ないのでしょうが、私は平地が得意ですので、どのスピード域でも得意なトルクで踏みたいんです」。サドルも高トルクで踏みやすいよう「S-WORKS POWER」(非売品の試乗用カラー!)を組み合わせた。
また微妙なコントロールを可能とするべくハンドル幅は44cmと広めに設定し、フィッターとしての経験を活かしたポジショニングも自慢の一つ。骨盤を寝かせるべく、サドルノーズを下げたセッティングが特徴的だ。またバーテープはハイグリップが特徴の「S-WRAP HD」。握らせてもらったところ、泥が付着しても滑りにくく、かつ洗車をしてもグリップ力が落ちないそう。隠れたオススメアイテムとのことでした。
ザック・レイノルズさん(フタバ商店)
BMC crossmachine CXA01
フタバ商店のBMCブランドマネージャーのザック・レイノルズさん。実業団レース「富士山ヒルクライム」で好成績を収めたり、シマノ鈴鹿の国際レースに出場するほどの健脚の持ち主で、野辺山初日のC2で4位に入り、みごとC1昇格を果たした。
写真のアルミ製ディスクブレーキ対応モデル「crossmachine CXA01」は、BMCブランドの試乗車兼ザックさんのスペアバイクとしてレースを走ったモデル。多目的・エンデュランスモデル「GF02 Disc」のフレームセットをベースに、シクロクロス向けのパーツアッセンブルを施した完成車(価格は330,000円)だ。
「アルミフレームにカーボンフォークという組み合わせですが、想像以上に重量も軽くポテンシャルは高いですね。極薄のシートステーがよく働いて振動吸収性も高く、シクロクロスレースはもちろん、長距離の林道ツーリングなどにも適していると思います。」とはザックさんのインプレッション。
「BB剛性が高いため踏み心地はアルミらしいのですが、乗り心地は優しく身体には硬さが響きません。パーツも全てシマノ製品ですし、GF02 Discと比較してカーボンシートポストや油圧ディスクブレーキが備えられているため、レースバイクとしてもスペックで見劣りしませんね。アルミバイクで33万円と少し高価なイメージですが、それに見合うだけの中身があると思いますよ。一台でレースもツーリングもこなしたい方にオススメです」。
棈木亮二さん(チャンピオンシステム・ジャパン)
REVEN CROWBAR
オーダーウェアでおなじみの「チャンピオンシステム・ジャパン」代表であり、シクロクロス東京やスターライト幕張という大人気シクロクロスイベントを運営する棈木亮二さん。野辺山シクロクロスにはブースを出展する傍ら、自身も楽しみながら2日間ともレースに参加するほどのホビーシクロクロッサーだ。(ちなみに同所属で、スターライト幕張オーガナイザーの根本了慈さんはC1に両日出場したエリート選手)
棈木さんをはじめ、チャンピオンシステムの社員メンバーが乗るのは、見慣れない「REVEN」というブランドのバイク。それもそのはず、まだ立ち上がったばかりのベルギーブランドで、日本・ベルギー混成のコンチネンタルチームである「CCT p/b Champion System」が2015年シーズンに使った関係で、今後チャンピオンシステム・ジャパンが輸入代理店として発売をスタートさせるというモノだ。
豊富なラインナップがある中で、シクロクロスモデルはCROWBARというディスクブレーキ対応のフルカーボンバイク。トレンドをそつなく抑えた、こなれた印象の造りが目にとまる。「野辺山にギリギリ間に合いました!」と言う棈木さんのバイクだが、その印象は「ガチッとした乗り味で、取り回しがすごくコンパクトですね。フォークやヘッド周辺の剛性が高いのでハードブレーキでも全く不安がありません」と一言。まだデリバリーは始まっていないものの、発売価格はフレームセット+オリジナルシートポストで189,000円と買い求めやすいプライスを予定しているそう。続報に期待したい。
また、この日棈木さんが着ていたのは、チャンピオンシステムの姉妹ブランドであり、先日ローンチしたばかりのカジュアルウェアブランド「LIGNE8」の製品たち。かなり良い雰囲気の仕上がりながら、自転車での使用にも配慮されたもの。「実際使ってみて、ひいき目無しに完成度が高いことに驚きました。決してリーズナブルではありませんが、一級ブランドと並べても全く劣らない製品だと思いますね。」とのインプレッションを頂きました。
佐々木正さん(ミズタニ自転車)
niner BSB 9 RDO
ブランドネームの通り、29インチホイール専門のMTBブランド、niner(ナイナー)。ミズタニ自転車営業部の佐々木正さんの愛車は、ハイエンドレーシングモデル「BSB 9 RDO」のファーストモデルだ。リア135mmエンドのクイックレリーズ式だが、現行モデルは142mmエンドの12mmスルーアクスルへとアップグレードされている。
「シクロクロスバイクながら、本業であるMTBとほぼ変わらないガッチリとした乗り味が特徴ですね。ですからどんな場面でも安定感がありますし、カーボンながら不安は一切感じません」と言う佐々木さん。
パーツ構成は「どんな状況でも確実に変速・減速して欲しいので」とシマノのDi2+油圧ディスクブレーキシステムを投入。ホイールもNOTUBESのZTR GRAILリムにクリスキングのハブをセットした手組み品と、かなりエクスクルーシブなアッセンブル。サドルはあまりシクロクロスのイメージが無いSMPだが、「乗り降りの際にも引っかかることはありませんし、もとより高出力で踏み込む走り方に適しているため、非常にマッチするんです。ぜひ試して頂きたいですね」と太鼓判。
レース前の取材時に「できたらマスターズクラスでシングルリザルトに入りたいですね」と語っていた佐々木さんだが、蓋を開けてみれば3位表彰台獲得という好成績!きっとバイクの活躍があってこその結果だったのでしょう!
text&photo:So.Isobe
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