2013/02/13(水) - 01:34
天候にも恵まれ、お台場海浜公園を舞台に開催されたシクロクロス東京。昨年からよりパワーアップした第2回大会の総動員数は1万3千人。カウベルの音色と、大歓声がお台場に鳴り響いた。
昨年初開催を迎え、「都心のど真ん中でシクロクロス」と大きな話題を巻き起こしたシクロクロス東京が今年もよりパワーアップして開催された。近年大きなブームを巻き起こしているシクロクロスだが、この大会最大の魅力はその立地。レインボーブリッジやお台場のアミューズメント施設隣接のお台場海浜公園がその舞台だ。
臨海副都心の中心で開催され、郊外の河川敷や山地で開催されることの多いシクロクロスとしては異例の好立地。駅からも近く、参加はもちろんのこと応援もしやすい。会場にはロードバイクで観戦に訪れる方も非常に多く、その姿は確実に昨年から倍増していた。
どことなく"草レース"感の強いシクロクロスだが、昨年にも増してショーアップされたシクロクロス東京は他の大会と全く雰囲気を異とするもの。
ロードやMTBなど競技志向の強いライダーたちだけでなく、普段ピストやストリート系バイクをメインに楽しむ層からの参加者も多いシクロクロス。ロードレースにありがちなストイック過ぎる雰囲気は無く、シクロクロス東京ではその部分を強めることで"お祭り"的な雰囲気を盛り上げた。
会場にはDJが回す音楽が大音量で響き渡り、フードブースやベルギービールを販売するコーナーも充実し、それこそヨーロッパやアメリカなど、参加者はもちろんのこと、ギャラリーも"本場のシクロクロス"を堪能。白戸太朗さんとサッシャさんの豪華MCも大会に華を添えた。
「普段屋外で、まして自転車のイベントでプレイするのはこの大会以外にありませんね。」と語るのは、DJを務めた"S"さん、"IST"さん、そして"KOBA"さん。「僕らは雰囲気に合わせて音楽を作っていくんですが、レースが進むにつれてギャラリーのテンションが上がってきて、とても楽しかったです。僕ら自身もとても楽しめました」と加える。
そして2日間の最後のプログラム、アメリカから6名の招待選手を招いたトップカテゴリーのC1クラスでは、アメリカのトップレーサーに対して果敢に攻める竹之内選手の姿に、会場の盛り上がりは最高潮に。
さらにジェレミー・パワーズ(ラファ・フォーカス)や山本和弘(キャノンデール・チャンピオンシステム)両選手はシケインや段差を華麗なバニーホップでクリアして会場を盛り上げ、ティム・ジョンソン(キャノンデールpbシクロクロスワールド.com)はベテランらしい丁寧な走りでギャラリーを魅了。トップ選手の走りにヒートアップした観客は、そこを走る全ての選手に対しても惜しみなく声援を送り続けた。
第2回目開催ながら、シクロクロスの一大イベントまでに成長したシクロクロス東京。開催に至った裏側には、オーガナイザーを務めるチャンピオンシステムジャパン社長、棈木亮二(あべきりょうじ)さんの熱い思いがある。
「今年の大会は大成功でした」と語る棈木さん。大会を始めたきっかけは、4年前にアメリカのシクロクロスレース”クロスベガス”を見たのがきっかけだという。
「当時インターバイクを見に行って、その時に会社の仲間に誘われて、見たこともやったことも、更には興味も無かったシクロクロスを初めて観戦しました。その時に感じたのは、レースがしっかりと運営されていることはもちろんながら、大会がショーアップされていること。そこではお客さんをしっかりと集めて、トップ選手の走りで感動させていることに驚き、私自身感動したんです。そこで主催者を紹介してもらって、いろいろなやり取りをしているうちに、これなら私でもできるな、と」。
「開催する場所も横浜や幕張などいろいろ候補が上がりましたが、どうやらお台場で出来そうだと。もうやりたい一心でいたので、”お金については責任を持つからやらせてくれ”と頼み込んだんですね。その結果、2年目ながらこのレベルまで育てることができました。」
「そんな注目を集めることができたのは、ひとえにメディア関係者の皆さんのお力添えがあったからこそでした。昨年は自転車関係のメディアのみに情報配信をしていましたが、今年は専門メディアはもちろんのこと、テレビ東京さんが情報配信のお手伝いをしてくれたのも助かりました。それで情報を知り、ラジオ番組でも取り上げて頂くなど、様々なところに波及したんです。いい意味でメディア配信のボリュームが出ました。20年ぐらい会っていない友だちから”番組見たよ!行くからね!”ともいってもらった時には驚きましたね(笑)。」
