2014/12/21(日) - 09:57
11月23日、祝日の茅ヶ崎市中央公園で第3回目となるちがさきVELO FESTIVALが開催された。自転車ファンからキッズライダー、通りがかった市民まで自転車の祭典を秋晴れの空の下楽しんだ。
「自転車のまち」茅ヶ崎市
サザンオールスターズゆかりの地として知られる神奈川県、湘南エリアの茅ヶ崎市は同時に「自転車のまち」としても知られる。市民の自転車利用度の高さや立地上の利便性から、市を挙げて『人と環境にやさしい自転車の街』としての取り組みをこの10年続けて行われており、ちがさきVELO FESTIVALはその重要なイベントとして今年で3回目を迎えた。
会場となる茅ヶ崎市中央公園はJR茅ヶ崎駅から徒歩5分。屋台やメーカーのブース、来場者がひしめき活況を呈すその様子はまさにお祭り。VELO FESTIVAL、「自転車のお祭り」と題されたイベントには、自転車ファンはもちろんのこと、通りがかりの市民や子どもたちが参加できるようなオープンな雰囲気が漂う。
ちがさきの名物フードが集結する屋台村ではご当地グルメに舌鼓を打ち、メーカーブースでは試乗や最新のプロダクトをチェック。ここ茅ヶ崎にゆかりあるミヤタサイクルが扱うメリダや、軽量バイクエモンダが話題のトレックなど、通もうなるライナップ。
茅ヶ崎市がこの秋ハワイ・ホノルル市と姉妹都市協定を締結したこともあって、ホノルルセンチュリーライドのツアーでお馴染みのトップツアーも出展。ハワイを走る新しいツアーも計画中とあって、訪れるサイクリストたちの注目を集めていた。
フミがワールドクラスの走りを披露 ちがさきクリテリウム
広々とした中央公園の一角にできた人垣。その中心にいるのは、黒いトレックファクトリーレーシングのジャージに身を包んだフミこと別府史之。フミは地元茅ヶ崎のこのイベントに毎年必ず顔を出し、クリテリウムレースを毎回走っている。ロードレースファン、地元市民の両方に熱い視線を浴びるフミは、過去2年のクリテリウムを制している。今年はどうか。
愛三工業のジャージ姿が全く違和感のない別府匠監督は、「全然走っていないですよ」と言いつつスタートラインに。現役時代はヒルクライマーで鳴らした彼は平坦路のスピードコースをどう走るだろうか。ちなみにこのレースの解説は長兄の始氏が担当し、茅ヶ崎が誇る自転車兄弟、別府三兄弟が揃うイベントともなった。
年々高まる自転車人気と継続的なイベントの成功から、今年のクリテリウムは公道の使用許可が下りた。これだけでも、茅ヶ崎市が自転車にオープンな環境づくりをしているという姿勢がうかがえる。その甲斐あって、ホームストレートはレース前から鈴なりの大観衆。茅ヶ崎ゆかりの選手たち10名を、大きな声援が後押しする。
序盤から入れ替わり立ち替わりにアタックが繰り広げられるレースに、そこらから「速い〜!」「ヤバっ!」との驚きの声が上がる。エキシビジョンとはいえ、ロードレースのスピード感は充分に伝わったようだ。勝負はフミが最終ストレートでロングスプリントを成功させ勝利。2位に早川朋宏(愛三工業)、3位に石上優大(EQUADS)がそれぞれ入った。
「公道を使えることもあって、コーナーのスピードもスムーズに走ることができました。若手選手の飛び出しが多くて、ヨーロッパプロとしては大人げないかもしれないですが(笑)、力でねじ伏せる走りをお見せできてよかったです。世界選手権でも活躍した石上君の走りも見られて嬉しかったですね」とはゴール後のフミ。
「例年以上に応援と声援が多くて、お客さんがたくさんいる中を走れたのは最高でした」3年連続で優勝を果たしたフミはこの日のレースをこう締めくくった。
自転車のまちの明るい未来をキッズレースに見た
プロ選手によるちがさきクリテリウムのあとは、VELO FESTIVALのもうひとつの目玉レースであるキッズレースが開催された。朝に開場入りしたときから、キッズサイクリストと落ち着かない様子のパパ、ママたちを多く見かけたが、子息の晴れ舞台がいよいよやってきた。
参加無料だということと、公園内に設けられた適度なアップダウンオフロードコースがどんな自転車でも走破できるということもあり、キッズレースは大盛況。MCアリーさんによるスタート前のコールアップでは、「昨年も参加してくれました」の言葉が多く聞かれる。近隣のキッズ(とその保護者)にとって恒例行事化している様子がうかがえる。
