2012/05/02(水) - 07:11
5月1日に都内で行われたロンドン・オリンピック&パラリンピック日本代表候補選手共同記者会見より、記者発表会後半の質疑応答、会見後の囲み取材の模様をレポートしよう。
新城幸也「ロンドンは好きなコース。別府さんとふたりでメダルを獲りたい」
昨年プレオリンピックに出場させていただき、距離は全然違うがコースは試走済み。ロンドンはぼくに有利な、ぼくが好きなコース。
世界選手権は各国9人がmaxだが五輪では6人なので、レースを作るチームの力が劣り、出場人数が少ない国にもチャンスが増える。「もしかしたら」ではなく、かなりの確率でメダルも視野に入れて走っていく。
石垣島初の五輪出場で、今日は石垣島大騒ぎです、きっと(笑)。
(全日本選手権で使っていた)EPS(電子変速システム)ですか? (手首を骨折していても)EPSだからこそ操作できました。変速のタイミングも、いつもよりよかったです。
4月1日に手術して、今日で1カ月ですね。人生初めての骨折です。左ききなので不便です。痛みですか? 今日みたいに天気が悪いと痛みますね。でも、時間が解決します(笑)。
選手みんなでレースを作るので、ロンドンではうまく展開にはまっていきたいです。各国max6人と少ないので、より選択肢が大きくなる。常に先頭がハイペースで行かれると、人数が多いと追いつかれてしまいますから。
日曜日にフランスに帰ります。今は次のレースは決定していませんが、傷を治しながら、次のレースプログラムを考えていきます。
(フランスに帰って)これからは(ツール・ド・フランス出場メンバーの)9人のためにまたセレクションです。まだツール・ド・フランスに選ばれるまで成績を出さなければいけないので。
五輪の1週間前にツール・ド・フランス。出て3週間走ったという前提で考えています。これは強度の高い練習をしているのと同じです。
(「五輪を控えているからとツール・ド・フランス出場をやめるという選手はいるのか?」という質問に) ツール・ド・フランスの時期には(他に)レースがないんです。試合でないと上げられない強度というのがありますから。
(男子ロードのもう一人の候補選手が別府史之ということについて)
嬉しいです! 助け合って、いい成績を残したいです。力がないとスプリントはできないので、走りながら力が余っていたらスプリントしたいし、残っていなければひとりを中心に。別府さんとふたりで穫れれば最高ですし!
■主な質疑応答の内容から
Q:(雨谷・中川・渡邉で出場し4位だった)本年のトラック世界選手権チームスプリントのメンバーだった雨谷(一樹)が代表候補選手からはずれた理由は?
A:(中野強化委員長)
どの種目が一番メダルに近いかを考えながら、派遣、強化を行ってきた。メダルに一番近い種目はケイリンだと考えている。ケイリンの強化、脚力の強化をはかり、最終的に全選手記録が伸びた。
最終的に雨谷くんを選ぶと、他の種目が自動的に誰が出場するか決まってしまう。
今回選ばれた3人がチームスプリントを走ることは決まっているが、他の個人種目に誰が出るかはまだ決めていない。その種目に一番力を発揮できる選手を選ぼうと思っている。チームの中には競争がないといけない、競争がいつまでも続いたほうがいいのでは、というのが私の考え。
彼に力がなかったわけではなく、ぎりぎりまで4人でやってもらって直前にメンバーを決めたいというのが本音。ただ現在のJOCの方針で、この段階でどうしても3人に決めなくてはいけなかったが、誰を選んでもおかしくないというメンバーだった。
Q:さきほど金メダルをとりたいという選手のコメントがあったが、どの種目に一番可能性を感じている?
A:
(渡邉)メダル最有力だと思っているケイリンで金を目指したい。
(新田)まだ自分がどの個人種目に出られるか決まっていないが、出られる種目すべてで金を穫っていきたい。
Q:JCF独自のポイント割り振り(JCFポイント)があるということは理解しているが、ロードの「選考会」で勝った選手がロンドンに行けないのはなぜか?
