2012/03/25(日) - 08:20
ミハエル・アルバジーニ(スイス、グリーンエッジ)が総合リードを守る中、混沌としているのが総合表彰台を懸けた争い。総合2位から総合15位まで全員同じ1分32秒遅れという拮抗状態を抜け出したのは、北京五輪金メダリストのサムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)。集団を振り切る勝利で、総合2位に浮上した。
コース上の交通事故によりレースが38分間ストップ
「すでにスプリンターがリタイアしているので、集団スプリントになれば、一番スピードのあるユキ(土井雪広)で狙う」と、プロジェクト1t4iのクリスティアン・ギベルトー監督は難しい顔で答えた。「ユキは第4・第5ステージで先頭集団に残れなかったが、今日のコースレイアウトだと大丈夫だ。50名ほどの集団でスプリントになればチャンスはある」。
3月24日、ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ第6ステージが、マンレザ郊外のサントフルイトス・デル・バヘスから、バルセロナ近郊のバダローナまでの169.4kmで行なわれた。
前半は内陸の山岳地帯で、3級のカテゴライズされた山岳を含め、標高500mほどの峠を連続して越える。海に向かう後半は比較的フラットだが、ラスト22km地点で2級山岳コンレリアを越える。
2級山岳コンレリアで人数を減らし、バダローナのテクニカルな周回コースで小集団スプリント、というのがおおよその筋書き。その展開に持ち込まれた場合、プロジェクト1t4iのエースは土井雪広に託される。
現在レースに残っているのは125名。すでに60名近くがリタイアしており、多くのチームがスプリンターを欠いた状態。ちなみに、第3ステージで大量リタイア者を出したロット・ベリソルとチームスカイは、僅かに3名ずつしかレースに残せていない。
「昨日は前半から思うように走れませんでしたが、今日は大丈夫。自分はアルバジーニを守るのが役目。スプリントに興味を示すチームが集団をコントロールするはずです」。晴れやかな太陽の下、晴れやかな表情で別府史之(グリーンエッジ)はそう話す。
この日もレース序盤からアタックの応酬。別府と土井は集団前方に位置し、大きな動きに目を配る。「4〜5人の動きはいいけど、6〜7人の動きがあると(逃げとして人数が)多いので、集団を率いてギャップを縮めるのが自分の仕事でした」と別府。
ようやくアタックが決まったのは40km地点。セドリック・ピノー(フランス、FDJ・ビッグマット)とダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス)にミカエル・シュレル(フランス、アージェードゥーゼル)が加わって先頭は3名。タイム差はすぐさま3分まで広がる。
しばらく平穏にレースは進行していたが、70km地点でトラブル発生。コースを先行する警察バイクと普通車が正面衝突を起こし、負傷者が救急車とヘリで搬送される事態に。コースが一時寸断されたため、レースは38分間にわたってストップした。負傷者に関して、命に別状は無いとの情報が入っている。
58名の精鋭集団から飛び出した金メダリストサンチェス
レースは中断前と同じタイム差でリスタートしたが、リズムを崩した先頭3名は、ゴール50km手前で吸収。ユッシ・ヴェッカネン(フィンランド、FDJ・ビッグマット)やヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、アスタナ)がカウンターアタックで飛び出すも、2級山岳コンレリアまでに吸収される。
2級山岳で決定的なアタックは生まれず、メイン集団は60名弱ほどに絞られた状態で頂上をクリア。バダローナの周回コースに入る。
短い登りと下りが組み合わさった周回コースで、ゴールまで2kmを残し、サンチェスがアタック。一発でアタックを成功させたサンチェスは、コーナーでさらに差を広げ、数秒のリードでフラットな最終ストレートへ。
「五輪金メダリストのサンチェスが先行!」という高らかなアナウンスが鳴り響く中、追いすがる集団を振り切ったサンチェスがガッツポーズ。2秒差をつけてゴールした。
エウスカルテルに貴重なシーズン1勝目をもたらしたサンチェス。ステージ優勝の他にも、タイム差2秒による総合2位ジャンプアップというボーナスを得た。なお、これによりUCIプロチームの中でシーズン0勝はアージェードゥーゼルだけとなる。
先頭集団中程の30位でゴールした土井は「ラスト2.5kmのコーナーでチームメイトからはぐれ、番手を下げてしまった。あれほど大きな集団でスプリントしたことがなく、位置取りが出来ずにスプリントに絡めなかった」と、スプリントへの挑戦を振り返る。「最終日も伸び伸び思いっきり走ります!」
別府は、集団スプリントで先頭ゴールしたアラン・デーヴィス(オーストラリア)の位置取りに力を使い、32位でゴール。「最後は自分と(クリスティアン)メイヤーと(ダリル)インペイの3人でデーヴィスを前に連れて行った。スプリントに向けての動きは良かったと思う」と話す。
アルバジーニは堅実にリーダージャージを守り、グリーンエッジはミラノ〜サンレモに続くUCIワールドツアーレース制覇に王手。
別府は「明日はコースが短くて速い展開になると思う。前半はランカスターとデーヴィス、そして中盤にかけて自分とインペイが集団をコントロール。アルバジーニはクライマーではないけど、調子が良い。問題なく最後までリードを守れると思う」と、最終日に目を向けた。
ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ2012第6ステージ