それにしてもキッズの参加人数が多い。小学生以下の補助輪無しカテゴリーだけでも24名がエントリー。スタートしてからゴールまでは、大人のレースと何ら変わらない熱戦が繰り広げられた。先頭を走っていたのに転んで優勝を逃してしまった少年は、悔しさで涙が止まらないままゴール。大人よりもピュアな、前だけを目指す姿に心打たれる。
学年別に分けられたカテゴリーで多くのキッズがレースを楽しむ中、印象的だったのは補助輪ありのクラス。ガラガラという走行音が懐かしく、自分が自転車に始めて跨がったときの光景がフラッシュバックしてきた。父に付き添われてレースを走る子どもたちを見て、かつて自分もそうやって自転車に入門したことが思い返される。そしていつかは自分も子どもと一緒に走る日が来るのかもしれない。自転車は、世代と世代をつなぐ象徴であり、改めて私たちの日常に根付いているのだと実感したキッズレースだった。
イベントの軸は、「安全に自転車を楽しめるように」
プロの目を見張る高速レースから、家族のつながりを見たキッズレース、自転車クイズ選手権(なかなかの難問揃い!)、頭と体を使う自転車版障害物競走のちがさきサイクリストグランプリまで、多種多様な催しを詰め込んだちがさきVELO FESTIVAL。「楽しい!」の中に様々な学びや発見があるこのイベントの軸には、市民が安全に自転車を楽しんでもらいたいという思いがある。
「茅ヶ崎はもともと自転車の利用率も高く、最近ではスポーツとしての認知度も高まってきました」と話すのは実行委員長の小川裕暉さん。「フミがロンドンオリンピックに出場した年に、市での報告会が企画されていて、その際に自転車のイベントとして広げられないかと話が持ち上がりました。茅ヶ崎市は自転車の利用率が高い反面、事故件数も県内でワースト3など、安全面での対策が急務だったので、自転車のイベントで安全への啓蒙が出来ればと考えたんです」
自転車における安全と一口に言っても、技術面や意識面などさまざまなアプローチが可能なのは想像に難くない。そんな中、第1回からメインスポンサーとしてサポートするau損保は、自転車保険という「安心」からライダーの安全意識をサポートする。au損保のあ・う・てを担当する今井康智さんはこう語る。
「自転車の街なのに、交通事故が多いという現状をみて保険からサポートできることがあると思いました。この大会が持ち上がった2010年頃は、自転車の加害事故がクローズアップされた時期でもあって、携帯で気軽に入れて、金額もこなれている自転車保険を紹介したかったんです。示談保証や自損事故までカバーする自転車保険はまだ数が少ないのですが、そうした内容よりも、保険に「入っている」という安心感がみなさんの自転車生活をより楽しめるものにしてくれると思います。
ちがさきVELO FESTIVALも一回目は雨でしたけれど、回を重ねるごとに大きくなってきました。家族連れも多く、たくさんの子どもたちが今日もブースに来てくれました。イベントが魅力的になっていくサポートができるのは嬉しいことです。今後も一緒に歩んでいきたいですね。」
夕暮れが差し掛かった会場ではこの日最後のイベントとなる、豪華景品争奪のじゃんけん大会に歓声が上がっている。大人も子どももお姉さんも、自転車を満喫した一日となった。
プロレースの華やかなスピードが自転車の無限の可能性を見せ、キッズレースを家族全員で楽しみ、安全への意識を共有する。地域に根ざした自転車の取り組みとして、ちがさきVELO FESTIVALは第3回大会を成功に終えた。自転車専用レーンが設置されるなど、着実に根を拡げている茅ヶ崎市の自転車文化。イベントと「自転車のまち」の未来は明るく照らされている。
さて、最後にちがさきVELO FESTIVALに協賛しているau損保の人気アニメコンテンツ、「こぐまの自転車マナー教室」の特別編を紹介しましょう。作品内にはスペシャルゲストとしてフミも登場し、こぐまをヴェロフェス会場まで送り届けます。監修はHILL CLIMB GIRLの監督も手がけた谷東氏です。
Text:Yufta Omata
