2015/07/02(木) - 09:17
4月17~19日にかけてイギリスの港町ブリストルで行なわれた、ヨーロッパ最大のハンドメイド自転車ショー『Bespoked(ビスポーク)UKHBS』。今回は日本から出展した『Ogre(Weld One)』、最優秀賞・最優秀新人賞をダブル受賞したRowan Frameworks、最優秀ロードバイク賞を獲得したDonhou Bicycles、最優秀オフロードバイク賞を獲得したSwarf Bicyclesを紹介する。
Ogre(オーガ)
チタンフレームを得意とし、京都府北部、日本三景の一つ天橋立に近い与謝野町に工房を構えるOgre(オーガ)。今回は、昨年秋のサイクルモードで初公開となった、チタン製フルサスペンションDHバイクを海外で初めて展示した。ビルダーの小西栄二さんは実際にこれに跨がり、同年のレッドブル・ホーリーライドに出場している。
驚くのは何といっても溶接箇所の多さ。製作には、フルタイムでこれ1台にかかりきって、1ヶ月を要したそうだ。注文を受けて作ったバイクではないので値段はつけられないが、少なくとも100万円以上の制作費がかかっているとか。
小西さんが自転車フレームの製作を始めたのは8年前。それまでは一般企業に勤め、溶接技師として腕を磨く。オートバイのパーツなどを個人的に頼まれて作り始めるようになり、2年後独立。自転車のフレームは、頑丈さと軽さが同時に求められるトライアル競技のフレームを作り始めたのが最初。自転車は、企業で求められる溶接と異なり、自分一人の手で1から完成まで仕上げられるのが好きだ、とのこと。
Rowan Frameworks
次は、最優秀賞・最優秀新人賞を2つ同時に獲得したRowan Frameworks。新人賞の名の通り、ビルダーのティミー・ローワンさんは昨年8月、自転車作りの専門学校TBA(The Bike Academy)のコースを受講し、フレームビルディングの技術を学んだばかり。つまり、実績は1年にも満たない!
工房は地元イギリスのウッドチャーチという町に構える。今回賞を獲得したバイクは、まだ作り始めて4つめのバイクだそうだが、キャリアはもちろん、ハンドル・ステムに至るまで自作するという凝りよう。キャリアに載る木製のカゴももちろん自作だ。変速は、ブレーキレバーから手を離さずWレバーのように変速が出来る『ギブネール』のレバーを使用する。クランクはホワイト・インダストリーだ。
ビスポークUKHBSに限らず、賞を受賞するバイクは、フレームだけでなくパーツアッセンブルにもこだわりが見えるバイクが多い。このバイクは、ビルダー本人用として作られた。
Donhou Bicycles
続いて、最優秀ロードバイク賞を受賞したDonhou Bicycles。ロードバイク以外に、コミューターバイクなどが数台展示されていた。ビスポークUKHBSには初回の2011年から参加し、初の最優秀賞、その後も部門賞をいくつか獲得するなど、ショーの常連のようだ。主にフレームを製作するのはビルダーのトム・ドンホーさん。他に1人が工房を手伝い、溶接だけでなく、フレームペイントも自分の工房で行なう。
今回賞を獲得したのは、Donhou Signature Steel – DSS1と名付けられたインストックフレームシリーズ。ハンドメイドバイクにありがちな納期の不安定さを減らすため、ジオメトリー・ペイント・パーツアッセンブルがあらかじめ決められたモデルだ。パイプは地元イギリスのビルダーに使用されることが多いレイノルズ853。Enveのテーパーコラムフォークが組み合わされ、最新の油圧ディスクブレーキ仕様。価格は完成車で4,385ポンド(約82万円)。
Swarf Bicycles
最後に紹介するのは、最優秀オフロードバイク賞を獲得したSwarf Bicycles。ブリストルの南、ドーセットという町に工房を構える。ビルダーのアドリアン・ベドフォードさんが自転車製作を始めたのは、ちょうどこのショーが始まった2011年ごろ。最優秀賞を獲得したローワンさんと同じく専門学校TBAで溶接コースを受講し、最初は自分用、次に友人用にとフレームを作り始め、今までに製作したのは20台ほど。今回は自分用と、友人用に製作した29erのMTBを2台ショーに持ち込んだ。
フレーム作りの方針は、頑丈で永く使えること、だそうで、このMTBもパイプはレイノルズ853を使用し、質実剛健に作られている。ピカピカ輝くショーバイクの中にあって、やや「使い込んでる感」があるのが印象的だ。ブレーキの油圧ラインも含めてケーブルはすべてフレームの中を通るように交錯されている。シートステーはややトップチューブの前の方で溶接され、タイヤのクリアランスを多くとる工夫がされている。ブロンズのヘッドバッジは、ビルダーのお兄さんが特別に作ってくれたものなんだそう。
次回の記事では、ツーリング車・トラックバイク・シクロクロスバイクなどをお伝えする予定です!!