A:(中野強化委員長)
ロードについては、JCFポイントの上位から選ぶことはJCFで決めていて、海外でいいメンバーで走っている選手のほうが完走すればそれだけポイントは稼げるという状況になっており、現状では別府、新城くんの2名が選ばれた。国内レースに関しては今後、連盟としても日本選手権という大きなレース(の位置づけ)にはいろいろな考え方や意見もあるので、日本チャンピオンは派遣するほうがいいのかどうかも検討することになっている。
Q:前田選手に質問。目標と、達成するために五輪までにどういうところをレベルアップしたいか?
A:(前田)出場種目はスプリントになると思うので、予選のTTのタイムをあげていきたい。
五輪まで鹿児島には帰らない覚悟で今日出て来た。合宿などで厳しい練習を積んで最高の走りができるよう努力したい。
Q:パラサイクリングの選手に質問。これまで、これからどういうところを強化してきたか、したいと思っているか?
A:
(大城)過去2回メダルを逃したので、今回どうしても穫りたい。北京のあと伊藤さんとペアを組んだ。ふたりの息があわないとスピードが出せないので、コミュニケーションをしっかりとって練習している。いかに早くトップスピードにもっていけるか、後半の持久力アップ、また伊藤さんの重いギアにあわせられるよう、高負荷のトレーニングをしている。
(石井)けがをひきずってしまったが、1kmTTに照準を絞り、負傷する前の状態以上にスタートをあげて行くようにと練習している。後半も持久力を高めていく練習をしていく。
(藤田)(ロードにも出場するが)トラックを主眼に考えている。パラサイクリングロードW杯と世界選手権を転戦して、もう1段スピードアップする必要があると思っている。
Q:渡邉、新田選手に質問。福島出身者として被災地に勇気を届けたいという思いは?
A:
(渡邉)双葉町出身でぼく自身一度も実家に戻っていない。たくさんの応援してくれている人の思いも込めてメダル目指して走りたい。
(新田)ぼくも被災者の方に笑顔を届けられるようなレースがしたい。練習するのに外で自転車に乗らないといけないのでいろいろ難しい問題があったが、頑張っている姿を世界に実証できるようしっかり走ってきたい。
Q:短距離の3選手だが、ひとりの選手、たとえば渡邉選手がスプリントとケイリンを走るケースはあるのか? また、世界と日本の現状を見てどれぐらい足りていないところがあると感じるか?
A:(松本総監督)
ひとりが何種目も走ることは基本的には考えてないが、非常に力の差があれば全く可能性がないとは言わない。
世界との差だが、何でもタイムではかれないところが自転車競技にはある。例えばスプリントで、予選TTで1位の人が必ず勝つわけではないが、TTで世界で一番速かった人と日本選手の差は近年は0.1秒ちょっと。一般にスプリントでは0.2秒あくと勝つのは難しいと言われるが、勝つことができる範疇に今の3選手は入って来た。ということは、世界のケイリンはスプリントと同じルールの集団走行というカテゴリであるので、ケイリンでも狙える範疇に入ってきている。3選手のなかで競い合ってもらえれば、メダルを個人種目でも持ち帰ることが可能と考えている。
Q:藤田選手に質問。選ばれての気持ちと、体調の充実度や気持ちのたかぶりは?
A:4年前からロンドンを意識して海外遠征やトレーニングをしてきたので、自分の中では「出る」のは最低目標で、もちろん嬉しい気持ちはあるが、結果を残すためにはと考えた。気持ちはたかぶっていて、コンディションはいい状態。
Q:ケイリンでメダルに手が届く勝ち方だが、どんなイメージがあるか? たとえば先行というような。
A:
(中川)二番手が有利なので、金メダルに一番近い位置はそこではないか?
