2011/09/12(月) - 05:34
ツアー・オブ・チャイナ、第2ステージは西安から宝鶏までの180.7kmで開催された。コースの大部分は、大胆にも両方向をクローズさせた高速道路だった。雨が降り続けるコンディションで2名の逃げが決まり、エイドリアン・ジョブルグ(ノルウェー、ジョーカー・メリダ)がステージ優勝した。日本人最高位は8位の盛一大。
冷たい雨の中決まった2人の逃げ
プロローグ、第1ステージと滞在した西安をあとにし、高速道路を走って西に向かい、宝鶏にゴールするという180.7kmで開催されたツアー・オブ・チャイナ第2ステージ。天候は雨…。気温は15℃前後とのことだったが、体感温度はさらに低く感じる中で、レースはスタートを迎えた。
集団に大きな動きが出たのはレースの中盤、90km地点。23人の大きな逃げグループが形成された。イラン、タブリーズペトロケミカルやアンダルシア・カハグラナダ、愛三工業レーシングチームなどの選手が含まれたが、逃げ切りを恐れたタイプ1、ニュートリション、ロシアナショナルなどの有力チームが動いて、最大で2分ほどタイム差が開いたものの、しだいに吸収される。
再び1つになった集団では、小さなアタックが頻繁にかかる。その中で決まったのが、エイドリアン・ジョブルグ(ノルウェー、ジョーカー・メリダ)とムラディヤン・ハルムラトフ(ウズベキスタン、ジャイアント・ケンダ)2人のアタック。
冷たい雨が降って向かい風、かつ緩やかな上り基調だった高速道路上のコース。単調かと思われたコース設定が思わぬ展開を生むことに。すぐに捕まるかと思われた2人の逃げはペースをキープし集団に6分近い差をつけた。集団内の追走すべきチームは、最初の逃げを吸収する過程で脚を使ってしまっていたこともあり、なかなか加速しなかったようだ。
さらに、先頭とのタイム差を告げるボードマンがうまく機能せず、彼らが集団にタイム差を伝えたときにはすでに「5分」の表示だったという。慌てて追った集団だったが、ときすでに遅し。集団に3分44秒の差をつけて、先頭2人が逃げ切った。そして2人のスプリントを制したのはエイドリアン・ジョブルグ。22歳、甘いルックスのノルウェー人選手が嬉しい勝利を掴み、リーダージャージも獲得した。「誰も観客がいない高速道路でのレースは初めての経験だった。でも集中して、ペースを保つことができたと思う。」と、レースを振り返る。
スプリントの感覚は上々!と意気込む愛三工業
後続集団のスプリントに絡み、盛一大が8位、西谷泰治が12位でフィニッシュした愛三工業レーシングチーム。厳しいコンディション下でのレースだったが、レースを終えた選手たちの表情はいい。
盛は「今日は中島、盛、西谷、この3人で前に出たが、集団内の混乱で結果的には個々でスプリントに挑む形となった。予想していたものよりもスプリントのスピードは速くない印象。ラインをじゃまされずに、自分たちのタイミングがあうなら、勝てる可能性はじゅうぶんにあると思う。強いチームがきているからレースも面白い。ここで勝てたら自分たちの評価や自信にもなるので、引き続き頑張りたい」と話した。
愛三工業レーシングの別府匠監督は「初めて一緒に戦う選手が多く、どこのチームも他チームの力が読めていない。また今日みたいにボードマンが機能しないようなこともある。今日の2選手の逃げ切り、そしてエイドリアンがリーダーになったことは、主力チームにとって予想外の出来事だった。でも、これがアジアツアーの面白さなんですよ」と話す。
明日、第3ステージは宝鶏からさらに西へ、鳳県までの112kmで開催される。スタートから上り始め、42.5km地点に高低差700mの1級山岳が控える。山頂を越えてゴールまでの70kmは緩やかな下りとなる。
現在、トップから4分以内にほぼすべての選手が控えている状態であり、その差はまだまだ逆転可能。明日からは総合優勝を狙う多くの選手が積極的に動くことが考えられる。そして残念ながら天気は雨の予報。私は“てるてる坊主”の作り方を、プレスルームで披露することとなったが、まずはこの冷たい雨が早く止むことを願いたい。
ツアー・オブ・チャイナ2011 第2ステージ結果
1位 エイドリアン・ジョブルグ(ノルウェー、ジョーカー・メリダ)4h11'35"
2位 ムラディヤン・ハルムラトフ(ウズベキスタン、ジャイアント・ケンダ)+4"
3位 ボリス・シュピレフスキ(ロシア、タブリーズ・ペトロケミカル) +3'44"
4位 ロジャース・リコ(ニュージーランド、ジャイアント・ケンダ)
5位 ジョナサン・キャントウェル(オーストラリア、Vオーストラリア)
