12月9日、静岡県富士宮市の朝霧高原「ふもとっぱら」で、第18回シクロクロス全日本選手権が開催される。エリート男女ともに、本命は前年度のチャンピオン。雄大な富士山を望む草地コースの特徴と有力選手を事前にチェックしておこう。

草地に作られた「体力と技術が必要なコース」

コースを試走する竹之内悠(チームユーラシア)と豊岡英子(パナソニックレディース)コースを試走する竹之内悠(チームユーラシア)と豊岡英子(パナソニックレディース) photo:Kei Tsuji日本一を決める全日本選手権の舞台となるのは、標高850mの朝霧高原。真正面に富士山を望む高原で、普段キャンプ場として使用されている草地に全長2900mのコースが作られた。

コースの大半は枯れ草に覆われており、緩やかな斜面を駆け上がる区間や、タイトコーナーが連続する区間が組み合わされている。試走した竹之内悠(チームユーラシア)曰く「単調に見えても、実際はメリハリが有って、体力と技術が必要なコース。(昨年全日本選手権が開催された)マキノのコースに似ているけどこれは別物」。

富士山を眺める絶景コース富士山を眺める絶景コース photo:Kei Tsujiコースの大半は草に覆われているが、レースが進むにつれて土壌が露出し、茶色いラインが出来上がるだろう。山から吹き下ろす風が強まれば、パックでの走行が予想される。エリートライダーは1時間にわたってアウターを踏み続ける。

「ロードレース的な展開になって、大きなタイム差が付きにくいかも知れない。でもコーナーで徐々に差はついていく。10秒差が広がれば、その10秒を詰めるのは難しい。よく考えられているコースだと思います」と、竹之内は分析する。「日本のコースにしては珍しく、パワーを出せる場所があって嬉しい」とも。

また、JCF(日本自転車競技連盟)主催の全日本選手権と同じコースで、AJOCC(日本シクロクロス競技主催者協会)の年齢別選手権が併催される。年齢別選手権は、キッズからマスターズ50まで全10カテゴリー。1位の選手には協賛Raphaのチャンピオンジャージが授与される(CK1とCK2は除く)。

JCF全日本選手権/AJOCC年齢別選手権スケジュール
12月9日(日)
8:00〜8:30 U17/L2レース
9:00〜9:40 ジュニア(JCF)
10:00〜10:40 マスターズ40/50
11:00〜11:40 エリート女子(JCF)
12:00〜12:10 CK1
12:25〜12:40 CK2/U15
13:00〜14:00 エリート男子(JCF)
14:30〜15:10 ジュニア/U23/U30/U40/学連

天気予報によると、12月9日(日)の最高気温は7度。晴れの予報が出ているものの、標高が高く、強めの風が予想されるため体感温度はグッと下がる。観戦の際にはカイロ常備&二枚ほど多めの服装で。

連覇を狙う竹之内 ロード界から土井や畑中、宮澤も出場

竹之内悠(チームユーラシア)竹之内悠(チームユーラシア) photo:Kei Tsuji昨年、辻浦圭一の10連覇を阻止し、全日本チャンピオンジャージを受け取った竹之内悠(チームユーラシア)は、ベルギーのUCIコンチネンタルチームコルバ・スペラーノハムと契約。2013年もヨーロッパで闘う。

10月から11月にかけて1ヶ月ほどヨーロッパ遠征を行ない、ベルギーレースを中心に計7レースに出場した竹之内。しかし、長いロードシーズンを終えたばかりということもあり、疲労によってコンディションを落としてしまう。

小坂正則(スワコレーシング)小坂正則(スワコレーシング) photo:Kei Tsuji帰国後、竹之内は少しずつ調子を戻し、UCI登録レースである野辺山シクロクロス関西シクロクロス@マイアミで連勝。1週間前の関西シクロクロス@由良川でも圧勝し、全日本にしっかりと合わせてきた。圧倒的なパワーを見せつけているが、本人はまだまだ本調子からはほど遠いと言う。

一方、昨年の全日本選手権後に体調を崩した辻浦は、重症筋無力症という難病を患っていることが判明し、戦線を離脱した。手術と長期の入院を経て、現在は現役復帰に向けてリハビリ中。シクロクロスには出場していないが、カスティールサイクルクロスマツモトを企画するなど、意欲的な姿勢は変わっていない。

沢田時(ブリヂストンアンカー)沢田時(ブリヂストンアンカー) photo:Kei Tsuji10月に同じ会場で行なわれた信州シクロクロスで優勝した49歳の小坂正則(スワコレーシング)や、息子の小坂光(宇都宮ブリッツェン)、野辺山とマイアミで表彰台に登っている丸山厚(TEAM MASSA-ANDEX)らが竹之内のライバルになるだろう。

今シーズンからU23カテゴリーに昇格した沢田時(ブリヂストンアンカー)、中井路雅(岩井商会レーシング)、前田公平(SPEEDVAGEN CYCLOCROSS TEAM)の若手3人にも注目。

丸山厚(TEAM MASSA-ANDEX)丸山厚(TEAM MASSA-ANDEX) photo:Kei Tsuji池本真也(和光機器・AUTHOR)や山本聖吾(スワコレーシング)、濱由嵩(BRIDLER)ら、日本を代表するライダーも揃う。

また、MTB界からは斉藤亮(MIYATA-MERIDA BIKING TEAM)や山本和弘(キャノンデールレーシング)が、そしてロード界からはロード全日本チャンピオンの土井雪広(アルゴス・シマノ)をはじめ、直前のツール・ド・おきなわ2位の畑中勇介(シマノレーシング)や、宮澤崇史(サクソバンク・ティンコフバンク)が出場する。スタートが勝敗を大きく左右するシクロクロスにおいて、後方スタートの彼らがどこまで順位を上げることが出来るかに注目。精力的にシクロクロスに出場している島田真琴(シマノドリンキング)も要注意選手だ。


左脚負傷の豊岡英子の連覇なるか 次世代ジュニア選手の闘いにも注目

豊岡英子(パナソニックレディース)豊岡英子(パナソニックレディース) photo:Kei Tsuji昨年エリート女子レースで7連覇を達成した豊岡英子(パナソニックレディース)は、関西シクロクロス@マイアミの試走中に左脚を負傷。痛みをおして出場した翌日のレースで優勝したものの、怪我の影響が心配される。

昨年8秒差で豊岡に敗れた宮内佐季子(CLUB viento)は、今年も豊岡の王座を狙うライバルの筆頭だ。地元静岡での開催だけにモチベーションは高いはず。福本千佳(同志社大学)と坂口聖香(Ready Go Japan)の若い2人も着実に力を付けている。

1995年と1996年生まれの選手が対象のジュニアレースには、5名がエントリー。日本の若手を代表する沢田、中井、前田はU23カテゴリーへ。昨年の全日本選手権ジュニアで最後まで沢田に抵抗し、2位に入った横山航太(篠ノ井高校)が今年の本命だ。シーズンを通してロードに打ち込んできた横山は、野辺山シクロクロスのジュニアレースで優勝している。他にも、山田誉史輝(HAPPY RIDE)や中井唯晶(瀬田工業高校)が勝負に絡んでくるだろう。

出場選手はJCFサイト内のスタートリスト(PDF)を参照。


富士山に向かってスタートが切られる富士山に向かってスタートが切られる photo:Kei Tsuji

text:Kei Tsuji

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