2014/10/14(火) - 09:16
朝夕の落ち着いた気温に秋の訪れを感じるようになってきた9月14日。今日は”ツール・ド・NIKKO”の取材日だ。日光の大自然を生かしたコースに全国から多くのサイクリストが集うこの大会は今年で4回目の開催となる。
早朝から準備に取り組む大勢の参加者さんで賑わいを見せるスタート地点の日光だいや川公園は爽やかな青空に包まれている。今日の天気予報は晴れ時々曇りで降水確率は0%だ。明らかに晴天が約束されている訳だから、今日に限っては、わざわざ迷惑極まりない”晴れ男”に登場いただく理由は微塵もない!にも関わらず、早朝の駐車場にはウチの黄色い弾丸の姿があるのが残念でならない。
早朝のスタート会場”日光だいや川公園”には大勢の参加者さんが詰めかけました。
許されるなら、この黄色いバイクを持って来たくはなかった。
スタートを待つ参加者さんの列が続く。
「ふむふむ、やはり晴れたな!」と恵まれた晴天をまるで自分の手柄かの様にご満悦の表情を浮かべるメタボ会長ではあるが、それは全くの勘違いだ。アナタが来ようが来まいが今日は天候に不安は無いのだ。そんな私の不満など知る由もない参加者さん達が続々とスタートゲートに集まって来る。いよいよツールドNIKKOのスタートだ。
予報通りの抜けるような快晴の下、輝く笑顔で次々とコースへと流れ込む参加者の群れ。そんな皆さんに紛れるように私たち4人もスタートだ。今日の取材タスクは、磯部が山岳チャレンジ日光100kmコースを、安岡がファンライド山岳日光96kmコースを実走し、レポートを作成する手筈となっている。
ちなみに私のタスクは”会長から離れるな!”たったこれだけの事なのだが、前回の例も考えると油断は禁物だ。こうして私たち編集部は初取材となる”ツール・ド・NIKKO”の舞台へと飛び出して行く。
「よ~し!ちょっくら行ってみっか!」
さっそくコースは日光杉並木に入ります。
ギネスにも登録される”日光杉並木”。木漏れ日が醸し出す素敵な空間が続きます。
綺麗なグラベルが新鮮な味わいを見せてくれます。
さっそくのハイライト区間に皆さんも大満足の様です。
スタートから8km地点の日光柳営博物館の手前辺りからコースはギネスブックにも登録のある”日光杉並木”に突入する。細かな砂粒がしっかりと踏み固められたこの並木路のグラベルは、ターマックに比すればスリッピーではあるものの路面もキレイで走り易い。両側には杉の太樹が延々と続き、その樹々の隙間から零れる光線が何とも素敵な空間を醸し出している。
3kmほど続くこのグラベル区間は、他のイベントではまず味わう事ができないさっそくのハイライト区間と言えるだろう。日光の素敵な不意打ちを食らった私たちは瀧尾神社先から再び舗装路に戻る。この予想外の未舗装路にはメタボ会長も感心しきりだ。
「いきなりでビックリしたけど、グラベル区間があるなんて初めてだから新鮮だったよ!なかなかナイスな区間だよ!荘厳な雰囲気ビンビンだもんな!」そんなオヤジが余計な言葉を続ける。「ただ、タイヤが砂まみれになっちゃったから、この先の舗装路でも滑っちゃいそうだよ。ホラホラ!」
「タイヤが砂まみれになっちゃったよ…。」だから?
