2012年3月11日、今大会のクイーンステージとなるティレーノ~アドリアティコ第5ステージの上りゴールを制したのはヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)だった。

ポイント賞ジャージを着るペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)ポイント賞ジャージを着るペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) photo:RCS sportティレーノ~アドリアティコ第5ステージは、マルティン・スクーロを出発し、2つの山岳ポイントを経由して標高1033mのプラーティ・ディ・ティーボの山頂ゴールを迎える、全196kmの今大会最難関ステージだ。有力勢による、総合を懸けた白熱の上り勝負が期待された。

前日エスケープグループに入り、最後まで1人逃げ続けたパヴェル・ブラット(ロシア、カチューシャ)はスタートせず。現地時間9時55分、太陽の光が降り注ぐアドリア海沿いの街マルティン・スクーロから全171名の選手たちがスタートを切った。

アドリア海を背に山岳地帯へと進むアドリア海を背に山岳地帯へと進む photo:RCS sportレース序盤に逃げグループを形成したのは、イェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・ベリソル)、エゴイ・マルティネス(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)、クリストフ・ホダールト(ベルギー、アージェードゥーゼル・ラモンディアール)。

3名は協力しあい、集団に対して最大10分のリードを稼ぎ出した。

雪の残るプラーティ・ディ・ティーボを登るメイングループ雪の残るプラーティ・ディ・ティーボを登るメイングループ photo:RCS sportメイン集団は逃げとの差が拡大すると、ヴィンツェンツォ・ニーバリでの勝利を狙うリクイガス・キャノンデールがコントロールを開始し、タイム差を徐々に詰めていく展開に。63.8km地点に設定された標高424mのアトリ峠の山岳ポイントはホダールトが1位通過。

後方では山岳賞ジャージを着るステファノ・ピラッツィ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)がメイン集団の先頭でアトリ峠を通過し、1ポイントを獲得した。

残り4km地点から飛び出したヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)残り4km地点から飛び出したヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) photo:RCS sport続く161km地点の第2山岳に差し掛かった時点でもレースの構図は変わらず。平均勾配4.7%、距離20.3kmのピアーノ・ロゼト峠はマルティネスが先頭で通過した。この下りでホダールトが遅れ、先頭は2人となる。メイン集団ではホーナーがペースを上げ、メンバーのセレクションをかける。

頂上ゴールが設定せれた最終のプラーティ・ディ・ティーボに突入するとメイン集団のペースが急激に上がり、タイム差は一気に減少。ピーター・ベリトスで勝利を狙うオメガファーマ・クイックステップが牽く集団は、残り10.5kmで逃げる2人を飲み込んだ。

このペースアップによって25人ほどまで縮小したメイン集団からは、まず残り8km地点でホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)がアタック。しかし大きなリードは奪うことが出来ず、パオロ・ティラロンゴ(イタリア、アスタナ)が替わって先頭に立った。

独走でゴールへ飛び込むヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)独走でゴールへ飛び込むヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) photo:RCS sport集団からはウラディミール・グセフ(ロシア、カチューシャ)と、総合10位につけるリナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル・ラモンディアール)がティラロンゴを追走する動きをみせるものの、ペースの上がった集団は2人をキャッチ。

この動きでステファノ・ガルゼッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)が集団から脱落した。

リーダージャージを守ったクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・ニッサン)リーダージャージを守ったクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・ニッサン) photo:RCS sport残り4kmを切ると有力勢のみに絞られた集団から、満を持してニーバリがアタックしティラロンゴをパス。

後方からはロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ)とホーナーが追走するものの前を行くニーバリを捉えることが出来ず、ニーバリがプラーティ・ディ・ティーボの山頂ゴールへと独走で飛び込んだ。

ホーナーはクロイツィゲルと共に16秒遅れでゴール。ニーバリに12秒差、クロイツィゲルに対して5秒差でリーダージャージを守っている。

「昨日勝利を挙げたサガンを始め、チームはボクのために素晴らしい動きをしてくれたんだ。ステージを勝つことができて嬉しいよ。ホーナーとのタイム差は12秒。最終ステージのタイムトライアルに全力を尽くすよ。」とはステージ優勝をしたニーバリ。

総合首位を守ったホーナーは、「ボクとロマン(クロイツィゲル)のタイムトライアルは同等レベル。全力を尽くせば良い結果が見えてくるはず。」と語る。

総合上位3人がタイム差12秒以内にひしめき合う総合争い。翌第6ステージをまたぎ、明後日に控える最終の9.3kmのタイムトライアルでは、総合優勝を決める激しい戦いが繰り広げられる。

コメントはレース公式リリースより。


ティレーノ~アドリアティコ2012第5ステージ結果
1位 ヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) 5h46'33"
2位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ) +16”
3位 クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・ニッサン)
4位 ジョニー・フーガーランド(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)          +18"
5位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD)
6位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(コルナゴ・CFSイノックス)
7位 リナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル・ラモンディアール)  +23"
8位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)                  +37"
9位 クリストフ・リブロン(フランス、アージェードゥーゼル・ラモンディアール)
10位 ワウテル・ポエルス(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)            +53"

個人総合成績
1位 クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・ニッサン)      24h28'39"    
2位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ)                     +05"
3位 ヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)         +12"
4位 リナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル・ラモンディアール)   +45"
5位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD)                 +47"
6位 ジョニー・フーガーランド(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)  +48"
7位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)                 +1'00"
8位 クリストフ・リブロン(フランス、アージェードゥーゼル・ラモンディアール) +1'10"
9位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(コルナゴ・CFSイノックス)             +1'17"
10位 キャメロン・マイヤー(オーストラリア、グリーンエッジ)             +1'23"

山岳賞
ステファノ・ピラッツィ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)

ポイント賞
ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)

新人賞
キャメロン・マイヤー(オーストラリア、グリーンエッジ)



text:So.Isobe
photo:RCS sport

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