(渡邉)どんな展開でも対応できるよう力をつけること。
(新田)そのときに合った方法で、しっかり頭を使って走ることが金メダルに一番近いと考える。
text&photo:Yuko.SATO
新城幸也「ロンドンは好きなコース。別府さんとふたりでメダルを獲りたい」
昨年プレオリンピックに出場させていただき、距離は全然違うがコースは試走済み。ロンドンはぼくに有利な、ぼくが好きなコース。
世界選手権は各国9人がmaxだが五輪では6人なので、レースを作るチームの力が劣り、出場人数が少ない国にもチャンスが増える。「もしかしたら」ではなく、かなりの確率でメダルも視野に入れて走っていく。
石垣島初の五輪出場で、今日は石垣島大騒ぎです、きっと(笑)。
(全日本選手権で使っていた)EPS(電子変速システム)ですか? (手首を骨折していても)EPSだからこそ操作できました。変速のタイミングも、いつもよりよかったです。
4月1日に手術して、今日で1カ月ですね。人生初めての骨折です。左ききなので不便です。痛みですか? 今日みたいに天気が悪いと痛みますね。でも、時間が解決します(笑)。
選手みんなでレースを作るので、ロンドンではうまく展開にはまっていきたいです。各国max6人と少ないので、より選択肢が大きくなる。常に先頭がハイペースで行かれると、人数が多いと追いつかれてしまいますから。
日曜日にフランスに帰ります。今は次のレースは決定していませんが、傷を治しながら、次のレースプログラムを考えていきます。
(フランスに帰って)これからは(ツール・ド・フランス出場メンバーの)9人のためにまたセレクションです。まだツール・ド・フランスに選ばれるまで成績を出さなければいけないので。
五輪の1週間前にツール・ド・フランス。出て3週間走ったという前提で考えています。これは強度の高い練習をしているのと同じです。
(「五輪を控えているからとツール・ド・フランス出場をやめるという選手はいるのか?」という質問に) ツール・ド・フランスの時期には(他に)レースがないんです。試合でないと上げられない強度というのがありますから。
(男子ロードのもう一人の候補選手が別府史之ということについて)
嬉しいです! 助け合って、いい成績を残したいです。力がないとスプリントはできないので、走りながら力が余っていたらスプリントしたいし、残っていなければひとりを中心に。別府さんとふたりで穫れれば最高ですし!
■主な質疑応答の内容から
Q:(雨谷・中川・渡邉で出場し4位だった)本年のトラック世界選手権チームスプリントのメンバーだった雨谷(一樹)が代表候補選手からはずれた理由は?
A:(中野強化委員長)
どの種目が一番メダルに近いかを考えながら、派遣、強化を行ってきた。メダルに一番近い種目はケイリンだと考えている。ケイリンの強化、脚力の強化をはかり、最終的に全選手記録が伸びた。
最終的に雨谷くんを選ぶと、他の種目が自動的に誰が出場するか決まってしまう。
今回選ばれた3人がチームスプリントを走ることは決まっているが、他の個人種目に誰が出るかはまだ決めていない。その種目に一番力を発揮できる選手を選ぼうと思っている。チームの中には競争がないといけない、競争がいつまでも続いたほうがいいのでは、というのが私の考え。
彼に力がなかったわけではなく、ぎりぎりまで4人でやってもらって直前にメンバーを決めたいというのが本音。ただ現在のJOCの方針で、この段階でどうしても3人に決めなくてはいけなかったが、誰を選んでもおかしくないというメンバーだった。
Q:さきほど金メダルをとりたいという選手のコメントがあったが、どの種目に一番可能性を感じている?
A:
(渡邉)メダル最有力だと思っているケイリンで金を目指したい。
(新田)まだ自分がどの個人種目に出られるか決まっていないが、出られる種目すべてで金を穫っていきたい。
Q:JCF独自のポイント割り振り(JCFポイント)があるということは理解しているが、ロードの「選考会」で勝った選手がロンドンに行けないのはなぜか?
