2012/04/28(土) - 05:25
この日のゴール地点シャルメイは、標高879mにある山間の街。2007年大会の第3ステージでも、同様にシャルメイにゴールするコースレイアウトが採用されている。当時ディスカバリーチャンネルに所属していた24歳のフミが、逃げ切った末のスプリントで破れ、2位になったステージだ。
スタート地点ラ・ヌーヴヴィルは、ちょうどフランス語圏とドイツ語圏を分つビール湖の畔にある。ツール・ド・ロマンディ第3ステージは、4月27日、そんなラ・ヌーヴヴィルから山間の街シャルメイまでの157.6kmで行なわれた。
前日のスタート前にステムの高さを数ミリ上げ、SRMパワーセンサーでパワーアップを確認した別府史之(グリーンエッジ)。この日はフォークを交換し、更に数ミリ上げた。それでも昨年のポジションよりも低い状態だと言う。最善を求め、ジロ・デ・イタリアに向けて試行錯誤している。
スタート前に、グリーンエッジのメカニックが黒いビニールテープをSRMメーターに貼っている。「数値が見えると集中出来ない」という理由で、メカニックにその作業を頼んだのはリー・ハワード(オーストラリア)。それが功を奏したかどうかは定かではないが、ハワードは逃げに乗ることに成功する。
5人の逃げグループの中に入ったハワードは、総合で3分43秒遅れ。この日もチームスカイのダニー・ペイト(アメリカ)やジェレイント・トーマス(イギリス)ががメイン集団の先頭に立ち、逃げとのタイム差に目を配りながらペースを調整する。
3つのカテゴリー山岳を含み、ゴールに向かって登りが続くコースで勝ち目が無いと踏んだ世界チャンピオンのマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)も、アシストとして集団牽引に参加する。リーダージャージを着るブラドレー・ウィギンズ(イギリス)は「カヴはチャンピオンとしての資質を見せてくれた。世界チャンピオンの背中を見て走るのは特別なこと。しかも全力を出してくれた」とその走りを讃える。
結局ハワードら5人の逃げは、ラボバンクやランプレ・ISDの集団コントロール参加も手伝って、シャルメイに至る登り口で吸収された。
カテゴライズされていないものの、ラスト6kmからラスト3kmにかけて、高低差170mを一気に駆け上がるゴール前のコースレイアウト。
ここで総合で危険度の高いサイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)とロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ)がアタックし、ウィギンズを引き離しにかかる。
一方のメイン集団は、チームスカイのリッチー・ポルト(オーストラリア)とマイケル・ロジャース(オーストラリア)の2人が淡々とハイペースを刻み、ウィギンズをエスコートする。
スピラックとクロイツィゲルの吸収後に飛び出したヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、アスタナ)も、ゴール前の緩斜面で吸収された。
ラスト1kmを切り、比較的フラットな最終ストレートになだれ込む70名ほどの大集団。「安全に集団で走りきることが最優先事項であり、ステージ優勝は狙わなかった」と話すウィギンズが番手を下げる中、スプリントで飛び出したLLサンチェスがジャンニ・メールスマン(ベルギー、ロット・ベリソル)を振り切った。
前日の第2ステージでスプリントに絡みながらも3位に終わっていたLLサンチェス。レース後の記者会見で「第1ステージはゴール前でスポークが折れて勝負に絡めず、昨日も惜しいところで敗れた。それでも変わらずチームメイトたちは自分を信頼してくれている。彼らの奮闘に勝利で応えたかった」とコメントする。
また、10秒のボーナスタイムを得たLLサンチェスは、ウィギンズと1秒差の総合2位にジャンプアップした。タイム差10秒以内に5名、タイム差20秒以内に30名、タイム差30秒以内に54名という僅差のまま、ロマンディは残り2ステージを迎える。
第4ステージは標高1400mオーバーの1級山岳が3つ登場するクイーンステージ。そして最終第5ステージは1級山岳を含む山岳個人タイムトライアル。ウィギンズが総合優勝候補の筆頭であることに変わりはないが、まだまだ多くの選手に可能性が残されていると言える。
そんな中、この日はヤコブ・フグルサング(デンマーク、レディオシャック・ニッサン)がスタートしなかった。膝に痛みを抱えるフグルサングは、エースとして挑む予定だったジロ・デ・イタリアの出場もキャンセルしている。
レースの模様はフォトギャラリーにて!
