2014/03/08(土) - 09:21
5日で台湾一周900kmを走る「Formosa 900 5days! 挑戦隊」、最終日の5日目は、台北新店から台中まで200㎞の行程。一日の終りには世界の自転車工場と呼ばれるジャイアント本社も訪問する。
5日間で900kmを締めくくる最終日に向けて、「加油(ジャヨ)!」=ガンバレ
4日間で700kmという距離を走り、メンバーはもうボロボロ状態。しかし疲労の限界にあるとはいえ、最終日なら話は違ってくる。朝のうち小雨がパラついたが、意気揚々と台北市街へと向け走りだす。
朝、ジャイアントトラベルのガイドのシュン君がやってきた。この日だけ合流とのことで、じつはまだ会ったことがなかったのだけど、すでにフェイスブック友達だったので会ってすぐお互いが判った。初対面にして再会した友達のよう。SNSってすごい。
最終日に登場したガイドのシュン君。前回一緒に走ったメンバーは再会を喜ぶ
シュン君のボトルケージにはサイクルボトル型のMP3ミュージックプレイヤーが。スピーカーからはAKB48(笑)
このシュン君、AKB48とか日本の萌系アニメとかが好きで、軽い感じの若者なので面白い。肩を並べ、カタコトの日本語と英語を駆使したおしゃべりを楽しみながら走る。なんと彼のボトルゲージには音楽を奏でるMP3プレイヤーのステレオスピーカー付きボトルが。走りながら自転車からAKB48や”ももいろクローバーZ”やらが流れてくるのは、なんとも奇妙な感じである(が、悪くない・笑)。
朝方の雨が上がり、晴れ間が広がって気持ちよく快走する
朝のうちは小雨が降ったもの、午後になると空は晴れ上がった。じつは今回の旅では初日の数時間以来の晴れ間だ。で、晴れると暑いのはやっぱり台湾。
さんさんと降り注ぐ熱帯の陽を浴びて走る一行。やはり晴れは気分を明るくしてくれる。最終日にして、ようやく。でも今日までも暗く走っていたわけではないけれど(笑)。
街角で見つけたファットバイク!まさか台湾にもあるとは 台中の郊外、大甲(ターチャ)にあるジャイアント本社を訪問することは事前に決まっていたものの、世界の自転車王、キング・リュウ会長に面会する時間は午後3時半になったとのことで、残り距離を逆算すると時速35kmペースで走らないと間に合わない。一気に慌ただしくなる。
昨日までの昼飯はレストランでのんびり円卓を囲むグルメツアーの毎日だったが、時間節約のため途中のコンビニで弁当を食べることに。立ち寄るのは「7小時便利商店」(セブン-イレブン)だ。全家便利商店(ファミリーマート)など日系コンビニが多い台湾だが、セブン-イレブン。それにはワケがある。
台湾のセブン-イレブンはサイクリストに特に好意的で、店外のサイクルラック常設に加え、店内には椅子に座って食べられるスペースが大きくとってある店舗が多く、サイクリスト大歓迎の姿勢。そして無線LANも完備で、店内のベンチ席でゆっくりお弁当を食べることができるのだ。暑い国ではこれはけっこうありがたい。
サイクリストには台湾ではセブン-イレブンが便利
セブン-イレブン店内はこのとおりサイクリストを意識してテーブルが備えてけてあり、さながらサイクルステーションのよう
海が見えてきた。台中までの海岸線道路は、広々とした4車線道路をほぼ独占的に走れる最高のシーサイドライン。門田基志選手らスピード派が前に集結し、けん引してくれることで45km/hをキープ。皆で先頭交代を繰り返しながら快走するのは本当に気持ちいい。
ハイウェーのような道路でも、しっかりとバイクレーンが設置してあるのがさすがだ。
台中へのシーサイドラインは広々としたハイウェー調。先頭交代しながら快走する
大甲のジャイアント本社に到着すると、ほどなく”キング・リュー”こと劉会長が姿を現した。世界一のスポーツバイクメーカーと呼ばれるジャイアント創業者で、かつ台湾いや世界の自転車界のボス的存在。
劉会長は2007年に73歳のとき、自転車で台湾を一周した。そのときの模様はTVのドキュメンタリー番組で台湾じゅうに流れ、かつ台湾一周のことを綴った著書はベストセラーに。今では台湾人の老いも若きも一生のうち一度は自転車で台湾を一周しなくてはと通過儀礼のように思っているのだとか。
キング・リュー会長を囲んで記念写真。5日で挑戦の指5本!
