2級山岳が組み込まれた第3ステージ。登坂区間で約半分に絞られた集団でのゴールスプリントをアルドイノ・イレシチュ(スロベニア、チームタイプ1)が制し、シーズン3勝目を挙げた。西谷泰治がステージ7位でゴールした。

ツアー・オブ・チャイナ1 第3ステージがスタートツアー・オブ・チャイナ1 第3ステージがスタート photo : Sonoko Tanaka
イエロージャージを着て、第3ステージに挑むマーチン・ペデルセン(デンマーク、クリスティーナ・ウォッチズ)イエロージャージを着て、第3ステージに挑むマーチン・ペデルセン(デンマーク、クリスティーナ・ウォッチズ) photo : Sonoko Tanakaスタート前に会場を盛り上げてくれるダンサーたちスタート前に会場を盛り上げてくれるダンサーたち photo : Sonoko Tanaka


大会唯一の山岳コースで開催された第3ステージ

翡翠で有名な西安郊外の蓝田から商洛までの125.6kmで開催された第3ステージ。今回のツアー・オブ・チャイナは街中の周回コースを使ったステージが多いため、この日が最初で最後となる街から街へ移動するラインレースとなる。蓝田の街中のコースを3周回し、閉鎖された有料道路を使って2級山岳を越えて、ゴールをめざすというレイアウト。雨の予報もあったが、穏やかな青空のもとスタートを迎えた。

街を出ると72.2km地点の2級山岳に向かって、緩やかな上りが始まる。登り始めでレースをコントロールしたのは香港ナショナルとアンダルシア。序盤からハイペースで集団を牽引し、選手を徐々に振り落としていく。山頂では、集団は約半分ほどの人数に絞られ、2級山岳の山頂に向けて、山岳賞を獲得したマティア・クバシナ(クロアチア、タスナード)が単独でアタックをかけたものの、それ以外に大きな逃げは決まらなかった。

切り立った岩山の中を進む第3ステージ切り立った岩山の中を進む第3ステージ photo : Sonoko Tanaka

2級山岳ポイントを1位通過し、山岳賞を獲得したマティア・クバシナ(クロアチア、タスナード)2級山岳ポイントを1位通過し、山岳賞を獲得したマティア・クバシナ(クロアチア、タスナード) photo : Sonoko Tanaka山頂を過ぎて、クバシナはメイン集団に吸収され、集団スプリントでゴールを迎えた。そして、28歳のスプリンター、アルドイノ・イレシチュ(スロベニア、チームタイプ1)が向かい風のスプリントを制し、チーム区間2勝目となるステージ優勝を挙げた。これまでの3ステージですべて表彰台に登り、そして2つの勝ち星。「必然的にもっと欲が出てきてしまうよね」とチーム監督は話す。

リーダージャージは引き続き、マーチン・ペデルセン(デンマーク、クリスティーナ・ウォッチズ)がキープ。「中国に来るのは去年のツアー・オブ・北京に続いて2回目」と話す彼は、昨年はレオパード・トレックに所属していた経歴をもつ。チームの合併に伴い移籍先を探したが、チーム2勝目となるステージ優勝を挙げたアルドイノ・イレシチュ(スロベニア、チームタイプ1)チーム2勝目となるステージ優勝を挙げたアルドイノ・イレシチュ(スロベニア、チームタイプ1) photo : Sonoko Tanaka結果的にコンチネンタルチームで走ることになったと言う。

ゴール前で存在感を示す愛三工業レーシング

愛三工業レーシングは西谷泰治と盛一大の2名が先頭集団に残り、ゴールスプリントに参加。西谷は惜しくもステージ7位。UCIポイントは獲得できなかったが「リードアウトの盛の後ろをほかの選手が取りあうような形だった。残り1kmまで引ける選手は多いけど、その先、最後のリードアウトがどのチームも機能していない印象。今日は盛の後ろにうまく付けなかったが、しっかりと位置をキープできれば、やはり十分に勝てる可能性があるとゴール後に水分補給をする盛一大(愛三工業レーシング)、ステージ9位ゴール後に水分補給をする盛一大(愛三工業レーシング)、ステージ9位 photo : Sonoko Tanaka思う」と振り返る。

ステージ優勝を挙げたアルドイノ・イレシチュは「ここに来るまで青いジャージのチーム(愛三工業レーシング)の存在を知らなかった。でも昨日のレースで彼らがいい動きをするということを知ったんだ。とても強いチームだと思うよ」と話す。「まずはしっかりと存在感をアピールしてスプリントの局面で主導権を握りたい」と話していた愛三工業レーシングにとって、いい滑り出しだろう。

世界選手権に向けてコンディションを上げる福島晋一

先頭集団でゴールした福島晋一(トレンガヌ)先頭集団でゴールした福島晋一(トレンガヌ) photo : Sonoko Tanaka序盤の連続するアタックで積極的に動いていた福島晋一は「最後、メイン集団に自分たちのチームは自分を含めて2人しか残っていなかったから、スプリントをしたかったんだけど、脚が残っていなかった。昨日もそうだったけど、ハイペースでレースが進んでいて、フランスのレースを思い出すよ。今回、トレーニングも兼ねてこのレースを走っているから、本当にいい練習になっているね」と話す。

374kmの移動を経て、第4ステージは変則的な周回コースを使った102.4kmで開催される。



ツアー・オブ・チャイナ1 第3ステージ結果
1位 アルドイノ・イレシチュ(スロベニア、チームタイプ1)        2h49'32"
2位 タイラー・マグナー(アメリカ、BMC・ヒンカピースポーツウエア)
3位 ニールス・シルク(オランダ、ラボバンク・コンチネンタル)
4位 ジョセフ・ルイス(オーストラリア、BMC・ヒンカピースポーツウエア)
5位 コワ・ホーチン(香港、香港ナショナル)
6位 アンディ・バジク(スロベニア、サルカノ)
7位 西谷泰治(愛三工業レーシング)
9位 盛一大(愛三工業レーシング)
67位 福島晋一(トレンガヌ)
103位 綾部勇成(愛三工業レーシング)                  +14'34"
104位 中島康晴(愛三工業レーシング)
105位 福田真平(愛三工業レーシング)
108位 伊藤雅一(愛三工業レーシング)

個人総合成績
1位 マーチン・ペデルセン(デンマーク、クリスティーナ・ウォッチズ) 5h13'37"
2位 フレイ・トーマス(スイス、クリスティーナ・ウォッチズ) +02"
3位 ステファン・シューマッハー(ドイツ、クリスティーナ・ウォッチズ)
4位 ミカエル・ラスムッセン(デンマーク、クリスティーナ・ウォッチズ)
5位 ダニエル・フォダー(デンマーク、クリスティーナ・ウォッチズ)
6位 ニールス・シルク(オランダ、ラボバンク・コンチネンタル) +13"
54位 西谷泰治(愛三工業レーシング) +1'15"
56位 盛一大(愛三工業レーシング)
67位 福島晋一(トレンガヌ) +1'51"
94位 中島康晴(愛三工業レーシング) +15'49"
95位 伊藤雅一(愛三工業レーシング)
96位 綾部勇成(愛三工業レーシング)
122位 福田真平(愛三工業レーシング) +17'59"

ポイント賞
アルドイノ・イレシチュ(スロベニア、チームタイプ1)

山岳賞
マティア・クバシナ(クロアチア、タスナード)

チーム総合成績
クリスティーナ・ウォッチズ


photo & text : Sonoko Tanaka
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