2015/01/22(木) - 09:09
列島が冬の寒さに震える1月17・18日、沖縄を舞台に開催されるロングライド「美ら島オキナワセンチュリーラン 」が開催された。今年はついに2千人を越える人気に。最長160kmコースの実走レポートをお届けしよう。
今回で第6回目の開催。今年は全参加者数で初の2千人超えの2,165人の参加者を集めた美ら島CR。沖縄県以外からの参加者の比率は66%、そして女性比率が20.5%と非常に高く、海外からの参加者も台湾や韓国からの参加者を中心に11%あるという。
走るコースは距離別に3つ。最長の「センチュリー160km」には867人が参加。平坦路を中心としたシーサイド100km」には967人が、昨年までスウィーツコースと呼ばれた「めんそーれ50km」には331人が参加した。今年はイベント後にディナーの楽しめる後夜祭アフターパーティも新しく企画された。
列島が冬本番で冷え込むなか、暖かい沖縄。しかし美ら島CRは過去大会での雨の記憶があり、前日までの話題はもっぱらお天気のこと。そう、運悪く2年連続で冷たい雨にたたられ、つらい思いをしてイメージが下がってしまった時期があったのだ。だから前日イベントの会場では「てるてる坊主」を皆でつくって好天を祈るのも恒例行事となっている。「雨男は誰?」とささやきあうのもいつものこと。
強い風の吹いた前日。しかし当日は好天の天気予報に。CW編集部からは3人が取材に入り、それぞれの3コースに別れて実走しての撮影・取材を行った。まずはこの最長160kmコースの体験レポートは私・綾野が担当します。
スタートは朝7時。雨の心配がないのは本当に気が楽だ。まだ薄暗いなか、恩納村コミュニティセンターのグラウンドには867人が並んだ。
威勢のいいエイサー(沖縄民謡に合わせた踊り)と太鼓に見送られてウェーブスタートしていく。過去数年はもっとも人気の高い(そして女性が多くて華やかな)100kmコースを中心に実走取材していたから、160kmコースの参加はおそらく4年ぶり。まだお正月太りと運動不足が後を引くこの時期だが、今年はシクロクロス連戦などで走りこんでいたから距離に対する不安がなかったので思い切って選んでみたのだ。
それでも準備は念入りにした。タイヤや自転車の整備状態はなるべく最高に。予報は良いけど風が吹くことに備え、防寒についても気を配った。
薄暗い中走りだして、ツール・ド・おきなわでも本拠となる名護市街へと向かう。少し肌寒いが、ウインドブレーカーを着ていれば平気な程度だ。クラブチームの列車に乗っかって、快調に北へ向かう。心配した風はほとんど無し。
名護では市民会館に恒例の第1エイドがある。過去に「ツール・ド」のふれあいパーティが開催されていた芝生の庭で一休み。ちゅら島CRではエイドごとに仲間たちと合流して走りだすのが走り方だ。とくにこの第1エイドではなるべく全員揃うまで待とうという雰囲気。慌てる人は少なく、のんびりだ。
今年はコースがややイージーになるように、そして序盤は桜の多く咲く今帰仁村内を通るよう変更されたという。今帰仁の坂道の沿道には、しっかりと桜が咲いていた。
オキナワの桜は花が小さく、ピンクが濃いため桜だとは気づかずに通り過ぎる人もいるが、しっかり見つけることが出来た。日本一早く咲くという桜。坂のきつさにうつむきがちに通り過ぎる参加者に声をかけてお知らせしてみた。桜を見ると誰もが表情が晴れやかに。
天気は予想ほどには好転せず、曇のまま。先に言ってしまうと、結局最後まで晴れなかった。陽は差さず、かといって雨も降らなかったが。そして島と島をつなぐ「ワルミ大橋」と「古宇利大橋」の、美ら島CRのもっとも象徴的な海のエリアへ。
陽光の差さないなか海の輝きも冴えないが、それでも青空を映したようなライトブルーの海が道路の両脇に広がる。海上でも風はほとんど無く、橋の上で立ち止まっての記念撮影も盛んだ。古宇利島をぐるっと回っていた昨年まで。今回は橋を渡りきったエイドで折り返しだ。つまりここでも坂は少し減った。
昼食の休憩は宜野座村にある海水の温泉とタラソテラピーの「漢那(かんな)タラソ」で。お弁当と豚汁、イカの天ぷらをほおばり、足湯につかってのんびりすることができた。目の前の白砂のビーチに車座になって座って休むグループも。海を見ながら、和(なご)みの時間だ。
海沿いの国道を走りながら、金武(きん)町へ。このエイドでは名産の田芋(タロイモのこと)のパイがスウィーツとして提供された。ここまで約90km、制限時間は15時まで。涼しくて無風で走りやすく、坂も少ないので余裕だ。
そして2つめの海のハイライト、海中道路へ。赤い吊り橋が途中に含まれる、勝連半島から平安座島を結ぶ4.7kmのこの道路は、走れるのは160kmコースのみだ。歩道を入れると6車線になる幅広い道路は、とにかく圧巻。
途中、なかほどのエイドでは道路をまたぐ歩道橋に登ってみるのがお薦め。遠浅の海を突き抜けていく様子が高いところからならよく分かる。エイドにはもずくの天ぷらを食べ、バレンタインデーを先取りしたチョコレートケーキも登場。
うるま市のエイド「IT津梁パーク」では、隠れたB級アイドル、東江ツルさんに会える(笑)。日焼けした顔に、農協のタオルのほっかむり、顔のシワ、丸めた背中の85歳.....。沖縄ならどこにでもいそうな「おばぁ」をリアルに再現した人形で、伊計島に実在する人物をモデルに制作されたという。あまりにリアルで、初めてみると必ずぎょっとします(笑)。ぜひ一緒に記念撮影を!
