2012/06/12(火) - 06:07
ゴールスプリントとなった第7ステージはトレンガヌのサレー兄弟(マレーシア)がワンツーフィニッシュ。日本勢は木守望(愛三工業レーシング)が最高位の6位でゴールし、総合首位はオスカル・プジョル(スペイン、アザド大学)が獲得した。
パダン市内で開催された最終ステージ
ツール・ド・シンカラ最終日、第7ステージは、西スマトラ州の州都パダンで開催された。パダン中心部をスタートすると大きく郊外を1周し、その後、市内に設けられた5.5kmの周回コースを6周する、トータル99.5kmのコースレイアウト。途中に2級山岳が組み込まれているが、基本的にフラットで距離も短いため、パダンの周回コースに入ると集団は1つとなり、そのままゴールスプリントの体制となった。
アジアの強豪スプリンター、ハリフ・サレー(マレーシア、トレンガヌ)が先行する形で、ゴールラインへと近づく選手たち。しかしこの日は、ハリフがゴール前でラインを外れ、後ろから兄であるザムリ・サレー(マレーシア、トレンガヌ)が発射された。そしてライバル選手を寄せ付けない圧倒的な差で、ザムリを先頭にしてサレー兄弟がワンツーでフィニッシュラインを越えた。
マレーシア海軍に所属しながらも、自転車競技に参加しているというザムリ。「彼の心肺機能はすごく高いんだ。自転車競技にもっと本格的に取り組んだら、すごい選手になるかもしれない」とマレーシアのメディアが嬉しそうに話す。
日本人選手の活躍が目立った今大会
日本人最高位は木守望(愛三工業)の6位。愛三工業レーシングは西谷泰治、盛一大の次の世代のスプリンターとして、木守に期待を寄せている。木守は「最終周回でうまく前方の位置をキープできず、スプリントの前に後ろから上がるため、脚を使ってしまった」と振り返る。
そして綾部勇成キャプテンは「結果は6位でしたが、ミーティングで話したとおりの動きができていました。あとは脚次第、ということですが、できるだけ若い選手がチャレンジできる環境を作って、彼らには多くのことを吸収してもらいたいと思っています」と付け加える。
総合順位の日本人最高位は山本元喜(日本ナショナル)、総合8位でフィニッシュした。
「アジアツアーは今回で3回目でした。上りのペースについていけず、総合で自分より前にいる選手はみんな上りで自分を抜かしていった選手です。自分の力で出せるベストの順位だったと思います。力の差を感じますが、このまま大学でレースを続けていけば、卒業する頃にはアジアのレースでは活躍できるイメージができてきました。ただ、その先は経験したことがないヨーロッパで走ってみたいと思っています。
今回のナショナルチームは自分以外、同じチームのメンバーでしたが、同世代と言うこともありチームの雰囲気はとても良かったですし、自分の総合順位が上がり、チームのエースとなったときも、みんなで協力して自分を助けてくれました」と山本。
キャリア初のイエロージャージを獲得したプジョル
そして総合首位では、山岳賞、ポイント賞も獲得する形で、オスカル・プジョル(スペイン、アザド大学)がトップに立った。第3、第4、第5ステージと、厳しい山岳コースでアタックをかけて逃げ切るという、アグレッシブルな走りが印象的だった。総合リーダーを最終日まで守りきったのは初めてのことだと話し、移籍してわずか2ヶ月という新しいチームで一致団結して掴んだこの勝利を喜んだ。
オスカル・プジョルのコメント
「レースが終わって、イエロージャージを獲得できたことに、ようやくリラックスしてハッピーな気持ちを味わっているよ。ずっとイエローを獲りたいと思って、アタックをかけ続けていたけど、なかなかタイム差が届かなかった。そして第5ステージで獲得できたあとは、失うのではないか、という不安がいつもつきまといストレスを感じていたんだ。チームメイトの強力なアシストに感謝している。彼らは本当にいい走りをしてくれた。
これまでヨーロッパのチームを探すために、ずっとトレーニングを続けていた。チームが見つかった今も、高いモチベーションをもってトレーニングに打ち込めている。今後はツアー・オブ・チンハイレイクがチームにとって大切なレースになる。シーズン終わりまで、アジアツアーだけを走るスケジュールになっているんだ」
本場ヨーロッパと発展途上のアジアを繋ぐきっかけに
アジアツアーの印象について、プジョルは「走る前は、レベルの違いがあって、落車が多いのではないか?とか思っていたけど、実際はそんなことはなく、アジア全体のレースレベルが上がっていると感じた」と話す。一方で、同じプロトンに彼のようなキャリアの選手がいることは、年間数戦しか国際レースを走る機会がない地元インドネシアの選手にとって、とてもいい刺激になったという。
