2014/10/18(土) - 09:10
さてさて、今年も行ってまいりました、ホノルルセンチュリーライド。常夏の楽園といえば、今も昔もハワイ。そんなロケーションを思う存分味わいつくすことのできる、ロングライドイベントがホノルルセンチュリーライドなのだ。それでは、前日編レポートに引き続き、大会当日のレポートをお届けしよう。
朝6時。まだ真っ暗なホノルル・カピオラニ公園には、サイクリスト達が続々と集まってくる。高級カーボンロードにカーボンホイールという決戦スタイルのローディーから、クロスバイクにハーフパンツといったユルめのテイストのサイクリストまでバリエーション豊かな参加者たちだ。
ツアーをサポートしてくれる今中さんと絹代さん
こちらは夫婦でご参加
奥さんとお子さんは応援です。
こちらもご夫婦での参加
ずらっと並んだ参加者たち。後ろが見えません。
勿論、地元ハワイや海外のサイクリストも大勢参加しているが、予想以上に日本人ライダーの姿が目立つ。いかつい表情の大柄なガイジン(こっちだと日本人が外人か)ばっかりじゃないの?と身構えていた小柄で控えめなニッポンジンの私にとっては、ホッと一息といった所だ。
加えて、場内アナウンスでは「今年はau損害保険が大会スポンサーになりました」と公用語の英語ではなく、ご丁寧に日本語で紹介されていたりと予想以上の日本色の強さに感心やら安心やら。折角の海外なのに日本色ビンビンじゃないか、と拍子抜けしている間にもスタート待ちの列は伸びて行く。
列の最後尾などは到底見える範囲に収まっていないのだが、それは夜明け前の暗さゆえか、日本のイベントを大幅に超える参加者の平均身長によるものか。海外のメジャーイベントの実力をこんなところで感じながら、私もスタート待ちの列に加わる。
そろそろ空も明るくなってきました。
160km頑張ってください!
女性の2人組も100マイルに挑戦
笑顔が頼もしいですね
コスプレの参加者の方も
空が白み始めてくる頃、今度は英語で、競技上の注意やコース変更についてのアナウンスが始まる。折角の海外なんだからやっぱり英語だよね!と勝手に納得する私。あれ?私は海外なんか大嫌いだったはずだが?一瞬こんな疑問が頭をよぎるが気にするのは止めておこう。
そんな外国を感じさせてくれる英語のアナウンスは「当日にコース変更があって事前の地図とは違うから気をつけてね!」と告げている。この大雑把な感じは、日本のイベントではなかなか考えづらいなあ、日本の皆もこれくらいおおらかに許してくれたら、もっとイベントも開催しやすいんだけどなあ。などと文化の違いをしみじみと感じている自分に気付く。
ちなみに、スタート整列は脚力に応じて3グループに分かれて並ぶ。時速30km/h以上で走る自信のある健脚自慢向けのAグループ、それよりはゆっくり楽しみたいというレジャー派向けのBグループ、家族と一緒に走るなどもっとも遅いファミリー層向けのCグループといった3つのスタートグループだ。
一斉にスタートしていきます
編集部ももちろん実走取材です
次々とスタートしていくサイクリストを見守る地元のキッズライダー
とはいえ、この区分けは完全にフリーな自己申告制なので、Aグループに入ったから30㎞/hを下回ったら怒られるとか、BグループでAグループを抜かしたらダメとか、家族がいないからCグループには入れないとか、そういったことはないのでご安心を。
またこれも、いかにも海外だなあと感じたことに、大会当日に参加コースを変更できるということが挙げられる。他のイベントであれば事前に申し込んだ出走カテゴリーを、ちょっと調子悪いし短くしよう、というのは難しいもの。しかし、ホノルルセンチュリーライドでは、コースがほぼ完全に往復コースとなっているため、その時の調子次第で好きなところでくるっとターンすればOKと、何とも親切(?)な設定なのだ。
その特徴を最大限に活かしていたのが、前日のライドで運悪く落車してしまって怪我してしまった参加者の方。落車の直後から、本番は走ります!と意気軒高だったのですが、病院で念のために検査したところ鎖骨にヒビ(!)が入っていたことが判明。さすがに、100マイルは断念し、スタートラインには並びスタートゲートをくぐってDNFしたものの、そのあとはメカニックカーに乗って100マイルを完走(!?)したとのことで、出来る限りホノルルセンチュリーライドを楽しまれていたのだ。
朝焼けが眩しいですねー
これから100マイル頑張りましょう!