「会長!私にお任せ下さい!」この男、なかなかの策士である。
「これでボーナスはガッポリだぜ!」by 安岡入社1年目
女性ライダーとのランデブーに上機嫌です。
ホラホラと言われても私の知ったこっちゃない!これは重箱の隅を突いてアラ探しをしなければ気が済まないオヤジのいつもの悪い癖である。ところが、呆れる私をよそに安岡が素早く会長に寄り添い、フロントタイヤの砂を素手で払うという行動に出る。
むむむ!これは一本取られたかもしれない!この男は若くしてなかなかの策士である。どうやら彼は新人らしからぬ出世術を身につけているようだ。このまま第1エイド”かたくりの湯”に立ち寄った私たちは”鬼怒川公園野外ステージ”を目指す。この先は五十里湖までの登り基調が30kmほど続くが10%を超えるような激坂はない。
それを知ってか知らずか前を走る黄色い弾丸も順調そのものの様子だ。穏やかなコースにも助けられ、鬼怒川沿いに北上した私たちは第2エイドの”鬼怒川公園野外ステージ”に滑り込む。ここで美味しい”湯葉おにぎり”を味わいながら調子覗いにオヤジに話しかけてみると、
かたくりの湯エイドでオヤジが捕獲されました。
随分と楽しそうだけど、君達ちゃんと仕事してる?
雑談しながら、撮影中の安岡を待ち呆ける会長と磯部。
鬼怒川有料道路を登って行きます。
日光鬼怒川温泉郷へと入って行きます。
「ここの景色はテレビで見た事あるぞ!」
「もちろん調子はイイよ!なんたって今日は秘密兵器を持ってきてるからさ!」そう嬉しそうに応えながら後輪を指差すメタボ会長。見るとそこにはテスト用に編集部でお借りした"Power Tap G3 レイノルズ"が装着されているではないか!呆れる私たちを制するようにオヤジが言葉を続ける。「大丈夫だよ。編集長の許可は取ってあるから!」
いやいや、許可の問題じゃなくて!そもそもサイクリングにパワーメーターって意味あんの?って話しである。そんな感情を抱く私たちの心を見透かすかのように言葉が続く。「と、思うだろ?ところがコイツが役に立つのよ!ペーサーとしての使い勝手は心拍計を遥かに凌ぐんだよ!単純に200W超えたらギアを軽くするだけで、メチャクチャ楽チンな訳さ!登坂も300W以下で走っていれば心拍上昇もほぼ無し!もう購入決定って感じだよ。」
温泉街ならでは人力車。何だか微笑ましいですね。
鬼怒川公園へのアプローチ。湯葉オニギリが待ってます。
これが秘密兵器のパワータップ。ウエイトがベタベタ貼られています。
ちなみにメーターは2個です。老眼だから小さい数字が見えないので。
得意気に話すメタボ会長ではあるが、元来トレーニング機材であるパワーメーターを単なるペースメーカー替わりに導入しようと考えるサイクリストはおそらく皆無だろう。ただ気になるのはメタボ会長のお気に入り具合が半端ない事である。そんなオヤジお気に入りパワータップホイールをよくよく見てみると、不思議なウエイトがベタベタと貼り付けられている。こりゃなんだ?と尋ねてみると、
「借りといて文句垂れるのも何だけど、俺にはこのホイールが軽過ぎてさ!踏み応えがスカスカで余りにも頼りないもんだから、編集長に頼んで200gほど重くして貰ったんだよ。お陰ですこぶる調子がイイぜ!ガハハ!」
はぁ?マジで言ってるの?いやいやこれは全く意味が判らない。当のオヤジは得意気な表情を浮かべながら力説しているが、これでは折角の軽量カーボンリムが台無しである。そもそも私の周りにはホイール重量を増やしたいと云う欲求を持つ者は皆無だ。ここまで常軌を逸した思考を実践できるオヤジはある意味”大物”なのかもしれない。
とちぎテレビさんの取材現場にズケズケと乗り込んで記念撮影。ご迷惑をお掛けしました。
鬼怒川公園エイドの湯葉オニギリは大人気です。
これが”湯葉おにぎり”。抜群の美味しさでした。
チームフラッグまで持参とはなかなか手際が良いですね。
「おい、ちゃんと仕事しろよ!」ここから磯部とは別行動です。
鬼怒川公園エイドで山岳チャレンジコース担当の磯部と別れた私たち3人はデチューンホイールに呆れながらもコースに戻る。暫し進むと路肩でパンク修理に手間取るご夫婦ライダーを発見。そんなご夫婦にメタボ会長がすかさず寄り添い声を掛ける。「我々が来たからにはもう安心でっせ!」ここからは安岡の出番だ。実は、イベント取材時の私たち編集部員はビギナーさんのトラブルに備えて各自が自分用とは別に4本のチューブを常備している。
この常備は「女性ライダーやビギナーさんが困っていたら必ず手助けすべし!」と云うメタボ会長からの厳しいお達しからで、彼曰く「慣れれば苦にならないパンク修理でもビギナーには天敵。チューブ交換が簡単だって判る前に自転車を嫌いになって欲しくない」という思いがあるようだ。この思想には我々も手放しで同意である。ただし、ウチの黄色い弾丸が修理を手伝う事は常にない。
鬼怒川公園エイドを出発しました。
「もう安心でっせ!」ってアンタは何も手伝わないだろ?
