2013/08/16(金) - 10:10
日本最後の清流と呼ばれる高知県の四万十川を舞台に行われる、今年初開催のロングライドイベントが「四万十ドラゴンライド」。実行委員会の皆様にお招き頂いて、7月29日に実際にコースの一部の試走した様子をCW編集部・山本のレポートでお届けします。
四万十ドラゴンライドとは?
四万十ドラゴンライドの舞台はその名の通り高知県西部を流れる四万十川。小高い山々の谷を「龍」の様に縫って流れるその姿が大会名の由来となっている。今大会では源流から河口までの全流域がコースに組み込まれ、穏やかな水の流れや大自然ならではの澄んだ空気に癒され、エイドでは地元の新鮮な山の幸・海の幸を楽しむことが出来るだろう。
今大会ではチャレンジングな300km「レジェンドドラゴン」コースから気軽に参加出来る「ミニドラゴン」50kmコースまで4コースが設定される。開催時期の11月上旬で最高/最低気温は20℃/10℃程とサイクリングには最適な気候だ。運が良ければ紅葉を楽しむことが出来るかもしれない。
自転車文化未開拓の地 四万十川流域を“たんねる”
羽田空港から飛行機と車で約3時間。試走のスタート地点となったのは中流域に当たる西土佐の君が渕。ここは少し高台になっているため四万十川の穏やかな流れを楽しむことが出来るビューポイントの一つだが、平家の落人と村の娘が許されざる恋物語がいい伝えられる土地でもある。ここから少しの間、国道381号線沿いを走る。
今回の試走に参加したのはコースの基本設計を行った地元西土佐商工会の毛利仁人さん、協賛のVAX Racing with SAITAMAの長沼隆行選手、そしてシクロワイアードを含めた自転車メディア4社の代表で合わせて6名。
毛利さんにコースと大会についてお話を聞くと「大会のルートには四万十流域の外から来た方とサイクリングする際に使うコースを一部組み込んでいます。周りは山々に囲まれていますが、あまり自転車文化が根付いていない地域なので未開拓の山も多いですね。この大会を機に地域に自転車が根付いてくれればと考えています。」と語ってくださった。
スタート後はすぐに現れた、全長600メートルほどの江川トンネルは国道ながらとても薄暗い。試走のスタート地点までコースをなぞる様にして車でアプローチしたが日中でも薄暗いトンネルが非常に多く、街頭も非常に少ない。日の出前にスタートしゴールも夕暮れ後になることが予想されるため、前照灯と尾灯の装着は義務になるとのこと。ブルベ参加者の様にとても明るいライトを用意しておくべきだろう。
トンネルの出口を右に曲がり、大会のコースをショートカットするためにこの日最初の沈下橋「半家沈下橋」を通る。車1台分の幅にも関わらずガードレールの様なものはなく、自転車でも列になって走るとちょっとした恐怖を感じた。しかしながら橋の四方八方を囲む深い緑や、真下を白波を立てながら流れる四万十川にとても癒される。大会のコースにもいくつかの沈下橋が組み込まれるそうだが、安全に渡れる様に係員の配置検討しているとのことだ。
半家沈下橋を渡ると旧道に入り、木漏れ日の林道から小規模な棚田や畑が広がる道まで、川沿いながらバリエーションに富んだ表情を見せてくれる。試走当日の交通量はゼロに等しく、舗装状態も良好なためリラックスしながら走ることが出来た。
そんな田舎ならではの道を走っていると大会コース中最大の難所の1つである「半家峯峠」に差し掛かる。峠とは言っても距離は約1kmと短く斜度は最高でも10%未満なので、300kmと150kmコースを完走する上では特に問題無く、上りをこなせば頂上付近からは四万十川と山々が織りなすダイナミックな景観が楽しめる。ここからのダウンヒルは道幅が狭いうえにブラインドコーナーやヘアピンが多数存在するため少し注意が必要だ。
半家峯峠を終えてからしばらく旧道を走る。この区間はブラインドコーナーが多く、舗装状態が少し荒れている上に落石が多く、路肩には苔が生えているため注意が必要だ。ただし落石に関してはイベントまでに清掃がなされるとのこと。しばらく走るとエイドが設定される予定の「四万十・川の駅 カヌー館」に到着。この施設はカヌー教室が開催されるほか、スタンドやポンプなどが設置されるなどサイクリスト向けのサービスも行っている。ここでは地元の飲料メーカーであるひまわり乳業の乳酸飲料「リープル」を頂いた。
カヌー館で出発してから再び旧道沿いを走ると津大橋で国道441号線に入る。ここからは交通量が少し増えるものの道幅が広くなり舗装状態が良くなるため、かえって非常に走りやすい。この合流地点には不気味な人形が並べられた屋敷が。ぜひ参加される方はチェックしてみてほしい(笑)。そして、試走のゴール地点となる岩間沈下橋に到着。この橋はTVCMやポスター等に頻繁に登場する四万十川で最も有名な沈下橋とのこと。確かにその景観は都会の幻想を忘れさせてくれる様な長閑さを感じることが出来た。
