2012/05/04(金) - 21:18
アメリカ・カリフォルニア州で開催された全米最大のバイクイベント、シーオッター・クラシックのEXPOを取材したテックレポートをお届けしよう。
シーオッターで世界にお披露目されたシマノSAINT (c)MakotoAYANO
セカンドグレードのグラヴィティコンポ シマノZEE (c)MakotoAYANOあらゆるレースイベントに併催される形で開催されているシーオッター・クラシックのバイクEXPO。イベントとしてはレースよりもこちらの展示会のほうがメインとなっていて、参加者たちはレースの合間にEXPOを見て回り、今季の買い物を決めるというコンシュマー・ショーである。
B to Bのビジネスショーではないため、ベンダーと直接話ができるのが魅力で、その製品のコンセプトなどを担当者から直接聞くことができるのがなんとも魅力的(で、アメリカ的)。
前置きはさておき、ではさっそくショーで目立っていたプロダクツをこれから数回に分けてレポートしよう。
シマノの新グラヴィティコンポ SAINTとZEEが世界初お目見え
今回のEXPOに出展された新製品でもっとも”大モノ”といえばシマノのSAINTとZEEだ。まず初めに記しておくと、今やアメリカはスラムのお膝元。シマノはアウェーのブランドだ。それでもやっぱりMTB系の傾向が強いこのシーオッターの目玉はセイントとジーだった。
ZEEチェーンホイール (c)MakotoAYANO
ZEEリアディレイラー (c)MakotoAYANO
シマノアメリカの演出でゴキゲンなブースが用意され、この2つのグラヴィティー系コンポがシーオッターで初めてベールを脱いだ。ちなみに会場入りする前に日本で新製品発表会に出席していたので驚きはなかったが、カリフォルニアの空のもとで演出とともに見せられるプロダクツは何倍も魅力的だ。
セイントの詳細はこちらのレビュー記事に詳しいのでZEEについて補足を。
ZEEリアブレーキ (c)MakotoAYANO
シマノZEEブレーキ (c)MakotoAYANO
ZEEはSAINTより低価格の、手に入れやすい本格D系コンポ。つまりデュラエースに対するアルテグラみたいなものだ。シマノアメリカのダスティン・ブラドリー氏は言う
「低価格にだまされちゃいけない。ZEEはSAINTが身につけたもののほとんどを(=全部じゃないけど)備えている。アイステックローター、シャドープラスRD、厚歯のシングルギア、そして10スピード」。
では両者の違いは?
「セイントはもっと強度と耐久性があって、軽量。エクストリーム・レーシングコンポだね」。
パーツのディテールはフォトギャラリーに様々なカットの写真を上げておく。また、「舐め回し視線(笑)」によるムービーも参考に。
映画 Strength in Numbers
グラヴィティ系に力の入ったシマノは、トレックとレッドブルと共同で(いや、スポンサーして)、映画Strength in Numbersを制作(制作はお馴染みAnthill Films)。会期中に関係者限定でプレミア試写会を行った。様子を紹介するよりオフィシャルトレーラーを以下に紹介しておこう。日本での公開形態はわからないが、iTunesでダウンロードはできそうだ。
製品づくりとは関係無いようにみえて、こういったフィルムのプロデュースは製品のイメージアップにかなり有効だ。シマノ、アメリカではかなりイケてる存在だ(になろうとしている?)。
Strength in Numbersポスター
SRAMの勢いが止まらない
前述したがSRAMはアメリカのお膝元ブランド。シーオッターの会場にいて目立つのはとにかくスラム、スラムで、シマノは肩身が狭い存在。それ以上にカンパは存在感が」薄い。あまり書くと角が立ちそうだが、それが実感。そしてスラムグループが次々と出す新製品に圧倒される。
スラム新型RED搭載のオメガファーマ・クイックステップのバイク (c)MakotoAYANO
ロード&MTBともに元気のいいSRAMは、まず新型REDでトム・ボーネンが欧州レースで連勝していることでご機嫌。展示されたオメガファーマ・クイックステップやサクソバンクのバイク、そして変速やブレーキ操作のデモ器で操作感を確かめると、その進化は納得だ。
REDとFORCEにはリアに32Tまでのビッグギアを使えるWiFLiリアディレイラーをラインナップ。コンパクトユーザーやもっとローギアが使いたいユーザーに応えた。
QUARKのパワー計測システム内蔵型のREDチェーンホイール (c)MakotoAYANO
QUARKのパワー計測システム内蔵型のチェーンホイールを各種ラインナップ (c)MakotoAYANO
REDはパワーメーターのQUARKを取り込み、一体型クランクの製品版をいくつも発表していた。ロード、MTB用の数種があって、これからのパワーメーターユーザーのシェアを奪いそうな勢い。
そしてMTBコンポももちろん元気。流行の兆しが見える古くて新しいホイール径の規格、650B(シックスフィフティービー/27.5インチ)を先取りして完組ホイール”Rise40”を発表していた。コンプリートホイールがコンポメーカーから出ればこの流行は加速する可能性大、だ。
スラムの650B(シックスフィフティービー)ホイール Rise40 (c)MakotoAYANO
Rise40のリム (c)MakotoAYANO
古くて変わらないグリップシフトの魅力も、あらためて訴求。グレッグヘルボルトやダニー・ハートなどが登場して、長年変わらない理由と魅力を訴えていた。
古くて新しいグリップシフト (c)MakotoAYANO
懐かしのDHヒーロー、グレッグ・ヘルボルト登場 グリップシフトを語る (c)Makoto.AYANO
スラムブースでのプレゼンテーションでは、ロックショックスの650BレベレーションFフォークやアジャスタブル機構つきシートピラーや、リアサスユニットのMonarch RT3も発表。関連グループ会社と協働しての開発、新製品リリースが大きな強みとなってきた。
ロックショックスの高さ調整機構内蔵型アジャスタブルピラー (c)MakotoAYANO
ロックショックスのリアサスユニット Monarch RT3 (c)MakotoAYANO
text&photo:Makoto.AYANO