Photo & Text : Hisanori“Mario”Ueda
Ogre(オーガ)
チタンフレームを得意とし、京都府北部、日本三景の一つ天橋立に近い与謝野町に工房を構えるOgre(オーガ)。今回は、昨年秋のサイクルモードで初公開となった、チタン製フルサスペンションDHバイクを海外で初めて展示した。ビルダーの小西栄二さんは実際にこれに跨がり、同年のレッドブル・ホーリーライドに出場している。
驚くのは何といっても溶接箇所の多さ。製作には、フルタイムでこれ1台にかかりきって、1ヶ月を要したそうだ。注文を受けて作ったバイクではないので値段はつけられないが、少なくとも100万円以上の制作費がかかっているとか。
小西さんが自転車フレームの製作を始めたのは8年前。それまでは一般企業に勤め、溶接技師として腕を磨く。オートバイのパーツなどを個人的に頼まれて作り始めるようになり、2年後独立。自転車のフレームは、頑丈さと軽さが同時に求められるトライアル競技のフレームを作り始めたのが最初。自転車は、企業で求められる溶接と異なり、自分一人の手で1から完成まで仕上げられるのが好きだ、とのこと。
Rowan Frameworks
次は、最優秀賞・最優秀新人賞を2つ同時に獲得したRowan Frameworks。新人賞の名の通り、ビルダーのティミー・ローワンさんは昨年8月、自転車作りの専門学校TBA(The Bike Academy)のコースを受講し、フレームビルディングの技術を学んだばかり。つまり、実績は1年にも満たない!
工房は地元イギリスのウッドチャーチという町に構える。今回賞を獲得したバイクは、まだ作り始めて4つめのバイクだそうだが、キャリアはもちろん、ハンドル・ステムに至るまで自作するという凝りよう。キャリアに載る木製のカゴももちろん自作だ。変速は、ブレーキレバーから手を離さずWレバーのように変速が出来る『ギブネール』のレバーを使用する。クランクはホワイト・インダストリーだ。
ビスポークUKHBSに限らず、賞を受賞するバイクは、フレームだけでなくパーツアッセンブルにもこだわりが見えるバイクが多い。このバイクは、ビルダー本人用として作られた。
Donhou Bicycles
続いて、最優秀ロードバイク賞を受賞したDonhou Bicycles。ロードバイク以外に、コミューターバイクなどが数台展示されていた。ビスポークUKHBSには初回の2011年から参加し、初の最優秀賞、その後も部門賞をいくつか獲得するなど、ショーの常連のようだ。主にフレームを製作するのはビルダーのトム・ドンホーさん。他に1人が工房を手伝い、溶接だけでなく、フレームペイントも自分の工房で行なう。
今回賞を獲得したのは、Donhou Signature Steel – DSS1と名付けられたインストックフレームシリーズ。ハンドメイドバイクにありがちな納期の不安定さを減らすため、ジオメトリー・ペイント・パーツアッセンブルがあらかじめ決められたモデルだ。パイプは地元イギリスのビルダーに使用されることが多いレイノルズ853。Enveのテーパーコラムフォークが組み合わされ、最新の油圧ディスクブレーキ仕様。価格は完成車で4,385ポンド(約82万円)。
Swarf Bicycles
最後に紹介するのは、最優秀オフロードバイク賞を獲得したSwarf Bicycles。ブリストルの南、ドーセットという町に工房を構える。ビルダーのアドリアン・ベドフォードさんが自転車製作を始めたのは、ちょうどこのショーが始まった2011年ごろ。最優秀賞を獲得したローワンさんと同じく専門学校TBAで溶接コースを受講し、最初は自分用、次に友人用にとフレームを作り始め、今までに製作したのは20台ほど。今回は自分用と、友人用に製作した29erのMTBを2台ショーに持ち込んだ。
フレーム作りの方針は、頑丈で永く使えること、だそうで、このMTBもパイプはレイノルズ853を使用し、質実剛健に作られている。ピカピカ輝くショーバイクの中にあって、やや「使い込んでる感」があるのが印象的だ。ブレーキの油圧ラインも含めてケーブルはすべてフレームの中を通るように交錯されている。シートステーはややトップチューブの前の方で溶接され、タイヤのクリアランスを多くとる工夫がされている。ブロンズのヘッドバッジは、ビルダーのお兄さんが特別に作ってくれたものなんだそう。
次回の記事では、ツーリング車・トラックバイク・シクロクロスバイクなどをお伝えする予定です!!
Photo & Text : Hisanori“Mario”Ueda
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