1位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル) 4h04'50"
2位 アラン・デーヴィス(オーストラリア、グリーンエッジ) +02"
3位 ジュリアン・シモン(フランス、ソール・ソジャサン)
4位 フアンホセ・アエド(アルゼンチン、チームサクソバンク)
5位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD)
6位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、アスタナ)
7位 ファビオ・サバティーニ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
8位 ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・バラクーダ)
9位 ダヴィデ・アッポローニオ(イタリア、チームスカイ)
10位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル)
30位 土井雪広(日本、プロジェクト1t4i)
32位 別府史之(日本、グリーンエッジ)
個人総合成績
1位 ミハエル・アルバジーニ(スイス、グリーンエッジ) 21h28'43"
2位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル) +1'30"
3位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル) +1'32"
4位 ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・バラクーダ)
5位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、チームスカイ)
6位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD)
7位 セルヒオ・パルディージャ(スペイン、モビスター)
8位 ロベルト・キセロフスキー(クロアチア、アスタナ)
9位 ダリオ・カタルド(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)
10位 マッテーオ・カラーラ(イタリア、ヴァカンソレイユ・DCM)
44位 土井雪広(日本、プロジェクト1t4i) +10'36"
109位 別府史之(日本、グリーンエッジ) +41'17"
山岳賞
クリスアンケル・セレンセン(デンマーク、チームサクソバンク)
スプリント賞
トマシュ・マルチンスキー(ポーランド、ヴァカンソレイユ・DCM)
チーム総合成績
ガーミン・バラクーダ
text&photo:Kei Tsuji in Badalona, Spain
コース上の交通事故によりレースが38分間ストップ
「すでにスプリンターがリタイアしているので、集団スプリントになれば、一番スピードのあるユキ(土井雪広)で狙う」と、プロジェクト1t4iのクリスティアン・ギベルトー監督は難しい顔で答えた。「ユキは第4・第5ステージで先頭集団に残れなかったが、今日のコースレイアウトだと大丈夫だ。50名ほどの集団でスプリントになればチャンスはある」。
3月24日、ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ第6ステージが、マンレザ郊外のサントフルイトス・デル・バヘスから、バルセロナ近郊のバダローナまでの169.4kmで行なわれた。
前半は内陸の山岳地帯で、3級のカテゴライズされた山岳を含め、標高500mほどの峠を連続して越える。海に向かう後半は比較的フラットだが、ラスト22km地点で2級山岳コンレリアを越える。
2級山岳コンレリアで人数を減らし、バダローナのテクニカルな周回コースで小集団スプリント、というのがおおよその筋書き。その展開に持ち込まれた場合、プロジェクト1t4iのエースは土井雪広に託される。
現在レースに残っているのは125名。すでに60名近くがリタイアしており、多くのチームがスプリンターを欠いた状態。ちなみに、第3ステージで大量リタイア者を出したロット・ベリソルとチームスカイは、僅かに3名ずつしかレースに残せていない。
「昨日は前半から思うように走れませんでしたが、今日は大丈夫。自分はアルバジーニを守るのが役目。スプリントに興味を示すチームが集団をコントロールするはずです」。晴れやかな太陽の下、晴れやかな表情で別府史之(グリーンエッジ)はそう話す。
この日もレース序盤からアタックの応酬。別府と土井は集団前方に位置し、大きな動きに目を配る。「4〜5人の動きはいいけど、6〜7人の動きがあると(逃げとして人数が)多いので、集団を率いてギャップを縮めるのが自分の仕事でした」と別府。
ようやくアタックが決まったのは40km地点。セドリック・ピノー(フランス、FDJ・ビッグマット)とダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス)にミカエル・シュレル(フランス、アージェードゥーゼル)が加わって先頭は3名。タイム差はすぐさま3分まで広がる。
しばらく平穏にレースは進行していたが、70km地点でトラブル発生。コースを先行する警察バイクと普通車が正面衝突を起こし、負傷者が救急車とヘリで搬送される事態に。コースが一時寸断されたため、レースは38分間にわたってストップした。負傷者に関して、命に別状は無いとの情報が入っている。