パンク修理をこなす安岡。これで今日2台目です。
「助かりました!」自転車嫌いにならないで下さいね。
さっそくチューブ交換に取り掛かる安岡ではあるが、その手捌きは慣れたもので、ものの5分ほどで修理を終える。これで笑顔が戻ったご夫婦を見ると、こちらまで嬉しくなってしまうから不思議だ。聞けば、ご夫婦揃って自転車を始めてからまだ半年も経たないとの事だから、このまま自転車愛好家を続けて貰えればと願うばかりである。
こうして微笑ましいご夫婦ライダーを見送った私たちは再び走り始める。ここから先の五十里湖を目指し、コースはいよいよ山岳部へと入って行くのであった。
メタボ会長連載のバックナンバーは こちら です
メタボ会長
身長 : 172cm 体重 : 82kg 自転車歴 : 5年
当サイト運営法人の代表取締役。平成元年に現法人を設立、平成17年に社長を辞し会長職に退くも、平成20年に当サイトが属するメディア事業部の責任者兼務となったことをキッカケに自転車に乗り始める。豊富な筋肉量を生かした瞬発力はかなりのモノだが、こと登坂となるとその能力はべらぼうに低い。
日本一登れない男だ。
早朝から準備に取り組む大勢の参加者さんで賑わいを見せるスタート地点の日光だいや川公園は爽やかな青空に包まれている。今日の天気予報は晴れ時々曇りで降水確率は0%だ。明らかに晴天が約束されている訳だから、今日に限っては、わざわざ迷惑極まりない”晴れ男”に登場いただく理由は微塵もない!にも関わらず、早朝の駐車場にはウチの黄色い弾丸の姿があるのが残念でならない。
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「ふむふむ、やはり晴れたな!」と恵まれた晴天をまるで自分の手柄かの様にご満悦の表情を浮かべるメタボ会長ではあるが、それは全くの勘違いだ。アナタが来ようが来まいが今日は天候に不安は無いのだ。そんな私の不満など知る由もない参加者さん達が続々とスタートゲートに集まって来る。いよいよツールドNIKKOのスタートだ。
予報通りの抜けるような快晴の下、輝く笑顔で次々とコースへと流れ込む参加者の群れ。そんな皆さんに紛れるように私たち4人もスタートだ。今日の取材タスクは、磯部が山岳チャレンジ日光100kmコースを、安岡がファンライド山岳日光96kmコースを実走し、レポートを作成する手筈となっている。
ちなみに私のタスクは”会長から離れるな!”たったこれだけの事なのだが、前回の例も考えると油断は禁物だ。こうして私たち編集部は初取材となる”ツール・ド・NIKKO”の舞台へと飛び出して行く。
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3kmほど続くこのグラベル区間は、他のイベントではまず味わう事ができないさっそくのハイライト区間と言えるだろう。日光の素敵な不意打ちを食らった私たちは瀧尾神社先から再び舗装路に戻る。この予想外の未舗装路にはメタボ会長も感心しきりだ。
「いきなりでビックリしたけど、グラベル区間があるなんて初めてだから新鮮だったよ!なかなかナイスな区間だよ!荘厳な雰囲気ビンビンだもんな!」そんなオヤジが余計な言葉を続ける。「ただ、タイヤが砂まみれになっちゃったから、この先の舗装路でも滑っちゃいそうだよ。ホラホラ!」
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むむむ!これは一本取られたかもしれない!この男は若くしてなかなかの策士である。どうやら彼は新人らしからぬ出世術を身につけているようだ。このまま第1エイド”かたくりの湯”に立ち寄った私たちは”鬼怒川公園野外ステージ”を目指す。この先は五十里湖までの登り基調が30kmほど続くが10%を超えるような激坂はない。
