第3ステージまでを消化したツアー・オブ・北京。中国での開催ということでどういったレース運営になるのか心配ばかりが先に立ったが、どうやらここまでは滞り無く事は運んでいる。それでも気になることはいくつかある。

スタート地点に太鼓の音が響き渡るスタート地点に太鼓の音が響き渡る (c)Sonoko.TANAKAスタート地点で観戦する女性たちスタート地点で観戦する女性たち (c)Sonoko.TANAKA

穏やかな雰囲気のスタート地点

スモッグ空に覆われ、霞んだ光の中でスタートを迎えたツアー・オブ・北京第3ステージ。レース前、選手たちはツール・ド・フランスのヴィラージュのようなテントで休んだり、チームカーやチームバンでレースの準備をする。

通常はチームバスに籠もることが多く、選手たちの表情を見ることは難しいが、ここではイヤでも筒抜け。しかしナーバスになっている選手はどこにもいない。みな笑顔で撮影にも応じてくれるし、会場の雰囲気もいたって穏やかだ。

テントの円卓を囲んでスタートを待つリクイガスの選手たちテントの円卓を囲んでスタートを待つリクイガスの選手たち (c)Sonoko.TANAKA各チームにバンが割り当てられ、選手の移動や荷物の運搬に使われている各チームにバンが割り当てられ、選手の移動や荷物の運搬に使われている (c)Sonoko.TANAKA

風光明媚な山岳地帯だけど、スモッグが気になる……

4つの山岳ポイントが設置された第3ステージ。山岳を登っていると赤や黄色に色づいた木々が選手たちを出迎え、ひんやりとした空気とともに、沿道は一気に秋めいた。ここが澄み切った空気のヨーロッパなら、まさに絶景!と言える山岳地帯だったが、やはりスモッグが気になってしまう。

霞んだ山岳地帯を走るプロトン このスモッグが不評の原因だ霞んだ山岳地帯を走るプロトン このスモッグが不評の原因だ (c)Sonoko.TANAKA

大気汚染についてはいくつかのチームが抗議を出していると言うが、来年以降も気持ちよく大会を開催するなら第1に解決して欲しい問題だ。北京五輪では、マラソン選手からの苦情で脚光を浴びた同問題だが、自転車競技はマラソンよりも屋外での競技時間が長いのだから。


意外にもスムースに進むレース運営

大気汚染の問題は別として、多くのジャーナリストたちが、中国でのレース運営に幾分かの不安を感じていたが、大会のクイーンステージとなる第3ステージまで大きなトラブルは発生していない。
中華料理が口に合わないとか、看板の数が少なくレースの前後で道に迷う……とか、“かわいらしい”苦情が聞こえる程度。直前に開催されていたツアー・オブ・チャイナほどの派手さはないものの、一つ一つ堅実にレースが運営されている印象を受ける。

スタート地点で応援する地元の女の子たちスタート地点で応援する地元の女の子たち (c)Sonoko.TANAKAチームカーの運転席でくつろぐ選手。カラダの柔軟さにも驚くチームカーの運転席でくつろぐ選手。カラダの柔軟さにも驚く (c)Sonoko.TANAKA

その例を挙げるなら、今回、取材に来るジャーナリストは例外なしに中国大使館で発行される“臨時ジャーナリストビザ”を申請し、それが供給されないかぎり、メディアパスは発行されないという条件だった(チームに対しても、ビザは徹底されている。)

新人賞ジャージを着たアレックス・ダウセット(イギリス、チームスカイ)が笑顔を見せる新人賞ジャージを着たアレックス・ダウセット(イギリス、チームスカイ)が笑顔を見せる (c)Sonoko.TANAKAもっとも取材目的で入国するなら、必要とされるものだが、日本人の場合、15日以内の滞在にかぎりビザなしで入国でき、ほかの中国の自転車レースでビザを要求されたことはない。
このビザのトラブルで、北京に来られなかったジャーナリストも多くいるのも事実。ビザを申請するためには手間も費用もかかるため、忙しく働くジャーナリストにとって厄介な要求であったが、今大会において“グレー”なことは許されない、というわけだ。

クイーンステージを終えて、残すところは平坦基調の2ステージ。明日第4ステージは世界遺産、万里の長城に立ち寄るコースレイアウトになっている。引き続き安全なレース運営と澄み切った青空を期待しよう。


photo&text:Sonoko.TANAKA