2011/12/03(土) - 09:05
ツール・ド・フランスで5回の総合優勝に輝いたフランスの英雄、ベルナール・イノー氏が来日。12月2日、六本木ヒルズにて報道関係者に向けて、2012年のコースプレゼンテーションを行った。
イノー氏によるコースプレゼンテーションが開催された
師走の冷たい風に、クリスマスの華やかなデコレーションが映える六本木ヒルズの一室で、ロードレース中継でお馴染みのジェイスポーツ主催による「J SPORTS presents ツール・ド・フランス2012 コースプレゼンテーション」が開催された。
フランスからのスペシャルゲストはベルナール・イノー氏。ツール・ド・フランスのスペシャリストであるイノー氏の解説で2012年ツール・ド・フランスのコースが紹介された。招待されたのは報道関係者に加え、幸運にも抽選によって選ばれた10組20名の視聴者たち。またロードバイクにも挑戦しているというモデル、長谷川理恵さんを交えて、笑い声の絶えないアットホームな発表会となった。
まず会場で上映されたのは2011年、今年のツール・ド・フランスのハイライト映像。コンタドールの失速に、トマ・ヴォクレールの躍進、アンディ・シュレクがマイヨジョーヌを獲得しながらも、最終日前のタイムトライアル敗れ、エヴァンスが涙ながらにマイヨジョーヌに袖を通すシーンなど、ドラマチックな映像が映し出され、会場全体がツール・ド・フランスの魅力に吸い込まれたところで、メインイベントであるコースプレゼンテーションが始まった。
2012年のツール・ド・フランスをイノー氏が徹底解説
コースプレゼンテーションを終えたところで、イノー氏による貴重なコース説明が付け加えられた。
ーイノーさんの優勝候補予想は誰ですか?
まずはエヴァンス、そしてコンタドールにシュレク兄弟。それからときどき注目されているウィギンス。そんな名前が上がってきますね。
ーもし選手ならどのように来年のコースを攻略しますか?
コースのすべての要素を生かしたいと思います。まずは海沿いの風を利用します。それから2つのタイムトライアル、頂上ゴールも生かします。つまり、このツールはどこでも勝利するチャンスのあるコース設定なんです。
ー来年のコースは序盤からスパイスが利いているようですが…?
第1,2ステージは比較的平坦ですが、第3ステージのゴール、ブローニュ・シュル・メールはかなりの丘の上です。また第7ステージの山頂ゴール、プランシェ・デ・ベルフィーユはツールが初めて訪れる街。第8ステージ、スイスのポラントリュイに向かうコースもかなり激しい上りが連続しまし、山岳ステージにも多くの未知なる峠が含まれています。ですので、今回のツールでは、選手にとってサプライズとなるような、大変難しい山岳区間が含まれているのです。
ーハイライトとなるような2つの峠を上げました。この解説をお願いします。
●コロンビエール峠(10ステージ)
これが決定的なステージになるかはわかりませんが、きつい上りが続きますね。フランスでももっとも険しい峠のひとつで、12%の勾配が続きます。
●マドレーヌ峠(11ステージ)
トータルの距離は140kmですが、そのうち60kmが上りです。これはシュレク兄弟やコンタドールにチャンスのあるステージになるでしょう。羽がはえていたらどんなにいいステージになることでしょう!
また2012年のコースの特徴ですが、クライマーが早い段階から仕掛けないといけないコース設定になっているんです。最後のタイムトライアルを待っていると勝機を逃すことになるでしょう。序盤から勝ちを狙っていかないといけないコースです。
コンタドールや特定の選手が有利になるように設定したコースではありません。このコースを使いこなした選手が勝つのです。頭を使って走る選手が勝つのです。
ーイノーさんは頭のいい選手が好きなんですね?
レースを戦略的に戦える選手が好きですね。
ー現役でそのような選手はいますか?