それを知ってか知らずか前を走る黄色い弾丸も順調そのものの様子だ。穏やかなコースにも助けられ、鬼怒川沿いに北上した私たちは第2エイドの”鬼怒川公園野外ステージ”に滑り込む。ここで美味しい”湯葉おにぎり”を味わいながら調子覗いにオヤジに話しかけてみると、
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いやいや、許可の問題じゃなくて!そもそもサイクリングにパワーメーターって意味あんの?って話しである。そんな感情を抱く私たちの心を見透かすかのように言葉が続く。「と、思うだろ?ところがコイツが役に立つのよ!ペーサーとしての使い勝手は心拍計を遥かに凌ぐんだよ!単純に200W超えたらギアを軽くするだけで、メチャクチャ楽チンな訳さ!登坂も300W以下で走っていれば心拍上昇もほぼ無し!もう購入決定って感じだよ。」
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得意気に話すメタボ会長ではあるが、元来トレーニング機材であるパワーメーターを単なるペースメーカー替わりに導入しようと考えるサイクリストはおそらく皆無だろう。ただ気になるのはメタボ会長のお気に入り具合が半端ない事である。そんなオヤジお気に入りパワータップホイールをよくよく見てみると、不思議なウエイトがベタベタと貼り付けられている。こりゃなんだ?と尋ねてみると、
「借りといて文句垂れるのも何だけど、俺にはこのホイールが軽過ぎてさ!踏み応えがスカスカで余りにも頼りないもんだから、編集長に頼んで200gほど重くして貰ったんだよ。お陰ですこぶる調子がイイぜ!ガハハ!」
はぁ?マジで言ってるの?いやいやこれは全く意味が判らない。当のオヤジは得意気な表情を浮かべながら力説しているが、これでは折角の軽量カーボンリムが台無しである。そもそも私の周りにはホイール重量を増やしたいと云う欲求を持つ者は皆無だ。ここまで常軌を逸した思考を実践できるオヤジはある意味”大物”なのかもしれない。
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この常備は「女性ライダーやビギナーさんが困っていたら必ず手助けすべし!」と云うメタボ会長からの厳しいお達しからで、彼曰く「慣れれば苦にならないパンク修理でもビギナーには天敵。チューブ交換が簡単だって判る前に自転車を嫌いになって欲しくない」という思いがあるようだ。この思想には我々も手放しで同意である。ただし、ウチの黄色い弾丸が修理を手伝う事は常にない。
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さっそくチューブ交換に取り掛かる安岡ではあるが、その手捌きは慣れたもので、ものの5分ほどで修理を終える。これで笑顔が戻ったご夫婦を見ると、こちらまで嬉しくなってしまうから不思議だ。聞けば、ご夫婦揃って自転車を始めてからまだ半年も経たないとの事だから、このまま自転車愛好家を続けて貰えればと願うばかりである。
こうして微笑ましいご夫婦ライダーを見送った私たちは再び走り始める。ここから先の五十里湖を目指し、コースはいよいよ山岳部へと入って行くのであった。
メタボ会長連載のバックナンバーは こちら です
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当サイト運営法人の代表取締役。平成元年に現法人を設立、平成17年に社長を辞し会長職に退くも、平成20年に当サイトが属するメディア事業部の責任者兼務となったことをキッカケに自転車に乗り始める。豊富な筋肉量を生かした瞬発力はかなりのモノだが、こと登坂となるとその能力はべらぼうに低い。
日本一登れない男だ。
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