2012/06/05(火) - 10:41
インドネシアを舞台にツール・ド・シンカラ(UCI2.2)が開幕。サワルントを発着する第1ステージで、伊藤雅和(愛三工業レーシング)が独走勝利を飾り、ポイント賞とリーダージャージを獲得した。
ステージ優勝を狙う愛三工業&日本ナショナルチーム
4回目の参戦となる愛三工業レーシングチーム photo:Sonoko.Tanaka4回目の開催となるツール・ド・シンカラへは日本からは2チームが参戦している。まずは、もはや大会にとってなくてはならない存在となったアジアを舞台に戦う愛三工業チーム。過去の4大会にフルで参戦し、2009年に西谷泰治が、2011年に中島康晴がステージ優勝を挙げている。
若手で構成した日本ナショナルチームも参戦 photo:Sonoko.Tanakaこれまでの経験から、レースコースや独特なアジアツアーの流れを熟知しているアドバンテージは大きい。しかし、今年はツール・ド・熊野とのダブルエントリーのため、6選手の枠に対して5選手、そして別府匠監督不在で戦うこととなる。
監督に代わって、チームをまとめ上げるのは、キャプテン綾部勇成だ。
「1つ1つのステージを狙っていって、結果的に総合順位も付いてきてくれたらいいと思う。直前のツアー・オブ・ジャパンで、チームはあまりいいレースを展開できなかった。各自に与えられる“やらないといけないこと”ができていなかったし、コミュニケーション不足もあったと思う。」
厳しい日差しの中で迎えた第1ステージのスタート photo:Sonoko.Tanaka「今回のレースが、シーズン前半戦の最後となるので、浮かび上がってきた課題を克服して、チーム一丸となって、ステージ優勝をめざしていきたい、秋からの後半戦に繋げたいと思う」とコメントする。
そして日本ナショナルチームも初参戦する。「全日本選手権エリートのU23上位選手と、UCIポイントを持っている選手」という基準で構成されたチームは、ブリヂストンアンカーサイクリングチームU23の5選手と鹿屋体育大学の山本元喜という顔ぶれ。
高橋松吉監督は「ワンデイごとにちゃんとレースをすること、着順に絡むことが目標です。積極的にレースに参加してほしいですね。慣れないアジアツアーで戸惑うことも多いのですが、1つ1つの経験が強くなるチャンスだと思って、この環境をバネに成長してほしいと思います」と話す。
第1ステージを制し、幸先のいいスタートを切った愛三工業
第1ステージで勝利した伊藤雅和(愛三工業レーシング) (c)Sonoko.TANAKA迎えた第1ステージはサワルントをスタートし、77.6kmのループコースを1周して、またサワルントに戻るというレイアウト。すでにお伝えしたとおり、伊藤雅和(愛三工業)が見事な独走勝利を挙げた。大会初日にして、タイム差が付く結果となり、メイン集団までのタイム差は1分21秒ほどで、タイムアウトになる選手も見られた。
ゴール直後、ステージ優勝の嬉しさを滲ませる伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム) photo:Sonoko.Tanaka
勝利のよろこびを分かち合う愛三工業レーシングチーム photo:Sonoko.Tanaka伊藤は次のようにレースを振り返る「後半が勝負どころだと見ていたので、前半は押さえて走っていました。残り25kmで17人の逃げができたとき、チームからは自分と中島さんが入ることができ、中島さんが、最後いけるなら休んでおけ、と自分よりも多く先頭交代のローテーションに入ってくれたおかげで、最後の上りでアタックがかかったときに、すかさず反応して前に出ることができました。
先頭のなかにオーストラリアチームやジェネシス、アザド大学がいたので、彼らの動きを警戒していましたが、上りで付いてくる選手はいなかった。山頂を2番目に通過し、前を行くフェン・チュンカイ(台湾、アクション)が落車していたときに、ステージ優勝の可能性が現実味を帯びてきました。
