2014/05/20(火) - 09:12
日本有数の避暑地として名高い軽井沢をスタート及びゴールとして、浅間山を周回する山岳グランフォンドが「グランフォンド軽井沢」だ。5月10日(土)に行われたグルメフォンドのレポートに引き続き、5月11日(日)に行われた120kmのグランフォンドのレポートをお届けしよう。
天候に恵まれたグランフォンド軽井沢。高原野菜の畑を縫う道からは浅間山麓が見渡せた
古くは江戸時代には中山道の宿場町として栄え、明治からは外国人避暑地として発展してきた軽井沢。現在では、多くの別荘が集まると同時に、ショッピングモールも設置され関東圏のリゾートとして発展を遂げている地域だ。周辺では高原ならではの冷涼な気候を活かして、キャベツなど野菜の抑制栽培なども盛ん。
そんな自然あふれる軽井沢を発着として、全行程120km獲得標高約2200mの本格的な山岳コースを走るグランフォンドイベントが「グランフォンド軽井沢」だ。例年よりも開催日が1か月ほど早まり、涼しく走りやすい初夏の浅間山麓を1009名のサイクリストが駆け抜けた。
たくさんの参加者がスタート列を形成する
50人ずつのグループにわかれて、120kmの旅へとスタートしていく
先導車も軽井沢らしい
軽井沢のゆるキャラ「ルイザちゃん」もお見送り
朝6時、軽井沢プリンスホテルスキー場のメイン会場には、参加者が続々と集まってきた。開会式の始まる6時45分にはほぼすべての参加者が集い、スタート待機列を形成。7時15分のスタートからは、混乱を避けるために、数分おきに約50名ごとのパックとなってスタートを切っていく。特に出走順序について事前の設定はなく、並んだ順序での出走となるため前の集団での出走を希望する人は早めに並ぶとよいだろう。
スタート直後には旧軽井沢銀座市街を通り抜け、この大会の最初の難所、白糸ハイランドハイウェイへと向かっていく。普段は自動車専用道であり、かつては全日本ラリー選手権にも使用されたことのある白糸ハイランドハイウェイが、年に一度この大会のため、自転車乗りに解放される。高原ならではの独特な植生を見せる白糸ハイランドハイウェイは、最大15%の勾配をもってサイクリストを迎えてくれる。
旧軽銀座を抜けて白糸ハイランドハイウェイへ向かう
白糸ハイランドハイウェイを登っていく参加者たち
最初の難関の激坂で苦しむ参加者たち
浅間山が見渡せる浅間ハイランドパーク
えっちらおっちら白糸ハイランドハイウェイを抜けると、嬬恋村へと向けて下っていく途中に第1エイドステーションが設置された浅間ハイランドパークがある。浅間山がきれいに見渡せる絶好のロケーションに設置されたこのエイドステーションでは朝食代わりにか、カップヌードル(なんと3種類から選べる)とバナナが用意されていた。当日入りの取材班にとって、ここでのカロリー補給はかなりありがたい。
浅間ハイランドパークでの休憩もそこそこに、この大会の最高標高地点であるバラギ湖へと向けて、北軽井沢を走りぬける。途中にはすこしわかりづらい左折ポイントや鬼押ハイウェイの横断といったポイントもあるものの、要所要所に誘導スタッフや警備員が配置され、安心してサイクリングを楽しめる。
また、バラギ湖への上りの途中には「干俣の清水」という湧水があり、水分補給にもぴったり。看板が目立ちづらいのと、工事現場のとなりにあるのとで、少し見つけづらかったのか通り過ぎてしまう参加者が多かったが、ここはぜひ立ち寄ってほしいオススメポイント。まろやかな口当たりで、うるおいが長続きしそうな感触の湧水だ。少し休憩している間にも地元の方が車で水を汲みに来られ、大きなペットボトルを10本以上満タンにして帰っていかれた。
最高標高地点は景色も最高だ
待ちに待ったカレーです!