今回招待した海外選手は6名。ジェレミー・パワーズはラファ・ジャパンが、ティム・ジョンソンはダートフリークとレッドブルジャパン、ルイス・ラトリーはジャイアント、3名が参加したコナシクロクロスチームはアキ・コーポレーションと、スポンサーブランドの日本代理店による多大な協力があったという。
「選手を呼ぶにはエアチケットの手配はもちろんのこと、宿や自転車の運搬、滞在中のお世話など大きな費用が掛かります。とにかく各社の協力が無いことには実現しないことで、大きな感謝をしています。昨年勝利したベン・ベルデン選手も呼びたかったのですが、交渉が上手くいかず...。竹之内選手とのリマッチも演出したかったのですが、この交渉のやり方は今後の改善点です。将来的にはヨーロッパ勢の招聘ももちろん考えています」
「感動を与える大会として、トップレベルの選手を呼び、最高峰のレースを見せることは必須です。きちんとお金を掛けてアピールし、スポンサードを受け、トップ選手には入賞してもらい、賞金を持って帰ってもらう。単純ですが、重要なことです。」と語る棈木さん。将来的にはUCIレース化も目標の一つと言う。
「UCIレース化することで出る弊害もありますが、UCIレースを増やすことも将来的に大切ですし、単なるショーではない”正確なレース”ができます。トップレースのレベルを引き上げることで与えられる”感動”は更に大きくなることでしょう。」
「僕は、何に対しても”感動の量”をしっかりと測ることが大切だと思うんです。動くお金の規模が大きくても小さくても、大きな感動を得られなければ、それは失敗です。大会の間はずっと会場を動いていましたが、選手もギャラリーも”感動”の量は少なくなかったと感じました」
お話を聞いている間に何度も棈木さんから発せられた”感動”という言葉。より選手や観客に感動を与える大会を開催したいというのが棈木さんの夢だという。
「この大会中、”あべきさんの夢に近づきましたね”と、何人かに言われました。もちろん課題は多くありますが、その通り私の目標にちょっとずつ近づいてきました。悪くは無い。良いと思います」
「私自身この大会のためにシクロクロスを始めましたが、その魅力にすっかりはまってしまいました。本当は来週のミストラル最終戦に出たかったんですけどね。エントリーの締め切りが早かったですね(笑)」。
report:So.Isobe
昨年初開催を迎え、「都心のど真ん中でシクロクロス」と大きな話題を巻き起こしたシクロクロス東京が今年もよりパワーアップして開催された。近年大きなブームを巻き起こしているシクロクロスだが、この大会最大の魅力はその立地。レインボーブリッジやお台場のアミューズメント施設隣接のお台場海浜公園がその舞台だ。
臨海副都心の中心で開催され、郊外の河川敷や山地で開催されることの多いシクロクロスとしては異例の好立地。駅からも近く、参加はもちろんのこと応援もしやすい。会場にはロードバイクで観戦に訪れる方も非常に多く、その姿は確実に昨年から倍増していた。
どことなく"草レース"感の強いシクロクロスだが、昨年にも増してショーアップされたシクロクロス東京は他の大会と全く雰囲気を異とするもの。
ロードやMTBなど競技志向の強いライダーたちだけでなく、普段ピストやストリート系バイクをメインに楽しむ層からの参加者も多いシクロクロス。ロードレースにありがちなストイック過ぎる雰囲気は無く、シクロクロス東京ではその部分を強めることで"お祭り"的な雰囲気を盛り上げた。
会場にはDJが回す音楽が大音量で響き渡り、フードブースやベルギービールを販売するコーナーも充実し、それこそヨーロッパやアメリカなど、参加者はもちろんのこと、ギャラリーも"本場のシクロクロス"を堪能。白戸太朗さんとサッシャさんの豪華MCも大会に華を添えた。
「普段屋外で、まして自転車のイベントでプレイするのはこの大会以外にありませんね。」と語るのは、DJを務めた"S"さん、"IST"さん、そして"KOBA"さん。「僕らは雰囲気に合わせて音楽を作っていくんですが、レースが進むにつれてギャラリーのテンションが上がってきて、とても楽しかったです。僕ら自身もとても楽しめました」と加える。
そして2日間の最後のプログラム、アメリカから6名の招待選手を招いたトップカテゴリーのC1クラスでは、アメリカのトップレーサーに対して果敢に攻める竹之内選手の姿に、会場の盛り上がりは最高潮に。
