2011/10/08(土) - 09:58
連日トップ選手たちの闘いが繰り広げられてるツアー・オブ・北京は、ほぼ無名だった8名で構成された中国ナショナルチームがヨーロッパのトップライダーに挑む5日間でもある。将来的なプロの中国人選手、ならびに中国のプロチーム結成に向けて大きな一歩だ。
チームマネージャーのニウ・ホンタオ氏 photo:Gregor Brown「彼らにとって、ハイレベルなレースに出場するのは初めての経験なんだ」。そう語るのはチームマネージャーのニウ・ホンタオ氏。「選手たちはこのチャンスにワクワクしながら挑んでいる。多くを学ぶ素晴らしいチャンスであり、たとえ結果が付いて来なくてもいいんだ」。
開催1年目ながら、ツアー・オブ・北京は世界トップのUCI(国際自転車競技連合)ワールドツアーレースとして開催されている。18あるUCIプロチームは出場が義務づけられており、パット・マックエイドUCI会長はこれに中国ナショナルチームを付け加えた。
スイスで3ヶ月のトレーニングを受けたルイソン・チャン(中国ナショナルチーム) photo:Gregor Brownマックエイド会長は「中国自転車競技連盟に、ナショナルチームの出場を要請した。顔を立てる彼らの文化において、毎日選手たちが遅れるような状況は好まれないと思われた。だが中国サイクリングにとってそれは避けて通れない道であり、次に繋がる挑戦になる」。
これまで何名かの中国人選手は海外チームに所属し、ヨーロッパレースを走って来た。オランダのスキル・シマノは現在ジ・チェンとハン・フェンを雇用。イタリアのランプレは2006年にウー・キンサンとガン・シューをスタジエール(研修生)としてメンバーに入れている。
第2ステージ 積極的に逃げグループを率いるクン・ジャン(中国ナショナルチーム) photo:Sonoko Tanaka中国人選手の中で最も有名なのが、ディスカバリーチャンネルやレディオシャックに所属していたリー・フユだろう。
しかしフユは昨年4月のドーピング検査で、クレンブテロールの陽性反応が検出。フユはクレンブテロールに汚染されたステーキを食べたことが原因であると主張したが、それは認められず、現在出場停止処分を受けている。クレンブテロール汚染はツアー・オブ・北京出場中の選手たちにとっても脅威となっており、チームは牛肉と豚肉を選手に食べさせないよう徹底している。
第2ステージ 逃げたクン・ジャン(中国ナショナルチーム)が敢闘賞に輝く photo:Sonoko Tanaka昨年、UCIはスイス・エーグルにあるトレーニング施設「ワールド・サイクリング・センター」に何名かの中国人選手を招き、テストとトレーニングを行なった。ツアー・オブ・北京第2ステージで逃げに乗り、敢闘賞を獲得したクン・ジャン(中国ナショナルチーム)もその中の一人。メンバーのルイソン・チャンとチャオ・イミンも同様にスイスで3ヶ月にわたるトレーニングを受けた。
「ワールド・サイクリング・センター」での経験を活かしてトップチームにのし上がった例として、エリトリア出身のダニエル・テクレハイマノが挙げられる。テクレハイマノはアフリカ系黒人選手として史上初めて、トップチームであるグリーンエッジと契約を結んだ。
「理想的な環境だ」と、ホンタオ氏は話す。「言語の問題が選手たちの前に立ちはだかっているが、それさえクリアすることができれば、ハイレベルなトップチームに選手を送り込むことが可能となる」。
マックエイド会長は今年の冬にもう一度中国ナショナルチームを「ワールド・サイクリング・センター」招きたい考え。来シーズンのツアー・オブ・北京での活躍、そしてその先にある発展を願っている。
「彼らの能力がプロコンチネンタルやワールドツアーチームのレベルに達するのは時間の問題だ。今から5〜7年のうちに、10〜12名の中国人選手たちがトップチームに所属するような状況になるだろう。そしてそれがツアー・オブ・北京を後押しし、中国企業バックアップによるワールドツアーチーム誕生に繋がると考えている」。
このツアー・オブ・北京の期間中、UCIと中国自転車競技連盟は長時間に及ぶミーティングを行ない、競技発展に必要なタスクを確認し合っている。合計31省(自治区、直轄市)をもち、面積がヨーロッパ全域よりも広い大国を一つにまとめるのは至難の業。だがそれらのハードルを乗り越え、13億4000万人の精鋭を集めたナショナルチームを形成することができれば、他国の脅威になるのは間違いない。
text&photo:Gregor Brown
translation:Kei Tsuji
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開催1年目ながら、ツアー・オブ・北京は世界トップのUCI(国際自転車競技連合)ワールドツアーレースとして開催されている。18あるUCIプロチームは出場が義務づけられており、パット・マックエイドUCI会長はこれに中国ナショナルチームを付け加えた。
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これまで何名かの中国人選手は海外チームに所属し、ヨーロッパレースを走って来た。オランダのスキル・シマノは現在ジ・チェンとハン・フェンを雇用。イタリアのランプレは2006年にウー・キンサンとガン・シューをスタジエール(研修生)としてメンバーに入れている。
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しかしフユは昨年4月のドーピング検査で、クレンブテロールの陽性反応が検出。フユはクレンブテロールに汚染されたステーキを食べたことが原因であると主張したが、それは認められず、現在出場停止処分を受けている。クレンブテロール汚染はツアー・オブ・北京出場中の選手たちにとっても脅威となっており、チームは牛肉と豚肉を選手に食べさせないよう徹底している。
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「ワールド・サイクリング・センター」での経験を活かしてトップチームにのし上がった例として、エリトリア出身のダニエル・テクレハイマノが挙げられる。テクレハイマノはアフリカ系黒人選手として史上初めて、トップチームであるグリーンエッジと契約を結んだ。
「理想的な環境だ」と、ホンタオ氏は話す。「言語の問題が選手たちの前に立ちはだかっているが、それさえクリアすることができれば、ハイレベルなトップチームに選手を送り込むことが可能となる」。
マックエイド会長は今年の冬にもう一度中国ナショナルチームを「ワールド・サイクリング・センター」招きたい考え。来シーズンのツアー・オブ・北京での活躍、そしてその先にある発展を願っている。
「彼らの能力がプロコンチネンタルやワールドツアーチームのレベルに達するのは時間の問題だ。今から5〜7年のうちに、10〜12名の中国人選手たちがトップチームに所属するような状況になるだろう。そしてそれがツアー・オブ・北京を後押しし、中国企業バックアップによるワールドツアーチーム誕生に繋がると考えている」。
このツアー・オブ・北京の期間中、UCIと中国自転車競技連盟は長時間に及ぶミーティングを行ない、競技発展に必要なタスクを確認し合っている。合計31省(自治区、直轄市)をもち、面積がヨーロッパ全域よりも広い大国を一つにまとめるのは至難の業。だがそれらのハードルを乗り越え、13億4000万人の精鋭を集めたナショナルチームを形成することができれば、他国の脅威になるのは間違いない。
text&photo:Gregor Brown
translation:Kei Tsuji
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