干俣の清水をボトルに詰める
さて、第2エイドがある東海大学嬬恋高原研修センターへむけて、約10kmの上りを登っていく。途中にあるバラギ湖畔には、桜が咲いており高原らしさを実感させてくれる。1か月開催が早いのと2月の大雪の影響で、昨年とは異なりキャベツ畑はまだ新芽が出たばかり。代わりに桜や梅といった、色とりどりの花がサイクリストを迎えてくれる。そんな美しいバラギ湖畔を通り過ぎれば第2エイドまでもう少し。
標高1405mのルート最高地点からは、北軽井沢の雄大な風景を一望できル絶景スポット。多くの参加者が立ち止まって記念写真を撮っている。そこから少し下った先にある第2エイドでは、昼食としてカレーがふるまわれる。長いヒルクライムでエネルギーを消費してきた参加者にとってこの上ないごちそうだ。サラダバーも設置されており、心行くまで野菜を食べることもできる。ハンガーノック気味でヘロヘロになりながら登ってきた我々編集部員もここでエネルギーを充填し、後半へと向けて準備は万端。
パノラマラインにはたくさんのオートバイライダーも通っている
雄大な景色を眺めながら下り基調の道を行く
鳥居峠の脇には魅惑の林道も。。
ドネルケバブ専門店CHAYHANEのみなさん
腹ごしらえを済ませたら、鳥居峠へのアップダウンへと旅立っていく。パノラマラインと名付けられたルートは、その名の通りどこを走っていても絶景に囲まれている。心なしか、上りで苦しむサイクリストの表情も柔らかい。
観光名所である愛妻の丘を通り過ぎれば、国道144号へと下っていく。距離は短い下りだが、勾配がきついのでかなりのスピードが出てしまうので要注意。国道144号の鳥居峠への短めの上りをこなせば、第3エイドのゆきむら夢工房へと一気に標高差600m以上のダウンヒル。細かいコーナーとブラインドコーナーが続くため、細心の注意を払って下りたい。
第3エイドでは、上田市に店を構えるドネルケバブ専門店「CHAYHANE」のケータリングカーがソーセージロールを提供してくれた。疲労が溜まってきた体には濃い味付けのソーセージロールがたまらない。一緒に出されたローズレモンウォーターのすっきりとした風味との相性も抜群だ。気温が上がってきていることもあり、ローズレモンウォーターはおかわりしてしまうほど、体に沁み渡る。
美しい並木の横の道を登っていく
アップダウンが激しい県道80号
コースの途中には素敵なジェラートショップ「ジェラートちるちる」も
棚田の脇をかすめて登っていく
第3エイドを後にして、浅間サンラインを走り抜ける。途中には日本の棚田百選にも選ばれた信州稲田の棚田の中を通り抜ける箇所もあり、THE・日本の田舎という印象の道。ここまでの山間を通り抜けてきたルートとは異なり、人の生活が息づく道を通っていく。幹線道路である県道79号を通り、交通量が多い箇所もあるため注意が必要だ。
とくに、小諸IC手前は多くの自動車が通行すると同時に、長く続く直線の緩い上り坂がサイクリストを苦しめる。ただ、辛い登りを登り終えればジェラートショップ「ジェラートちるちる」が右手に見える。吸い込まれるようにして「ジェラートちるちる」に入店し、あまーいジェラートに癒されていると、同じように坂にやられた参加者が次々に立ち寄ってくる。
何個でも食べられそうなジェラートにしぶしぶ別れを告げ、アップダウンを繰り返す県道80号を菱野の交差点で左折すると、秘湯・菱野温泉への登りが始まる。序盤こそ4~5%の坂だが、第4エイド手前には斜度15%を超えようかというS字の激坂があり、足を付いてしまう参加者もちらほら。終盤の難所として参加者の前に立ちはだかる、まさに「壁」のごとき坂だ。
梅の花咲く第4エイド
菱野温泉前の激坂が参加者を苦しめる
子供たちもスタッフとして通過チェックを手伝います
そんな壁を乗り越えてたどり着いた第4エイドではいなりずしがふるまわれた。甘い味付けのいなりずしが最後の20kmに向かうサイクリストたちの背中を押してくれる。第4エイドから先は、浅間山南麓の1000メートル林道を走りぬける。森の中を縫うようにして走る林道はこれまでとは異なりフラットなルート。ところどころに開けているパノラマは、バラギ湖方面とはまた異なる趣を見せる。
中軽井沢周辺の別荘地の中を通り抜け、ゴールを目指して走っていく。ところどころ、路面が荒れているところがあるため、気をつけて走行したい。軽井沢駅前を通り過ぎればゴールはもうすぐそこだ。
無事に完走できました!
完走後には写真サービスもあります
フィニッシュ後には完走証発行窓口にたくさんの参加者が集まった
グルメフォンドやタンデムフォンドまで含めれば1,533名ものサイクリストが軽井沢に集ったこの週末。ここ数年、軽井沢周辺エリアではサイクリングイベントが多く開催されている。日本有数のリゾート地は自転車に対して友好的で歓迎ムードだ。周囲には温泉も数多く湧出しており、参加者の多くは地元の温泉で汗を流して帰っていった。(もちろん取材班も)
リゾート地だけあり、温泉だけでなく、おいしいレストランや居心地の良いホテル、さまざまな観光スポットもあるので、家族サービスを兼ねてサイクリングに出かけることもできるだろう。まさに大人の休日にぴったりのロケーション。標高が高いため気温も低く、これからの時期でも快適にサイクリングが楽しめる軽井沢。家族や仲間たちと、リゾートサイクリングを楽しんでみてはいかがだろうか。
ぜひ軽井沢の魅力を自転車で体験してみませんか?