A:(中野強化委員長)
ロードについては、JCFポイントの上位から選ぶことはJCFで決めていて、海外でいいメンバーで走っている選手のほうが完走すればそれだけポイントは稼げるという状況になっており、現状では別府、新城くんの2名が選ばれた。国内レースに関しては今後、連盟としても日本選手権という大きなレース(の位置づけ)にはいろいろな考え方や意見もあるので、日本チャンピオンは派遣するほうがいいのかどうかも検討することになっている。
Q:前田選手に質問。目標と、達成するために五輪までにどういうところをレベルアップしたいか?
A:(前田)出場種目はスプリントになると思うので、予選のTTのタイムをあげていきたい。
五輪まで鹿児島には帰らない覚悟で今日出て来た。合宿などで厳しい練習を積んで最高の走りができるよう努力したい。
Q:パラサイクリングの選手に質問。これまで、これからどういうところを強化してきたか、したいと思っているか?
A:
(大城)過去2回メダルを逃したので、今回どうしても穫りたい。北京のあと伊藤さんとペアを組んだ。ふたりの息があわないとスピードが出せないので、コミュニケーションをしっかりとって練習している。いかに早くトップスピードにもっていけるか、後半の持久力アップ、また伊藤さんの重いギアにあわせられるよう、高負荷のトレーニングをしている。
(石井)けがをひきずってしまったが、1kmTTに照準を絞り、負傷する前の状態以上にスタートをあげて行くようにと練習している。後半も持久力を高めていく練習をしていく。
(藤田)(ロードにも出場するが)トラックを主眼に考えている。パラサイクリングロードW杯と世界選手権を転戦して、もう1段スピードアップする必要があると思っている。
Q:渡邉、新田選手に質問。福島出身者として被災地に勇気を届けたいという思いは?
A:
(渡邉)双葉町出身でぼく自身一度も実家に戻っていない。たくさんの応援してくれている人の思いも込めてメダル目指して走りたい。
(新田)ぼくも被災者の方に笑顔を届けられるようなレースがしたい。練習するのに外で自転車に乗らないといけないのでいろいろ難しい問題があったが、頑張っている姿を世界に実証できるようしっかり走ってきたい。
Q:短距離の3選手だが、ひとりの選手、たとえば渡邉選手がスプリントとケイリンを走るケースはあるのか? また、世界と日本の現状を見てどれぐらい足りていないところがあると感じるか?
A:(松本総監督)
ひとりが何種目も走ることは基本的には考えてないが、非常に力の差があれば全く可能性がないとは言わない。
世界との差だが、何でもタイムではかれないところが自転車競技にはある。例えばスプリントで、予選TTで1位の人が必ず勝つわけではないが、TTで世界で一番速かった人と日本選手の差は近年は0.1秒ちょっと。一般にスプリントでは0.2秒あくと勝つのは難しいと言われるが、勝つことができる範疇に今の3選手は入って来た。ということは、世界のケイリンはスプリントと同じルールの集団走行というカテゴリであるので、ケイリンでも狙える範疇に入ってきている。3選手のなかで競い合ってもらえれば、メダルを個人種目でも持ち帰ることが可能と考えている。
Q:藤田選手に質問。選ばれての気持ちと、体調の充実度や気持ちのたかぶりは?
A:4年前からロンドンを意識して海外遠征やトレーニングをしてきたので、自分の中では「出る」のは最低目標で、もちろん嬉しい気持ちはあるが、結果を残すためにはと考えた。気持ちはたかぶっていて、コンディションはいい状態。
Q:ケイリンでメダルに手が届く勝ち方だが、どんなイメージがあるか? たとえば先行というような。
A:
(中川)二番手が有利なので、金メダルに一番近い位置はそこではないか?
(渡邉)どんな展開でも対応できるよう力をつけること。
(新田)そのときに合った方法で、しっかり頭を使って走ることが金メダルに一番近いと考える。
text&photo:Yuko.SATO
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