6位 グリシア・ヤノルシュケ(ドイツ、ニュートリション)
7位 ステファン・ラドフラ(ドイツ、ニュートリション)
8位 盛一大(愛三工業レーシングチーム)
9位 ミッシェルパスカル・ジュール(フランス、ラポム・マルセイユ)
10位 アーロン・カンプス(オーストラリア、Vオーストラリア)
12位 西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)
56位 中島康晴(愛三工業レーシングチーム)
58位 綾部勇成(愛三工業レーシングチーム)
69位 伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム)
98位 鈴木謙一(愛三工業レーシングチーム)
個人総合成績(イエロージャージ)
1位 エイドリアン・ジョブルグ(ノルウェー、ジョーカー・メリダ)6h39'10"
2位 ムラディヤン・ハルムラトフ(ウズベキスタン、ジャイアント・ケンダ)+5"
3位 ボリス・シュピレフスキ(ロシア、タブリーズ・ペトロケミカル) +3'38"
4位 ロジャース・リコ(ニュージーランド、ジャイアント・ケンダ)+3'42"
5位 ウラディミール・エフィムキン(ロシア、タイプ1)+3'49"
6位 ジョナサン・キャントウェル(オーストラリア、Vオーストラリア)+3'50"
7位 マテイ・ムジェルリ(スロベニア、プルティニナ)
8位 マリウス・ベルナトリス(リトアニア、アトラスパーソナル・ジャクロー)+3'51"
9位 ステファン・ラドフラ(ドイツ、ニュートリション)+3'52"
10位 イワン・コヴァレフ(ロシア、ロシアナショナル)+3'53"
14位 盛一大(愛三工業レーシングチーム)+3'54"
17位 西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)
40位 中島康晴(愛三工業レーシングチーム)
41位 綾部勇成(愛三工業レーシングチーム)
74位 伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム)
103位 鈴木謙一(愛三工業レーシングチーム)
ポイント賞(ブルージャージ)
ボリス・シュピレフスキ(ロシア、タブリーズ・ペトロケミカル)
山岳賞(ポルカドットジャージ)
ベルナールド・スルズベガー(オーストラリア、Vオーストラリア)
チーム総合成績
ジョーカー・メリダ
photo&text:Sonoko.Tanaka
冷たい雨の中決まった2人の逃げ
プロローグ、第1ステージと滞在した西安をあとにし、高速道路を走って西に向かい、宝鶏にゴールするという180.7kmで開催されたツアー・オブ・チャイナ第2ステージ。天候は雨…。気温は15℃前後とのことだったが、体感温度はさらに低く感じる中で、レースはスタートを迎えた。
集団に大きな動きが出たのはレースの中盤、90km地点。23人の大きな逃げグループが形成された。イラン、タブリーズペトロケミカルやアンダルシア・カハグラナダ、愛三工業レーシングチームなどの選手が含まれたが、逃げ切りを恐れたタイプ1、ニュートリション、ロシアナショナルなどの有力チームが動いて、最大で2分ほどタイム差が開いたものの、しだいに吸収される。
再び1つになった集団では、小さなアタックが頻繁にかかる。その中で決まったのが、エイドリアン・ジョブルグ(ノルウェー、ジョーカー・メリダ)とムラディヤン・ハルムラトフ(ウズベキスタン、ジャイアント・ケンダ)2人のアタック。
冷たい雨が降って向かい風、かつ緩やかな上り基調だった高速道路上のコース。単調かと思われたコース設定が思わぬ展開を生むことに。すぐに捕まるかと思われた2人の逃げはペースをキープし集団に6分近い差をつけた。集団内の追走すべきチームは、最初の逃げを吸収する過程で脚を使ってしまっていたこともあり、なかなか加速しなかったようだ。
さらに、先頭とのタイム差を告げるボードマンがうまく機能せず、彼らが集団にタイム差を伝えたときにはすでに「5分」の表示だったという。慌てて追った集団だったが、ときすでに遅し。集団に3分44秒の差をつけて、先頭2人が逃げ切った。そして2人のスプリントを制したのはエイドリアン・ジョブルグ。22歳、甘いルックスのノルウェー人選手が嬉しい勝利を掴み、リーダージャージも獲得した。「誰も観客がいない高速道路でのレースは初めての経験だった。でも集中して、ペースを保つことができたと思う。」と、レースを振り返る。
スプリントの感覚は上々!と意気込む愛三工業