text:Naoki.Yasuoka
photo:So,Isobe Gakuto,Fujiwara Naoki.Yasuoka
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そんな自然あふれる軽井沢を発着として、全行程120km獲得標高約2200mの本格的な山岳コースを走るグランフォンドイベントが「グランフォンド軽井沢」だ。例年よりも開催日が1か月ほど早まり、涼しく走りやすい初夏の浅間山麓を1009名のサイクリストが駆け抜けた。
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朝6時、軽井沢プリンスホテルスキー場のメイン会場には、参加者が続々と集まってきた。開会式の始まる6時45分にはほぼすべての参加者が集い、スタート待機列を形成。7時15分のスタートからは、混乱を避けるために、数分おきに約50名ごとのパックとなってスタートを切っていく。特に出走順序について事前の設定はなく、並んだ順序での出走となるため前の集団での出走を希望する人は早めに並ぶとよいだろう。
スタート直後には旧軽井沢銀座市街を通り抜け、この大会の最初の難所、白糸ハイランドハイウェイへと向かっていく。普段は自動車専用道であり、かつては全日本ラリー選手権にも使用されたことのある白糸ハイランドハイウェイが、年に一度この大会のため、自転車乗りに解放される。高原ならではの独特な植生を見せる白糸ハイランドハイウェイは、最大15%の勾配をもってサイクリストを迎えてくれる。
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えっちらおっちら白糸ハイランドハイウェイを抜けると、嬬恋村へと向けて下っていく途中に第1エイドステーションが設置された浅間ハイランドパークがある。浅間山がきれいに見渡せる絶好のロケーションに設置されたこのエイドステーションでは朝食代わりにか、カップヌードル(なんと3種類から選べる)とバナナが用意されていた。当日入りの取材班にとって、ここでのカロリー補給はかなりありがたい。
浅間ハイランドパークでの休憩もそこそこに、この大会の最高標高地点であるバラギ湖へと向けて、北軽井沢を走りぬける。途中にはすこしわかりづらい左折ポイントや鬼押ハイウェイの横断といったポイントもあるものの、要所要所に誘導スタッフや警備員が配置され、安心してサイクリングを楽しめる。
また、バラギ湖への上りの途中には「干俣の清水」という湧水があり、水分補給にもぴったり。看板が目立ちづらいのと、工事現場のとなりにあるのとで、少し見つけづらかったのか通り過ぎてしまう参加者が多かったが、ここはぜひ立ち寄ってほしいオススメポイント。まろやかな口当たりで、うるおいが長続きしそうな感触の湧水だ。少し休憩している間にも地元の方が車で水を汲みに来られ、大きなペットボトルを10本以上満タンにして帰っていかれた。
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標高1405mのルート最高地点からは、北軽井沢の雄大な風景を一望できル絶景スポット。多くの参加者が立ち止まって記念写真を撮っている。そこから少し下った先にある第2エイドでは、昼食としてカレーがふるまわれる。長いヒルクライムでエネルギーを消費してきた参加者にとってこの上ないごちそうだ。サラダバーも設置されており、心行くまで野菜を食べることもできる。ハンガーノック気味でヘロヘロになりながら登ってきた我々編集部員もここでエネルギーを充填し、後半へと向けて準備は万端。
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観光名所である愛妻の丘を通り過ぎれば、国道144号へと下っていく。距離は短い下りだが、勾配がきついのでかなりのスピードが出てしまうので要注意。国道144号の鳥居峠への短めの上りをこなせば、第3エイドのゆきむら夢工房へと一気に標高差600m以上のダウンヒル。細かいコーナーとブラインドコーナーが続くため、細心の注意を払って下りたい。
第3エイドでは、上田市に店を構えるドネルケバブ専門店「CHAYHANE」のケータリングカーがソーセージロールを提供してくれた。疲労が溜まってきた体には濃い味付けのソーセージロールがたまらない。一緒に出されたローズレモンウォーターのすっきりとした風味との相性も抜群だ。気温が上がってきていることもあり、ローズレモンウォーターはおかわりしてしまうほど、体に沁み渡る。
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何個でも食べられそうなジェラートにしぶしぶ別れを告げ、アップダウンを繰り返す県道80号を菱野の交差点で左折すると、秘湯・菱野温泉への登りが始まる。序盤こそ4~5%の坂だが、第4エイド手前には斜度15%を超えようかというS字の激坂があり、足を付いてしまう参加者もちらほら。終盤の難所として参加者の前に立ちはだかる、まさに「壁」のごとき坂だ。
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中軽井沢周辺の別荘地の中を通り抜け、ゴールを目指して走っていく。ところどころ、路面が荒れているところがあるため、気をつけて走行したい。軽井沢駅前を通り過ぎればゴールはもうすぐそこだ。
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リゾート地だけあり、温泉だけでなく、おいしいレストランや居心地の良いホテル、さまざまな観光スポットもあるので、家族サービスを兼ねてサイクリングに出かけることもできるだろう。まさに大人の休日にぴったりのロケーション。標高が高いため気温も低く、これからの時期でも快適にサイクリングが楽しめる軽井沢。家族や仲間たちと、リゾートサイクリングを楽しんでみてはいかがだろうか。
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text:Naoki.Yasuoka
photo:So,Isobe Gakuto,Fujiwara Naoki.Yasuoka
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