2009/06/08(月) - 09:03
ツール・ド・フランス前哨戦として知られる第63回クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ・リベレ(UCIプロツアー)がフランス・ナンシーで開幕した。12.1kmの個人タイムトライアルでトップタイムを叩き出したのは、念願のツール制覇に燃えるカデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)だ。
「いい勝負が出来るとは思っていたけど、このタイム差は少し驚きだ」。フランス語の質問に、オーストラリア訛りの軽快な英語で答えるエヴァンス。「全てはツール・ド・フランスに調子を合わせるためにこのドーフィネに出場している」と続ける。
第1ステージはステージレースの初日の個人タイムトライアルとしては長めの12.1km。前半に標高差120mの4級山岳が設定され、後半の下り&平坦区間はナンシー市街地のコーナーが連続するテクニカルなコースレイアウトだ。
レース中盤スタートのセバスティアン・ロセレル(ベルギー、クイックステップ)やヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)、フランティセク・ラボン(チェコ、チームコロンビア)がコンマ何秒でトップを競り合う中、エヴァンスはこれらを33秒も上回る圧倒的なタイムでゴールに飛び込んだ。12.1kmのコースで30秒のタイム差。平均スピードに換算すると約1.5km/hの違いだ。
これまでも山岳より個人タイムトライアルでリードを広げる“インデュライン的”な走りを見せていたエヴァンスだが、前半に登場した4級山岳の登坂タイムでも、エヴァンスはライバルたちを上回っている。エヴァンスは全ての区間でライバルを凌駕した。
サイレンス・ロットとしては5月30日のジルベールのグランツール初勝利に続く2週連続の勝利。エヴァンスも「この勝利がチームに自信を与えてくれる」と、ツールに向けてチームの士気アップに繋がることを期待している。
「総合2位に入った昨年と何が変わったのか?」との質問に、エヴァンスは「昨年と身体的なコンディションに変わりはない。それよりも精神的なフレッシュさが勝因だ」と語る。
ドーフィネ初制覇に向けて最高のスタートを切ったが、「今は山岳ステージを待たなければならない。とにかくコンタドールと僕にとって重要なのは7月(のツール)だ」。あくまでも視界の先にあるのはブルーラインの入っていないマイヨジョーヌだ。
マイヨジョーヌ最有力候補に挙げられるコンタドールはエヴァンスに8秒届かず2位。エヴァンスとコンタドールの2人が頭一つ抜け出している状況で、山岳や距離の長い個人タイムトライアルでの走りが気になるところ。コンタドールはエヴァンスに敗れはしたが、ツールに向けて調整が上手く進んでいることは間違いない。
昨年覇者のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)はエヴァンスから23秒遅れの3位。自身の走りには満足しているようで、レキップ紙に対して「エヴァンスとコンタドールに次ぐ成績は素晴らしいと思う。(コーナーや勾配が)連続して変化するコースは僕向き。落ち着いて前半は抑え気味にスタートした。僕にとって試練になるのは水曜日の42kmの長いタイムトライアル(第4ステージ)だろうね」と語っている。
ジロ・デ・イタリアから連戦のイヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)は、エヴァンスから1分遅れの41位でゴール。ガゼッタ紙によるとボルト破損によるDHバーの不具合でタイムが伸びなかった。チームメイトのニーバリはステージ5位と健闘した。
ドーフィネ初出場の新城幸也(Bboxブイグテレコム)はトップから1分05秒遅れでゴール。出走者149名中56位、チーム内では8名中5位の好タイムだ。ユキヤには今後のステージでの活躍に期待したい。
選手コメントはレース公式サイト、ならびにフランス・レキップ紙より。
ドーフィネ・リベレ2009第1ステージ結果
1位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)15'37"
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)+08"
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)+23"
4位 セバスティアン・ロセレル(ベルギー、クイックステップ)+33"
5位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)+34"
6位 フランティセク・ラボン(チェコ、チームコロンビア)+34"
7位 クリスティアン・クネース(ドイツ、ミルラム)+34"
8位 ブノワ・ヴォグルナール(フランス、フランセーズデジュー)+36"
9位 ホセイバン・グティエレス(スペイン、ケースデパーニュ)+36"
10位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン)+37"
56位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)+1'05"
個人総合成績
1位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)15'37"
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)+08"
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)+23"
4位 セバスティアン・ロセレル(ベルギー、クイックステップ)+33"
5位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)+34"
6位 フランティセク・ラボン(チェコ、チームコロンビア)+34"
7位 クリスティアン・クネース(ドイツ、ミルラム)+34"
8位 ブノワ・ヴォグルナール(フランス、フランセーズデジュー)+36"
9位 ホセイバン・グティエレス(スペイン、ケースデパーニュ)+36"
10位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン)+37"
56位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)+1'05"
ポイント賞
カデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)
山岳賞
カデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)