アザド大学チームのキャプテンは「たぶん彼は来年もこのチームで走るんじゃないかな?」なんて言うが、今回のプジョルのケースは、ヨーロッパでも興味深く報道されたこともあり、アジアのレースシーンにとってプラスに働いていると強く感じた。彼のあとを追って、もっと多くのヨーロッパ選手がアジアで走る日が来ることを期待したい。
ツール・ド・シンカラ2012第7ステージ結果
1位 ザムリ・サレー(マレーシア、トレンガヌ) 2h19'19"
2位 ハリフ・サレー(マレーシア、トレンガヌ)
3位 アレサンダー・エドモンドソン(オーストラリア、オーストラリアナショナル)
4位 ジョエル・パールソン(オーストラリア、ジェネシス)
5位 ヒシャオ・シイシン(台湾、アクション)
6位 木守望(愛三工業)
10位 平井栄一(日本ナショナル)
40位 山本元喜(日本ナショナル)
43位 鈴木謙一(愛三工業)
52位 秋丸湧哉(日本ナショナル)
65位 伊藤雅和(愛三工業)
68位 中島康晴(愛三工業)+41"
DNF 清水太己(日本ナショナル)
個人総合順位
1位 オスカル・プジョル(スペイン、アザド大学)+21h24'21"
2位 ジェイ・クロフォード(オーストラリア、ジェネシス)+1'08"
3位 フェン・チュンカイ(台湾、アクション)+1'12"
4位 アレクサンドル・クレメンツ(オーストラリア、オーストラリアナショナル)+1'29"
5位 ダディ・スラディ(インドネシア、プトラペルジャンガン)+1'31"
6位 ジョン・エブソン(デンマーク、CCN)+2'30"
8位 山本元喜(日本ナショナル)+4'57"
10位 寺崎武郎(日本ナショナル)+6'10"
18位 鈴木謙一(愛三工業)+11'19"
21位 伊藤雅和(愛三工業)+12'48"
27位 秋丸湧哉(日本ナショナル)+15'10"
49位 中島康晴(愛三工業)+31'22"
56位 平井栄一(日本ナショナル)+45'36"
81位 木守望(愛三工業)+1h09'32"
ポイント賞
オスカル・プジョル(スペイン、アザド大学)
山岳賞
オスカル・プジョル(スペイン、アザド大学)
チーム総合首位
プトラペルジャンガン
photo & text : Sonoko Tanaka
パダン市内で開催された最終ステージ
ツール・ド・シンカラ最終日、第7ステージは、西スマトラ州の州都パダンで開催された。パダン中心部をスタートすると大きく郊外を1周し、その後、市内に設けられた5.5kmの周回コースを6周する、トータル99.5kmのコースレイアウト。途中に2級山岳が組み込まれているが、基本的にフラットで距離も短いため、パダンの周回コースに入ると集団は1つとなり、そのままゴールスプリントの体制となった。
アジアの強豪スプリンター、ハリフ・サレー(マレーシア、トレンガヌ)が先行する形で、ゴールラインへと近づく選手たち。しかしこの日は、ハリフがゴール前でラインを外れ、後ろから兄であるザムリ・サレー(マレーシア、トレンガヌ)が発射された。そしてライバル選手を寄せ付けない圧倒的な差で、ザムリを先頭にしてサレー兄弟がワンツーでフィニッシュラインを越えた。
マレーシア海軍に所属しながらも、自転車競技に参加しているというザムリ。「彼の心肺機能はすごく高いんだ。自転車競技にもっと本格的に取り組んだら、すごい選手になるかもしれない」とマレーシアのメディアが嬉しそうに話す。
日本人選手の活躍が目立った今大会
日本人最高位は木守望(愛三工業)の6位。愛三工業レーシングは西谷泰治、盛一大の次の世代のスプリンターとして、木守に期待を寄せている。木守は「最終周回でうまく前方の位置をキープできず、スプリントの前に後ろから上がるため、脚を使ってしまった」と振り返る。
そして綾部勇成キャプテンは「結果は6位でしたが、ミーティングで話したとおりの動きができていました。あとは脚次第、ということですが、できるだけ若い選手がチャレンジできる環境を作って、彼らには多くのことを吸収してもらいたいと思っています」と付け加える。
総合順位の日本人最高位は山本元喜(日本ナショナル)、総合8位でフィニッシュした。
「アジアツアーは今回で3回目でした。上りのペースについていけず、総合で自分より前にいる選手はみんな上りで自分を抜かしていった選手です。自分の力で出せるベストの順位だったと思います。力の差を感じますが、このまま大学でレースを続けていけば、卒業する頃にはアジアのレースでは活躍できるイメージができてきました。ただ、その先は経験したことがないヨーロッパで走ってみたいと思っています。