さらにジェレミー・パワーズ(ラファ・フォーカス)や山本和弘(キャノンデール・チャンピオンシステム)両選手はシケインや段差を華麗なバニーホップでクリアして会場を盛り上げ、ティム・ジョンソン(キャノンデールpbシクロクロスワールド.com)はベテランらしい丁寧な走りでギャラリーを魅了。トップ選手の走りにヒートアップした観客は、そこを走る全ての選手に対しても惜しみなく声援を送り続けた。
第2回目開催ながら、シクロクロスの一大イベントまでに成長したシクロクロス東京。開催に至った裏側には、オーガナイザーを務めるチャンピオンシステムジャパン社長、棈木亮二(あべきりょうじ)さんの熱い思いがある。
「今年の大会は大成功でした」と語る棈木さん。大会を始めたきっかけは、4年前にアメリカのシクロクロスレース”クロスベガス”を見たのがきっかけだという。
「当時インターバイクを見に行って、その時に会社の仲間に誘われて、見たこともやったことも、更には興味も無かったシクロクロスを初めて観戦しました。その時に感じたのは、レースがしっかりと運営されていることはもちろんながら、大会がショーアップされていること。そこではお客さんをしっかりと集めて、トップ選手の走りで感動させていることに驚き、私自身感動したんです。そこで主催者を紹介してもらって、いろいろなやり取りをしているうちに、これなら私でもできるな、と」。
「開催する場所も横浜や幕張などいろいろ候補が上がりましたが、どうやらお台場で出来そうだと。もうやりたい一心でいたので、”お金については責任を持つからやらせてくれ”と頼み込んだんですね。その結果、2年目ながらこのレベルまで育てることができました。」
「そんな注目を集めることができたのは、ひとえにメディア関係者の皆さんのお力添えがあったからこそでした。昨年は自転車関係のメディアのみに情報配信をしていましたが、今年は専門メディアはもちろんのこと、テレビ東京さんが情報配信のお手伝いをしてくれたのも助かりました。それで情報を知り、ラジオ番組でも取り上げて頂くなど、様々なところに波及したんです。いい意味でメディア配信のボリュームが出ました。20年ぐらい会っていない友だちから”番組見たよ!行くからね!”ともいってもらった時には驚きましたね(笑)。」
今回招待した海外選手は6名。ジェレミー・パワーズはラファ・ジャパンが、ティム・ジョンソンはダートフリークとレッドブルジャパン、ルイス・ラトリーはジャイアント、3名が参加したコナシクロクロスチームはアキ・コーポレーションと、スポンサーブランドの日本代理店による多大な協力があったという。
「選手を呼ぶにはエアチケットの手配はもちろんのこと、宿や自転車の運搬、滞在中のお世話など大きな費用が掛かります。とにかく各社の協力が無いことには実現しないことで、大きな感謝をしています。昨年勝利したベン・ベルデン選手も呼びたかったのですが、交渉が上手くいかず...。竹之内選手とのリマッチも演出したかったのですが、この交渉のやり方は今後の改善点です。将来的にはヨーロッパ勢の招聘ももちろん考えています」
「感動を与える大会として、トップレベルの選手を呼び、最高峰のレースを見せることは必須です。きちんとお金を掛けてアピールし、スポンサードを受け、トップ選手には入賞してもらい、賞金を持って帰ってもらう。単純ですが、重要なことです。」と語る棈木さん。将来的にはUCIレース化も目標の一つと言う。
「UCIレース化することで出る弊害もありますが、UCIレースを増やすことも将来的に大切ですし、単なるショーではない”正確なレース”ができます。トップレースのレベルを引き上げることで与えられる”感動”は更に大きくなることでしょう。」
「僕は、何に対しても”感動の量”をしっかりと測ることが大切だと思うんです。動くお金の規模が大きくても小さくても、大きな感動を得られなければ、それは失敗です。大会の間はずっと会場を動いていましたが、選手もギャラリーも”感動”の量は少なくなかったと感じました」
お話を聞いている間に何度も棈木さんから発せられた”感動”という言葉。より選手や観客に感動を与える大会を開催したいというのが棈木さんの夢だという。
「この大会中、”あべきさんの夢に近づきましたね”と、何人かに言われました。もちろん課題は多くありますが、その通り私の目標にちょっとずつ近づいてきました。悪くは無い。良いと思います」
「私自身この大会のためにシクロクロスを始めましたが、その魅力にすっかりはまってしまいました。本当は来週のミストラル最終戦に出たかったんですけどね。エントリーの締め切りが早かったですね(笑)」。
report:So.Isobe