B to Bのビジネスショーではないため、ベンダーと直接話ができるのが魅力で、その製品のコンセプトなどを担当者から直接聞くことができるのがなんとも魅力的(で、アメリカ的)。
前置きはさておき、ではさっそくショーで目立っていたプロダクツをこれから数回に分けてレポートしよう。
シマノの新グラヴィティコンポ SAINTとZEEが世界初お目見え
今回のEXPOに出展された新製品でもっとも”大モノ”といえばシマノのSAINTとZEEだ。まず初めに記しておくと、今やアメリカはスラムのお膝元。シマノはアウェーのブランドだ。それでもやっぱりMTB系の傾向が強いこのシーオッターの目玉はセイントとジーだった。


シマノアメリカの演出でゴキゲンなブースが用意され、この2つのグラヴィティー系コンポがシーオッターで初めてベールを脱いだ。ちなみに会場入りする前に日本で新製品発表会に出席していたので驚きはなかったが、カリフォルニアの空のもとで演出とともに見せられるプロダクツは何倍も魅力的だ。
セイントの詳細はこちらのレビュー記事に詳しいのでZEEについて補足を。


ZEEはSAINTより低価格の、手に入れやすい本格D系コンポ。つまりデュラエースに対するアルテグラみたいなものだ。シマノアメリカのダスティン・ブラドリー氏は言う
「低価格にだまされちゃいけない。ZEEはSAINTが身につけたもののほとんどを(=全部じゃないけど)備えている。アイステックローター、シャドープラスRD、厚歯のシングルギア、そして10スピード」。
では両者の違いは?
「セイントはもっと強度と耐久性があって、軽量。エクストリーム・レーシングコンポだね」。
パーツのディテールはフォトギャラリーに様々なカットの写真を上げておく。また、「舐め回し視線(笑)」によるムービーも参考に。
映画 Strength in Numbers
グラヴィティ系に力の入ったシマノは、トレックとレッドブルと共同で(いや、スポンサーして)、映画Strength in Numbersを制作(制作はお馴染みAnthill Films)。会期中に関係者限定でプレミア試写会を行った。様子を紹介するよりオフィシャルトレーラーを以下に紹介しておこう。日本での公開形態はわからないが、iTunesでダウンロードはできそうだ。
製品づくりとは関係無いようにみえて、こういったフィルムのプロデュースは製品のイメージアップにかなり有効だ。シマノ、アメリカではかなりイケてる存在だ(になろうとしている?)。

SRAMの勢いが止まらない
前述したがSRAMはアメリカのお膝元ブランド。シーオッターの会場にいて目立つのはとにかくスラム、スラムで、シマノは肩身が狭い存在。それ以上にカンパは存在感が」薄い。あまり書くと角が立ちそうだが、それが実感。そしてスラムグループが次々と出す新製品に圧倒される。

ロード&MTBともに元気のいいSRAMは、まず新型REDでトム・ボーネンが欧州レースで連勝していることでご機嫌。展示されたオメガファーマ・クイックステップやサクソバンクのバイク、そして変速やブレーキ操作のデモ器で操作感を確かめると、その進化は納得だ。
REDとFORCEにはリアに32Tまでのビッグギアを使えるWiFLiリアディレイラーをラインナップ。コンパクトユーザーやもっとローギアが使いたいユーザーに応えた。


REDはパワーメーターのQUARKを取り込み、一体型クランクの製品版をいくつも発表していた。ロード、MTB用の数種があって、これからのパワーメーターユーザーのシェアを奪いそうな勢い。
そしてMTBコンポももちろん元気。流行の兆しが見える古くて新しいホイール径の規格、650B(シックスフィフティービー/27.5インチ)を先取りして完組ホイール”Rise40”を発表していた。コンプリートホイールがコンポメーカーから出ればこの流行は加速する可能性大、だ。


古くて変わらないグリップシフトの魅力も、あらためて訴求。グレッグヘルボルトやダニー・ハートなどが登場して、長年変わらない理由と魅力を訴えていた。


スラムブースでのプレゼンテーションでは、ロックショックスの650BレベレーションFフォークやアジャスタブル機構つきシートピラーや、リアサスユニットのMonarch RT3も発表。関連グループ会社と協働しての開発、新製品リリースが大きな強みとなってきた。


text&photo:Makoto.AYANO
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