うーん…頭のいい選手はいるでしょうかね…?一番優秀なのは自分ですが(笑)、冗談はさておいて…エバンスでしょう。シュレク兄弟にはもっと頑張ってほしいですね。
ー若い選手にチャンスはありますか?
2011年ピエール・ローラン選手に注目が集まりました。もっとたくさんの若いフランス人選手が出てきてほしいと思っています。シーズン始まる前は誰がグランデパールに立つかわかりませんが、ぜひ若い選手に頑張ってほしいと思います。
ー注目している若い選手は誰ですか?
ボアッソン・ハーゲン。彼には優勝候補を驚かせるような序盤のアタックに期待したいですね。そしてやはり、ピエール・ローランも注目です。彼は今年のラルプ・デュエズで勝利しています。この成果がまぐれではなかったことを証明してほしいですね。若手の中でもっとも注目しているのはこの2人です。
ー日本人選手が活躍のチャンスはありますか?
グランデパールに立つことができれば、全員にチャンスがあると思います。最初から優勝をめざして、ということではないと思いますが、少なくとも敢闘賞を狙える選手たちだと思います。それが第1目標になると思いますし、ぜひとも区間優勝をとってほしいと思いますね。
スペシャルゲスト・長谷川理恵さんとのトークショー
その後は、モデル・長谷川理恵さんとイノー氏によるトークセッション。長谷川さんはフルマラソンにも積極的に挑戦するアスリートでもある。トークセッションの抜粋をお届けしよう。
(長谷川理恵さん:以下 R)今年からトライアスロンを始めて、バイクにも乗り始めました。バイクに非常に興味がありますし、今日はイノーさんとお話しできることを楽しみにしてきました。よろしくお願いします。
ーフランスの印象は?
(R)小さい頃、5年間ベルギーに住んでいたことがあって、ヨーロッパの石畳のような古い街並みが好きですね。いろんな景色が楽しめるのがいいですね。
ーツール・ド・フランスのイメージは?
(R)熱い戦いというのがありますし、映像がとにかく美しいので、見ているだけで入り込んで、自分もレースをしている感覚になれるというのが、すごく面白いと思います。毎年、数々のドラマが生まれるのも見逃せないですし、選手たちの体型もいいですよねー。選手たちの無駄がそぎ落とされたような脚が本当にきれいで見ちゃいますね。素敵だと思います。
(ベルナール・イノー氏:以下 H)選手がそんな女性の目を意識できるかといえば、それどころじゃないと思います…(笑)。やっぱり勝利することで頭がいっぱいですから。
ただスピードがそれほどのっていないときは、沿道沿いの美しい女性に目が行きます。選手だって、夢を見る権利はありますよ!(笑)
ー来年のツール、どんなところを注目していますか?
(R)日本人の選手が今年は出ていないので、ぜひとも日本人選手の活躍を見てみたいな、と思いますね。イバラの道かと思いますが…。
(H)ぜひ、日本人のいるチームを招待したいところではありますが…ただ自分が決められるものではないんです。3、4チーム分ほどワイルド枠はあるんです。もし、日本人だけのチームができて、実力もあるなら、ぜひとも招待したいですね。
来年も素晴らしいツールになることを期待しています。熱い戦いが繰り広げられ、最後まで結果のわからないスリリングな展開になることを期待しています。みなさんと会場でお会いできることも楽しみにしています。
大満足のコースプレゼンテーション
内容がぎゅっと詰まった1時間ほどのコースプレゼンテーションはあっという間に終わりの時間を迎え、20名の視聴者には、イノー氏がフランスより持ってきてくれたというツール・ド・フランス限定グッズがプレゼントされた。
多忙なスケジュールのなか、強行日程で来日し、私たち自転車ファンに貴重なお話を聞かせてくれたベルナール・イノー氏、およびASOのフィリップ・スドル氏に感謝するとともに、来年のツール・ド・フランスがより一層楽しみになった夜だった。
またベルナール・イノー氏の独占インタビュー記事を追ってお届けする予定です。