タンデムライダーがたくさん走っていました
こちらの方もタンデムライダーです
お揃いのジャージがタンデムにぴったり
すこし変わった自転車の人も走っていました
こんな風に参加者に出来るだけ楽しんでもらいたい、という姿勢はまさに「おもてなし」の心。遠く離れた南国の島にもこのような心遣いがあるとは、なんともニクイハナシである。なかなか、国外のイベントもやるじゃないか、とか考えている間にスタートの号砲が鳴り響く。
500人を超えるグループごとに一斉にスタートしていくので、その迫力はまるでレースのよう。ここ最近の日本のロングライドイベントで10人規模のグループがぱらぱらと出ていくのに慣れていると、風圧すら感じてしまう様なスタート風景だ。これだけのサイクリストを一斉に送りだすということは、地元の人々によっぽど受け入れられていないと実現できないもの。
そもそも昨日のプラクティスライドだと、結構すぐに幹線道路を走っていたはずだけれど、大丈夫なのだろうか?当日にコース変更するとか、わりと大胆な運営だし……。やっぱり南国はいろいろとユルイのだろうか?なんてことを考えながら取材班もスタートを切る。スタートゲートをくぐりぬけ、180度ヘアピンを抜けてダイアモンドヘッド下の展望台に辿り着くと、たくさんの参加者が止まっている。前日のライドですでに2度通っているし、別に止まらなくても良いかな、と思いながら右側を見ると、朝焼けに染まる空と雲が視界に飛び込んできた。
朝焼けの中、カラニアナオレ・ハイウェイを駆け抜ける
朝焼けに見入る参加者たち
大会最初のビュースポットから日の出を望む
展望台で記念写真をパシャリ
ニンジンのロゴがかわいいジャージのみなさん
何ともニクイ演出だ。これは脚を止めずにいられようか、いやいられない(反語)。走りだしてまだ10分と経っていないが、この光景が大会のハイライトのひとつであることは直感的にわかる。やるな、ハワイ。やるな、ホノルルセンチュリーライド。海外に来てみて良かった、とこの私に少しでも思わせるとは、敵(?)もさるものである。
いつまでもこの風景を眺めていたいところであるが、大会には制限時間があるし、そもそも太陽も昇っていくのである。後ろ髪を引かれながらも、展望台を後にして先へと進んでいく。ここからしばらくは、前日のプラクティスライドで走ったカラニアナオレ・ハイウェイを進んでいく。
たった1回の練習走行だけれども、知っている道ということで安心感が違う。それでも、まるで2度目とは思えないほどスムーズに走ることができるのはいちばん右側の車線がまるまる交通規制されているから。1000人を超えるサイクリストがほぼ一斉にスタートしても混乱が起きづらいのはこういった地元の協力あってこそ、というのは洋の東西を問わず変わらないのだなあ、と感じる。
もう少しでハートブレイクヒルに差しかかります
ハートブレイクヒルに向けて走っていきます
大会最難関のハートブレイクヒル
スタート直後なので、さまざまな自転車に乗った参加者がちらほら。なかでも目に付くのはタンデムバイクの人が多いこと。日本のイベントであれば1大会に1台いるかいないか、というところだが、すこし走っただけでも3~4台程のタンデムライダーを見かけた。ほかにも、足踏みで進むような変わり種自転車の参加者もいたりと、さすが自由の国アメリカ。フリーダムだ。
さて、そうこうしているうちにホノルルセンチュリーライド一番の難所、ハートブレイクヒルの麓に到着。ここは当日のお楽しみ、ということなのかプラクティスライドでも走らないのだ。”心臓やぶり”と言うほどの坂は一体どれほどのものなのか、ドキドキしながら登り始める。
湘南ベルマーレの2人。雨天に強く乗り心地が良いDefyはセンチュリーライドにまさにぴったりとのこと。
押してしまっても、距離が短いので大丈夫
しかし、その期待は良い意味で裏切られることとなった。斜度こそ若干キツイものの距離も短いのでアッという間に終わってしまう坂なのだ。山がちな日本から来たサイクリストからすれば、少し拍子抜けと言えるだろう。坂のキツさでは日本の勝ち、である。イベントとして正しいのはホノルルセンチュリーライドな気もするが、細かいことはいいのである。
さて、まだまだ続くホノルルセンチュリーライド。vol.3に続きます。
text:Naoki.Yasuoka
photo:Makoto.AYANO Naoki.Yasuoka
ホノルルセンチュリーライド(Facebookウェブアルバム)
朝6時。まだ真っ暗なホノルル・カピオラニ公園には、サイクリスト達が続々と集まってくる。高級カーボンロードにカーボンホイールという決戦スタイルのローディーから、クロスバイクにハーフパンツといったユルめのテイストのサイクリストまでバリエーション豊かな参加者たちだ。
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勿論、地元ハワイや海外のサイクリストも大勢参加しているが、予想以上に日本人ライダーの姿が目立つ。いかつい表情の大柄なガイジン(こっちだと日本人が外人か)ばっかりじゃないの?と身構えていた小柄で控えめなニッポンジンの私にとっては、ホッと一息といった所だ。
加えて、場内アナウンスでは「今年はau損害保険が大会スポンサーになりました」と公用語の英語ではなく、ご丁寧に日本語で紹介されていたりと予想以上の日本色の強さに感心やら安心やら。折角の海外なのに日本色ビンビンじゃないか、と拍子抜けしている間にもスタート待ちの列は伸びて行く。
列の最後尾などは到底見える範囲に収まっていないのだが、それは夜明け前の暗さゆえか、日本のイベントを大幅に超える参加者の平均身長によるものか。海外のメジャーイベントの実力をこんなところで感じながら、私もスタート待ちの列に加わる。