うるま市から嘉手納へはアメリカ軍の基地の存在を感じながら走ることになる。「かでな道の駅」では、4階に上れば嘉手納基地の滑走路がまるまる見渡せる展望フロアがある。エイドで出されたメロンパンをほおばりながら見渡す基地は、タイミングが合えば軍用機の発着が見れるという。
読谷村を抜け、再び西海岸へ。リゾートエリアを抜け海が見えればゴールは近い。なだらかなアップダウンを快調にこなし、恩納村のゴールへ。ゴールでは再びエイサーと、MCの星野さんが可能な限り名前やクラブ名を叫んでくれての力いっぱいのお出迎えが嬉しい。
一日を走りきって、160km完走の感想を振り返ろう。最後まで太陽の姿を拝むことはなかったけれど、おかげで涼しくて走りやすかった。ヒルクライムTTの企画も無くなって、昨年までのコースより登りが減った。天気とコース変更の相乗効果で160kmと思えないほど疲れは少なかった。これが、今年の新企画である20時からの後夜祭アフターパーティに出る身にはありがたかった。
後夜祭の会場はMariottホテルの宴会場(というセレブさ!)。パーティではCW編集部3人による撮れたての写真によるスライドショーを披露させていただき、来場の皆さんに大いに喜んでもらえた(と思う)。オリオンビールの飲み放題と、美味しい沖縄料理。楽しい夜はあっという間に過ぎていく。
正直な感想としては、コース上のエイドで供される補給食に沖縄独自の食材が少し減り、グルメ度がちょと下がったのかもしれない。でも、そのぶん質の高い後夜祭が用意されたのは嬉しい。
思えば朝5時の起床から、気持よく酔っての午前様の就寝まで、たっぷり楽しんだ。美ら島センチュリーはやっぱり最高のロングライドイベント。その思いを強くした、長〜い一日だった。
photo&text:Makoto.AYANO
フォトギャラリー(CW FaceBook)
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今回で第6回目の開催。今年は全参加者数で初の2千人超えの2,165人の参加者を集めた美ら島CR。沖縄県以外からの参加者の比率は66%、そして女性比率が20.5%と非常に高く、海外からの参加者も台湾や韓国からの参加者を中心に11%あるという。
走るコースは距離別に3つ。最長の「センチュリー160km」には867人が参加。平坦路を中心としたシーサイド100km」には967人が、昨年までスウィーツコースと呼ばれた「めんそーれ50km」には331人が参加した。今年はイベント後にディナーの楽しめる後夜祭アフターパーティも新しく企画された。
列島が冬本番で冷え込むなか、暖かい沖縄。しかし美ら島CRは過去大会での雨の記憶があり、前日までの話題はもっぱらお天気のこと。そう、運悪く2年連続で冷たい雨にたたられ、つらい思いをしてイメージが下がってしまった時期があったのだ。だから前日イベントの会場では「てるてる坊主」を皆でつくって好天を祈るのも恒例行事となっている。「雨男は誰?」とささやきあうのもいつものこと。
強い風の吹いた前日。しかし当日は好天の天気予報に。CW編集部からは3人が取材に入り、それぞれの3コースに別れて実走しての撮影・取材を行った。まずはこの最長160kmコースの体験レポートは私・綾野が担当します。
スタートは朝7時。雨の心配がないのは本当に気が楽だ。まだ薄暗いなか、恩納村コミュニティセンターのグラウンドには867人が並んだ。
威勢のいいエイサー(沖縄民謡に合わせた踊り)と太鼓に見送られてウェーブスタートしていく。過去数年はもっとも人気の高い(そして女性が多くて華やかな)100kmコースを中心に実走取材していたから、160kmコースの参加はおそらく4年ぶり。まだお正月太りと運動不足が後を引くこの時期だが、今年はシクロクロス連戦などで走りこんでいたから距離に対する不安がなかったので思い切って選んでみたのだ。
それでも準備は念入りにした。タイヤや自転車の整備状態はなるべく最高に。予報は良いけど風が吹くことに備え、防寒についても気を配った。
薄暗い中走りだして、ツール・ド・おきなわでも本拠となる名護市街へと向かう。少し肌寒いが、ウインドブレーカーを着ていれば平気な程度だ。クラブチームの列車に乗っかって、快調に北へ向かう。心配した風はほとんど無し。
名護では市民会館に恒例の第1エイドがある。過去に「ツール・ド」のふれあいパーティが開催されていた芝生の庭で一休み。ちゅら島CRではエイドごとに仲間たちと合流して走りだすのが走り方だ。とくにこの第1エイドではなるべく全員揃うまで待とうという雰囲気。慌てる人は少なく、のんびりだ。