コースの試走について長沼選手は以下のように語ってくれた。
「川沿いを走るイベントですが適度なアップダウンが含まれていて様々なレベルの人が楽しめるイベントになるのではないかと思いました。試走した中で最も印象に残ったのは沈下橋で、川面との近さに思わず立ち止まってしまい、川の流れに引き込まれそうになってしまいました。
また、コース上に広がる手付かずの広大な自然がとても魅力的ですね。ただ、細い道やブラインドコーナーが多く含まれていたので大会で走る際には注意が必要でしょう。レジェンドドラゴンコースの300kmという長距離は、イベントや大会では走ったことがないので、ぜひ走ってみたいですね。」
山の幸も海の幸も楽しめる 充実のエイドステーション
高知県には「お遍路さん」を温かく受け入れるという文化感覚が培われており、おもてなしの精神が根付いているそうだ。四万十ドラゴンライドではそんな風土や人情が感じられるエイドステーションが用意されるとのこと。海の幸からは土佐湾で一本釣りされたカツオのたたきや珍しいウツボなどの鮮度抜群のお魚、山の幸からは四万十川の清流に育てられた鮎やウナギなどの川魚、お米や土佐牛などがエイドステーションに登場する予定だ。
他にも、名産のゆずを使用したドリンクや高知名物のアイスクリンなど長丁場のサイクリングに癒しを与えてくれるドリンク類やスイーツの登場も検討されている。イベントの後にはダバダ火振や司牡丹などの豊富な地元の美酒に酔いしれてみるのも良いだろう。
わずか20km程度の試走ではあったが川に架かる沈下橋や橋梁の長閑な風景、地元の山の幸や海の幸など四万十川はサイクリングに適した土地だということが伝わってきた。そして地元の方々のイベントに対する意気込みやおもてなしの心が何よりも嬉しく思えた。そんな魅力たっぷりの四万十ドラゴンライド。ぜひ、チームや仲間、家族で誘いあってエントリーしてみてはいかがだろうか。
四万十ドラゴンライド
開催日程:平成25年11月3~4日(日・月祝)
会 場:高知県四万十川流域
応募締切:9月30日(月)
コース/距離/定員/参加費:
・レジェンドドラゴンコース/300km/200名/25,000円
・ドラゴンコース1day/140km/300名/10,000円
・ドラゴンコース2day/145km/300名/12,000円
・ミニドラゴンコース/50km/200名/7,500円
text&photo:Yuya.Yamamoto
四万十ドラゴンライドとは?
四万十ドラゴンライドの舞台はその名の通り高知県西部を流れる四万十川。小高い山々の谷を「龍」の様に縫って流れるその姿が大会名の由来となっている。今大会では源流から河口までの全流域がコースに組み込まれ、穏やかな水の流れや大自然ならではの澄んだ空気に癒され、エイドでは地元の新鮮な山の幸・海の幸を楽しむことが出来るだろう。
今大会ではチャレンジングな300km「レジェンドドラゴン」コースから気軽に参加出来る「ミニドラゴン」50kmコースまで4コースが設定される。開催時期の11月上旬で最高/最低気温は20℃/10℃程とサイクリングには最適な気候だ。運が良ければ紅葉を楽しむことが出来るかもしれない。
自転車文化未開拓の地 四万十川流域を“たんねる”
羽田空港から飛行機と車で約3時間。試走のスタート地点となったのは中流域に当たる西土佐の君が渕。ここは少し高台になっているため四万十川の穏やかな流れを楽しむことが出来るビューポイントの一つだが、平家の落人と村の娘が許されざる恋物語がいい伝えられる土地でもある。ここから少しの間、国道381号線沿いを走る。
今回の試走に参加したのはコースの基本設計を行った地元西土佐商工会の毛利仁人さん、協賛のVAX Racing with SAITAMAの長沼隆行選手、そしてシクロワイアードを含めた自転車メディア4社の代表で合わせて6名。
毛利さんにコースと大会についてお話を聞くと「大会のルートには四万十流域の外から来た方とサイクリングする際に使うコースを一部組み込んでいます。周りは山々に囲まれていますが、あまり自転車文化が根付いていない地域なので未開拓の山も多いですね。この大会を機に地域に自転車が根付いてくれればと考えています。」と語ってくださった。
スタート後はすぐに現れた、全長600メートルほどの江川トンネルは国道ながらとても薄暗い。試走のスタート地点までコースをなぞる様にして車でアプローチしたが日中でも薄暗いトンネルが非常に多く、街頭も非常に少ない。日の出前にスタートしゴールも夕暮れ後になることが予想されるため、前照灯と尾灯の装着は義務になるとのこと。ブルベ参加者の様にとても明るいライトを用意しておくべきだろう。