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空が白み始めてくる頃、今度は英語で、競技上の注意やコース変更についてのアナウンスが始まる。折角の海外なんだからやっぱり英語だよね!と勝手に納得する私。あれ?私は海外なんか大嫌いだったはずだが?一瞬こんな疑問が頭をよぎるが気にするのは止めておこう。
そんな外国を感じさせてくれる英語のアナウンスは「当日にコース変更があって事前の地図とは違うから気をつけてね!」と告げている。この大雑把な感じは、日本のイベントではなかなか考えづらいなあ、日本の皆もこれくらいおおらかに許してくれたら、もっとイベントも開催しやすいんだけどなあ。などと文化の違いをしみじみと感じている自分に気付く。
ちなみに、スタート整列は脚力に応じて3グループに分かれて並ぶ。時速30km/h以上で走る自信のある健脚自慢向けのAグループ、それよりはゆっくり楽しみたいというレジャー派向けのBグループ、家族と一緒に走るなどもっとも遅いファミリー層向けのCグループといった3つのスタートグループだ。
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またこれも、いかにも海外だなあと感じたことに、大会当日に参加コースを変更できるということが挙げられる。他のイベントであれば事前に申し込んだ出走カテゴリーを、ちょっと調子悪いし短くしよう、というのは難しいもの。しかし、ホノルルセンチュリーライドでは、コースがほぼ完全に往復コースとなっているため、その時の調子次第で好きなところでくるっとターンすればOKと、何とも親切(?)な設定なのだ。
その特徴を最大限に活かしていたのが、前日のライドで運悪く落車してしまって怪我してしまった参加者の方。落車の直後から、本番は走ります!と意気軒高だったのですが、病院で念のために検査したところ鎖骨にヒビ(!)が入っていたことが判明。さすがに、100マイルは断念し、スタートラインには並びスタートゲートをくぐってDNFしたものの、そのあとはメカニックカーに乗って100マイルを完走(!?)したとのことで、出来る限りホノルルセンチュリーライドを楽しまれていたのだ。
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こんな風に参加者に出来るだけ楽しんでもらいたい、という姿勢はまさに「おもてなし」の心。遠く離れた南国の島にもこのような心遣いがあるとは、なんともニクイハナシである。なかなか、国外のイベントもやるじゃないか、とか考えている間にスタートの号砲が鳴り響く。
500人を超えるグループごとに一斉にスタートしていくので、その迫力はまるでレースのよう。ここ最近の日本のロングライドイベントで10人規模のグループがぱらぱらと出ていくのに慣れていると、風圧すら感じてしまう様なスタート風景だ。これだけのサイクリストを一斉に送りだすということは、地元の人々によっぽど受け入れられていないと実現できないもの。
そもそも昨日のプラクティスライドだと、結構すぐに幹線道路を走っていたはずだけれど、大丈夫なのだろうか?当日にコース変更するとか、わりと大胆な運営だし……。やっぱり南国はいろいろとユルイのだろうか?なんてことを考えながら取材班もスタートを切る。スタートゲートをくぐりぬけ、180度ヘアピンを抜けてダイアモンドヘッド下の展望台に辿り着くと、たくさんの参加者が止まっている。前日のライドですでに2度通っているし、別に止まらなくても良いかな、と思いながら右側を見ると、朝焼けに染まる空と雲が視界に飛び込んできた。
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何ともニクイ演出だ。これは脚を止めずにいられようか、いやいられない(反語)。走りだしてまだ10分と経っていないが、この光景が大会のハイライトのひとつであることは直感的にわかる。やるな、ハワイ。やるな、ホノルルセンチュリーライド。海外に来てみて良かった、とこの私に少しでも思わせるとは、敵(?)もさるものである。
いつまでもこの風景を眺めていたいところであるが、大会には制限時間があるし、そもそも太陽も昇っていくのである。後ろ髪を引かれながらも、展望台を後にして先へと進んでいく。ここからしばらくは、前日のプラクティスライドで走ったカラニアナオレ・ハイウェイを進んでいく。
たった1回の練習走行だけれども、知っている道ということで安心感が違う。それでも、まるで2度目とは思えないほどスムーズに走ることができるのはいちばん右側の車線がまるまる交通規制されているから。1000人を超えるサイクリストがほぼ一斉にスタートしても混乱が起きづらいのはこういった地元の協力あってこそ、というのは洋の東西を問わず変わらないのだなあ、と感じる。
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さて、そうこうしているうちにホノルルセンチュリーライド一番の難所、ハートブレイクヒルの麓に到着。ここは当日のお楽しみ、ということなのかプラクティスライドでも走らないのだ。”心臓やぶり”と言うほどの坂は一体どれほどのものなのか、ドキドキしながら登り始める。
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さて、まだまだ続くホノルルセンチュリーライド。vol.3に続きます。
text:Naoki.Yasuoka
photo:Makoto.AYANO Naoki.Yasuoka
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