今回の勝利は4年ぶりくらい。リーダージャージを着るのは、学生時代にツール・ド・北海道で新人賞ジャージを着たとき以来にになります。今年はどうしても勝ちたいと思って、冬から頑張ってトレーニングをしていましたので、それが結果に結びついて、良かったと思います。明日からレースリーダーになりますが、チームは当初の予定どおり、ステージ優勝を狙って走ります」。
明日、第2ステージは、ムアラ・シジュンジュンからハラウまでの124.5kmで開催され、途中にスプリントポイントと2級山岳を含むレイアウトになっている。レースコースは違うが、昨年のハラウにゴールするステージで、中島康晴がステージ優勝を挙げている。「第2ステージもチャンスだと思う」と話す綾部勇成。愛三工業はリーダーチームとなるため、レースコントロールに加え、必然的にマークも厳しくなるだろうが、アジアナンバーワンという目標に向けて、このまま勢いに乗りたい。
ステージ上位3選手の表彰式 photo:Sonoko.Tanaka
レースリーダーとして記者会見に臨む伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム) photo:Sonoko.Tanaka
4年目の開催を迎えたツール・ド・シンカラ
ホスピタリティあふれる南国レース
蒸気機関車に大喜びの中島康晴(愛三工業レーシングチーム) photo:Sonoko.Tanakaインドネシア、スマトラ島の北西部を舞台に開催されるツール・ド・シンカラ(UCI2.2)。スポーツとツーリズム、2つの要素の複合イベントとして2009年より開催されているレースで、年々盛り上がりを見せ、今年で4回目の開催を迎える。
風光明媚なシンカラ湖のほとり、という開催エリアは変わらないものの、毎年レースをより良くしようとする試行錯誤から、レースの内容が少しずつ変化している。これまで午前と午後で2つのステージを組み込むことが多かったが、今年は、タイムトライアルなしの7日間で7ステージ(すべてがラインレース)というシンプルなステージ構成となった。
レース前日に蒸気機関車に乗ってスタート地点、サワルントに移動する選手たち photo:Sonoko.Tanakaツール・ド・シンカラの代名詞とも言えるのが「ケロック44」と呼ばれる登坂区間。約10kmで650メートルの高低差を一気に駆け上がるスイッチバックで、ここが総合優勝を決める大きな要となる。
今年ももちろん第4ステージに組み込まれ、翌第5ステージの1級山岳(平均勾配8.1%)とともに、大会のハイライトとなるだろう。総走行距離は854km、コースマップに反映されない登坂やダウンヒル、またアジアツアー特有の、クルマ1台が通るのがやっとという細い道もレースにスパイスを加えることとなる。
これまでスタート地点は、このエリアの大都市であるパダンと決まっていたが、今回からパダンは最終ステージに持ち越され、内陸のサワルントという小さな街がスタート地点に選ばれた。大会前日には空港のあるパダンからバスで移動し、パダン・パンジャン駅から蒸気機関車に乗ってサワルントへ向かうというアクティビティが用意された。(これが遅いし、暑いしと、トラブルだらけだったわけだけど…)
ツール・ド・シンカラのレースの模様は毎日現地からレポートをお伝えします。(田中苑子)
ツール・ド・シンカラ2012第1ステージ結果
1位 伊藤雅和(愛三工業) 1h51'17"
2位 ジェイ・クラウフォード(オーストラリア、ジェネシス) +2"
3位 フェン・チュンカイ(台湾、アクション) +8"
4位 ザミリ・サレー(マレーシア、トレンガヌ) +10"
5位 ジャヤ・ヘルウィン(インドネシア、ポリゴンスイートナイス)
6位 アレックス・マロヌ(オーストラリア、プランB)
10位 山本元喜(日本ナショナル) +12"
14位 中島康晴(愛三工業)+46"
24位 秋丸湧哉(日本ナショナル)+1'21"
31位 寺崎武郎(日本ナショナル)+1'25"
52位 平井栄一(日本ナショナル)+1'58"
57位 鈴木謙一(愛三工業)+2'01"
