2009/06/13(土) - 08:17
レース終盤のラスト20km地点で超級山岳イゾアール峠(標高2360m)を越える第6ステージ。距離は106kmと短く、イゾアール通過後はブリアンソンまで長い下りを進み、最後は4級山岳が設定された短い上りをこなしてゴール。レースはイゾアールに向かって、序盤から14名の逃げが決まった。
総合31位(9分54秒遅れ)のラルスイティング・バク(デンマーク、サクソバンク)やヘルト・ステーグマン(ベルギー、カチューシャ)を含むこの逃げは、ケースデパーニュがコントロールするメイン集団を5分引き離してイゾアール峠に突入した。
登坂距離15.9%、平均勾配6.9%の上りの中腹で逃げグループは崩壊。ステーグマンの捨て身アタックを皮切りにペースが上がり、ユルゲン・ヴァンデワール(ベルギー、クイックステップ)、ステファン・グベール(フランス、アージェードゥーゼル)、フアンマヌエル・ガラーテ(スペイン、ラボバンク)、フェドリゴの4名が先行。荒涼とした奇石が並ぶイゾアール頂上は、フェドリゴが先頭で通過した。
約5分遅れていたメイン集団からは、総合ジャンプアップを狙うミケル・アスタルロサ(スペイン、エウスカルテル)のみが飛び出し、集団を1分引き離して下りに突入。最終的にアスタルロサは55秒のリードを守りきり、狙い通り総合8位から4位に浮上している。
ステージ優勝が濃厚になった逃げグループから、長い下りで飛び出したのはヴァンデワール。15秒のリードを築いたヴァンデワールは、4級山岳が設定されたゴール地点ブリアンソンの街並に単独で入ってくる。しかし勾配のある短い上りで飛び出したフェドリゴが、最終ストレートでヴァンデワールを捉えた。
「最後は単に脚が残っていなかった」と語るグベールは反応出来ず、フェドリゴが余裕をもってのガッツポーズでゴール。元フランスチャンピオンの勝利にブリアンソンは沸いた。
クレディアグリコルで2000年にプロデビューしたフェドリゴはワンディレースで成績を残し、ブイグテレコムに移籍した2005年にフランス選手権を制覇。翌2006年のツール・ド・フランスでは逃げ切り勝利を達成し、チームエースとしての地位を確立した。
逃げグループを牽引してスプリントに持ち込むのが得意のスタイルで、昨年はプロツアーカテゴリーのGPウエストフランス・プルエーで優勝。今シーズンは2005年に総合優勝経験のあるキャトル・ジュール・ド・ダンケルクでステージ優勝を果たしている。
30歳のベテランの域に入りつつあるフェドリゴはドーフィネ初勝利。「目標だったステージ優勝を達成出来て、今は本当に満足している。ドーフィネでは毎年のように(ステージ成績で)表彰台に上るけど、優勝したことはなかった。ようやく達成した。勝ったんだ、ようやく!」と、嬉しさを打ち明ける。
「昨日は腹痛で苦しんで、トップから10分以上遅いグルペットでゴールした。でも今日逃げに乗って距離を稼ぐうちに、どんどん自信が湧いてきたんだ。イゾアールではレース状況に影響されること無く自分のペースで上ることが出来た」。
「ヴァンデワールが飛び出してリードを広げたから最初は負けたと思った。でも100m前方に彼の姿が見えたとき、勝利に手が届くと思った。決して簡単な勝利じゃなかったよ」。
超級山岳イゾアール峠と最後の4級ブリアンソンを先頭で通過したフェドリゴには、ステージ優勝だけではなく、山岳賞ジャージも転がり込んだ。しかし「山岳賞を狙うか」との質問には「それは続く2ステージの展開次第。レース前方で走ることが出来れば山岳ポイントは狙うけど、山岳賞ジャージのキープのためだけには動かない。とにかくこのドーフィネでの目標はステージ優勝だった。それに加えて山岳賞も穫れればボーナスだ」と語っている。
開幕まで1ヶ月を切っているため、ステージ優勝経験者フェドリゴにツールの意気込みを訊くのは当然。「ツールでも目標は一緒。ステージ優勝すること。いい逃げに乗れるように努力するよ」。Bboxブイグテレコムはこのフェドリゴとトマ・ヴォクレール(フランス)の出場は固いと見られる。
チームメイトの新城幸也は、イゾアール峠中盤まで集団内に残ったが、アスタルロサのアタックに伴うペースアップで脱落。しかし「疲れもあるけど、感触は良いです」と自身のブログ内で語っている。新城はステージ優勝したフェドリゴと同部屋だという。
イゾアール峠で動かなかった総合上位陣は、ブリアンソンの上りでアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)がアタック。これにはすかさずカデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)とアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)が反応し、最後はこの総合トップスリーが並んでゴールに飛び込んだ。
リーダージャージを守ったバルベルデは「今日は比較的平穏なステージだった。最後の上りでコンタドールがアタックしたとき、エヴァンスをマークしながら付いていった。明日はもっと厳しい山岳が待っている。明日はもっと多くのアタックが予想される。アスタルロサは明日も早めにアタックを仕掛けるだろうし、ヘーシンクも危険だ。でも一番の脅威は間違いなくエヴァンスとコンタドール」とコメント。大会連覇まで残り2ステージだ。
