再びマルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ)のスプリントが炸裂。8月9日に行なわれたエネコ・ツアー(UCIワールドツアー)第4ステージで、24歳のジャーマンスプリンターが2勝目をマーク。ボーナスタイムにより総合順位に変動が起こった。

レース序盤に形成された6名の逃げグループレース序盤に形成された6名の逃げグループ photo:Cor Vosベルギーのヘールスから北上し、オランダのベルヘン・オプ・ゾームにゴールする第4ステージ。全長213kmのコースはほぼフラットで、3つのスプリントポイントが設定されている。

集団スプリントに持ち込まれる可能性が高いこのステージで、パリ〜ニース山岳賞のフレデリック・フェヘレン(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)やマルティン・コーラー(スイス、BMCレーシングチーム)を含む6名がエスケープ。最大8分30秒のリードを得たが、スプリンターチームを振り切ることは出来なかった。

逃げグループを形成するフレデリック・フェヘレン(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)ら逃げグループを形成するフレデリック・フェヘレン(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)ら photo:Cor Vosレース終盤、フェヘレンが単独で抵抗するその後方ではボーナスタイム絡みの動きが発生。第3ステージを終えた時点で1秒差の総合9位につけていたボーネンが、ゴール15km手前のスプリントポイントを2番手通過。ボーナスタイム2秒を獲得して暫定総合リーダーとなる。

やがて先頭のフェヘレンは吸収され、スプリンターチームが大集団をゴールへと導く。テクニカルコーナーが連続するゴール前にさしかかると、リーダージャージのイェンス・ケウケレール(ベルギー)のポジションキープのために別府史之(オリカ・グリーンエッジ)が集団前方に上がる。

ベルギーを発ち、オランダに向かって北上ベルギーを発ち、オランダに向かって北上 photo:Cor Vosこの日も集団スプリントはラボバンクとアルゴス・シマノの主導権争い。チームメイトのトム・フィーラース(オランダ)にアシストされたキッテルが、力勝負でユルゲン・ルーランズ(ベルギー、ロット・ベリソル)らを打破。ステージ2勝目を飾った。

ポイント賞トップに復帰したキッテルは「今日のステージも決してイージーではなかった。終盤にデゲンコルブを見失ってしまったので『これは勝てないかも』と思ったよ。そこからフィーラースに連れられてポジションアップ。チームに最高の雰囲気をもたらしてくれる勝利だ」と語る。今シーズンの通算勝利数を9勝に伸ばした。

スプリントポイントでボーナスタイム2秒を獲得するトム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)スプリントポイントでボーナスタイム2秒を獲得するトム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Cor Vosスプリント2勝目をマークしたマルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ)スプリント2勝目をマークしたマルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ) photo:Cor Vos

チームメイトに感謝するマルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ)チームメイトに感謝するマルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ) photo:Cor Vosこの日ボーネンが「キッテルは次世代トップスプリンターだ」と発言したことについて、キッテル本人は「本当にボーネンがそう言ったの?本当に嬉しいし、それを言ったのが偉大なボーネンだとなお嬉しい。世界最高のスプリンターになりたいと強く思う。今は全力で目の前のチャンスを追い続けているんだ」とコメント。なお、キッテルはブエルタのメンバーからは外れている。

スプリントポイントでのボーナスタイムにより、総合リーダージャージはケウケレールからボーネンに移った。1秒差でケウケレール、2秒差でシルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)が続く展開だ。

ケウケレールを献身的にアシストしたフミは集団前方14位でフィニッシュ。チームメイトのアイディス・クルオピス(リトアニア)は8位に入っている。

レース内容や選手コメントはレース公式サイトより。

ポイント賞トップに返り咲いたマルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ)ポイント賞トップに返り咲いたマルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ) photo:Cor Vosリーダージャージに袖を通したトム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)リーダージャージに袖を通したトム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Cor Vos


エネコ・ツアー2012第4ステージ結果
1位 マルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ)               5h11'41"
2位 ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、ロット・ベリソル)
3位 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、レディオシャック・ニッサン)
4位 トム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
5位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
6位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、ガーミン・シャープ)
7位 ジャコポ・グアルニエーリ(イタリア、アスタナ)
8位 アイディス・クルオピス(リトアニア、オリカ・グリーンエッジ)
9位 テオ・ボス(オランダ、ラボバンク)
10位 ミカエル・ファンスタイエン(ベルギー、トップスポート・フラーンデレン)
14位 別府史之(日本、オリカ・グリーンエッジ)

個人総合成績
1位 トム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)        15h26'06"
2位 イェンス・ケウケレール(ベルギー、オリカ・グリーンエッジ)           +01"
3位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)     +02"
4位 ニキ・テルプストラ(オランダ、オメガファーマ・クイックステップ)
5位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)             +03"
6位 ラース・ボーム(オランダ、ラボバンク)                     +04"
7位 セバスティアン・ラングヴェルト(オランダ、オリカ・グリーンエッジ)       +06"
8位 ルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
9位 イェンス・モーリス(オランダ、オリカ・グリーンエッジ)
10位 スヴェイン・タフト(カナダ、オリカ・グリーンエッジ)
125位 別府史之(日本、オリカ・グリーンエッジ)                  +4'40"

ポイント賞
マルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ)

チーム総合成績
オリカ・グリーンエッジ

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos