2011年10月8日、ツアー・オブ・北京第4ステージはトップスプリンターが集うゴールスプリントに持ち込まれ、トラック世界選手権スクラッチ銀メダリストの22歳エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)が勝利。チームメイトのペーター・サガン(スロバキア)が2位に入った。

逃げグループを形成するダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD)やティアゴ・マシャド(ポルトガル、レディオシャック)逃げグループを形成するダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD)やティアゴ・マシャド(ポルトガル、レディオシャック) riphoto:Sonoko Tanakaツアー・オブ・北京第4ステージは、北京北方の延慶(イェンチン)から順義(シュンイ)オリンピック水上公園までの今大会最長189.5km。中盤にかけてカテゴリー山岳が3級、2級、3級と続くが、ビッグスプリンターも問題なくクリアできるレベル。最後は2008年の北京五輪でカヌー競技が行なわれた水上公園にゴールする。

レースはティアゴ・マシャド(ポルトガル、レディオシャック)、イーリョ・ケイセ(ベルギー、クイックステップ)、フレデリック・フェヘレン(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)、ジュリアン・ベラール(フランス、アージェードゥーゼル)のエスケープで動き出す。

山岳地帯を離れて北京郊外へと向かう山岳地帯を離れて北京郊外へと向かう photo:Sonoko Tanakaこの4名には、遅れてダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD)とワン・メイイン(中国、中国ナショナルチーム)が合流。脚の揃った6名は最大5分のリードを稼ぎ出した。

総合で59秒遅れのマシャドがバーチャル総合首位に立ったものの、HTC・ハイロード率いるメイン集団がレース後半にかけて追いつめる。

HTC・ハイロードがコントロールを続けるメイン集団HTC・ハイロードがコントロールを続けるメイン集団 photo:Sonoko Tanakaリーダージャージを着るトニ・マルティン(ドイツ、HTC・ハイロード)は「逃げグループが大きすぎたので、レースのコントロールは容易ではなかった。吸収までに時間がかかったけど、チームが仕事をこなしてくれたおかげで、何も問題はなかった」と振り返る。スプリンターチームの助力を得たHTC・ハイロードは、ゴールまで距離を残して逃げを飲み込んだ。

チームスカイやカチューシャ、サクソバンク・サンガードが競り合うゴールスプリント。混戦の中を抜け出したリクイガス・キャノンデールが、ダヴィデ・チモライ(イタリア)、ペーター・サガン(スロバキア)の順でヴィヴィアーニを送り出す。発射台役のサガンが好位置をキープしたまま、ヴィヴィアーニが先頭でゴールに突進した。

矢を射るポーズでゴールするエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)矢を射るポーズでゴールするエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) photo:Sonoko Tanaka

ワールドツアーレース初勝利を飾ったエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)ワールドツアーレース初勝利を飾ったエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) photo:Sonoko Tanakaヴィヴィアーニはジュニア時代からロードとトラックを両立する若きスプリンター。昨年リクイガスでプロデビューし、早速メモリアル・マルコパンターニで優勝。ツアー・オブ・ターキーでもステージ優勝を飾っている。

今年はイタリア開幕戦GPエトゥルスキやインドのツール・ド・ムンバイで優勝。トラック世界選手権ではスクラッチで銀メダルを獲得した。

シャンパンのボトルを交わすトニ・マルティン(ドイツ、HTC・ハイロード)とデニス・ガリムジャノフ(ロシア、カチューシャ)シャンパンのボトルを交わすトニ・マルティン(ドイツ、HTC・ハイロード)とデニス・ガリムジャノフ(ロシア、カチューシャ) photo:Sonoko Tanaka「長い長いステージの締めくくりはハイスピードなスプリントだった。チームの働きはファンタスティックだったよ。プロ2年目の自分にとってこの上ない勝利。まだ若いので、来年はビッグレースのスプリントで勝利を狙いたい」と語るヴィヴィアーニはまだ22歳。ステージ2位の21歳サガンとともに、リクイガス・キャノンデールを代表するスプリンターだ。

この日も総合は動かず、マルティンは総合リードを守ったまま最終ステージに挑むことに。最終第5ステージは、北京の鳥の巣スタジアム前にゴールする118km。完全なフラットコースであり、再びスプリンターの闘いに持ち込まれる可能性が高い。

レース内容や選手コメントはレース公式リリースより。


ツアー・オブ・北京2011第4ステージ結果
1位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) 4h09'08"
2位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)
3位 フアンホセ・アエド(アルゼンチン、サクソバンク・サンガード)        
4位 デニス・ガリムジャノフ(ロシア、カチューシャ)
5位 アレクサンドル・ポルセフ(ロシア、カチューシャ)
6位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、BMCレーシングチーム)
7位 リー・ハワード(オーストラリア、HTC・ハイロード)
8位 マヌエーレ・モーリ(イタリア、ランプレ・ISD)
9位 エンリケ・サンス(スペイン、モビスター)
10位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、ガーミン・サーヴェロ)

個人総合成績
1位 トニ・マルティン(ドイツ、HTC・ハイロード)          11h19'27"
2位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・サーヴェロ)       +17"
3位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)             +26"
4位 スティーブ・クミングス(イギリス、チームスカイ)          +35"
5位 オリヴィエ・カイセン(ベルギー、オメガファーマ・ロット)      +39"
6位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、ラボバンク)          +41"
7位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼル)     +43"
8位 アンドレー・グリブコ(ウクライナ、アスタナ)
9位 ダリオ・カタルド(イタリア、クイックステップ)
10位 ニキ・テルプストラ(オランダ、クイックステップ)         +46"

ポイント賞
デニス・ガリムジャノフ(ロシア、カチューシャ)

山岳賞
イゴール・アントン(スペイン、エウスカルテル)

新人賞
ベンジャミン・キング(アメリカ、レディオシャック)

チーム総合成績
チームスカイ

text:Kei Tsuji
photo:Sonoko Tanaka