悪天候に見舞われたアルデンヌ前哨戦　ヴォクレールが35km独走勝利

「アルデンヌ・クラシック」の前哨戦として知られるブラバンツ・ペイル（UCI1.HC）が、4月11日、起伏に富んだ196kmコースで開催された。ゴールまで距離を残して飛び出し、独走に持ち込んだのはトマ・ヴォクレール（フランス、ユーロップカー）。ユーロップカーのキャプテンが今シーズン初勝利を飾った。

スタートを待つフィリップ・ジルベール（ベルギー、BMCレーシングチーム） photo:Cor Vosブラバンツ・ペイルは、ベルギーのフランドル地方を舞台にしたセミクラシックレース。フランス語でラ・フレーシュ・ブラバンソンヌ（ブラバントの矢）と呼ばれる。

このブラバンツ・ペイルを期に、ベルギー／オランダのレース熱は、起伏に富んだクラシックへと移行する。週末のアムステル・ゴールドレースを皮切りにした「アルデンヌ・クラシック」の前哨戦だ。

メイン集団をコントロールするBMCレーシングチーム photo:Cor Vosレースの舞台となるのは、ベルギーの首都ブリュッセル南東に広がる丘陵地帯。

ルーヴェンからオーベレルエイセに至る196kmのコースには、合計28カ所の短い登りが設定されている。特にゴール前の12.8km周回コースはアップダウンの連続で、4つの坂が詰め込まれたこの周回を5周。最後は名物「シャヴェイ」を駆け上がってゴールを迎える。

降りしきる雨の中を走るプロトン photo:Cor Vos移り気な天候に見舞われたレース当日。時折雨やアラレが降る悪天候の中、多くの選手が落車に見舞われた。レース後半にアンディ・シュレク（ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン）やペーター・サガン（スロバキア、リクイガス・キャノンデール）が落車。ともに大怪我を免れたが、今後のレースへの影響が心配される。

フィリップ・ジルベール（ベルギー）をはじめとするBMCレーシングチーム勢のアタックは決まらず、決定的な動きはゴールまで35kmを残して生まれる。序盤から逃げていた選手たちとのタイム差を1分差に詰めたメイン集団から、トマ・ヴォクレール（フランス、ユーロップカー）がアタック。

ゴールに飛び込むトマ・ヴォクレール（フランス、ユーロップカー） photo:Riccardo Scanferla一躍先頭に立ったヴォクレールは、後続を引き離し、そのまま独走に持ち込む。最終的に後続を1分11秒引き離す独走で、オーベレルエイセのゴール地点に飛び込んだ。

最終周回で単独追走したファビオアンドレス・ドゥアルテ（コロンビア、コロンビア・コルデポルテス）はゴール前で吸収。熾烈を極めた2位争いは、2005年から大会3連覇を飾ったオスカル・フレイレ（スペイン、カチューシャ）が制している。

今シーズン初勝利を飾ったヴォクレールは「自らアタックしたのではなく、気がついたら集団から飛び出していた。集団に引き戻されると思ったけど、そこから全力で踏み続けた。とても幸せな気分だ」とコメント。ユーロップカーは今シーズン4勝目を手にしている。

ディフェンディングチャンピオンのジルベールは1分58秒遅れの12位でゴール。今シーズンここまで不調に終わっているジルベールが、昨年圧倒的な力で3連勝を飾ったアルデンヌ・クラシックに向けて徐々に調子を戻している。

フィリップ・ジルベール（ベルギー、BMCレーシングチーム） photo:Riccardo Scanferlaペーター・サガン（スロバキア、リクイガス・キャノンデール） photo:Riccardo Scanferlaアンディ・シュレク（ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン） photo:Riccardo Scanferla


レース展開はストリーミング、選手コメントはユーロップカー公式サイトより。

ブラバンツ・ペイル2012結果
1位　トマ・ヴォクレール（フランス、ユーロップカー）　　　　　　　　　　　　　4h49'07"
2位　オスカル・フレイレ（スペイン、カチューシャ）　　　　　　　　　　　　　　　+1'11"
3位　ピーター・セリー（ベルギー、トップスポート・フラーンデレン）
4位　ファビオアンドレス・ドゥアルテ（コロンビア、コロンビア・コルデポルテス）　+1'14"
5位　フレフ・ファンアフェルマート（ベルギー、BMCレーシングチーム）　　　　　　+1'17"
6位　アレックス・ハウズ（アメリカ、ガーミン・バラクーダ）
7位　イェーレ・ファネンデルト（ベルギー、ロット・ベリソル）
8位　ドリス・デヴェナインス（ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ）
9位　ローレンス・テンダム（オランダ、ラボバンク）　　　　　　　　　　　　　　　+1'27"
10位　マイケル・マシューズ（オーストラリア、ラボバンク）　　　　　　　　　　　 +1'54"

text:Kei Tsuji
photo:Riccardo Scanferla, Cor Vos