後続集団のスプリントに絡み、盛一大が8位、西谷泰治が12位でフィニッシュした愛三工業レーシングチーム。厳しいコンディション下でのレースだったが、レースを終えた選手たちの表情はいい。
盛は「今日は中島、盛、西谷、この3人で前に出たが、集団内の混乱で結果的には個々でスプリントに挑む形となった。予想していたものよりもスプリントのスピードは速くない印象。ラインをじゃまされずに、自分たちのタイミングがあうなら、勝てる可能性はじゅうぶんにあると思う。強いチームがきているからレースも面白い。ここで勝てたら自分たちの評価や自信にもなるので、引き続き頑張りたい」と話した。
愛三工業レーシングの別府匠監督は「初めて一緒に戦う選手が多く、どこのチームも他チームの力が読めていない。また今日みたいにボードマンが機能しないようなこともある。今日の2選手の逃げ切り、そしてエイドリアンがリーダーになったことは、主力チームにとって予想外の出来事だった。でも、これがアジアツアーの面白さなんですよ」と話す。
明日、第3ステージは宝鶏からさらに西へ、鳳県までの112kmで開催される。スタートから上り始め、42.5km地点に高低差700mの1級山岳が控える。山頂を越えてゴールまでの70kmは緩やかな下りとなる。
現在、トップから4分以内にほぼすべての選手が控えている状態であり、その差はまだまだ逆転可能。明日からは総合優勝を狙う多くの選手が積極的に動くことが考えられる。そして残念ながら天気は雨の予報。私は“てるてる坊主”の作り方を、プレスルームで披露することとなったが、まずはこの冷たい雨が早く止むことを願いたい。
ツアー・オブ・チャイナ2011 第2ステージ結果
1位 エイドリアン・ジョブルグ(ノルウェー、ジョーカー・メリダ)4h11'35"
2位 ムラディヤン・ハルムラトフ(ウズベキスタン、ジャイアント・ケンダ)+4"
3位 ボリス・シュピレフスキ(ロシア、タブリーズ・ペトロケミカル) +3'44"
4位 ロジャース・リコ(ニュージーランド、ジャイアント・ケンダ)
5位 ジョナサン・キャントウェル(オーストラリア、Vオーストラリア)
6位 グリシア・ヤノルシュケ(ドイツ、ニュートリション)
7位 ステファン・ラドフラ(ドイツ、ニュートリション)
8位 盛一大(愛三工業レーシングチーム)
9位 ミッシェルパスカル・ジュール(フランス、ラポム・マルセイユ)
10位 アーロン・カンプス(オーストラリア、Vオーストラリア)
12位 西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)
56位 中島康晴(愛三工業レーシングチーム)
58位 綾部勇成(愛三工業レーシングチーム)
69位 伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム)
98位 鈴木謙一(愛三工業レーシングチーム)
個人総合成績(イエロージャージ)
1位 エイドリアン・ジョブルグ(ノルウェー、ジョーカー・メリダ)6h39'10"
2位 ムラディヤン・ハルムラトフ(ウズベキスタン、ジャイアント・ケンダ)+5"
3位 ボリス・シュピレフスキ(ロシア、タブリーズ・ペトロケミカル) +3'38"
4位 ロジャース・リコ(ニュージーランド、ジャイアント・ケンダ)+3'42"
5位 ウラディミール・エフィムキン(ロシア、タイプ1)+3'49"
6位 ジョナサン・キャントウェル(オーストラリア、Vオーストラリア)+3'50"
7位 マテイ・ムジェルリ(スロベニア、プルティニナ)
8位 マリウス・ベルナトリス(リトアニア、アトラスパーソナル・ジャクロー)+3'51"
9位 ステファン・ラドフラ(ドイツ、ニュートリション)+3'52"
10位 イワン・コヴァレフ(ロシア、ロシアナショナル)+3'53"
14位 盛一大(愛三工業レーシングチーム)+3'54"
17位 西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)
40位 中島康晴(愛三工業レーシングチーム)
41位 綾部勇成(愛三工業レーシングチーム)
74位 伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム)
103位 鈴木謙一(愛三工業レーシングチーム)
ポイント賞(ブルージャージ)
ボリス・シュピレフスキ(ロシア、タブリーズ・ペトロケミカル)
山岳賞(ポルカドットジャージ)
ベルナールド・スルズベガー(オーストラリア、Vオーストラリア)
チーム総合成績
ジョーカー・メリダ
photo&text:Sonoko.Tanaka
フォトギャラリー