58名の精鋭集団から飛び出した金メダリストサンチェス
レースは中断前と同じタイム差でリスタートしたが、リズムを崩した先頭3名は、ゴール50km手前で吸収。ユッシ・ヴェッカネン(フィンランド、FDJ・ビッグマット)やヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、アスタナ)がカウンターアタックで飛び出すも、2級山岳コンレリアまでに吸収される。
2級山岳で決定的なアタックは生まれず、メイン集団は60名弱ほどに絞られた状態で頂上をクリア。バダローナの周回コースに入る。
短い登りと下りが組み合わさった周回コースで、ゴールまで2kmを残し、サンチェスがアタック。一発でアタックを成功させたサンチェスは、コーナーでさらに差を広げ、数秒のリードでフラットな最終ストレートへ。
「五輪金メダリストのサンチェスが先行!」という高らかなアナウンスが鳴り響く中、追いすがる集団を振り切ったサンチェスがガッツポーズ。2秒差をつけてゴールした。
エウスカルテルに貴重なシーズン1勝目をもたらしたサンチェス。ステージ優勝の他にも、タイム差2秒による総合2位ジャンプアップというボーナスを得た。なお、これによりUCIプロチームの中でシーズン0勝はアージェードゥーゼルだけとなる。
先頭集団中程の30位でゴールした土井は「ラスト2.5kmのコーナーでチームメイトからはぐれ、番手を下げてしまった。あれほど大きな集団でスプリントしたことがなく、位置取りが出来ずにスプリントに絡めなかった」と、スプリントへの挑戦を振り返る。「最終日も伸び伸び思いっきり走ります!」
別府は、集団スプリントで先頭ゴールしたアラン・デーヴィス(オーストラリア)の位置取りに力を使い、32位でゴール。「最後は自分と(クリスティアン)メイヤーと(ダリル)インペイの3人でデーヴィスを前に連れて行った。スプリントに向けての動きは良かったと思う」と話す。
アルバジーニは堅実にリーダージャージを守り、グリーンエッジはミラノ〜サンレモに続くUCIワールドツアーレース制覇に王手。
別府は「明日はコースが短くて速い展開になると思う。前半はランカスターとデーヴィス、そして中盤にかけて自分とインペイが集団をコントロール。アルバジーニはクライマーではないけど、調子が良い。問題なく最後までリードを守れると思う」と、最終日に目を向けた。
ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ2012第6ステージ
1位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル) 4h04'50"
2位 アラン・デーヴィス(オーストラリア、グリーンエッジ) +02"
3位 ジュリアン・シモン(フランス、ソール・ソジャサン)
4位 フアンホセ・アエド(アルゼンチン、チームサクソバンク)
5位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD)
6位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、アスタナ)
7位 ファビオ・サバティーニ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
8位 ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・バラクーダ)
9位 ダヴィデ・アッポローニオ(イタリア、チームスカイ)
10位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル)
30位 土井雪広(日本、プロジェクト1t4i)
32位 別府史之(日本、グリーンエッジ)
個人総合成績
1位 ミハエル・アルバジーニ(スイス、グリーンエッジ) 21h28'43"
2位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル) +1'30"
3位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル) +1'32"
4位 ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・バラクーダ)
5位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、チームスカイ)
6位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD)
7位 セルヒオ・パルディージャ(スペイン、モビスター)
8位 ロベルト・キセロフスキー(クロアチア、アスタナ)
9位 ダリオ・カタルド(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)
10位 マッテーオ・カラーラ(イタリア、ヴァカンソレイユ・DCM)
44位 土井雪広(日本、プロジェクト1t4i) +10'36"
109位 別府史之(日本、グリーンエッジ) +41'17"
山岳賞
クリスアンケル・セレンセン(デンマーク、チームサクソバンク)
スプリント賞
トマシュ・マルチンスキー(ポーランド、ヴァカンソレイユ・DCM)
チーム総合成績
ガーミン・バラクーダ
text&photo:Kei Tsuji in Badalona, Spain
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