ツール・ド・ロマンディ2012第3ステージ結果
1位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、ラボバンク) 3h58'29"
2位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、ロット・ベリソル)
3位 パオロ・ティラロンゴ(イタリア、アスタナ)
4位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ)
5位 バウク・モレマ(オランダ、ラボバンク)
6位 リナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル)
7位 マチェイ・パテルスキー(ポーランド、リクイガス・キャノンデール)
8位 ジャンパオロ・カルーゾ(イタリア、カチューシャ)
9位 ゴルカ・ベルドゥーゴ(スペイン、エウスカルテル)
10位 ファブリス・ジャンデボス(フランス、ソール・ソジャサン)
83位 別府史之(日本、グリーンエッジ) +1'40"
個人総合成績
1位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) 12h40'31"
2位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、ラボバンク) +01"
3位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームスカイ) +07"
4位 バウク・モレマ(オランダ、ラボバンク) +09"
5位 スタフ・クレメント(オランダ、ラボバンク)
6位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ) +11"
7位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ラボバンク)
8位 デーヴィット・ザブリスキー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ) +12"
9位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)
10位 ルーベン・プラサ(スペイン、モビスター)
105位 別府史之(日本、グリーンエッジ) +10'15"
スプリント賞
ガティス・スムクリス(ラトビア、カチューシャ)
山岳賞
ラルスイティング・バク(デンマーク、ロット・ベリソル)
新人賞
アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ)
チーム総合成績
チームスカイ
text&photo:Kei Tsuji in Charmey, Switzerland
スタート地点ラ・ヌーヴヴィルは、ちょうどフランス語圏とドイツ語圏を分つビール湖の畔にある。ツール・ド・ロマンディ第3ステージは、4月27日、そんなラ・ヌーヴヴィルから山間の街シャルメイまでの157.6kmで行なわれた。
前日のスタート前にステムの高さを数ミリ上げ、SRMパワーセンサーでパワーアップを確認した別府史之(グリーンエッジ)。この日はフォークを交換し、更に数ミリ上げた。それでも昨年のポジションよりも低い状態だと言う。最善を求め、ジロ・デ・イタリアに向けて試行錯誤している。
スタート前に、グリーンエッジのメカニックが黒いビニールテープをSRMメーターに貼っている。「数値が見えると集中出来ない」という理由で、メカニックにその作業を頼んだのはリー・ハワード(オーストラリア)。それが功を奏したかどうかは定かではないが、ハワードは逃げに乗ることに成功する。
5人の逃げグループの中に入ったハワードは、総合で3分43秒遅れ。この日もチームスカイのダニー・ペイト(アメリカ)やジェレイント・トーマス(イギリス)ががメイン集団の先頭に立ち、逃げとのタイム差に目を配りながらペースを調整する。
3つのカテゴリー山岳を含み、ゴールに向かって登りが続くコースで勝ち目が無いと踏んだ世界チャンピオンのマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)も、アシストとして集団牽引に参加する。リーダージャージを着るブラドレー・ウィギンズ(イギリス)は「カヴはチャンピオンとしての資質を見せてくれた。世界チャンピオンの背中を見て走るのは特別なこと。しかも全力を出してくれた」とその走りを讃える。
結局ハワードら5人の逃げは、ラボバンクやランプレ・ISDの集団コントロール参加も手伝って、シャルメイに至る登り口で吸収された。
カテゴライズされていないものの、ラスト6kmからラスト3kmにかけて、高低差170mを一気に駆け上がるゴール前のコースレイアウト。
ここで総合で危険度の高いサイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)とロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ)がアタックし、ウィギンズを引き離しにかかる。
一方のメイン集団は、チームスカイのリッチー・ポルト(オーストラリア)とマイケル・ロジャース(オーストラリア)の2人が淡々とハイペースを刻み、ウィギンズをエスコートする。
スピラックとクロイツィゲルの吸収後に飛び出したヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、アスタナ)も、ゴール前の緩斜面で吸収された。
ラスト1kmを切り、比較的フラットな最終ストレートになだれ込む70名ほどの大集団。「安全に集団で走りきることが最優先事項であり、ステージ優勝は狙わなかった」と話すウィギンズが番手を下げる中、スプリントで飛び出したLLサンチェスがジャンニ・メールスマン(ベルギー、ロット・ベリソル)を振り切った。
前日の第2ステージでスプリントに絡みながらも3位に終わっていたLLサンチェス。レース後の記者会見で「第1ステージはゴール前でスポークが折れて勝負に絡めず、昨日も惜しいところで敗れた。それでも変わらずチームメイトたちは自分を信頼してくれている。彼らの奮闘に勝利で応えたかった」とコメントする。
また、10秒のボーナスタイムを得たLLサンチェスは、ウィギンズと1秒差の総合2位にジャンプアップした。タイム差10秒以内に5名、タイム差20秒以内に30名、タイム差30秒以内に54名という僅差のまま、ロマンディは残り2ステージを迎える。
第4ステージは標高1400mオーバーの1級山岳が3つ登場するクイーンステージ。そして最終第5ステージは1級山岳を含む山岳個人タイムトライアル。ウィギンズが総合優勝候補の筆頭であることに変わりはないが、まだまだ多くの選手に可能性が残されていると言える。
そんな中、この日はヤコブ・フグルサング(デンマーク、レディオシャック・ニッサン)がスタートしなかった。膝に痛みを抱えるフグルサングは、エースとして挑む予定だったジロ・デ・イタリアの出場もキャンセルしている。
レースの模様はフォトギャラリーにて!
ツール・ド・ロマンディ2012第3ステージ結果
1位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、ラボバンク) 3h58'29"
2位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、ロット・ベリソル)
3位 パオロ・ティラロンゴ(イタリア、アスタナ)
4位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ)
5位 バウク・モレマ(オランダ、ラボバンク)
6位 リナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル)
7位 マチェイ・パテルスキー(ポーランド、リクイガス・キャノンデール)
8位 ジャンパオロ・カルーゾ(イタリア、カチューシャ)
9位 ゴルカ・ベルドゥーゴ(スペイン、エウスカルテル)
10位 ファブリス・ジャンデボス(フランス、ソール・ソジャサン)
83位 別府史之(日本、グリーンエッジ) +1'40"
個人総合成績
1位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) 12h40'31"
2位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、ラボバンク) +01"
3位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームスカイ) +07"
4位 バウク・モレマ(オランダ、ラボバンク) +09"
5位 スタフ・クレメント(オランダ、ラボバンク)
6位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ) +11"
7位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ラボバンク)
8位 デーヴィット・ザブリスキー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ) +12"
9位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)
10位 ルーベン・プラサ(スペイン、モビスター)
105位 別府史之(日本、グリーンエッジ) +10'15"
スプリント賞
ガティス・スムクリス(ラトビア、カチューシャ)
山岳賞
ラルスイティング・バク(デンマーク、ロット・ベリソル)
新人賞
アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ)
チーム総合成績
チームスカイ
text&photo:Kei Tsuji in Charmey, Switzerland
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