photo&text : Sonoko TANAKA
イノー氏によるコースプレゼンテーションが開催された
師走の冷たい風に、クリスマスの華やかなデコレーションが映える六本木ヒルズの一室で、ロードレース中継でお馴染みのジェイスポーツ主催による「J SPORTS presents ツール・ド・フランス2012 コースプレゼンテーション」が開催された。
フランスからのスペシャルゲストはベルナール・イノー氏。ツール・ド・フランスのスペシャリストであるイノー氏の解説で2012年ツール・ド・フランスのコースが紹介された。招待されたのは報道関係者に加え、幸運にも抽選によって選ばれた10組20名の視聴者たち。またロードバイクにも挑戦しているというモデル、長谷川理恵さんを交えて、笑い声の絶えないアットホームな発表会となった。
まず会場で上映されたのは2011年、今年のツール・ド・フランスのハイライト映像。コンタドールの失速に、トマ・ヴォクレールの躍進、アンディ・シュレクがマイヨジョーヌを獲得しながらも、最終日前のタイムトライアル敗れ、エヴァンスが涙ながらにマイヨジョーヌに袖を通すシーンなど、ドラマチックな映像が映し出され、会場全体がツール・ド・フランスの魅力に吸い込まれたところで、メインイベントであるコースプレゼンテーションが始まった。
2012年のツール・ド・フランスをイノー氏が徹底解説
コースプレゼンテーションを終えたところで、イノー氏による貴重なコース説明が付け加えられた。
ーイノーさんの優勝候補予想は誰ですか?
まずはエヴァンス、そしてコンタドールにシュレク兄弟。それからときどき注目されているウィギンス。そんな名前が上がってきますね。
ーもし選手ならどのように来年のコースを攻略しますか?
コースのすべての要素を生かしたいと思います。まずは海沿いの風を利用します。それから2つのタイムトライアル、頂上ゴールも生かします。つまり、このツールはどこでも勝利するチャンスのあるコース設定なんです。
ー来年のコースは序盤からスパイスが利いているようですが…?
第1,2ステージは比較的平坦ですが、第3ステージのゴール、ブローニュ・シュル・メールはかなりの丘の上です。また第7ステージの山頂ゴール、プランシェ・デ・ベルフィーユはツールが初めて訪れる街。第8ステージ、スイスのポラントリュイに向かうコースもかなり激しい上りが連続しまし、山岳ステージにも多くの未知なる峠が含まれています。ですので、今回のツールでは、選手にとってサプライズとなるような、大変難しい山岳区間が含まれているのです。
ーハイライトとなるような2つの峠を上げました。この解説をお願いします。
●コロンビエール峠(10ステージ)
これが決定的なステージになるかはわかりませんが、きつい上りが続きますね。フランスでももっとも険しい峠のひとつで、12%の勾配が続きます。
●マドレーヌ峠(11ステージ)
トータルの距離は140kmですが、そのうち60kmが上りです。これはシュレク兄弟やコンタドールにチャンスのあるステージになるでしょう。羽がはえていたらどんなにいいステージになることでしょう!
また2012年のコースの特徴ですが、クライマーが早い段階から仕掛けないといけないコース設定になっているんです。最後のタイムトライアルを待っていると勝機を逃すことになるでしょう。序盤から勝ちを狙っていかないといけないコースです。
コンタドールや特定の選手が有利になるように設定したコースではありません。このコースを使いこなした選手が勝つのです。頭を使って走る選手が勝つのです。
ーイノーさんは頭のいい選手が好きなんですね?
レースを戦略的に戦える選手が好きですね。
ー現役でそのような選手はいますか?
うーん…頭のいい選手はいるでしょうかね…?一番優秀なのは自分ですが(笑)、冗談はさておいて…エバンスでしょう。シュレク兄弟にはもっと頑張ってほしいですね。
ー若い選手にチャンスはありますか?
