イタリア北部のピエモンテ州を舞台に行なわれた第98回ジロ・デル・ピエモンテ(UCI1.HC)。終盤の登りでアタックを成功させ、ライバルたちを引き離したリゴベルト・ウラン(コロンビア、チームスカイ)が勝利した。

ファヴァーロの登りで飛び出したリゴベルト・ウラン(コロンビア、チームスカイ)とゴルカ・ベルドゥーゴ(スペイン、エウスカルテル)ファヴァーロの登りで飛び出したリゴベルト・ウラン(コロンビア、チームスカイ)とゴルカ・ベルドゥーゴ(スペイン、エウスカルテル) photo:Riccardo Scanferla例年ジロ・ディ・ロンバルディアの数日前に開催されているジロ・デル・ピエモンテ。1906年に第一回大会が開催された歴史ある大会であり、ロンバルディア州の西部に位置するピエモンテ州が舞台となる。

今年はロンバルディアの開催時期移行に伴い、ピエモンテも9月開催に移行した。ロンバルディアの重要な前哨戦に違いは無く、終盤に登りが連続し、下ってゴールを迎えるコースレイアウトは似通っている。

パオリーニとベルドゥーゴを振り切ってゴールするリゴベルト・ウラン(コロンビア、チームスカイ)パオリーニとベルドゥーゴを振り切ってゴールするリゴベルト・ウラン(コロンビア、チームスカイ) photo:Riccardo Scanferlaゴール地点はトリノ北部のビエッラ。ファヴァーロの登り(平均勾配5.4%・登坂距離6.15km)を含む周回コースを2周してゴールを迎える。

過去に2度優勝しているフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)の参加も予定されていたが、世界チャンピオンはロンバルディア本戦に集中するため、ピエモンテをパスすることを決めた。

優勝トロフィーを手にしたリゴベルト・ウラン(コロンビア、チームスカイ)優勝トロフィーを手にしたリゴベルト・ウラン(コロンビア、チームスカイ) photo:Riccardo Scanferlaレースを決定づけたのは、逃げ吸収後に迎えた最後のファヴァーロの登り。勾配が刻々と変化し、細いコースが特徴のこの登りで、まずはセルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ)が動きを見せる。

これにチームメイトのウランとゴルカ・ベルドゥーゴ(スペイン、エウスカルテル)、マウロ・サンタンブロジオ(イタリア、BMCレーシングチーム)が合流。最大勾配11%のこの登りで最もパワフルな走りを見せたウランが、ベルドゥーゴとともに飛び出した。

テクニカルなダウンヒルを経て、ビエッラの街に差し掛かるウランとベルドゥーゴ。7月のロンドン五輪でアレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン)との一騎打ちに敗れたウランが、勝負強さを見せてベルドゥーゴを振り切る。圧倒的な力で第98代ピエモンテ覇者に輝いた。

ウランは3月のボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャでステージ優勝(最終的に総合5位)を飾っており、これがシーズン2勝目。ウランはジロ・デ・イタリア総合7位、ブエルタ・ア・エスパーニャ29位。ロード世界選手権では23位だった。「セルジオルイスと一緒にアタックして、その後ベルドゥーゴと飛び出したけど、後続から大きなリードは奪えなかった。だから下りを全力で攻めたんだ。レース中ずっと調子の良さを感じていたので、それが結果に結びついて本当に嬉しい」。

もちろんウランは2日後に開催されるジロ・ディ・ロンバルディアも狙っていく。ウランは初出場した2008年のロンバルディアで3位入賞。以後、2009年21位、2010年12位、2011年19位という成績を残している。「好調な状態でブエルタを終え、ロンバルディアに向けて世界選手権が良い調整レースになった。今日のレースもウォームアップに最適。ロンバルディアというレース自体が好きで、土曜日に向けてモチベーションは上がっているよ」。

選手コメントはチームスカイ公式リリースより。


ジロ・デル・ピエモンテ2012結果
1位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、チームスカイ)            4h30'21"
2位 ルーカ・パオリーニ(イタリア、カチューシャ)                +06"
3位 ゴルカ・ベルドゥーゴ(スペイン、エウスカルテル)              +07"
4位 セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ)        +11"
5位 カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アックア・エ・サポーネ)
6位 マウロ・サンタンブロジオ(イタリア、BMCレーシングチーム)
7位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、レディオシャック・ニッサン)      +27"
8位 フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)
9位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)
10位 シモーネ・ポンツィ(イタリア、アスタナ)

text:Kei Tsuji
photo:Riccardo Scanferla