2012/07/20(金) - 17:26
ピレネー最終決戦となった第17ステージ。ヴォクレールとケシアコフの2名が山岳ポイントを競って、やや先行する形でレースは進展。6名の逃げが落ち着くが、残り36kmで飛び出したバルベルデが逃げ切ってステージを制した。総合ではニーバリが失速し、チームスカイの1位・2位が確定的となった。
ステージ優勝・敢闘賞のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
ツールのスタート以来、僕は多くの不運に遭遇した。その対処に困っていた。2日のうちに3回も落車すると、順調なんて思えない。そして、競争したところで、もう総合成績で上位に入るのも不可能になっていた。
今回のようにフルームとウィギンズが強すぎる場合はとくにそうだ。だから、ステージ優勝に焦点を絞って挑戦してみた。今まではずっとうまく行かなかった。でも、僕たちは不運と戦い続ける必要があったからだ。
最後の登りでフルームとウィギンズが迫ってきているのに気づいたときは、全力で彼らの追走に抵抗した。ゴール前500mを過ぎてやっと順調だと思い始めた。
今日は僕にとって特別な勝利だ。集団に復帰して、再び勝利を収めているからだ。昔と同じように。この(サスペンド処分を受けた)2年間、僕はレースへの参加を停止されていたけど、練習は決して止めなかった。そして今シーズン5勝目をあげられた。どの勝利も感動的だ。こうして表彰台に立てた。この世界で勝つことができた。だから涙を止めることができなかった。
総合1位・ステージ3位のブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)
(残り2〜3kmで)ニーバリのことを話していた。彼が限界になったことがわかったからだ。クリス(フルーム)が「先行してステージを取りたい」と言って、僕は「ふーん…そう…」と返した。あの時点ではタイム差がわからなかったのだ。でも、ペイルスルド(残り1.5km)を通過した瞬間から、僕は流れに乗ることにした。
その時点でようやく僕がツールに勝ったと考えてもいいことにした。そこからは先はかすかに残っていた集中力が消え去ってしまった。成績についてのすべてが飛んでしまって、クリスがタイムを稼ぐように促すのだけど、僕は完全に別の世界にいた。
今日は僕のまわりでは誰もが憔悴していて、僕たちもこれまで通りのことを続けるだけだった。今日はずっとこんな調子で、ニーバリのアタックに臨戦態勢だった昨日とは正反対だった……。
ニーバリがペイルスルドの山頂で失速したのを見て、彼が終盤でアタックする危険性がないことがわかった。同時に、僕のツールがほぼ終了したと思った。
山岳の残り部分をこなして走り去ったけど、僕は集中力を失っていた。あのときはまったく違うことを考えていた。クリスはやる気を見せていたけど、あの時点は僕の闘争心が消え去ってしまっていた。
ツールの特徴は、レースが進むと選手たちが脱落していくことだ。レースの長さが影響する面もあるし、レースの過酷さも影響している。それがツールの本質だ。スタート地点のリエージュで「21日間好調を維持して、絶好調や絶不調の日々がまったく来ないことが重要だ」と僕は言った。今日はその実例を目にしたと思う。ニーバリは昨日は絶好調で強力だったけど、今日は同じことを繰り返せなかった。ムラがないことが大切だ。
最高のシチュエーションだった。ペイルスルドを通過してすぐに、僕は登りが本当に終わったのだと知った。信じられない感情だった。そこが誰もが僕の弱点だと指摘した場所——山岳だったからだ。だから最後の山頂を克服して満足した。最後の登りのあいだずっと、僕は涙が出そうだった。本当にいい気分だ。
クリスは今日もまたとても強かった。彼はとても興奮していた。彼は、このツール・ド・フランスのあいだ素晴らしいチームメイトだった。ひとつだけ確かなのは、いつか彼はツールで総合優勝するはずだ。そのときは僕が彼の傍で勝利に貢献していることだろう。
山岳賞をほぼ確定させたトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)
今朝、仲間には「このステージは頭の中に計算機を入れてスタートする」と告げた。この山岳賞ジャージは今日のスタート時点では完全に獲得してはいなかった。重要だったのは、肉体的な力だけじゃなくて戦略だった。山岳賞の総合成績で逆転不可能なほど差を付けてゴールする必要があったからだ。山岳賞のライバル(フレデリック・ケシアコフ)は決して諦めなかった。彼は最後までしっかりと食らいついて、ゴールするまで果敢に戦った。
他のレースでは、山岳賞は……たとえば(表彰式の)予定の1項目に過ぎないこともある。でも、このツール・ド・フランスの赤い水玉のジャージはどうだろう? 計り知れないほど貴重だ。この山岳賞の哲学は、僕が自転車レースで心がけていることを反映している。勇気、大胆さ、アタックへの情熱だ。
ツールの定義では、僕はベストなクライマーに当てはまらないかもしれない。昨年、僕はシャンゼリゼで表彰台に立つチャンスを逃してしまい、総合4位に終わった。山岳賞ジャージを着て、僕は表彰台に立つことになるだろう。ただしパリまで走り終える必要がある……でも、その瞬間はとても素晴らしいものになるだろう。
新人賞・ステージ8位のティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)
(終盤に集団から遅れたことは)それほど落ち込んでいるわけじゃない。本当は、あの場で走れたことにとても満足した。総合リーダーたちは誰よりも遙かに強い。彼らはツールの期間中ずっと、それを証明してきた。僕は自分の走りに満足しているし、それ以上のことは求めない。
(エヴァンスが総合6位に順位を戻したことについて)彼は戦士だ。決して諦めない。
コメントはプレスリリース、チーム公式サイト、選手個人サイト、TVインタビュー、twitterなどより。