Photo:Shojiro Nakabayashi
「自転車のまち」茅ヶ崎市
サザンオールスターズゆかりの地として知られる神奈川県、湘南エリアの茅ヶ崎市は同時に「自転車のまち」としても知られる。市民の自転車利用度の高さや立地上の利便性から、市を挙げて『人と環境にやさしい自転車の街』としての取り組みをこの10年続けて行われており、ちがさきVELO FESTIVALはその重要なイベントとして今年で3回目を迎えた。
会場となる茅ヶ崎市中央公園はJR茅ヶ崎駅から徒歩5分。屋台やメーカーのブース、来場者がひしめき活況を呈すその様子はまさにお祭り。VELO FESTIVAL、「自転車のお祭り」と題されたイベントには、自転車ファンはもちろんのこと、通りがかりの市民や子どもたちが参加できるようなオープンな雰囲気が漂う。
ちがさきの名物フードが集結する屋台村ではご当地グルメに舌鼓を打ち、メーカーブースでは試乗や最新のプロダクトをチェック。ここ茅ヶ崎にゆかりあるミヤタサイクルが扱うメリダや、軽量バイクエモンダが話題のトレックなど、通もうなるライナップ。
茅ヶ崎市がこの秋ハワイ・ホノルル市と姉妹都市協定を締結したこともあって、ホノルルセンチュリーライドのツアーでお馴染みのトップツアーも出展。ハワイを走る新しいツアーも計画中とあって、訪れるサイクリストたちの注目を集めていた。
フミがワールドクラスの走りを披露 ちがさきクリテリウム
広々とした中央公園の一角にできた人垣。その中心にいるのは、黒いトレックファクトリーレーシングのジャージに身を包んだフミこと別府史之。フミは地元茅ヶ崎のこのイベントに毎年必ず顔を出し、クリテリウムレースを毎回走っている。ロードレースファン、地元市民の両方に熱い視線を浴びるフミは、過去2年のクリテリウムを制している。今年はどうか。
愛三工業のジャージ姿が全く違和感のない別府匠監督は、「全然走っていないですよ」と言いつつスタートラインに。現役時代はヒルクライマーで鳴らした彼は平坦路のスピードコースをどう走るだろうか。ちなみにこのレースの解説は長兄の始氏が担当し、茅ヶ崎が誇る自転車兄弟、別府三兄弟が揃うイベントともなった。
年々高まる自転車人気と継続的なイベントの成功から、今年のクリテリウムは公道の使用許可が下りた。これだけでも、茅ヶ崎市が自転車にオープンな環境づくりをしているという姿勢がうかがえる。その甲斐あって、ホームストレートはレース前から鈴なりの大観衆。茅ヶ崎ゆかりの選手たち10名を、大きな声援が後押しする。
序盤から入れ替わり立ち替わりにアタックが繰り広げられるレースに、そこらから「速い〜!」「ヤバっ!」との驚きの声が上がる。エキシビジョンとはいえ、ロードレースのスピード感は充分に伝わったようだ。勝負はフミが最終ストレートでロングスプリントを成功させ勝利。2位に早川朋宏(愛三工業)、3位に石上優大(EQUADS)がそれぞれ入った。
「公道を使えることもあって、コーナーのスピードもスムーズに走ることができました。若手選手の飛び出しが多くて、ヨーロッパプロとしては大人げないかもしれないですが(笑)、力でねじ伏せる走りをお見せできてよかったです。世界選手権でも活躍した石上君の走りも見られて嬉しかったですね」とはゴール後のフミ。
「例年以上に応援と声援が多くて、お客さんがたくさんいる中を走れたのは最高でした」3年連続で優勝を果たしたフミはこの日のレースをこう締めくくった。
自転車のまちの明るい未来をキッズレースに見た
プロ選手によるちがさきクリテリウムのあとは、VELO FESTIVALのもうひとつの目玉レースであるキッズレースが開催された。朝に開場入りしたときから、キッズサイクリストと落ち着かない様子のパパ、ママたちを多く見かけたが、子息の晴れ舞台がいよいよやってきた。
参加無料だということと、公園内に設けられた適度なアップダウンオフロードコースがどんな自転車でも走破できるということもあり、キッズレースは大盛況。MCアリーさんによるスタート前のコールアップでは、「昨年も参加してくれました」の言葉が多く聞かれる。近隣のキッズ(とその保護者)にとって恒例行事化している様子がうかがえる。