歓迎してくれた劉会長 5日で走ったことに驚いていた
劉会長に見送られてジャイアント本社を後にする
2週間かけて一周した経験がある劉会長だから、「5日間で一周するというのはすごいですね。素晴らしいことです」と、流暢で丁寧な日本語で励まされた。
おそらく劉会長の通勤路となっている台中〜大甲のバイクレーンはさすがに広々している
自然豊かな東海岸と比べると西海岸の都会の風景はどこも同じに見える
劉会長の見送りを受け、台中へと向かう。残りは40km。ここまでくれば仲間と一緒に走れる時間の残り少なさが惜しくなる。とはいえ、最後の道のりも平坦ではなく、キツ〜い上りが待っていた。
初心者レベルで参加した何人かの方も、なんとか900kmを完走できた。そして今日も例外なく最後はナイトランになった(笑)。
台中に向けて最後のヒルクライム。皆が揃って名残を惜しむかのように走る
台北のジャイアントセールス本社のショールームがゴールだ。一行が到着すると爆竹が派手になり、スタッフ総出で迎えてくれた。レイを首にかけてもらい、マネジャーのアリスさんから完走証とメダルを受け取る。
ジャイアントセールス本社に到着。スタッフがレイと爆竹で迎えてくれた
5日で完走の指5本!マネジャーのアリスさんから完走証とメダルで祝してもらった
つらくて楽しかった5日間が終わった。走ってみれば充実感たっぷり。サイクリング王国を実感できる旅だった。自転車レーンが国じゅう隅々まで整備され、風景も変化に富んでいる。今回もお世話になったジャイアントトラベルはじめサイクリストの受け入れ体制が先進的な台湾一周の旅に、皆さんもいつか出かけてみてください。
完走しての記念撮影。完遂した喜びがこみ上げてくる
今治市職員がしまなみ街道サイクリングマップを配布してPR。国際交流はこうしてスタートする 台湾一周のことを「環台」と呼ぶ。捷安特旅行社(ジャイアント・トラベル)はまだ日本人向けの台湾自転車ツアーを積極的に呼びかけているというわけではないが、つい最近は日本語のパンフレットも作成し、日本での配布も始めたようだ。捷安特旅行社では、台湾人サイクリストによるグループツアーで美ら島オキナワセンチュリーランやツール・ド・おきなわなどの日本のサイクルイベントにもよく参加している。
そして今年は、”瀬戸内しま博覧会「瀬戸内しまのわ2014」”が、愛媛と広島を結ぶ瀬戸内海の島しょ部を舞台に開催され、しまなみ街道を走る大規模な国際サイクリング大会が開催される。愛媛県と広島県の関係者がこのFormosa900に参加しているのも、その下準備という面もある。もちろんFormosa900のつながりで台湾からも多くのサイクリストがやってくるはずだ。
台湾としまなみ街道がつなぐ自転車での国際交流は今年、大きな波を迎える。そこから、台湾と日本との結びつきが一層強くなるはずだ。
photo&text:Makoto.AYANO
Thanks to:ジャイアント・ジャパン/Giant Japan
捷安特旅行社/Giant Travel taiwan
フォトギャラリー(CW FaceBook)
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朝、ジャイアントトラベルのガイドのシュン君がやってきた。この日だけ合流とのことで、じつはまだ会ったことがなかったのだけど、すでにフェイスブック友達だったので会ってすぐお互いが判った。初対面にして再会した友達のよう。SNSってすごい。
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朝のうちは小雨が降ったもの、午後になると空は晴れ上がった。じつは今回の旅では初日の数時間以来の晴れ間だ。で、晴れると暑いのはやっぱり台湾。
さんさんと降り注ぐ熱帯の陽を浴びて走る一行。やはり晴れは気分を明るくしてくれる。最終日にして、ようやく。でも今日までも暗く走っていたわけではないけれど(笑)。
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昨日までの昼飯はレストランでのんびり円卓を囲むグルメツアーの毎日だったが、時間節約のため途中のコンビニで弁当を食べることに。立ち寄るのは「7小時便利商店」(セブン-イレブン)だ。全家便利商店(ファミリーマート)など日系コンビニが多い台湾だが、セブン-イレブン。それにはワケがある。
台湾のセブン-イレブンはサイクリストに特に好意的で、店外のサイクルラック常設に加え、店内には椅子に座って食べられるスペースが大きくとってある店舗が多く、サイクリスト大歓迎の姿勢。そして無線LANも完備で、店内のベンチ席でゆっくりお弁当を食べることができるのだ。暑い国ではこれはけっこうありがたい。
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海が見えてきた。台中までの海岸線道路は、広々とした4車線道路をほぼ独占的に走れる最高のシーサイドライン。門田基志選手らスピード派が前に集結し、けん引してくれることで45km/hをキープ。皆で先頭交代を繰り返しながら快走するのは本当に気持ちいい。
ハイウェーのような道路でも、しっかりとバイクレーンが設置してあるのがさすがだ。
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大甲のジャイアント本社に到着すると、ほどなく”キング・リュー”こと劉会長が姿を現した。世界一のスポーツバイクメーカーと呼ばれるジャイアント創業者で、かつ台湾いや世界の自転車界のボス的存在。
劉会長は2007年に73歳のとき、自転車で台湾を一周した。そのときの模様はTVのドキュメンタリー番組で台湾じゅうに流れ、かつ台湾一周のことを綴った著書はベストセラーに。今では台湾人の老いも若きも一生のうち一度は自転車で台湾を一周しなくてはと通過儀礼のように思っているのだとか。
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台湾としまなみ街道がつなぐ自転車での国際交流は今年、大きな波を迎える。そこから、台湾と日本との結びつきが一層強くなるはずだ。
photo&text:Makoto.AYANO
Thanks to:ジャイアント・ジャパン/Giant Japan
捷安特旅行社/Giant Travel taiwan
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