62位 六峰亘(日本ナショナル)+2'03"
65位 木守望(愛三工業)+2'08"
115位 綾部勇成(愛三工業)+4'33"
118位 清水太己(日本ナショナル)+2'37"
個人総合順位
1位 伊藤雅和(愛三工業) 1h51'07"
2位 ジェイ・クラウフォード(オーストラリア、ジェネシス) +6"
3位 フェン・チュンカイ(台湾、アクション) +14"
4位 ザミリ・サレー(マレーシア、トレンガヌ) +20"
5位 ジャヤ・ヘルウィン(インドネシア、ポリゴンスイートナイス)
6位 アレックス・マロヌ(オーストラリア、プランB)
10位 山本元喜(日本ナショナル) 212"
14位 中島康晴(愛三工業)+55"
24位 秋丸湧哉(日本ナショナル)+1'31"
31位 寺崎武郎(日本ナショナル)+1'35"
52位 平井栄一(日本ナショナル)+2'08"
57位 鈴木謙一(愛三工業)+2'01"
62位 六峰亘(日本ナショナル)+2'13"
65位 木守望(愛三工業)+2'18"
115位 綾部勇成(愛三工業)+4'43"
118位 清水太己(日本ナショナル)+5'11"
ポイント賞
伊藤雅和(愛三工業)
山岳賞
フェン・チュンカイ(台湾、アクション)
チーム総合首位
オーストラリアナショナル
text&photo:Sonoko.Tanaka
ステージ優勝を狙う愛三工業&日本ナショナルチーム
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監督に代わって、チームをまとめ上げるのは、キャプテン綾部勇成だ。
「1つ1つのステージを狙っていって、結果的に総合順位も付いてきてくれたらいいと思う。直前のツアー・オブ・ジャパンで、チームはあまりいいレースを展開できなかった。各自に与えられる“やらないといけないこと”ができていなかったし、コミュニケーション不足もあったと思う。」
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そして日本ナショナルチームも初参戦する。「全日本選手権エリートのU23上位選手と、UCIポイントを持っている選手」という基準で構成されたチームは、ブリヂストンアンカーサイクリングチームU23の5選手と鹿屋体育大学の山本元喜という顔ぶれ。
高橋松吉監督は「ワンデイごとにちゃんとレースをすること、着順に絡むことが目標です。積極的にレースに参加してほしいですね。慣れないアジアツアーで戸惑うことも多いのですが、1つ1つの経験が強くなるチャンスだと思って、この環境をバネに成長してほしいと思います」と話す。
第1ステージを制し、幸先のいいスタートを切った愛三工業
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先頭のなかにオーストラリアチームやジェネシス、アザド大学がいたので、彼らの動きを警戒していましたが、上りで付いてくる選手はいなかった。山頂を2番目に通過し、前を行くフェン・チュンカイ(台湾、アクション)が落車していたときに、ステージ優勝の可能性が現実味を帯びてきました。
今回の勝利は4年ぶりくらい。リーダージャージを着るのは、学生時代にツール・ド・北海道で新人賞ジャージを着たとき以来にになります。今年はどうしても勝ちたいと思って、冬から頑張ってトレーニングをしていましたので、それが結果に結びついて、良かったと思います。明日からレースリーダーになりますが、チームは当初の予定どおり、ステージ優勝を狙って走ります」。
明日、第2ステージは、ムアラ・シジュンジュンからハラウまでの124.5kmで開催され、途中にスプリントポイントと2級山岳を含むレイアウトになっている。レースコースは違うが、昨年のハラウにゴールするステージで、中島康晴がステージ優勝を挙げている。「第2ステージもチャンスだと思う」と話す綾部勇成。愛三工業はリーダーチームとなるため、レースコントロールに加え、必然的にマークも厳しくなるだろうが、アジアナンバーワンという目標に向けて、このまま勢いに乗りたい。