それにしてもキッズの参加人数が多い。小学生以下の補助輪無しカテゴリーだけでも24名がエントリー。スタートしてからゴールまでは、大人のレースと何ら変わらない熱戦が繰り広げられた。先頭を走っていたのに転んで優勝を逃してしまった少年は、悔しさで涙が止まらないままゴール。大人よりもピュアな、前だけを目指す姿に心打たれる。
学年別に分けられたカテゴリーで多くのキッズがレースを楽しむ中、印象的だったのは補助輪ありのクラス。ガラガラという走行音が懐かしく、自分が自転車に始めて跨がったときの光景がフラッシュバックしてきた。父に付き添われてレースを走る子どもたちを見て、かつて自分もそうやって自転車に入門したことが思い返される。そしていつかは自分も子どもと一緒に走る日が来るのかもしれない。自転車は、世代と世代をつなぐ象徴であり、改めて私たちの日常に根付いているのだと実感したキッズレースだった。
イベントの軸は、「安全に自転車を楽しめるように」
プロの目を見張る高速レースから、家族のつながりを見たキッズレース、自転車クイズ選手権(なかなかの難問揃い!)、頭と体を使う自転車版障害物競走のちがさきサイクリストグランプリまで、多種多様な催しを詰め込んだちがさきVELO FESTIVAL。「楽しい!」の中に様々な学びや発見があるこのイベントの軸には、市民が安全に自転車を楽しんでもらいたいという思いがある。
「茅ヶ崎はもともと自転車の利用率も高く、最近ではスポーツとしての認知度も高まってきました」と話すのは実行委員長の小川裕暉さん。「フミがロンドンオリンピックに出場した年に、市での報告会が企画されていて、その際に自転車のイベントとして広げられないかと話が持ち上がりました。茅ヶ崎市は自転車の利用率が高い反面、事故件数も県内でワースト3など、安全面での対策が急務だったので、自転車のイベントで安全への啓蒙が出来ればと考えたんです」
自転車における安全と一口に言っても、技術面や意識面などさまざまなアプローチが可能なのは想像に難くない。そんな中、第1回からメインスポンサーとしてサポートするau損保は、自転車保険という「安心」からライダーの安全意識をサポートする。au損保のあ・う・てを担当する今井康智さんはこう語る。
「自転車の街なのに、交通事故が多いという現状をみて保険からサポートできることがあると思いました。この大会が持ち上がった2010年頃は、自転車の加害事故がクローズアップされた時期でもあって、携帯で気軽に入れて、金額もこなれている自転車保険を紹介したかったんです。示談保証や自損事故までカバーする自転車保険はまだ数が少ないのですが、そうした内容よりも、保険に「入っている」という安心感がみなさんの自転車生活をより楽しめるものにしてくれると思います。
ちがさきVELO FESTIVALも一回目は雨でしたけれど、回を重ねるごとに大きくなってきました。家族連れも多く、たくさんの子どもたちが今日もブースに来てくれました。イベントが魅力的になっていくサポートができるのは嬉しいことです。今後も一緒に歩んでいきたいですね。」
夕暮れが差し掛かった会場ではこの日最後のイベントとなる、豪華景品争奪のじゃんけん大会に歓声が上がっている。大人も子どももお姉さんも、自転車を満喫した一日となった。
プロレースの華やかなスピードが自転車の無限の可能性を見せ、キッズレースを家族全員で楽しみ、安全への意識を共有する。地域に根ざした自転車の取り組みとして、ちがさきVELO FESTIVALは第3回大会を成功に終えた。自転車専用レーンが設置されるなど、着実に根を拡げている茅ヶ崎市の自転車文化。イベントと「自転車のまち」の未来は明るく照らされている。
さて、最後にちがさきVELO FESTIVALに協賛しているau損保の人気アニメコンテンツ、「こぐまの自転車マナー教室」の特別編を紹介しましょう。作品内にはスペシャルゲストとしてフミも登場し、こぐまをヴェロフェス会場まで送り届けます。監修はHILL CLIMB GIRLの監督も手がけた谷東氏です。
Text:Yufta Omata
Photo:Shojiro Nakabayashi
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