2011年ピエール・ローラン選手に注目が集まりました。もっとたくさんの若いフランス人選手が出てきてほしいと思っています。シーズン始まる前は誰がグランデパールに立つかわかりませんが、ぜひ若い選手に頑張ってほしいと思います。
ー注目している若い選手は誰ですか?
ボアッソン・ハーゲン。彼には優勝候補を驚かせるような序盤のアタックに期待したいですね。そしてやはり、ピエール・ローランも注目です。彼は今年のラルプ・デュエズで勝利しています。この成果がまぐれではなかったことを証明してほしいですね。若手の中でもっとも注目しているのはこの2人です。
ー日本人選手が活躍のチャンスはありますか?
グランデパールに立つことができれば、全員にチャンスがあると思います。最初から優勝をめざして、ということではないと思いますが、少なくとも敢闘賞を狙える選手たちだと思います。それが第1目標になると思いますし、ぜひとも区間優勝をとってほしいと思いますね。
スペシャルゲスト・長谷川理恵さんとのトークショー
その後は、モデル・長谷川理恵さんとイノー氏によるトークセッション。長谷川さんはフルマラソンにも積極的に挑戦するアスリートでもある。トークセッションの抜粋をお届けしよう。
(長谷川理恵さん:以下 R)今年からトライアスロンを始めて、バイクにも乗り始めました。バイクに非常に興味がありますし、今日はイノーさんとお話しできることを楽しみにしてきました。よろしくお願いします。
ーフランスの印象は?
(R)小さい頃、5年間ベルギーに住んでいたことがあって、ヨーロッパの石畳のような古い街並みが好きですね。いろんな景色が楽しめるのがいいですね。
ーツール・ド・フランスのイメージは?
(R)熱い戦いというのがありますし、映像がとにかく美しいので、見ているだけで入り込んで、自分もレースをしている感覚になれるというのが、すごく面白いと思います。毎年、数々のドラマが生まれるのも見逃せないですし、選手たちの体型もいいですよねー。選手たちの無駄がそぎ落とされたような脚が本当にきれいで見ちゃいますね。素敵だと思います。
(ベルナール・イノー氏:以下 H)選手がそんな女性の目を意識できるかといえば、それどころじゃないと思います…(笑)。やっぱり勝利することで頭がいっぱいですから。
ただスピードがそれほどのっていないときは、沿道沿いの美しい女性に目が行きます。選手だって、夢を見る権利はありますよ!(笑)
ー来年のツール、どんなところを注目していますか?
(R)日本人の選手が今年は出ていないので、ぜひとも日本人選手の活躍を見てみたいな、と思いますね。イバラの道かと思いますが…。
(H)ぜひ、日本人のいるチームを招待したいところではありますが…ただ自分が決められるものではないんです。3、4チーム分ほどワイルド枠はあるんです。もし、日本人だけのチームができて、実力もあるなら、ぜひとも招待したいですね。
来年も素晴らしいツールになることを期待しています。熱い戦いが繰り広げられ、最後まで結果のわからないスリリングな展開になることを期待しています。みなさんと会場でお会いできることも楽しみにしています。
大満足のコースプレゼンテーション
内容がぎゅっと詰まった1時間ほどのコースプレゼンテーションはあっという間に終わりの時間を迎え、20名の視聴者には、イノー氏がフランスより持ってきてくれたというツール・ド・フランス限定グッズがプレゼントされた。
多忙なスケジュールのなか、強行日程で来日し、私たち自転車ファンに貴重なお話を聞かせてくれたベルナール・イノー氏、およびASOのフィリップ・スドル氏に感謝するとともに、来年のツール・ド・フランスがより一層楽しみになった夜だった。
またベルナール・イノー氏の独占インタビュー記事を追ってお届けする予定です。
photo&text : Sonoko TANAKA
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