選手コメントはフランス・レキップ紙、レース公式サイトより。
ドーフィネ・リベレ2009第6ステージ結果
1位 ピエリック・フェドリゴ(フランス、Bboxブイグテレコム)2h48'17"
2位 ユルゲン・ヴァンデワール(ベルギー、クイックステップ)+04"
3位 ステファン・グベール(フランス、アージェードゥーゼル)+05"
4位 フアンマヌエル・ガラーテ(スペイン、ラボバンク)+14"
5位 ラルスイティング・バク(デンマーク、サクソバンク)+25"
6位 アレクサンダー・クチンスキー(ベラルーシ、リクイガス)+2'47"
7位 マウロ・サンタンブロジオ(イタリア、ランプレ)
8位 ビンヘン・フェルナンデス(スペイン、コフィディス)+2'50"
9位 ミケル・アスタルロサ(スペイン、エウスカルテル)+3'17"
10位 アルベルト・フェルナンデス(スペイン、フジ・セルヴェット)+3'41"
94位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)+10'31"
個人総合成績
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)18h15'46"
2位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)+16"
3位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)+1'04"
4位 ミケル・アスタルロサ(スペイン、エウスカルテル)+1'49"
5位 デーヴィッド・ミラー(イギリス、ガーミン)+1'52"
6位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)+2'41"
7位 アイマル・スベルディア(スペイン、アスタナ)+2'42"
8位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)+2'43"
9位 シルヴェスタ・シュミット(ポーランド、リクイガス)+3'50"
10位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、サクソバンク)+3'56"
85位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)+26'57"
ポイント賞
カデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)
山岳賞
ピエリック・フェドリゴ(フランス、Bboxブイグテレコム)
チーム総合成績
アスタナ
総合31位(9分54秒遅れ)のラルスイティング・バク(デンマーク、サクソバンク)やヘルト・ステーグマン(ベルギー、カチューシャ)を含むこの逃げは、ケースデパーニュがコントロールするメイン集団を5分引き離してイゾアール峠に突入した。
登坂距離15.9%、平均勾配6.9%の上りの中腹で逃げグループは崩壊。ステーグマンの捨て身アタックを皮切りにペースが上がり、ユルゲン・ヴァンデワール(ベルギー、クイックステップ)、ステファン・グベール(フランス、アージェードゥーゼル)、フアンマヌエル・ガラーテ(スペイン、ラボバンク)、フェドリゴの4名が先行。荒涼とした奇石が並ぶイゾアール頂上は、フェドリゴが先頭で通過した。
約5分遅れていたメイン集団からは、総合ジャンプアップを狙うミケル・アスタルロサ(スペイン、エウスカルテル)のみが飛び出し、集団を1分引き離して下りに突入。最終的にアスタルロサは55秒のリードを守りきり、狙い通り総合8位から4位に浮上している。
ステージ優勝が濃厚になった逃げグループから、長い下りで飛び出したのはヴァンデワール。15秒のリードを築いたヴァンデワールは、4級山岳が設定されたゴール地点ブリアンソンの街並に単独で入ってくる。しかし勾配のある短い上りで飛び出したフェドリゴが、最終ストレートでヴァンデワールを捉えた。
「最後は単に脚が残っていなかった」と語るグベールは反応出来ず、フェドリゴが余裕をもってのガッツポーズでゴール。元フランスチャンピオンの勝利にブリアンソンは沸いた。
クレディアグリコルで2000年にプロデビューしたフェドリゴはワンディレースで成績を残し、ブイグテレコムに移籍した2005年にフランス選手権を制覇。翌2006年のツール・ド・フランスでは逃げ切り勝利を達成し、チームエースとしての地位を確立した。
逃げグループを牽引してスプリントに持ち込むのが得意のスタイルで、昨年はプロツアーカテゴリーのGPウエストフランス・プルエーで優勝。今シーズンは2005年に総合優勝経験のあるキャトル・ジュール・ド・ダンケルクでステージ優勝を果たしている。
30歳のベテランの域に入りつつあるフェドリゴはドーフィネ初勝利。「目標だったステージ優勝を達成出来て、今は本当に満足している。ドーフィネでは毎年のように(ステージ成績で)表彰台に上るけど、優勝したことはなかった。ようやく達成した。勝ったんだ、ようやく!」と、嬉しさを打ち明ける。