text: Taiko.YAMASAKI + Seiya.YAMASAKI
photo:CorVos,Makoto.Ayano
ステージ優勝・敢闘賞のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
ツールのスタート以来、僕は多くの不運に遭遇した。その対処に困っていた。2日のうちに3回も落車すると、順調なんて思えない。そして、競争したところで、もう総合成績で上位に入るのも不可能になっていた。
今回のようにフルームとウィギンズが強すぎる場合はとくにそうだ。だから、ステージ優勝に焦点を絞って挑戦してみた。今まではずっとうまく行かなかった。でも、僕たちは不運と戦い続ける必要があったからだ。
最後の登りでフルームとウィギンズが迫ってきているのに気づいたときは、全力で彼らの追走に抵抗した。ゴール前500mを過ぎてやっと順調だと思い始めた。
今日は僕にとって特別な勝利だ。集団に復帰して、再び勝利を収めているからだ。昔と同じように。この(サスペンド処分を受けた)2年間、僕はレースへの参加を停止されていたけど、練習は決して止めなかった。そして今シーズン5勝目をあげられた。どの勝利も感動的だ。こうして表彰台に立てた。この世界で勝つことができた。だから涙を止めることができなかった。
総合1位・ステージ3位のブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)
(残り2〜3kmで)ニーバリのことを話していた。彼が限界になったことがわかったからだ。クリス(フルーム)が「先行してステージを取りたい」と言って、僕は「ふーん…そう…」と返した。あの時点ではタイム差がわからなかったのだ。でも、ペイルスルド(残り1.5km)を通過した瞬間から、僕は流れに乗ることにした。
その時点でようやく僕がツールに勝ったと考えてもいいことにした。そこからは先はかすかに残っていた集中力が消え去ってしまった。成績についてのすべてが飛んでしまって、クリスがタイムを稼ぐように促すのだけど、僕は完全に別の世界にいた。
今日は僕のまわりでは誰もが憔悴していて、僕たちもこれまで通りのことを続けるだけだった。今日はずっとこんな調子で、ニーバリのアタックに臨戦態勢だった昨日とは正反対だった……。
ニーバリがペイルスルドの山頂で失速したのを見て、彼が終盤でアタックする危険性がないことがわかった。同時に、僕のツールがほぼ終了したと思った。
山岳の残り部分をこなして走り去ったけど、僕は集中力を失っていた。あのときはまったく違うことを考えていた。クリスはやる気を見せていたけど、あの時点は僕の闘争心が消え去ってしまっていた。
ツールの特徴は、レースが進むと選手たちが脱落していくことだ。レースの長さが影響する面もあるし、レースの過酷さも影響している。それがツールの本質だ。スタート地点のリエージュで「21日間好調を維持して、絶好調や絶不調の日々がまったく来ないことが重要だ」と僕は言った。今日はその実例を目にしたと思う。ニーバリは昨日は絶好調で強力だったけど、今日は同じことを繰り返せなかった。ムラがないことが大切だ。
最高のシチュエーションだった。ペイルスルドを通過してすぐに、僕は登りが本当に終わったのだと知った。信じられない感情だった。そこが誰もが僕の弱点だと指摘した場所——山岳だったからだ。だから最後の山頂を克服して満足した。最後の登りのあいだずっと、僕は涙が出そうだった。本当にいい気分だ。
クリスは今日もまたとても強かった。彼はとても興奮していた。彼は、このツール・ド・フランスのあいだ素晴らしいチームメイトだった。ひとつだけ確かなのは、いつか彼はツールで総合優勝するはずだ。そのときは僕が彼の傍で勝利に貢献していることだろう。
山岳賞をほぼ確定させたトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)
今朝、仲間には「このステージは頭の中に計算機を入れてスタートする」と告げた。この山岳賞ジャージは今日のスタート時点では完全に獲得してはいなかった。重要だったのは、肉体的な力だけじゃなくて戦略だった。山岳賞の総合成績で逆転不可能なほど差を付けてゴールする必要があったからだ。山岳賞のライバル(フレデリック・ケシアコフ)は決して諦めなかった。彼は最後までしっかりと食らいついて、ゴールするまで果敢に戦った。
他のレースでは、山岳賞は……たとえば(表彰式の)予定の1項目に過ぎないこともある。でも、このツール・ド・フランスの赤い水玉のジャージはどうだろう? 計り知れないほど貴重だ。この山岳賞の哲学は、僕が自転車レースで心がけていることを反映している。勇気、大胆さ、アタックへの情熱だ。
ツールの定義では、僕はベストなクライマーに当てはまらないかもしれない。昨年、僕はシャンゼリゼで表彰台に立つチャンスを逃してしまい、総合4位に終わった。山岳賞ジャージを着て、僕は表彰台に立つことになるだろう。ただしパリまで走り終える必要がある……でも、その瞬間はとても素晴らしいものになるだろう。
新人賞・ステージ8位のティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)
(終盤に集団から遅れたことは)それほど落ち込んでいるわけじゃない。本当は、あの場で走れたことにとても満足した。総合リーダーたちは誰よりも遙かに強い。彼らはツールの期間中ずっと、それを証明してきた。僕は自分の走りに満足しているし、それ以上のことは求めない。
(エヴァンスが総合6位に順位を戻したことについて)彼は戦士だ。決して諦めない。
コメントはプレスリリース、チーム公式サイト、選手個人サイト、TVインタビュー、twitterなどより。
text: Taiko.YAMASAKI + Seiya.YAMASAKI
photo:CorVos,Makoto.Ayano
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ALEJANDRO(アレハンドロ)