今年はコースがややイージーになるように、そして序盤は桜の多く咲く今帰仁村内を通るよう変更されたという。今帰仁の坂道の沿道には、しっかりと桜が咲いていた。
オキナワの桜は花が小さく、ピンクが濃いため桜だとは気づかずに通り過ぎる人もいるが、しっかり見つけることが出来た。日本一早く咲くという桜。坂のきつさにうつむきがちに通り過ぎる参加者に声をかけてお知らせしてみた。桜を見ると誰もが表情が晴れやかに。
天気は予想ほどには好転せず、曇のまま。先に言ってしまうと、結局最後まで晴れなかった。陽は差さず、かといって雨も降らなかったが。そして島と島をつなぐ「ワルミ大橋」と「古宇利大橋」の、美ら島CRのもっとも象徴的な海のエリアへ。
陽光の差さないなか海の輝きも冴えないが、それでも青空を映したようなライトブルーの海が道路の両脇に広がる。海上でも風はほとんど無く、橋の上で立ち止まっての記念撮影も盛んだ。古宇利島をぐるっと回っていた昨年まで。今回は橋を渡りきったエイドで折り返しだ。つまりここでも坂は少し減った。
昼食の休憩は宜野座村にある海水の温泉とタラソテラピーの「漢那(かんな)タラソ」で。お弁当と豚汁、イカの天ぷらをほおばり、足湯につかってのんびりすることができた。目の前の白砂のビーチに車座になって座って休むグループも。海を見ながら、和(なご)みの時間だ。
海沿いの国道を走りながら、金武(きん)町へ。このエイドでは名産の田芋(タロイモのこと)のパイがスウィーツとして提供された。ここまで約90km、制限時間は15時まで。涼しくて無風で走りやすく、坂も少ないので余裕だ。
そして2つめの海のハイライト、海中道路へ。赤い吊り橋が途中に含まれる、勝連半島から平安座島を結ぶ4.7kmのこの道路は、走れるのは160kmコースのみだ。歩道を入れると6車線になる幅広い道路は、とにかく圧巻。
途中、なかほどのエイドでは道路をまたぐ歩道橋に登ってみるのがお薦め。遠浅の海を突き抜けていく様子が高いところからならよく分かる。エイドにはもずくの天ぷらを食べ、バレンタインデーを先取りしたチョコレートケーキも登場。
うるま市のエイド「IT津梁パーク」では、隠れたB級アイドル、東江ツルさんに会える(笑)。日焼けした顔に、農協のタオルのほっかむり、顔のシワ、丸めた背中の85歳.....。沖縄ならどこにでもいそうな「おばぁ」をリアルに再現した人形で、伊計島に実在する人物をモデルに制作されたという。あまりにリアルで、初めてみると必ずぎょっとします(笑)。ぜひ一緒に記念撮影を!
うるま市から嘉手納へはアメリカ軍の基地の存在を感じながら走ることになる。「かでな道の駅」では、4階に上れば嘉手納基地の滑走路がまるまる見渡せる展望フロアがある。エイドで出されたメロンパンをほおばりながら見渡す基地は、タイミングが合えば軍用機の発着が見れるという。
読谷村を抜け、再び西海岸へ。リゾートエリアを抜け海が見えればゴールは近い。なだらかなアップダウンを快調にこなし、恩納村のゴールへ。ゴールでは再びエイサーと、MCの星野さんが可能な限り名前やクラブ名を叫んでくれての力いっぱいのお出迎えが嬉しい。
一日を走りきって、160km完走の感想を振り返ろう。最後まで太陽の姿を拝むことはなかったけれど、おかげで涼しくて走りやすかった。ヒルクライムTTの企画も無くなって、昨年までのコースより登りが減った。天気とコース変更の相乗効果で160kmと思えないほど疲れは少なかった。これが、今年の新企画である20時からの後夜祭アフターパーティに出る身にはありがたかった。
後夜祭の会場はMariottホテルの宴会場(というセレブさ!)。パーティではCW編集部3人による撮れたての写真によるスライドショーを披露させていただき、来場の皆さんに大いに喜んでもらえた(と思う)。オリオンビールの飲み放題と、美味しい沖縄料理。楽しい夜はあっという間に過ぎていく。
正直な感想としては、コース上のエイドで供される補給食に沖縄独自の食材が少し減り、グルメ度がちょと下がったのかもしれない。でも、そのぶん質の高い後夜祭が用意されたのは嬉しい。
思えば朝5時の起床から、気持よく酔っての午前様の就寝まで、たっぷり楽しんだ。美ら島センチュリーはやっぱり最高のロングライドイベント。その思いを強くした、長〜い一日だった。
photo&text:Makoto.AYANO
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