「昨日は腹痛で苦しんで、トップから10分以上遅いグルペットでゴールした。でも今日逃げに乗って距離を稼ぐうちに、どんどん自信が湧いてきたんだ。イゾアールではレース状況に影響されること無く自分のペースで上ることが出来た」。
「ヴァンデワールが飛び出してリードを広げたから最初は負けたと思った。でも100m前方に彼の姿が見えたとき、勝利に手が届くと思った。決して簡単な勝利じゃなかったよ」。
超級山岳イゾアール峠と最後の4級ブリアンソンを先頭で通過したフェドリゴには、ステージ優勝だけではなく、山岳賞ジャージも転がり込んだ。しかし「山岳賞を狙うか」との質問には「それは続く2ステージの展開次第。レース前方で走ることが出来れば山岳ポイントは狙うけど、山岳賞ジャージのキープのためだけには動かない。とにかくこのドーフィネでの目標はステージ優勝だった。それに加えて山岳賞も穫れればボーナスだ」と語っている。
開幕まで1ヶ月を切っているため、ステージ優勝経験者フェドリゴにツールの意気込みを訊くのは当然。「ツールでも目標は一緒。ステージ優勝すること。いい逃げに乗れるように努力するよ」。Bboxブイグテレコムはこのフェドリゴとトマ・ヴォクレール(フランス)の出場は固いと見られる。
チームメイトの新城幸也は、イゾアール峠中盤まで集団内に残ったが、アスタルロサのアタックに伴うペースアップで脱落。しかし「疲れもあるけど、感触は良いです」と自身のブログ内で語っている。新城はステージ優勝したフェドリゴと同部屋だという。
イゾアール峠で動かなかった総合上位陣は、ブリアンソンの上りでアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)がアタック。これにはすかさずカデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)とアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)が反応し、最後はこの総合トップスリーが並んでゴールに飛び込んだ。
リーダージャージを守ったバルベルデは「今日は比較的平穏なステージだった。最後の上りでコンタドールがアタックしたとき、エヴァンスをマークしながら付いていった。明日はもっと厳しい山岳が待っている。明日はもっと多くのアタックが予想される。アスタルロサは明日も早めにアタックを仕掛けるだろうし、ヘーシンクも危険だ。でも一番の脅威は間違いなくエヴァンスとコンタドール」とコメント。大会連覇まで残り2ステージだ。
選手コメントはフランス・レキップ紙、レース公式サイトより。
ドーフィネ・リベレ2009第6ステージ結果
1位 ピエリック・フェドリゴ(フランス、Bboxブイグテレコム)2h48'17"
2位 ユルゲン・ヴァンデワール(ベルギー、クイックステップ)+04"
3位 ステファン・グベール(フランス、アージェードゥーゼル)+05"
4位 フアンマヌエル・ガラーテ(スペイン、ラボバンク)+14"
5位 ラルスイティング・バク(デンマーク、サクソバンク)+25"
6位 アレクサンダー・クチンスキー(ベラルーシ、リクイガス)+2'47"
7位 マウロ・サンタンブロジオ(イタリア、ランプレ)
8位 ビンヘン・フェルナンデス(スペイン、コフィディス)+2'50"
9位 ミケル・アスタルロサ(スペイン、エウスカルテル)+3'17"
10位 アルベルト・フェルナンデス(スペイン、フジ・セルヴェット)+3'41"
94位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)+10'31"
個人総合成績
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)18h15'46"
2位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)+16"
3位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)+1'04"
4位 ミケル・アスタルロサ(スペイン、エウスカルテル)+1'49"
5位 デーヴィッド・ミラー(イギリス、ガーミン)+1'52"
6位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)+2'41"
7位 アイマル・スベルディア(スペイン、アスタナ)+2'42"
8位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)+2'43"
9位 シルヴェスタ・シュミット(ポーランド、リクイガス)+3'50"
10位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、サクソバンク)+3'56"
85位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)+26'57"
ポイント賞
カデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)
山岳賞
ピエリック・フェドリゴ(フランス、Bboxブイグテレコム)
チーム総合成績
アスタナ
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