チーム総合成績
サイレンス・ロット
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
「いい勝負が出来るとは思っていたけど、このタイム差は少し驚きだ」。フランス語の質問に、オーストラリア訛りの軽快な英語で答えるエヴァンス。「全てはツール・ド・フランスに調子を合わせるためにこのドーフィネに出場している」と続ける。
第1ステージはステージレースの初日の個人タイムトライアルとしては長めの12.1km。前半に標高差120mの4級山岳が設定され、後半の下り&平坦区間はナンシー市街地のコーナーが連続するテクニカルなコースレイアウトだ。
レース中盤スタートのセバスティアン・ロセレル(ベルギー、クイックステップ)やヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)、フランティセク・ラボン(チェコ、チームコロンビア)がコンマ何秒でトップを競り合う中、エヴァンスはこれらを33秒も上回る圧倒的なタイムでゴールに飛び込んだ。12.1kmのコースで30秒のタイム差。平均スピードに換算すると約1.5km/hの違いだ。
これまでも山岳より個人タイムトライアルでリードを広げる“インデュライン的”な走りを見せていたエヴァンスだが、前半に登場した4級山岳の登坂タイムでも、エヴァンスはライバルたちを上回っている。エヴァンスは全ての区間でライバルを凌駕した。
サイレンス・ロットとしては5月30日のジルベールのグランツール初勝利に続く2週連続の勝利。エヴァンスも「この勝利がチームに自信を与えてくれる」と、ツールに向けてチームの士気アップに繋がることを期待している。
「総合2位に入った昨年と何が変わったのか?」との質問に、エヴァンスは「昨年と身体的なコンディションに変わりはない。それよりも精神的なフレッシュさが勝因だ」と語る。
ドーフィネ初制覇に向けて最高のスタートを切ったが、「今は山岳ステージを待たなければならない。とにかくコンタドールと僕にとって重要なのは7月(のツール)だ」。あくまでも視界の先にあるのはブルーラインの入っていないマイヨジョーヌだ。
マイヨジョーヌ最有力候補に挙げられるコンタドールはエヴァンスに8秒届かず2位。エヴァンスとコンタドールの2人が頭一つ抜け出している状況で、山岳や距離の長い個人タイムトライアルでの走りが気になるところ。コンタドールはエヴァンスに敗れはしたが、ツールに向けて調整が上手く進んでいることは間違いない。
昨年覇者のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)はエヴァンスから23秒遅れの3位。自身の走りには満足しているようで、レキップ紙に対して「エヴァンスとコンタドールに次ぐ成績は素晴らしいと思う。(コーナーや勾配が)連続して変化するコースは僕向き。落ち着いて前半は抑え気味にスタートした。僕にとって試練になるのは水曜日の42kmの長いタイムトライアル(第4ステージ)だろうね」と語っている。
ジロ・デ・イタリアから連戦のイヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)は、エヴァンスから1分遅れの41位でゴール。ガゼッタ紙によるとボルト破損によるDHバーの不具合でタイムが伸びなかった。チームメイトのニーバリはステージ5位と健闘した。
ドーフィネ初出場の新城幸也(Bboxブイグテレコム)はトップから1分05秒遅れでゴール。出走者149名中56位、チーム内では8名中5位の好タイムだ。ユキヤには今後のステージでの活躍に期待したい。
選手コメントはレース公式サイト、ならびにフランス・レキップ紙より。
ドーフィネ・リベレ2009第1ステージ結果
1位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)15'37"
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)+08"
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)+23"
4位 セバスティアン・ロセレル(ベルギー、クイックステップ)+33"
5位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)+34"
6位 フランティセク・ラボン(チェコ、チームコロンビア)+34"
7位 クリスティアン・クネース(ドイツ、ミルラム)+34"
8位 ブノワ・ヴォグルナール(フランス、フランセーズデジュー)+36"
9位 ホセイバン・グティエレス(スペイン、ケースデパーニュ)+36"
10位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン)+37"
56位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)+1'05"
個人総合成績
1位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)15'37"
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)+08"
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)+23"
4位 セバスティアン・ロセレル(ベルギー、クイックステップ)+33"
5位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)+34"
6位 フランティセク・ラボン(チェコ、チームコロンビア)+34"
7位 クリスティアン・クネース(ドイツ、ミルラム)+34"
8位 ブノワ・ヴォグルナール(フランス、フランセーズデジュー)+36"
9位 ホセイバン・グティエレス(スペイン、ケースデパーニュ)+36"
10位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン)+37"
56位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)+1'05"
ポイント賞
カデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)
山岳賞
カデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)
チーム総合成績
サイレンス・ロット
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
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