トンネルの出口を右に曲がり、大会のコースをショートカットするためにこの日最初の沈下橋「半家沈下橋」を通る。車1台分の幅にも関わらずガードレールの様なものはなく、自転車でも列になって走るとちょっとした恐怖を感じた。しかしながら橋の四方八方を囲む深い緑や、真下を白波を立てながら流れる四万十川にとても癒される。大会のコースにもいくつかの沈下橋が組み込まれるそうだが、安全に渡れる様に係員の配置検討しているとのことだ。
半家沈下橋を渡ると旧道に入り、木漏れ日の林道から小規模な棚田や畑が広がる道まで、川沿いながらバリエーションに富んだ表情を見せてくれる。試走当日の交通量はゼロに等しく、舗装状態も良好なためリラックスしながら走ることが出来た。
そんな田舎ならではの道を走っていると大会コース中最大の難所の1つである「半家峯峠」に差し掛かる。峠とは言っても距離は約1kmと短く斜度は最高でも10%未満なので、300kmと150kmコースを完走する上では特に問題無く、上りをこなせば頂上付近からは四万十川と山々が織りなすダイナミックな景観が楽しめる。ここからのダウンヒルは道幅が狭いうえにブラインドコーナーやヘアピンが多数存在するため少し注意が必要だ。
半家峯峠を終えてからしばらく旧道を走る。この区間はブラインドコーナーが多く、舗装状態が少し荒れている上に落石が多く、路肩には苔が生えているため注意が必要だ。ただし落石に関してはイベントまでに清掃がなされるとのこと。しばらく走るとエイドが設定される予定の「四万十・川の駅 カヌー館」に到着。この施設はカヌー教室が開催されるほか、スタンドやポンプなどが設置されるなどサイクリスト向けのサービスも行っている。ここでは地元の飲料メーカーであるひまわり乳業の乳酸飲料「リープル」を頂いた。
カヌー館で出発してから再び旧道沿いを走ると津大橋で国道441号線に入る。ここからは交通量が少し増えるものの道幅が広くなり舗装状態が良くなるため、かえって非常に走りやすい。この合流地点には不気味な人形が並べられた屋敷が。ぜひ参加される方はチェックしてみてほしい(笑)。そして、試走のゴール地点となる岩間沈下橋に到着。この橋はTVCMやポスター等に頻繁に登場する四万十川で最も有名な沈下橋とのこと。確かにその景観は都会の幻想を忘れさせてくれる様な長閑さを感じることが出来た。
コースの試走について長沼選手は以下のように語ってくれた。
「川沿いを走るイベントですが適度なアップダウンが含まれていて様々なレベルの人が楽しめるイベントになるのではないかと思いました。試走した中で最も印象に残ったのは沈下橋で、川面との近さに思わず立ち止まってしまい、川の流れに引き込まれそうになってしまいました。
また、コース上に広がる手付かずの広大な自然がとても魅力的ですね。ただ、細い道やブラインドコーナーが多く含まれていたので大会で走る際には注意が必要でしょう。レジェンドドラゴンコースの300kmという長距離は、イベントや大会では走ったことがないので、ぜひ走ってみたいですね。」
山の幸も海の幸も楽しめる 充実のエイドステーション
高知県には「お遍路さん」を温かく受け入れるという文化感覚が培われており、おもてなしの精神が根付いているそうだ。四万十ドラゴンライドではそんな風土や人情が感じられるエイドステーションが用意されるとのこと。海の幸からは土佐湾で一本釣りされたカツオのたたきや珍しいウツボなどの鮮度抜群のお魚、山の幸からは四万十川の清流に育てられた鮎やウナギなどの川魚、お米や土佐牛などがエイドステーションに登場する予定だ。
他にも、名産のゆずを使用したドリンクや高知名物のアイスクリンなど長丁場のサイクリングに癒しを与えてくれるドリンク類やスイーツの登場も検討されている。イベントの後にはダバダ火振や司牡丹などの豊富な地元の美酒に酔いしれてみるのも良いだろう。
わずか20km程度の試走ではあったが川に架かる沈下橋や橋梁の長閑な風景、地元の山の幸や海の幸など四万十川はサイクリングに適した土地だということが伝わってきた。そして地元の方々のイベントに対する意気込みやおもてなしの心が何よりも嬉しく思えた。そんな魅力たっぷりの四万十ドラゴンライド。ぜひ、チームや仲間、家族で誘いあってエントリーしてみてはいかがだろうか。
四万十ドラゴンライド
開催日程:平成25年11月3~4日(日・月祝)
会 場:高知県四万十川流域
応募締切:9月30日(月)
コース/距離/定員/参加費:
・レジェンドドラゴンコース/300km/200名/25,000円
・ドラゴンコース1day/140km/300名/10,000円
・ドラゴンコース2day/145km/300名/12,000円
・ミニドラゴンコース/50km/200名/7,500円
text&photo:Yuya.Yamamoto
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