今回のナショナルチームは自分以外、同じチームのメンバーでしたが、同世代と言うこともありチームの雰囲気はとても良かったですし、自分の総合順位が上がり、チームのエースとなったときも、みんなで協力して自分を助けてくれました」と山本。
キャリア初のイエロージャージを獲得したプジョル
そして総合首位では、山岳賞、ポイント賞も獲得する形で、オスカル・プジョル(スペイン、アザド大学)がトップに立った。第3、第4、第5ステージと、厳しい山岳コースでアタックをかけて逃げ切るという、アグレッシブルな走りが印象的だった。総合リーダーを最終日まで守りきったのは初めてのことだと話し、移籍してわずか2ヶ月という新しいチームで一致団結して掴んだこの勝利を喜んだ。
オスカル・プジョルのコメント
「レースが終わって、イエロージャージを獲得できたことに、ようやくリラックスしてハッピーな気持ちを味わっているよ。ずっとイエローを獲りたいと思って、アタックをかけ続けていたけど、なかなかタイム差が届かなかった。そして第5ステージで獲得できたあとは、失うのではないか、という不安がいつもつきまといストレスを感じていたんだ。チームメイトの強力なアシストに感謝している。彼らは本当にいい走りをしてくれた。
これまでヨーロッパのチームを探すために、ずっとトレーニングを続けていた。チームが見つかった今も、高いモチベーションをもってトレーニングに打ち込めている。今後はツアー・オブ・チンハイレイクがチームにとって大切なレースになる。シーズン終わりまで、アジアツアーだけを走るスケジュールになっているんだ」
本場ヨーロッパと発展途上のアジアを繋ぐきっかけに
アジアツアーの印象について、プジョルは「走る前は、レベルの違いがあって、落車が多いのではないか?とか思っていたけど、実際はそんなことはなく、アジア全体のレースレベルが上がっていると感じた」と話す。一方で、同じプロトンに彼のようなキャリアの選手がいることは、年間数戦しか国際レースを走る機会がない地元インドネシアの選手にとって、とてもいい刺激になったという。
アザド大学チームのキャプテンは「たぶん彼は来年もこのチームで走るんじゃないかな?」なんて言うが、今回のプジョルのケースは、ヨーロッパでも興味深く報道されたこともあり、アジアのレースシーンにとってプラスに働いていると強く感じた。彼のあとを追って、もっと多くのヨーロッパ選手がアジアで走る日が来ることを期待したい。
ツール・ド・シンカラ2012第7ステージ結果
1位 ザムリ・サレー(マレーシア、トレンガヌ) 2h19'19"
2位 ハリフ・サレー(マレーシア、トレンガヌ)
3位 アレサンダー・エドモンドソン(オーストラリア、オーストラリアナショナル)
4位 ジョエル・パールソン(オーストラリア、ジェネシス)
5位 ヒシャオ・シイシン(台湾、アクション)
6位 木守望(愛三工業)
10位 平井栄一(日本ナショナル)
40位 山本元喜(日本ナショナル)
43位 鈴木謙一(愛三工業)
52位 秋丸湧哉(日本ナショナル)
65位 伊藤雅和(愛三工業)
68位 中島康晴(愛三工業)+41"
DNF 清水太己(日本ナショナル)
個人総合順位
1位 オスカル・プジョル(スペイン、アザド大学)+21h24'21"
2位 ジェイ・クロフォード(オーストラリア、ジェネシス)+1'08"
3位 フェン・チュンカイ(台湾、アクション)+1'12"
4位 アレクサンドル・クレメンツ(オーストラリア、オーストラリアナショナル)+1'29"
5位 ダディ・スラディ(インドネシア、プトラペルジャンガン)+1'31"
6位 ジョン・エブソン(デンマーク、CCN)+2'30"
8位 山本元喜(日本ナショナル)+4'57"
10位 寺崎武郎(日本ナショナル)+6'10"
18位 鈴木謙一(愛三工業)+11'19"
21位 伊藤雅和(愛三工業)+12'48"
27位 秋丸湧哉(日本ナショナル)+15'10"
49位 中島康晴(愛三工業)+31'22"
56位 平井栄一(日本ナショナル)+45'36"
81位 木守望(愛三工業)+1h09'32"
ポイント賞
オスカル・プジョル(スペイン、アザド大学)
山岳賞
オスカル・プジョル(スペイン、アザド大学)
チーム総合首位
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photo & text : Sonoko Tanaka
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