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4年目の開催を迎えたツール・ド・シンカラ
ホスピタリティあふれる南国レース
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風光明媚なシンカラ湖のほとり、という開催エリアは変わらないものの、毎年レースをより良くしようとする試行錯誤から、レースの内容が少しずつ変化している。これまで午前と午後で2つのステージを組み込むことが多かったが、今年は、タイムトライアルなしの7日間で7ステージ(すべてがラインレース)というシンプルなステージ構成となった。
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今年ももちろん第4ステージに組み込まれ、翌第5ステージの1級山岳(平均勾配8.1%)とともに、大会のハイライトとなるだろう。総走行距離は854km、コースマップに反映されない登坂やダウンヒル、またアジアツアー特有の、クルマ1台が通るのがやっとという細い道もレースにスパイスを加えることとなる。
これまでスタート地点は、このエリアの大都市であるパダンと決まっていたが、今回からパダンは最終ステージに持ち越され、内陸のサワルントという小さな街がスタート地点に選ばれた。大会前日には空港のあるパダンからバスで移動し、パダン・パンジャン駅から蒸気機関車に乗ってサワルントへ向かうというアクティビティが用意された。(これが遅いし、暑いしと、トラブルだらけだったわけだけど…)
ツール・ド・シンカラのレースの模様は毎日現地からレポートをお伝えします。(田中苑子)
ツール・ド・シンカラ2012第1ステージ結果
1位 伊藤雅和(愛三工業) 1h51'17"
2位 ジェイ・クラウフォード(オーストラリア、ジェネシス) +2"
3位 フェン・チュンカイ(台湾、アクション) +8"
4位 ザミリ・サレー(マレーシア、トレンガヌ) +10"
5位 ジャヤ・ヘルウィン(インドネシア、ポリゴンスイートナイス)
6位 アレックス・マロヌ(オーストラリア、プランB)
10位 山本元喜(日本ナショナル) +12"
14位 中島康晴(愛三工業)+46"
24位 秋丸湧哉(日本ナショナル)+1'21"
31位 寺崎武郎(日本ナショナル)+1'25"
52位 平井栄一(日本ナショナル)+1'58"
57位 鈴木謙一(愛三工業)+2'01"
62位 六峰亘(日本ナショナル)+2'03"
65位 木守望(愛三工業)+2'08"
115位 綾部勇成(愛三工業)+4'33"
118位 清水太己(日本ナショナル)+2'37"
個人総合順位
1位 伊藤雅和(愛三工業) 1h51'07"
2位 ジェイ・クラウフォード(オーストラリア、ジェネシス) +6"
3位 フェン・チュンカイ(台湾、アクション) +14"
4位 ザミリ・サレー(マレーシア、トレンガヌ) +20"
5位 ジャヤ・ヘルウィン(インドネシア、ポリゴンスイートナイス)
6位 アレックス・マロヌ(オーストラリア、プランB)
10位 山本元喜(日本ナショナル) 212"
14位 中島康晴(愛三工業)+55"
24位 秋丸湧哉(日本ナショナル)+1'31"
31位 寺崎武郎(日本ナショナル)+1'35"
52位 平井栄一(日本ナショナル)+2'08"
57位 鈴木謙一(愛三工業)+2'01"
62位 六峰亘(日本ナショナル)+2'13"
65位 木守望(愛三工業)+2'18"
115位 綾部勇成(愛三工業)+4'43"
118位 清水太己(日本ナショナル)+5'11"
ポイント賞
伊藤雅和(愛三工業)
山岳賞
フェン・チュンカイ(台湾、アクション)
チーム総合首位
オーストラリアナショナル
text&photo:Sonoko.Tanaka
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